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看護過程とSOAPの基本
- 2. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
本日の目標
次のことがわかるようになる!
なる
看護記録は何のために書くのか? なる
なる
SOAPで記載するワケ ー AとPの重要性
本来のSOAP記録とは ー アセスメントの誤解を解く
“看護が見えない記録” から ”看護が見える記録” へ
記録時間を最小限にするには?
2
- 4. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護過程,看護診断は何のため?
1人1人の患者にとって何が良い看護ケアなのか
考えるための道具
チームの全員が解決策の方向性を共有し統一した
看護ケアを行う
看護過程に基づく看護を行うことで
本当に必要なケアを継続して提供する
4
- 5. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護実践とは?
POS
看護過程
医学書院「基礎看護技術Ⅰ」藤崎 郁 〃P23 図1-1を改変
5
- 6. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護過程 6つのステップと3つのプロセス
中盤部分:問題解決のための 後半部分:
実行のプロセス 問題解決のための
振り返りのプロセス
前半部分:問題把握のプロセス
6 「基礎看護技術Ⅰ」 藤崎 郁
- 7. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
POS ; 問題志向型システム
Problem Oriented System
問題 志向 方式
意識をある目的へ向ける
こころざす
看護
問題解決を目指すためのシステム
7
- 8. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
例) 日常で起こるPOS劇場 ①
旦那のスーツのポケットから「ホテル」
という怪しいレシートが出てきた。
もしかして浮気?
直接聞いてみる?
尾行する? 探偵に依頼する?
情報収集(現状確認)
8
- 9. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
例) 日常で起こるPOS劇場 ②
問題の明確化(診断)
帰りが 浮気に関連した
遅くなった 香水の香り 家庭崩壊の危機
出張が
多くなった
アセスメント
(情報分析)
携帯電話を
離さない トイレに携帯を
持ち込む 現場確認
現象(症状)・徴候
9
- 10. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
例) 日常で起こるPOS劇場 ③
<具体的な目標>
浮気相手が3人
から1人に減る
計画立案 実施
<具体的な計画>
× 若作りをする
○ 毎週木曜日にヒアルロン
酸の美肌パックを行う
10
- 11. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
例) 日常で起こるPOS劇場 ④
評価
問題を解決するために 目標が達成しなかった
さらに高い目標設定 原因は?
情報を追加・確認しながら〃問題の見直しも含め〃
現状に応じた目標・介入計画の変更や追加を行う
11
- 12. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護問題とは
患者自身の問題
看護師の援助によって改善を目指せる問題
12
- 13. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
取り扱う看護問題 (1)
1. 医療処置や治療を要する身体的問題
2. 身体症状や身体的苦痛
3. 安全・危険に関する問題
4. ADLの問題
5. 介護や療養の担い手の確保の問題
6. 継続的な健康管理や療養行動に関する問題
13 「基礎看護技術Ⅰ」 藤崎 郁
- 14. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
取り扱う看護問題 (2)
7. 健康問題によって影響を受ける患者自身の
社会的役割や自己概念〃情動に関する問題
8. 患者の健康問題が周囲に引き起こす
二次的問題
9. 健康問題を契機とした自己実現に関する問題
10.生命の誕生や死や成長発達に関する問題
14 「基礎看護技術Ⅰ」 藤崎 郁
- 16. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護記録の役割
情報を共有
•医療チーム間での情報共有
•患者への情報提供 (カルテ開示)
看護実践の証明 業務記録
•裁判での証拠 (書証)
•診療報酬要件の証明
16
- 17. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護記録の法的証拠能力
重要な 正確な
証 拠 記 載
裁判時に必要な観察や処置は行っていたと証言しても〃
記録が残されていないと証拠として認められず
看護者が責任を問われる場合もある。
医療記録は患者の医療経過を証明する文書である
と同時に医療関係者の正当性を証明する重要な文書
17
- 18. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護記録とは
看護実践の過程を記述したものであり〃
適正な看護を行ったことを証明するもの
看護実践の方法
専門的知識に基づく判断を行う
系統的アプローチを通して個別的な実践を行う
看護実践の一連の過程は記録される
( 日本看護協会 「看護業務基準」 1995 )
18
- 19. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
なぜ,SOAP記録なのか?
問題解決を目指すための過程や結果を記録に残すために
開発されたSOAP記録は看護実践の証明を行うのに適する
SOAPの特徴とメリット
POSを生かした記録方式
患者の問題が明確に理解でき〃経過がわかりやすい
患者に起こっている事実をどのように解釈したのか〃
その考えが明確にわかる
チーム医療におけるコミュニケーションの手段
19
- 20. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
SOAPのルール
S ubjective : 主観的情報
患者が訴えていること
O bjective : 客観的情報
観察した事実〃検査データ
A ssessment : アセスメント (評価)
どう考えたのか - 看護問題・目標に対しての評価
P lan : 計画・実施 看護的A ≠ 医学的A
(Care) (Cure)
どうするのか〃どうしたのか
20
- 21. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
A (アセスメント) と P (計画・実施)
看護問題の評価内容は特に
アセスメント と 計画・実施 の部分に反映される
看護して
S
AとPがない ないの?
