大学院共通授業科目「科学コミュニケーション」 ミニレクチャー   2008.6.7




                質問力
        本質に肉迫する問いかけとは?



               石村源生(CoSTEP)
話をしようと口をひらくたびに
あなたには2つの選択肢がある



 1. 意見を述べる
 2. 質問をする


      (ドロシー・リーズ『その気にさせる質問力トレーニング』より)
質問
「質問」と聞いて、
どんなことを思い浮かべますか?
あなたは、
一日何回くらい質問をしますか?
あなたは、
一日何回くらい質問をされますか?
質問するのは
得意な方ですか?
どんな質問をされたときに
 嬉しかったですか?
どんな質問をされたとき
嫌な気分になりましたか?
今、隣にいる人にどんな
質問をしてみたいと思いますか?
質問とは、何だと思いますか?
ところで、
こんな質問をどう思いますか?
質問という名の自己アピール
•   司会:「どなたか質問のある方いらっしゃいます
    か?」
•   質問者:「はい。私はあなたの恩師のA教授の著書
    「○○」を読んだことがあり、その中で触れられてい
    たB方式という考え方を長年実践してきて、その縁
    で会社経営者のB氏と知り合いました。有名な方な
    のでご存じかと思いますが、ちなみにこのB氏の会
    社の開発したCという製品は非常にすばらしい製
    品で、これまでの常識を打破する画期的なコンセプ
    トを持っていると思うわけですが、そのコンセプトを
    最初に考案したのは実は私でありまして・・・・・・・・」
•   司会:「あのう、すみませんが「ご質問」は何でしょう
    か?」
レッテル貼りに基づいた質問
•   講演者:「私はAだけでなく、Bのことも考え
    るべきだと思います。」
•   質問者:「あなたはBだと言いましたが、それ
    はあまりに乱暴じゃないですか?Aはどうで
    もいいというんですか?常識で考えれば当
    然Aなんじゃないんですか?それについては
    どうお考えなんですか?」
•   講演者:「・・・・・・・ですから、先ほども言いま
    したように・・・・・・・」
相手の話を聞いていない質問
•   講演者:「~というわけで、私はAについては
    Bだと思います。」
•   質問者:「たいへん貴重なお話ありがとうご
    ざいました。ところで、私はCに関心がある
    のですが、Cについてはどう思いますか?」
•   講演者:「・・・・・(Cについては全く関心が無
    いんだけど・・・・)。」
漠然としすぎている質問
•   質問者A:「○○さんは科学技術にお詳しい
    とのことで、科学技術について何かご意見が
    あればぜひお聞かせ下さい。」
•   質問者B:「研究というものはそもそも~で~
    で~なんです。そのへんについてはどう思わ
    れますか?」
•   講演者:「・・・・・(「そのへん」ってどのへん?
    私に一体何を答えて欲しいのだろう?)」
同じ質問の繰り返し
•   質問者:「前の人の質問とかぶってしまうん
    ですが、~についてどう思いますか?」
•   講演者:「前の方へのお答えと同じです。」
質問という名の攻撃
•   質問者:「やるんですか?やらないんです
    か?どっちなんですか?はっきり答えられな
    いんですか?答える責任を感じていないとい
    う意味ですか?」
•   講演者:「(帰ろうかな・・・)」
時間泥棒
•   質問者:「~についてどう思いますか?」
•   講演者:「お聞きになりたいのは~ですよね?それ
    でしたら~です。」
•   質問者:「いえ、そういうことではなくて、私が聞き
    たかったのは~ということです。」
•   講演者:「それについては~です。よろしいでしょう
    か。」
•   質問者:「というか、私はそもそも~だと思うんです
    が、そこはいかがでしょうか?それからもう一つ質
    問がありまして・・・」
•   司会者:「時間も限られておりますのでそろそろ次
    の方に・・・」
質問はうまくいかない
質問とは何か?

  相手から答えを引き出すもの
        ↓
新しい情報を手に入れることができる

どんな情報でもかまわないのか?
    良い質問とは?
質問とは何か?


       混沌とした状況
質問        ↓
     複雑性と曖昧性の縮減
質問        ↓
       問題の明確化
質問        ↓
質問とは何か?

      問題の明確化
質問       ↓
 問題空間・現在位置・ゴールの定義
質問       ↓
問題空間の移動と「ゴール」への接近
質問       ↓
     「ゴール」への到達
相手に質問する前に

1. これから行う一連の質問で私が手に入れ
   たいもの(=ゴール)は結局何だろうか?
2. 私は誰(どんな相手)に質問しようとしてい
   るのか?
3. これから行う質問によって私はどのように
   ゴールに接近するだろうか?
質問の目的


1. 事実や意見を理解する
2. 問題を発見・整理する
3. 仮説を構築・検証する



        (内田和成『仮説思考』をもとに改変)
1.事実や意見を理解する
1.事実や意見を理解する
2.問題を発見・整理する
2.問題を発見・整理する
3.仮説を構築・検証する
3.仮説を構築・検証する
3.仮説を構築・検証する
3.仮説を構築・検証する
3.仮説を構築・検証する
3.仮説を構築・検証する




