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視覚情報は学生の語彙習得の手助けになるのか。

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視覚情報は学生の語彙習得の手助けになるのか。

「覚えにくいので、学習するすべての単語にイラストや写真が欲しい」という学生の要望がたびたび寄せられる。以前から、名詞に関しては補足的にイラストや写真を添付していたが、その頻度が多くなっている。だが、抽象的な物事や動作、状態など、現実的にはすべてにイラストを付けることは難しい。そもそも本当にイラストや写真を用いたところで学習の効果があるのだろうか。そこで、イラスト付き資料の効果を検証することにした。対象は基礎的な英語科目に参加する大学生である。CASECの結果をもとに暮らす分けており、対象となるクラスは同レベルの2クラスとなる。片方にはイラスト付きの資料を配り、もう片方にはイラストのない資料を配って指導を行った。そのほかの説明、単語学習のための活動は全く同じである。今回はその両者の対象となる単語の定着度合いを比べるものである。

「覚えにくいので、学習するすべての単語にイラストや写真が欲しい」という学生の要望がたびたび寄せられる。以前から、名詞に関しては補足的にイラストや写真を添付していたが、その頻度が多くなっている。だが、抽象的な物事や動作、状態など、現実的にはすべてにイラストを付けることは難しい。そもそも本当にイラストや写真を用いたところで学習の効果があるのだろうか。そこで、イラスト付き資料の効果を検証することにした。対象は基礎的な英語科目に参加する大学生である。CASECの結果をもとに暮らす分けており、対象となるクラスは同レベルの2クラスとなる。片方にはイラスト付きの資料を配り、もう片方にはイラストのない資料を配って指導を行った。そのほかの説明、単語学習のための活動は全く同じである。今回はその両者の対象となる単語の定着度合いを比べるものである。