O
S
主観的情報(S)・客観的情報(O)だけでなく〃
アセスメント(A)と計画・実施(P)の記載が重要
21
- 22. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
“看護が見えない” 看護記録の例
O) 創痛自制内、ドレーン黄色排液
腸蠕動音良好、排ガスあり、排便なし
バルン抜去後自尿なし
患者さんの 観察だけ?
問題なに?
看護は
目標なに? どこ?
22
- 23. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
日々の看護実践とSOAPの関係
P
S’
P O’
A S
A
O
A
S・Oだけの記録では〃
看護実践を証明できない
医学書院「基礎看護技術Ⅰ」藤崎 郁 〃P23 図1-1を改変
23
- 24. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
記録で証明しよう
S) 起きようと思うけど〃傷が痛くて起き上がれん。
O) 臥床し手で腹部を押さえている。創部出血なく
ドレーン淡々血性少量ずつ〃腹部緊満認めず
腸蠕動音良好。
“離床できない痛み” 苦痛緩和・離床の援助は?
A) 創部痛増強が離床の妨げになっている。
P) 指示のボルタレン座薬投与後〃評価し離床進める。
証明
24
- 25. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
SOAPのポイント
患者が持っている問題に焦点をあてる ⇒ 看護計画参照
問題ナンバーと看護問題(看護診断名)〃目標を簡潔に記載
例「#1 急性疼痛 目標:創部痛軽減し歩行まで離床できる」
A(アセスメント)の記載は看護目標・問題の評価を記載
P(計画)は立案した計画の追加・修正がある場合に記載
リスク状態の記載はリスク状態が回避できているか記載
25
- 26. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護問題を意識する
宣言
#2 急性疼痛(目標:創部痛軽減し歩行まで離床できる)
#3 非効果的気道浄化(目標:有効な咳嗽ができ〃痰喀出できる)
S) 起きようと思うけど〃傷が痛くて起き上がれん。
O) 臥床し手で腹部を押さえている。創部出血なく〃ドレーン淡々
血性少量ずつ〃腹部緊満認めず〃腸蠕動音良好。
A) 創部痛増強が離床の妨げになっている。 複数の問題を
まとめて記載する
P) 指示のボルタレン座薬投与後〃評価し離床進める。
(内容も追加する)
原則的に看護問題ごとに記載するSOAPでは〃問題が 多
くなると〃そのぶんだけSOAPが多くなってしまい 現実
的ではない。
複数の問題を1つのSOAPでまとめ書き
26
- 27. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護問題・目標を引用する
27
- 28. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
SOAPが書けない理由 その1
記録に時間をかけられない
SOAP記録の指導がなかった
皆が書いていない
⇒ 書かなくていいだろう。書くのは変?
書いていることを先輩から突っ込まれると嫌だ
アセスメントに自信がない
アセスメントがわからない
28
- 29. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
アセスメントの禁句
医師が診断名として挙げていない病名の記載や
根拠のない解釈〃治療方針の決定
医師法 17条:医師でなければ医業をなしてはならない
S) 息が苦しい
O) SpO2 86%に低下。努力呼吸を呈している。
例
A) 無気肺か?心不全か? O) ○○医師に報告〃気管支鏡にて
P) 呼吸状態に注意 多量の黄白色粘稠痰回収。
その後〃SpO2 98%に改善。
A) 痰貯留による呼吸状態悪化。
P) #2 非効果的気道浄化 立案。
29
- 30. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
SOAPが書けない理由 その2
看護問題・看護目標に妥当性がない
看護問題・看護目標と大きくズレている
アセスメント(問題や目標に対する評価)
できるわけない!
