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自己調整学習を志向した授業アンケートの実践と自己効力感への影響

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自己調整学習を志向した授業アンケートの実践と自己効力感への影響

指導と評価の一体化を目指して、評価を多様化させる動きが広がっている。その中で、主体性をいかに評価するかという難題に呼応するように、自己調整学習が注目されている。筆者は高校の英語の授業において大きな比重を占めるリーディング活動において、Zimmerman(2011)の中で述べられている「関与する読み手」を育成することを目指した。関与する読み手の構成要素として、質問する、知識を活性化する、要約するという読解方略の活用がある。それによって学習者は自己効力感を認識する。筆者は今年度、高校2年生を担当するにあたり、前任者が行っていた和訳の配付をやめ、自力で読み、自分の知識を総動員しても分からないことを、オンライン上で質問ができるようにした。また、読解活動においては単なる言語の処理にとどまらず、筆者が読み手に伝えたい概念を認識するように、必ず英語でのサマリーの活動を取り入れた。半年が過ぎて、自己効力感を調査し、質問の頻度やサマリーへの取り組み方と自己効力感の関係を調査した。

指導と評価の一体化を目指して、評価を多様化させる動きが広がっている。その中で、主体性をいかに評価するかという難題に呼応するように、自己調整学習が注目されている。筆者は高校の英語の授業において大きな比重を占めるリーディング活動において、Zimmerman(2011)の中で述べられている「関与する読み手」を育成することを目指した。関与する読み手の構成要素として、質問する、知識を活性化する、要約するという読解方略の活用がある。それによって学習者は自己効力感を認識する。筆者は今年度、高校2年生を担当するにあたり、前任者が行っていた和訳の配付をやめ、自力で読み、自分の知識を総動員しても分からないことを、オンライン上で質問ができるようにした。また、読解活動においては単なる言語の処理にとどまらず、筆者が読み手に伝えたい概念を認識するように、必ず英語でのサマリーの活動を取り入れた。半年が過ぎて、自己効力感を調査し、質問の頻度やサマリーへの取り組み方と自己効力感の関係を調査した。

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自己調整学習を志向した授業アンケートの実践と自己効力感への影響

