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日本語版Language Mindsets Inventoryの開発及び信頼性・妥当性の検証

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日本語版Language Mindsets Inventoryの開発及び信頼性・妥当性の検証

近年、第二言語習得研究において、言語適性をはじめとする試験等で測定可能な認知能力に加えて、試験等で測定することができない非認知能力にも注目が集まっている。本研究では、非認知能力の一つであるマインドセットに注目し、Language Mindsets Inventory (Lou & Noels, 2017)の日本語版の作成及び、信頼性・妥当性の検証を目的とする。
 日本語版作成においては、稲田(2015)及びWild et al. (2005)が推奨する10の段階を踏んで実施した。
 信頼性・妥当性検証においては、英語を学ぶ日本人大学生を対象に実施した。信頼性を確かめるために、α係数及びω係数を算出した。妥当性検証においては、?専門家・大学生・大学院生・一般人による内容的妥当性、?mindsets尺度(武藤, 2020)を用いた収束的妥当性・弁別的妥当性、?L2 motivation尺度(Agawa & Takeuchi, 2016)を用いた併存的妥当性、?自己評価式の言語能力による予測的妥当性、以上4つの結果を報告する。
 最後に、本研究から得られる教育的示唆についても言及する。

近年、第二言語習得研究において、言語適性をはじめとする試験等で測定可能な認知能力に加えて、試験等で測定することができない非認知能力にも注目が集まっている。本研究では、非認知能力の一つであるマインドセットに注目し、Language Mindsets Inventory (Lou & Noels, 2017)の日本語版の作成及び、信頼性・妥当性の検証を目的とする。
 日本語版作成においては、稲田(2015)及びWild et al. (2005)が推奨する10の段階を踏んで実施した。
 信頼性・妥当性検証においては、英語を学ぶ日本人大学生を対象に実施した。信頼性を確かめるために、α係数及びω係数を算出した。妥当性検証においては、?専門家・大学生・大学院生・一般人による内容的妥当性、?mindsets尺度(武藤, 2020)を用いた収束的妥当性・弁別的妥当性、?L2 motivation尺度(Agawa & Takeuchi, 2016)を用いた併存的妥当性、?自己評価式の言語能力による予測的妥当性、以上4つの結果を報告する。
 最後に、本研究から得られる教育的示唆についても言及する。

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日本語版Language Mindsets Inventoryの開発及び信頼性・妥当性の検証

  1. 1. 日本語版Language Mindsets Inventoryの 開発及び 信頼性・妥当性の検証 〇樫村祐志(明治大学大学院生) 橋元知子(フェリシアこども短期大学) 関東甲信越英語教育学会第46回栃木大会@オンライン 12/10&11 1
  2. 2. 2 1. 背景 2. 目的 3. 方法 4. 翻訳手順 5. 分析 6. 結果と考察 7. 結論 引用・参考文献 目次
  3. 3. 1. 背景 • 言語を習得するには長い年月が必要 • 学習者が困難に直面する際、学習者の認識は様々(Khajavy et al., 2021; 武 藤, 2020) 3 自分の能力は努力次第で 伸ばすことができる = 成長型マインドセット 自分の能力は固定してお り変わらない = 固定型マインドセット
  4. 4. 1. 背景 • マインドセットは分野によって異なる 例)数学(Cury et al., 2006)、運動(Biddle et al., 2003) • 言語学習特有のマインドセットを測るために、Language Mindsets Inventory (LMI)を開発 (Lou & Noels, 2017) • 成長型マインドセットと固定型マインドセットの2因子からなる • 2因子には、一般的な言語知能(GLB)、第二言語適性(L2B)、言語学習にお ける年齢への敏感さ(ASB)に関する項目が含まれる 4
  5. 5. LMIの尺度特性に関する先行研究 5 Lou and Noels (2017):原版 Collett and Berg (2020):日本語版 信頼性 再検査法&α係数 – 妥当性 内容的妥当性 – 専門家&大学生 収束的妥当性 一般、数学、運動に関するマイン ドセット尺度 – 弁別的妥当性 自己評価による言語能力 – 因子的妥当性 検証的因子分析 探索的因子分析 併存的妥当性 努力信念、言語学習の継続意思、 失敗に対する不安 – 予測的妥当性 – TOEIC scores その他 原著者への許諾に関す る記述 – – 原著者へ逆翻訳の確認 依頼 – –