「とりあえず〃この疾患の患者さんには〃
この問題を立案しておけば」から 脱 却 しよう
30
- 31. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護実践の展開をSOAPで証明 例 1
S) 体がだるい。トイレに行く時もフラフラします。
O) BT 39℃〃熱感著明〃顔面紅潮〃倦怠感強い。ふらつきあり。
A) 体力消耗しており転倒スコア高まっている。解熱図り〃体力消
耗を最小限にする。
P) #1 高体温〃#2 転倒リスク状態 立案。
クーリング施行〃指示のボルタレン座薬25mg投与。
ベッドサイドにポータブルトイレを設置〃移乗時介助する。
#1 高体温 (目標:BT38.5℃以上にならない)
#2 転倒リスク状態 (目標:転倒しない)
O) BT37℃台以下で経過〃倦怠感軽度〃歩行時ふらつきなし。
A) 1日以上高熱になることなく転倒スコア低下。
P) #1〃#2 目標達成〃問題解決。
31
- 32. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
看護実践の展開をSOAPで証明 例 2
O) 明日より化学療法開始予定
A/P)
化学療法開始後〃免疫力低下により易感染状態となるため〃
#1 感染リスク状態 立案し〃感染予防行動を指導する。
#1 感染リスク状態(目標:感染予防行動がとれる)
S) 感染しやすい時だから自分でも守らないとね
O) 本日より化学療法開始。
手洗い〃マスクの着用など実施できている
A/P)
感染予防対策の必要性を理解し行動とれている。#1 目標達
成したが〃易感染状態であるため〃問題続行し目標変更
(⇒感染徴候を示さない)
32
- 33. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
記録に時間をかけないコツ
ただし〃問題になりそうな事項は記載
無駄をなくす
•重複する記載をしない
•看護問題に関連する事項のみ記載
アセスメント力を鍛える
•看護問題に関連する事項を整理
•気がかりな情報を判断する能力
33
- 34. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
記録の無駄をなくす
#2 急性疼痛 (目標:創部痛軽減し歩行まで離床できる)
S) 起きようと思うけど〃傷が痛くて起き上がれん。
O) 臥床し手で腹部を押さえている。創部出血なく〃ドレーン
淡々血性少量ずつ〃腹部緊満認めず〃腸蠕動音良好。
A) 創部痛増強が離床の妨げになっている。
P) ボルタレン座薬投与後〃評価し離床進める。
フローシートで
記載する情報は
原則不要
34
- 35. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
“看護が見えない記録”から脱却しよう
O) 創部痛自制内、ドレーン排液黄色
放置?
腸蠕動音良好、排ガスあり、排便なし
バルンカテーテル抜去後自尿なし
看護が見える
O) バルンカテーテル抜去6時間後自尿なし〃下腹部膨満なし
A) 尿貯留の徴候はみられない
P) 水分摂取促し〃2時間様子をみる。尿意・自尿ない場合は 医
師に報告し対応を確認する。
35
- 36. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
本来のSOAPを定着させるには
1. 意識改革。”当たり前”をぶっ潰せ。
2. まずは自分から実践。協力者(指導者)を作る。
3. 期待できる者に指導を行い〃1人ずつ増やす。
4. “みんながやらないから〃やらない” 人には〃
“みんながやるから〃やるしかない” 環境に。
5. 根気強く〃諦めず〃広い視野を持つ。
外部セミナーなどでモチベーション維持。
36
- 37. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
病院・検討会で検討すべきこと
標準看護計画の活用〃クリニカルパスとの連動
⇒ 標準看護計画から逸脱する患者にのみ〃
個別の看護診断・看護計画を行うシステム
個人の評価査定に看護記録を含める
37
- 38. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
独自の略語(隠語・造語)はNG
D ドレーン
SAT Saturday?(土曜日)
Special Assault Team?
ED(+) (特殊急襲部隊)
SpO2
Erectile
Dysfunctionz? SP
Special?(特別)
(勃起障害) ServicePack?
浮腫 (サービスパック)
痰
38
- 39. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
急変時および事故発生時の記録
経時的に事実のみを記載する
SOAPは中止
1H5W で記載
- 1H:いつ
- 5W:どこで・誰が・なぜ・何を・どのように
リスクマネージメントマニュアル作成指針 検索
39
- 40. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
オーディット・システム
オーディット(Audit)とは〃「事の正否を監督し検査す
ること」で〃監査・自己評価を指す
看護記録を改善し〃より良くするために自己監査を行う
監査を行ってもフィードバックしなければ改善には繋が
らない
• 詳細な運用方法・監査基準を定める
• 各部署・検討会で問題や改善すべき点を抽出
• アプローチ方法を検討しフィードバックする
40
- 41. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
参考資料 ( 一読して欲しい資料 )
看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針
出版社名 日本看護協会出版会 (ISBN:4-8180-1147-9)
著者/訳者名 日本看護協会 編 価格 630 円
日本看護協会のサイトからもダウンロード可
(「会員の皆様へ」 ⇒ ログオン後 「ガイドライン」)
これからの看護記録・新しく変転するPOS
-診療情報開示とリスクマネージメントを視野にいれて-
看護記録 検索
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- 43. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
改めて… 本日の目標
明日からできそうですか?
できる
できる できる
看護記録は何のために書くのか?
SOAPで記載するワケ ー AとPの重要性
本来のSOAP記録とは ー アセスメントの誤解を解く
“看護が見えない記録” から ”看護が見える記録” へ
記録時間を最小限にするには?
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- 44. 看 護 過 程 と SOAP の 基 本
スライド作成・配布元
はる (Handle Name)
RST@BLOG
http://icuweb.biz/blog/
※病院非公式のホームページ
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