  1. 1. 自己調整学習を志向した 授業アンケートの実践と 自己効力感への影響 藤原 剛(山梨県立吉田高等学校)
  2. 2. 山梨県立吉田高等学校 全校生徒約700名 男女共学 普通科 理数科 富士山の北麓にある進学校 目標は「質の高い文武両道」
  3. 3. 実践のきっかけ • 異動してきて、2学年を担当することになる • 前任者との指導方法の違いに生徒が戸惑い、不満 が聞かれる
  4. 4. ニーズ分析としてのアンケートを実施 • Graves(2000) ニーズ分析の役割 学習者が必要とする力、指導法の好みなどについ て情報を収集し、コースデザインに反映させる。 その過程において、教師や学校管理者の考えも伝 える、双方向性が望ましい
  5. 5. 授業の流れにニーズ分析を組み込み、 共通理解が得られる 授業後に毎時間ニーズ分析としての授業アンケートを 実施。和訳が配付されないことや、全文の解説が行わ れないことになどついて、不満や要望が寄せられる。 →1つ1つに答え、授業者の意図を伝え、要望のうち、 理にかなっているものは取り入れ、ニーズに応える。 徐々に要望や不満は寄せられなくなり、ニーズ分析は 機能したと考えられる。
  6. 6. ニーズ分析のもう一つの機能 授業や予習・復習で分からなかったことを質問する 授業アンケートの内容 ①授業の内容について分かなかったことはありますか ②授業の進め方についての要望や不満があれば書いてください ③予習や復習で分からなったことがあったら書いてください →②への回答はなくなったが、①、③への回答は徐々に増える
  7. 7. 受け身の読解からの転換 →自己調整学習へ 前年度まではコミュニケーション活動の時間を確保するために、和訳が 配付されていた。→読解においてはボトムアップ処理を行い、分析的に読 む必要がなかった。 今年度は和訳は配付せず、自分で理解を試み、分からない点があれば ニーズ分析の場面で質問をするようにさせた。 →自己調整学習への転換 「関与する読み手」へZimmerman(2011)
  8. 8. 関与する読み手 Zimmermanほか(2011) 自己調整学習による読解指導では、「関与する読み 手」を育成することが大事だと説く 関与する読み手は ①自分の知識を動員する ②要約する ③質問する →自己効力感が高まる
  9. 9. 関与する読み手の育成と授業アンケート 【生徒への指示】 ①和訳は配付せず、全文解説もしないので、自分の知識を総動 員して、理解しようと努力すること ②それでも分からないことがあれば、授業アンケートで質問す るように 【授業】③書き手から読み手へのメッセージを意識すること。 最後のスピーキング活動として、リテリングを行い、口頭で、 英語での要約をさせた。
  10. 10. 自己調整学習を志向した授業アンケートの実践で、 自己効力感は育ったのか 自己効力感とは ある結果を生み出すために必要な行動をどの程度 うまく遂行できるかについての個人の確信 Bandura(1977)
  11. 11. 調査①英語自己効力感尺度 英語自己効力感尺度(松沼2006) ①私は英語が得意だと思う ②私は英語授業で教えられたことを理解することができる ③私は 英語で良い成績が取れると思う ④私は英語の授業で与えられた課題に適切に答えられると思う ⑤私の英語学力は優れていると思う ⑥私は英語の学習内容についてたくさんのことを知ってい ると思う ⑦私は英語の学習内容を習得できると思う ⑧私は英語の勉強方法を知っていると思う これらに 5そう思う ~ 1そう思わない の5段階で回答させた 更に英語の学習で分かりにくいことがあれば、授業アンケートで質問するか、という質問に対して 1.大抵する 2.する時としない時がある 3.ほとんどしない で回答させた
  12. 12. 結果 • 自己効力感スコア平均 (A:大抵質問する B:質問する時としない時がある C:質問しない) • A:25.7(41名) B:23.1(66名) C:22.0(36名) 全体:23.5 • 主な項目別スコア平均 (A:大抵質問する B:質問する時としない時がある C:質問しない) • 私は英語が得意だと思う A:2.8 B:2.4 C:2.3 全体2.5 • 私は英語の勉強法が分かっていると思う A:3.1 B:2.8 C:2.9 全体:3.5 • 私は授業中に与えられた問いに適切に答えられると思う A:3.4 B:3.2 C:3.1 • 私は英語の授業で教わったことを理解することができる A:4.1 B:3.9 C:3.4
  13. 13. 分析① • 全体的に自己効力感は低いものの、質問の習慣が定着している生徒の高さが目 立つ。 • 質問するから自己効力感が高いのか、自己効力感が高いから質問を積極的に行 うのかは、継続して調査することで明らかにする必要がある。項目別で見ると 得意度は低い。 • 全体8項目を見渡すとBの時々質問するのみの生徒はAの質問の習慣が定着し たよりも、Cの質問する習慣がない生徒の方に近い。習慣の完全な定着を目指 すことが必要である。
  14. 14. 分析② • 勉強法についての自信や授業中の問いに答える自信は、A(分からない ことは大抵質問する)とC(ほとんど質問しない)の差が小さく、全 体的に悩んでいることが分かる。 • 一方で、教わったことが定着しているかの自信は差が開いた。質問を 通して確実な内容の理解を促し、学習習慣が定着させること突破口に なる。
