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人間の成長とユーザエクスペリエンス
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2011年12月10日 日本人間工学会関東支部第41回大会 "企画セッション:これからのアーゴデザインを考える"にて発表。「人間の成長とユーザエクスペリエンス」
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人間の成長とユーザエクスペリエンス
1.
関東支部第41回大会
2011年12月10日 企画セッション:これからのアーゴデザインを考える 人間の成長とユーザエクスペリエンス 千葉工業大学 デザイン科学科 Chiba Institute of Technology Department of Design 安藤 昌也 ando@sky.it-chiba.ac.jp Copyright © Masaya Ando
2.
1
はじめに 技術軸 複雑化する社会に対応できる 人間中心設計のあり方・課題 人間軸 環境軸 人間の成長 参加型デザイン 技術の革新 環境の変化 これからのアーゴデザイン 4つのキーワード Copyright © Masaya Ando
3.
2
HCDにおける「人間の成長」の視点 Copyright © Masaya Ando
4.
3
人間中心設計とユーザビリティ モノサイド ユーザサイド コンテキスト インタラクティブ 製品 相互作用 有効さ・効率 ユーザビリティ 満足度 ユーザビリティには熟達や学びの過程・長期的視点 での指標が考慮されていない (e.g., Hornæk, 2006) Copyright © Masaya Ando
5.
4
ISO13407からISO9241-210へ ISO13407 ISO9241-210 発効年 1999年 2010年 インタラクティブシステムの インタラクティブシステムの 名称 ためのHCDプロセス ためのHCD サービスを含む 対象 インタラクティブシステム インタラクティブシステム UXの定義 UX 言及なし UXに関するHCD原則 Copyright © Masaya Ando
6.
5
ユーザエクスペリンスに対する期待の高まり デバイスの多様化、ネットサービスの高度化により、ま すます“ユーザー体験”が重要になっている。 UXユーザ体験 user experience Copyright © Masaya Ando
7.
6
UXに関する共通認識の構築に向けた動き ISO 9241-210: 2010 User eXperience White Paper 人間中心設計プロセスの国際規格 UXの定義に混乱があることから、 世界のUX研究者が集まり、基本コ 規格対象が、インタラクティブシステ ンセプトを整理した議論の成果 ムだけでなく、サービスにも拡大 “定義”そのものではないが、UXと UXがテクニカルタームとして定義 はどういう観点から捉えるべきかを わかりやすく解説 HCDの目的として、トータルなUXを 実現することと位置付け “UXとは何か”を探りながらも重要性の認識は共通 Copyright © Masaya Ando
8.
7
ISO9241-210におけるUXの定義 ユーザエクスペリエンス(UX): 製品やシステム、サービスの利用、および/もしくは予想され た使い方によってもたらされる人々の知覚と反応 注1:ユーザエクスペリンスは、使用前、使用中、使用後に起こる、ユーザの 感情、信念、嗜好、知覚、生理学的・心理学的な反応、態度、達成感の すべてを含む。 注2:ユーザエクスペリエンスは、ブランドイメージ、見た目、機能、システムの パフォーマンス、インタラクティブシステムのインタラクティブな振る舞い と支援機能、事前の経験から生じたユーザの内的および身体的状態、 態度、スキルとパーソナリティ、利用状況の結果である。 注3: ユーザの個人的目標という観点から考えた時には、通常はユーザエク スペリエンスに付随する知覚的・感情的な側面を、ユーザビリティは含 むことができる。ユーザビリティの基準を用いて、ユーザエクスペリエン スの諸側面を評価することができる。 Copyright © Masaya Ando
9.
8
様々な視点からのUX 『UX白書』によるUXを期間の観点で区切る考え方は、 様々に用いられる言葉を整理するのに役立つ。 (出所:2011年2月:User Experience White Paper, HCD Value: “UX白書の翻訳と概要”資料) Copyright © Masaya Ando
10.
9
UXデザインとUX UXをデザインするには、意味的UXのレベルを含む全 体を検討する。 長期に渡る製品との関わりに着目した • 商品としての意味 累積的(意味的)UXのデザイン • 生活におけるモノの意味・価値 一定期間の製品との関わりに着目した • 文脈における利用 エピソード的UXのデザイン • 利用のパターン、ユースケース 製品との瞬間的な関わりに着目した • 操作感・利用感・受け答え • わかりやすさ、理解しやすさ 一時的UXのデザイン • デザインの美しさ Copyright © Masaya Ando
11.
10
UXとユーザビリティ モノサイド ユーザサイド コンテキスト インタラクティブ 製品 相互作用 有効さ・効率 ユーザビリティ 満足度 経時的 観点 ユーザエクスペリエンス Copyright © Masaya Ando
12.
11
UXと人間の成長 Copyright © Masaya Ando
13.