  6. 6. 尺度翻訳に関する課題点 • 翻訳の方法論に一貫性がない場合、同じ尺度間の比較が難しい • 同じ翻訳手続きを、異なる用語で記述されている場合、内容の明確さを欠 く • 尺度開発者が独自のガイドラインを作成している場合、一貫性を欠く • 適切な翻訳プロセスを経ていない尺度は、収集されたデータの妥当性を脅 かし、国際共同研究を行う際に不適切 (稲田, 2015; Wild et al., 2005) 6
  7. 7. 2. 目的 • すでに、Collett and Berg (2020)が日本語版を作成 • しかし、原著者への翻訳許諾があったか不明&信頼性の報告無し ↓ より信頼性・妥当性の高い日本語版LMIが必要 本研究では、言語マインドセットに注目し、より信頼性・妥当性の高いLMI (Lou & Noels, 2017)の日本語版LMI-Jの開発を目的とする 7
  8. 8. 3. 方法 • 対象者:英語を学ぶ日本人大学生179名(男性: n=27、女性: n=147、 答えたくない: n=5・3つの大学) 想定英語レベル CEFR A1~B2 • 実施期間:2022年10月~11月 • データ収集法:オンラインによる質問紙調査を実施 • 倫理的配慮:結果は研究目的のみで使用される事、参加は任意であり、途 中辞退も可能である事、質問紙の回答をもってこれらに合意したとみなす 事等を書面により説明。研究は倫理委員会の審査を通過済み(番号:2022 -3号). 8
  9. 9. 4. 手順~日本語版尺度の作成にあたり~ 1. 原版の第一著者へ翻訳の許諾 2. 英語から日本語へ順翻訳 3. 調整 4. 日本語から英語へ逆翻訳 5. 逆翻訳のレビュー 6. 調和 7. 認知デブリーフィング 8. 認知デブリーフィングのレビュー 9. 校正 10.最終報告 稲田(2015) & Wild et al. (2005) 9
  10. 10. 5. 分析 • 分析ツール:JASP • 信頼性検証方法:α係数およびω係数を算出 • 妥当性検証方法: 6件法(1=全くそう思わない、6=大変そう思う) ①内容的妥当性:教育の専門家・大学院生・大学生・一般人による確認 ②因子的妥当性:検証的因子分析 ③収束的・弁別的妥当性:Mindsets尺度 (武藤, 2020) ④併存的妥当性:Intended effort尺度 (Taguchi et al., 2009) 5件法(1=初級レベル、5=中上級レベル以上) ⑤予測的妥当性:自己評価式の言語能力 (Taguchi et al., 2009) →続くスライドで、③~⑤について、詳細を説明する。 10
  11. 11. ③Mindsets尺度 • Mindset=思考態度(Dweck, 2006=2016)の考えを使用。 • 成長的思考態度(growth mindset)と固定的思考態度(fixed mindset)を測る6項 目からなる。 項目例 成長型 :「私はいつでも、自分の知的能力をかなり伸ばすことができる。」 固定型 :「私はある一定の知的能力をもって生まれてきており、それを変える ことは実際にはできない」 11
  12. 12. ④Intended effort尺度 • Taguchi et al. (2009)の研究で使用。 • L2動機付け自己システム(L2 Motivational self system)の概念(Dörnyei, 2005, 2009)を、日本の文脈で検証した際に使用された尺度。 • 4項目で構成され、認識している自分の努力を測る。 項目例 「英語を一生懸命勉強している」 12
  13. 13. ⑤自己評価式の言語能力 • Taguchi et al. (2009)の研究で使用。 • L2動機付け自己システム(L2 Motivational self system)の概念(Dörnyei, 2005, 2009)を、日本の文脈で検証した際に使用された尺度。 • 5段階(基礎~中上級レベル以上)からなり、自分の英語レベルを測定する。 項目例 「基礎レベル:決まり文句を用いて簡単な挨拶ができる。簡単な文が読め、短 い文章の大意が理解でき、基礎的な英語を用いて簡単な一文を書くことができ る。」 13
  14. 14. 6. 結果と考察 信頼性検証 (LMI-J) 14 変数 k M SD α 95% CI ω 95% CI LMI-J 12 3.74 1.31 .87 [ .84, .89] .87 [ .84, .90] Growth-GLB 3 3.62 1.23 .83 [ .77, .87] .83 [ .79, .87] Growth-L2B 3 4.07 1.30 .89 [ .86, .92] .90 [ .87, .92] Growth-ASB 3 4.05 1.18 .84 [ .79, .88] .84 [ .80, .88] Fixed-ASB 3 3.20 1.31 .72 [ .64, .79] .75 [ .68, .81] Note. 一般的な言語知能(GLB)、第二言語適性(L2B)、言語学習における年齢への敏感さ(ASB) ⇨LMI-J全体、及び成長型の3因子において、α係数・ω係数ともに.80以上を確認 ⇨固定的の1因子において、α係数・ω係数ともに.70以上を確認