    ?
質問の目的


1. 事実や意見を理解する
2. 問題を発見・整理する
3. 仮説を構築・検証する



        (内田和成『仮説思考』をもとに改変)
質問の種類

1. 制限式質問
 例)「あの仕事はまだ終えてないのです
   か?」
2. 自由回答式質問
 例)「あの仕事をまだ終えられないのは、
   何が問題だからですか?」

           (ドロシー・リーズ『その気にさせる質問力トレーニング』より)
質問の種類

1. 一般的な質問
 •   自分の仕事は好きですか?
2. より具体的に
 •   自分の仕事のどこが好きですか?
3. さらに具体的に
 •   自分の仕事でいちばんやりがいのあるこ
     とを3つ挙げてください。


             (ドロシー・リーズ『その気にさせる質問力トレーニング』より)
質問の種類

• 自律的思考を促す質問
 – 本当の問題は何だと思うか?
 – ここでのあなたの選択肢は何だと思
   うか?
 – その方向に進んだら、どのような結
   果になると思うか?


       (ドロシー・リーズ『その気にさせる質問力トレーニング』をもとに改変)
質問の種類

•   問題解決のための質問
    – 「~ができない。」
      →「どうすれば~ができるようになるだろうか?」
    – 「~が悪い。」
      →「どうすれば~がよくなるだろうか?」
      →「~をよくするために私に何ができるだろう
      か?」


                (ハワード・ゴールドマン『すごい考え方』をもとに改変)
質問の種類
•   相手のニーズに応える質問
    – ただ聞いて欲しいだけなのですか?
    – こちらも質問をして、会話に参加してもらいたい
      のですか?
    – 私からのアドバイスが欲しいのですか?
    – 今日あなたは、私にどんな役割を期待していま
      すか?
    – 私は、あなたのためにどんなアウトプットを出せ
      ばよいのですか?

            (ドロシー・リーズ『その気にさせる質問力トレーニング』をもとに改変)
質問の2つのモード
1. 「受容・共感」モード
 – 対人力系
 – カウンセラー、コーチ
2. 「探索・検証」モード
 – 思考力系
 – コンサルタント




             (船川淳志『ロジカルリスニング』をもとに改変)
回答を引き出す困難度
          難
                               最も困難な状況



コンテンツ理解
の難易度




          易

              低                       高
                  アウトプットに対する
                  相手の抵抗

                      (船川淳志『ロジカルリスニング』をもとに改変)
回答の理解しやすさ
         高
                  一見雄弁だが
                                 最も理解しやすい
                 筋道がわかりにくい

相手の発話力


                                 口数は少ないが
                 最も理解しにくい
                                筋道がわかりやすい

         低

             低                               高
                           相手の論理力


                             (船川淳志『ロジカルリスニング』をもとに改変)
質問の態度
•   「受容・共感」モードと「探索・検証」モード
    を状況に応じて使い分ける。
•   「質問」が「詰問」にならないように。反語
    的に受け取られかねない質問に注意。
•   「具体と抽象、個人的な体験と大きな問題
    をうまく往復させる。
質問の態度
•   自分のことも「少し」話す。
•   知らないことを恥だと思わない。むしろ質
    問のきっかけにする。
•   ただし取材の準備はしっかりと。
•   相手に対する敬意と関心を持つ。
質問内容のヒント

•       質問の前にまず前提を共有する。
    •    「あなたが今おっしゃられたことは、Aの場合はB
         という意味だと思うのですが、そうすると逆にC
         の場合はDということになるのではないでしょう
         か?」
•       選択肢を示し、選んでもらう。
    •    「これについては「○○」「△△」という2つのケー
         スが考えられると思うのですが、あなたはどちら
         の可能性が高いと考えますか?」
質問内容のヒント

•       具体例を挙げてもらう。
    •    「具体的にどのような時にそう思いました
         か?」
•       相手の話したいことを質問する。
    •    「あなたは今控えめに~とおっしゃいまし
         たが、実際には~を目指しておられるの
         ではないでしょうか?」
質問の際の注意事項

•   メモを取る(キーワードだけでもよい)。
•   数字と固有名詞(あとになって裏を取れ
    ない情報)は必ず確認する。
•   意見と事実を峻別する(根拠を尋ねる)。
•   定性的な答えを定量的に確認する。
質問の機能と効果

•   情報を引き出す。
•   場の状況をコントロールする。
•   相手への関心を伝える。
•   相手に、特定の問題に注意を向けさせる。
•   相手の心の中に、能動性、当事者性、新
    しい発見を生み出す。
質問が作り出す学習と問題解決

•   「アクションラーニング」
•   グループによる問題解決・学習・チーム
    ワーク構築を同時に行う手法
•   会話は必ず「質問」から始めなければな
    らない。



            (マイケル・J・マーコード『アクションラーニング入門』より)
質問が生み出すリーダーシップ

 •   「リーダーは適切な質問をする人で
     あり、マネジャーはその質問に答え
     ることを仕事とする人」

       – ジョン・P・コッター
         (ハーバード・ビジネススクール教授)




              (マイケル・J・マーコード『アクションラーニング入門』より)
質問とは何か?
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