  15. 15. 調査② 生徒へのインタビュー よく質問をする生徒のうち、英語が比較的得意と思 われる生徒2名と、苦手と思われる生徒2名にイン タビューし、実際に授業アンケートで質問をする事 が、自己効力感にどのように影響するのかを探った。
  16. 16. 生徒A 自己効力感尺度 32/40 ・英語は中学時代から得意、今も得意 ・以前は大体の内容が分かれば、手を挙げてまで質問はしなかった。 ・オンラインでの授業アンケートが始まってから、読み方が深まった。 ・質問できるので、アバウトな理解の段階のものは、質問して、より 明確に理解するようになった
  17. 17. 生徒B 自己効力感尺度 32/40 過去10回の授業アンケートで7回質問 ・英語はまあまあ得意だが、自信があるわけではなかった。 ・オンラインの授業アンケートが始まる前は、本当に分からない時しか 質問しなかったが、今は大体わかるだけでは納得せず、根底から深く理 解するために質問するようになった。 ・理解が深まってきたために、自信がついてきている。
  18. 18. 生徒C 自己効力感尺度 15/40 過去10回の授業アンケートで4回質問 ・英語は中学時代からずっと苦手 ・以前は、本文の意味が何となく分かればよいと思っていたが、今は自分から読んで、 分からなければ質問をしないと困ると思っている ・以前は分からないことをテスト前までためておいて、一度の全て質問していたが オンラインで質問できるようになって、その都度、疑問を解消するようになった。 その分、安心感はある
  19. 19. 生徒D 自己効力感尺度 22/40 過去10回の授業アンケートで4回質問 ・英語は中学時代からずっと苦手 ・以前は単語の意味をつなげて、理解しようとしていたが、今は文の構 造を考えて、文法から考えるようになった。 ・その結果、自分が分かっていないことが何なのかわかるようになった。 ・その都度質問するようになって、理解できているという安心感がある。
  20. 20. 分析 ・英語が得意な生徒は、アバウトな理解で良しとしていたものを、 授業アンケートでの質問を通して、深く理解しようするようになっ た。 ・苦手な生徒は、単語レベルでの理解でとどめていたものが、いつ でも質問できる状況ができたことで、文構造に目が行くようになっ た。
  21. 21. 考察① ・授業の流れにオンラインで授業アンケートを組み込んだことで、いつ でも質問できる環境が生まれた。 →それによって、より根底からの理解を求める傾向が生まれ、質問する 前に自分の知識を総動員して、理解を深めようと試みた上で質問をして いる。 →授業アンケートによって「関与する読み手」の要件を満たす行動を取 るようになっている。
  22. 22. 考察② Shunk(1983)は、達成行動の成否について、結果に至った原因が能力 に帰属するのか、努力に帰属するのか、原因についての帰属的 フィードバックを与えることによって、自己効力感が高まるとした。 →授業アンケートでは、内容が深く分からない時に、自分から行動 して質問することで、分からなかったのは何故なのかについての フィードバックが得られる。それが、ある者は自信、ある者は安心 感が得られ、それが自己効力感の向上に寄与すると考えられる。
  23. 23. 今後の課題 ・質問をよくする生徒は、自己効力感も高いことが分かっ たが、どちらが原因で、どちらが結果なのかは継続的に調 査を行う必要がある。 ・今回は行わなかったが、自己効力感だけでなく、学力と の相関を見る必要がある。つまり、質問する生徒は学力も 向上するのか否かは、今後調査していきたい。
  24. 24. 引用文献 • Bundura, A(1977) A Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change, Psychological Review, 1977, vol84, p191-215 • Graves, Kathleen(2000) Designing Language Course – A Guide for Teachers U.S.A. Heinle &Heinle • Shunk, D.H.(1983) Ability versus effort attributional feedback: Different effects on self- efficacy and achievement, Journal of Educational Psychology, 75, p848-856 • Zimmermanほか(1995) 『自己調整学習ハンドブック』(塚野州一ほか訳)北大路書 房 • 松沼光泰(2006)「英語自己効力感(ESE)尺度の作成」早稲田大学大学院教育学研究科紀 要別冊,第14巻第1号, p89-97
  25. 25. 参考文献 • 伊藤崇達(1996)「学業達成場面における自己効力感、原因帰属、学習方略の関 係」教育心理学研究,第44巻第3号, p340-349 • 牧野眞貴(2013)「英語が苦手な大学生の自己効力感を高める授業づくり」リメ ディアル教育研究,第8号第1巻,p172-180

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