  15. 15. 6. 結果と考察 信頼性検証 (他尺度) 15 変数 k M SD α 95% CI ω 95% CI Mindsets 6 3.51 1.14 .81 [ .76, .85] .80 [ .76, .85] Growth 3 3.58 1.11 .83 [ .78, .87] .83 [ .79, .87] Fixed 3 3.44 1.16 .82 [ .77, .86] .83 [ .79, .87] Intended effort 4 3.12 1.35 .85 [ .81, .89] .86 [ .83, .89] ⇨Mindsets尺度・Intended effort尺度は、α係数・ω係数ともに.80以上を確認
  16. 16. • 検証的因子分析(最尤法)を行った結果、12項目を含む4因子からなるLMI- Jが開発された。適合度指標は、χ2 = 71.81, df = 48, p<.05, CFI = .99, RMSEA = .05, SRMR = .05, GFI = .99であった。 16 Q2 Q5 Q6 Q9 Q10 Q11 Q14 Q17 Q18 Q13 Q16 Q15 .41 .27 .30 .10 .18 .34 .46 .20 .26 .82 .33 .13 .77 .85 .84 .95 .90 .81 .73 .89 .86 .43 .82 .93 G-GLB G-L2B G-ASB F-ASB .56 .70 -.55 .57 -.33 -.33 Note. 一般的な言語知能(GLB)、第二言語適性(L2B)、言語学習における年齢への敏感さ(ASB)
  17. 17. 17 表. LMI-J内の相関分析 変数 Growth-GLB Growth-L2B Growth-ASB Fixed-ASB Growth-GLB — Growth-L2B .42** — Growth-ASB .36** .46** — Fixed-ASB -.17** -.11* -.26** — Note.一般的な言語知能(GLB)、第二言語適性(L2B)、言語学習における年齢への敏感さ(ASB)
  18. 18. 18 *p < .05. **p < .001. 表. 他概念との相関分析 変数 L2 growth L2 fixed Growth Fixed Effort Proficiency L2 growth — L2 fixed -.17** — Growth .29** -.11* — Fixed -.17** .28** -.26** — Effort .001 .05 .20** -.09* — Proficiency -.15* -.17* .07 -.03 .32** —
  19. 19. • 収束的/弁別的妥当性では、LMI-Jの成長型/固定型はmindsets尺度の成長型/ 固定型と正の相関(.29/.28, p < .01)、及び、固定型/成長型と負の相関(- .17/-.11, p < .05)が見られた。 • Intended effort尺度と比較した併存的妥当性については、LMI-Jの成長型/固 定型はそれぞれ正の相関(.001/.05)が見られたが、有意差は見られなかった (p > .05)。 • 自己評価式の言語能力による予測的妥当性については、原版と同様に、成 長型/固定型ともに負の相関(-.15/-.17, p < .05)が見られた。 19
  20. 20. 7. 結論 本研究では、LMI(Lou & Noels, 2017)の、より信頼性・妥当性の高い日本 語版尺度(LMI-J)が開発された(12項目、4因子)。これにより、日本語話 者の言語マインドセットを研究する際、一層正確に学習者の実態を把握するこ とが可能になるだろう。しかし、以下の4つの課題点が挙げられる。 1)他の学習者要因(例. グリット)による併存的妥当性検証 2)テスト結果や授業成績等の客観的指標による予測的妥当性検証 3)より理解しやすい表現にかえ、さらなる表面的妥当性の改善 4)男女の人数のバランス調整 今後の研究ではこのような点を踏まえ、尺度をより精緻化する必要がある。 20