12
UXとアーゴデザインの観点 人間の成長 視点① 後 結果としての成長 視点② 前 プロセスとしての成長 個人の経験の過程自体を デザインすることは困難だが そこに眼を向けることが重要 Copyright © Masaya Ando
14.
13
製品の実利用による評価を左右する心理的要因 インタラクティブ製品の評価は、ユーザーの“利用意欲” に左右される。この利用意欲は、2つの要因で構成され る(安藤, 2010)。 製品ジャンルへの 操作することへの 興味・知識 積極性・自信 利用対象製品に対する インタラクティブ操作に対する 製品関与 利用自己効力感 ※自己効力感 「それぞれの課題が要求する行動の過程を、うまく 成し遂げるための能力についての個々の信念」(Bandura,1977) Copyright © Masaya Ando
15.
14 利用経験によるメンタルモデル精緻化仮説
(安藤, 2011) UXは実利用環境にある。生活における意味の中で、理 解=メンタルモデルを精緻化するプロセスと捉えてみる。 モノとの一時的な関わりだけでなく、生活における 意味・モノを使う智慧の形成プロセスとしてUXを捉える Copyright © Masaya Ando
16.
15
クリッペンドルフの人間中心デザイン クリッペンドルフも同様に、人工物の意味(セマンテック) を軸とした人間中心のデザインのモデルを示している。 (Krippendorff, 2006) Copyright © Masaya Ando
17.
16
個人の成長から社会の成長へ Copyright © Masaya Ando
18.
17
“個人レベルの成長”から“社会レベルの成長”へ 体 社会的 社会参画 サスティナビリティ 験 の 範 囲 の 広 が り 個人的 意欲・学び 意味・智慧 一時的体験 蓄積的体験 時間的蓄積による“意味”“文化”の生成 Copyright © Masaya Ando
19.
18
“個人レベルの成長”から“社会レベルの成長”へ 一時的な体験と累積的な体験を結びつける“成長”。 ソーシャルエクスペリエンス(?) 体 社会的 社会参画 サスティナビリティ 験 の 範 囲 の ユーザエクスペリエンス 広 が り 個人的 意欲・学び 意味・智慧 一時的体験 蓄積的体験 時間的蓄積による“意味”“文化”の生成 Copyright © Masaya Ando
20.
19
“個人レベルの成長”から“社会レベルの成長”へ 個人的な体験と社会的な体験を結びつける“成長”。 体 社会的 社会参画 サスティナビリティ 験 の 範 囲 の 広 が り 個人的 意欲・学び 意味・智慧 一時的体験 蓄積的体験 時間的蓄積による“意味”“文化”の生成 Copyright © Masaya Ando
21.
20 “意欲・学び”を“社会参画”につなぐデザイン
東日本大震災をめぐっては、小さな個人的意欲を課題 解決につなげる様々な優れたデザインが実施された。 Google パーソンファインダー 節電ポスター 避難所に掲示された名簿の写真を デザイナーやコピーライターなどが、 多くのボランティアがデジタル化。 再配布フリーのポスターデザインを 数十万件に及ぶ情報をデータ化。 多数投稿。類似サイトも多数登場。 (画像:http://japan.internet.com/busnews/20110329/21.html) (出所:http://setsuden.tumblr.com/) Copyright © Masaya Ando
22.
21 “意味・智慧”を“サスティナビリティ”につなぐデザイン
日本の生活文化を評価し、新たな価値を見出することで、 持続可能な社会を模索する取り組みが増えている。 (画像:http://www.t-lr.co.jp/) (画像:http://photozou.jp/photo/show/1391108/67760854) 富山市のLRTとレンタサイクル ママチャリの乗りやすさだけでなく、日常 生活が自転車で済ませられる「自転車町 内」、その他の公共交通との連携などシ ステムとしての日本の智慧を高く評価。 Copyright © Masaya Ando
23.
22
“個人レベルの成長”から“社会レベルの成長”へ 呼びかけを活かす 生活を見つめる 結びつける 価値を見出す 基盤をつくる やり続ける 意味を共有する 維持する 社会的 社会参画 サスティナビリティ 個人的 意欲・学び 智慧 一時的体験 蓄積的体験 Copyright © Masaya Ando
24.
23
本日のまとめ これからのアーゴデザインとして“人間の成長”を UXの観点から考え、その方向性と広がりを検討した 1. 現在のHCDはユーザー体験(UX)の実現が目標。 長期的視点でユーザーの変化を捉える点が重要。 2. “人間の成長”としてUXを見ると、結果としてだけで なくその過程を捉えることが大切。 3. UXはあくまで個人的体験。社会の中で捉える視点 も必要。 4. 個人的体験と社会的体験とを結びつけること、それ らを継続的に実施していくことに、新しいアーゴデザ インの可能性があるのではないか。 Copyright © Masaya Ando