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視覚情報は学生の語彙習得の手助けになるのか。

  1. 1. 視 覚 情 報 は 学 生 の 語 彙 習 得 の 手 助 け に な る の か 小 西 瑛 子 ( 常 磐 大 学 )
  2. 2. 現状① 「単語を覚えにくいのでイラストや写真を付けてほしい」 「できれば全部につけてほしい」 「単語と一緒に文法にもできればヴィジュアルが欲しい」 ⇒このところ寄せられた学生からの要望である。
  3. 3. 現状② • 以前より、文字認識に問題がある学生向けに、一部に視覚情 報を利用。 • 最近、資格資料を求められることが増えてきた。 • ある程度は対応できるが、全部は不可能。 ⇒そもそも本当にイラストなどの資格資料が理解や定着を促進 するのか? ⇒せっかくつけても、意味がなければもったいない。
  4. 4. 先行研究 • 文章の理解に関しては、イラストが理解を促進することがあ る。(Levie & Lentz. 1982; 久保寺, 山本 & 岸. 2008) • 一方で、都道府県の名称の記憶促進をイラストを用いて行っ た研究では、記憶が促進されるどころか場合によっては阻害 される。(向居, 2020) ⇒ 状況に違いはあるものの、場合によっては記憶の定着が阻害される場合もある。実 際のところはどうなのだろうか。
  5. 5. 研究テーマ イラスト付き資料が語彙の定着に効 果があるのか? ⇒イラストを使用した場合とそうでない場合では、違いは 表れるのだろうか?
  6. 6. 対象① • 大学の基礎的英語科目を受講している69人 ①Aクラス:イラスト付き資料を配布(31人)。 ②Bクラス:イラストなし資料を配布(38人)。 • ほとんどが一年生だが、一部に前年度受講していない 二年生が含まれている。今回は除外しなかった。
  7. 7. 対象② • A、Bとも、年度初めに英語コミュニケーション能力判定テス ト(CASEC)を受けて、下位クラスに配属されている。 • レベルに関してはほぼ同じで、使用している教科書、英語の 授業数、授業内容も同一。 • AクラスとBクラスの学部は異なるが、両者とも授業以外にほ とんど英語と接点はない。
  8. 8. 方法① • 共通の教科書からもともとターゲット語として取り上げられている名詞20語 を選択。 • 教科書の話題が旅行であったことから、学生にも日本語ではなじみがある単 語が多い。 • 今回、パイロットスタディであること、イラストで動詞や形容詞、副詞の要 素を表現することが困難であることから、名詞のみを対象とした。 • イラストはすべてフリーのイラスト素材サイト「いらすとや」より借用した (https://www.irasutoya.com/)
  9. 9. 方法② • Aクラスにはイラスト付き資料を、Bクラスにはイラストがない資料を 配布。 • イラストの有無以外は、説明芋手順も同じ内容の授業。 • 3回で1Unitという構成となっているので、1週目に資料を渡して説明。 資料を手助けとして、定められたカリキュラムに沿った活動を2週行っ た(ターゲット語を含む語彙活動、Listening、Speaking、Reading)。 • 4週目の頭に20語の英単語とダミーを交えた24問の日本語とマッチング させるテストを行った。
  10. 10. 方法③ 語彙サンプル accommodations desert island medication suitcase ATM card excitement money belt swimsuit backpack first-aid kit passport temperature carry-on bag hiking boots plane ticket travel insurance cash lizard sandals vaccination
  11. 11. 結果① 学生の平均正答率 クラス N Mean SD 正答率 A 31 12.03 (60.16%) 4.59 (22.96) B 38 11.78 (58.95%) 4.43 (22.15) t検定を行ったところ、AクラスとBクラスの平均正答率に有意差 はみられなかった(t (67) = 0.223, ns)。 • 学生がとった点数の平均を求めたものである。
  12. 12. 結果② 各問題の平均正答率 クラス N Mean SD 各問の 平均正 答率 A 20 70.91% 21.78 B 20 71.81% 20.90 t検定を行ったところ、AクラスとBクラスの核問題の正答率に有 意差はみられなかった(t (38) = -0.133, ns)。
  13. 13. 結果③ 誤答の数 • 各問題における間違えのばらつきを見るために求めたものである。 クラス N Mean SD 誤答数 A 20 3.95 2.064 B 20 5.15 2.700 t検定を行ったところ、AクラスとBクラスの平均正答率に有意差 はみられなかった(t (38) = 0.123, ns)。
  14. 14. 考察 • 統計上有意な効果は表れなかったが、イラスト付き資料を配布したAクラスの学生か らは非常に好評だった。わかりやすい、文字ばかりより抵抗感が減る、という声が上 がった。以前JACETの授業学研究会の調査の一環で、教科書のニーズ分析を行ったこ とがある。その際、副次的に学生からイラストや写真が多い教科書がいいという声が あったのも事実である。実際、周村(2009)では、性別や立場によって感じ方が異な るものの、特に初学者は適切量のイラストがあり、重要度が視覚的にわかる教科書に 対して好感を持っている傾向があると述べている。このようなことからもモチベー ションの観点からも、イラスト情報を無視することはできない。 • また、間違い方に統計的差はなかったとはいえ、若干特徴が表れたことにも着目し たい。Aクラスの間違いは同じカテゴリや類似したダミーに集中する傾向があるとい うことは、一定の認識がなされていた可能性があるだろう。
  15. 15. 結論 Q:イラスト付き資料が語彙の定着に効果があるのか?(イラストを使用 した場合とそうでない場合では、違いは表れるのだろうか?) A:統計的に有意な差があるとは言えない。ただし、イラスト付きの資料 を利用した場合の方がやや得点が高い。また、心理的な効果はあるよう で、非常に評判は高かった。 今回はパイロットスタディであり、かなり限られた条件の中で行った。 したがって、今後はより条件を整え、品詞も増やして検証していきたい。
  16. 16. 引用文献 • Levie, W. H. & Lenz, R. (1982). Effects of text illustrations: A review of research. Educational Communication and Technology Journal, 30, 195-232. • 久保寺佳奈・山本博樹・岸学 (2008). 「児童における手順文から学習に 及ぼすイラストの効果」. 『東京学芸大学紀要 総合教育研究化学系』 59, 135-144 • 周村諭里. (2009).「大学の教科書のイラスト利用の効果に関する研究」. 『尚美学園大学総合政策研究紀要』18号, 117-132. • 向居暁. (2020).「都道府県の形をイラスト化しても、イラストを面白お かしくしても、都道府県の名称は覚えられない」. 『日本教育工学会論 文誌』44, 41-44.

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