  21. 21. 引用・参考文献 • Biddle, S., Wang, C., Chatzisarantis, N., & Spada, C. M. (2003). Motivation for physical activity in young people: Entity and incremental beliefs about athletic ability. Journal of Sports Science, 21(12), 973–989. • Collett, P., & Berg, M. (2020). Validating the Language Mindsets Inventory. In P. Clements, A. Krause, & R. Gentry (Eds.), Teacher efficacy, learner agency. Tokyo: JALT. • Cury, F., Elliot, A. J., Da Fonseca, D., & Moller, A. C. (2006). The social-cognitive model of achievement motivation and the 2 × 2 achievement goal framework. Journal of Personality and Social Psychology, 90(4), 666–679. • Dörnyei, Z. (2005). The Psychology of the language learner: Individual differences in second language acquisition. Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum. • Dörnyei, Z. (2009). The L2 motivational self system. In Z. Dörnyei, & E. Ushioda (Eds.), Motivation, language identity and the L2 self (pp. 9-42). Bristol: Multilingual Matters. • Dweck, C. S. (2006). Mindset: the new psychology of success, Random House (=2016, 今西康子訳『マインドセット 「やればできる!」の研究』草思社). • 稲田直子. (2015). 「尺度翻訳に関する基本方針」『行動療法研究』41(2), 117–125. • Khajavy, G. H., MacIntyre, P. D., & Hariri, J. (2021). A closer look at grit and language mindset as predictors of foreign language achievement. Studies in Second Language Acquisition, 43(2), 379–402. 21
  22. 22. 引用・参考文献 • Lou, N. M., & Noels, K. A. (2017). Measuring language mindsets and modeling their relations with goal orientations and emotional and behavioral responses in failure situations. The Modern Language Journal, 101(1), 214–243. • 武藤浩子. (2020).「マインドセット:成長的思考態度は学生の学びにどのような影響を与えるのか」『早稲田大学大学院教育 学研究科紀要:別冊』28(1), 71–82. • Taguchi, T., Magid, M., & Papi, M. (2009). The L2 motivational self system amongst Chinese, Japanese, and Iranian learners of English: A comparative study. In Z. Dörnyei & E. Ushioda (Eds.), Motivation, language identity and the L2 self (pp. 66–97). Multilingual Matters. • Wild, D., Grove, A., Martin, M., Eremenco, S., McElroy, S., Verjee-Lorenz, A., & Erikson, P. (2005). Principles of good practice for the translation and cultural adaptation process for patient-reported outcomes (PRO) measures: Report of the ISPOR Task Force for translation and cultural adaptation. Value in Health, 8(2), 94–104. 22

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