看護ロボットについて考える
ワークショップ
Workshop on Locating Robot Technology
in Nursery Practice
北海道大学高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター
科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)准教授
石村源生
ishimura@costep.hucc.hokudai.ac.jp
2015/8/29
供給
supply
需要
demand
リソース
resources
拡大
promotion
効率化
effective
ness
抑制
suppression
• 質の高い看護サービスの安定供給
• 看護サービス従事者の負担適正化
• 社会全体の医療コスト適正化
等々
看護サービスのリソース・供給・需要の関係
Relationship among Resources, Supply, and Demand in the Area of Nursery Service
目的(条件)
⑥遠隔医療などIT技術の活用
⑦特定行為の認定による看護師の裁量拡大
⑧看護ロボット等による機械化・自動化
予防医学の推進等
①看護大学の設置
②外国人看護師の雇用
③看護師の待遇改善による離職防止
④介護福祉士による医療的ケア実施
⑤在宅医療の推進(施設→家族介護へ)
ワークショップの目的
Purpose
• 看護ロボットの医療現場への導入について、多様な評価基準に沿っ
て考えたり議論したりすることによって、問題の理解を深める。
• 看護ロボットの問題を考えたり議論したりするための適切な評価枠組
みを、自ら構築する方法を身に付ける。
ワークショップの手順
Procedure
• グループワーク (group works)
• 準備(preparation)
• 参加者は4人ずつ3グループに分かれる。
• 机と椅子を動かして3つの島を作る。
• ファシリテーター(facilitator)
• 各グループにはスタッフがファシリテーターとしてつく。
• メインファシリテーター(石村)が各グループを巡回する。
• グループワークの内容(contents)
• ※後述(described later)
• 付箋紙の活用(sticky notes)
• 参加者は、付箋紙を使いながらアイディアを出し、ディスカッションする。
• ワークシート(worksheet on PC)
• ワークシートに評価点や計算結果を打ち込んでいく。
• 発表 (presentation and sharing)
• グループごとに発表し、全体で共有する。
グループワークのテーマ
Discussion Issue
• 看護ロボットを、医療現場にどのような形で導入すべきか?
How should we introduce nursery robotics technology into nursery and medical field?
グループワークの内容
Contents of the Group Work
• 作業1:看護ロボットの「導入案」を考える 15分
To create ideas for introduction of robotics technology
• 作業2:「導入案」のアイディアを絞り込んで「選択肢」をつくる 15分
To make concise options from the ideas above
• 作業3:「選択肢」の「評価基準」をつくる 15分
To make evaluation criteria for options
• 作業4:「評価基準の重み付け」をする 5分
To put different importance on each criterion
• 作業5:「選択肢」を「評価基準」ごとに評価する 15分
To evaluate each option in terms of each criterion
• 作業6:各選択肢の「総合得点」を計算する 5分
To calculate total score for each option
• 作業7:結果を考察・共有する 15分
To discuss about the results and share opinions
(時間の目安)
作業1:看護ロボットの「導入案」を考える
• 例えば、以下のような導入案が例として考えられるでしょう。
1. 看護師のパワードスーツ
2. 洗髪ロボット
3. 患者との対話ロボット
4. 判断支援ロボット
引用
http://homepage3.nifty.com/tompei/WorldRobots1.htm
http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/column/newtech/20120608_537759.html
http://www.softbank.jp/robot/products/
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20150605/421761/?ST=ndh&P=6
作業1:看護ロボットの「導入案」を考える
• 例えば、以下のような導入案が例として考えられるでしょう。
1. 看護師のパワードスーツ
2. 洗髪ロボット
3. 患者との対話ロボット
4. 判断支援ロボット
• 他にどのような導入案が考えられますか?自由にアイディアを出し合って
みてください。
• アイディアは同じ色の付箋紙に1つずつ書き、それをテーブルに貼りなが
ら口に出して発表してください。
• それぞれの導入案に対して、「その案にどのような効果が期待されるか」
を短くまとめて付箋紙( 「導入案」とは別の色のもの)に書き、導入案の
付箋紙のそばに貼ってください。
• 「その案にどのような効果が期待されるか」については、導入案のアイ
ディアを出した人だけではなく、他のメンバーも考えてください。
作業2:「導入案」のアイディアを絞り込んで
「選択肢」をつくる
• グループで考えた導入案のアイディアを、よいと思う順に並べて上位4つを選
んでください。
• それらに、前述の4つの導入案(※)を加えて合計8つとし、全体をよいと思う
順に並べてください。
• これら8つを「選択肢」と呼びます。
• 8つの選択肢を、ファシリテーターはワークシートの所定の欄に入力してくださ
い。「その選択肢に期待される効果」もあわせて入力してください。
※前述の導入案
1. 看護師のパワードスーツ
2. 洗髪ロボット
3. 患者との対話ロボット
4. 判断支援ロボット
作業3:「選択肢」の「評価基準」をつくる
• 引き続いて、これらの選択肢を評価する際に重要だと思われる「評価
基準」を考えます。「評価基準」とは、例えば以下のようなものです。
• 看護師の負担軽減
• 質の高い看護サービスの提供
• 導入コストを低く抑えられるか
• どれだけ早期に実現できそうか
• これら以外に重要だと思う評価基準について、アイディアを出しあい
ましょう。
• アイディアは同じ色の付箋紙に1つずつ書いてください。
• グループで話し合って、新しく出たアイディアの中から重要だと思うも
のを最大4つ選んでください。
• 選んだ評価基準のアイディアを、ファシリテーターはワークシートの所
定の欄に入力してください(評価基準は肯定形で表現してください)。
作業4:「評価基準の重み付け」をする
• 次に、書き加えた評価基準も含めた全ての評価基準を比較して、そ
の相対的な重要度を決めましょう。
• それぞれ1点~10点の範囲で採点し、付箋紙に書いて評価基準の
右横に貼ってください。
• 全部採点し終わったら、もう一度全体を見渡して全体のバランスを確
認して下さい。ここで採点を変えてもかまいません。
• 採点結果が確定したら、ファシリテーターはワークシートの「評価基準
の重み付け」の列にそれらの数字を入力してください。
作業5:「選択肢」を「評価基準」ごとに評価する
• 次に、全ての評価基準について、8つの選択肢をそれぞれ評価してみ
ましょう。
• まず、1番目の評価基準にてらしあわせて、8つの選択肢がどれだけ
優れているか、それぞれ1点~10点の範囲で評価してください。
• このとき、他の評価基準のことは一切考えないでください。
• ファシリテーターはそれぞれの評価点をワークシートの所定の欄に入力
してください。
• 2番目以降の評価基準についても同じ作業を繰り返してください。
作業6:各選択肢の「総合得点」を計算する
• それぞれの選択肢について、8つの評価点の「合計点」を所定の欄に
書き込んでください。
• 次に、それぞれのマスの点数と一番左の列の「評価基準の重み付け」
の数字を掛けあわせ、それを一番右の列の「合計点」で割り、計算結
果(小数点以下1桁未満四捨五入)をそれぞれのマスの右隣のマスに
記入してください。
※掛け合わせるのは、重み付けを点数に反映させるためです。また、合計点で
割るのは、点数の付け方のばらつきをならすためです。
• この作業を全ての点数について行ってください。
• 最後に、これら計算結果を縦に合計して、一番下の「総合得点」の行
に記入してください。
ワークシート (work sheet)
選択肢
合計点
看護師のパワード
スーツ
洗髪ロボット 患者との対話ロ
ボット
判断支援ロボット ・ ・
期待される選択肢の効果 看護師の肉体労
働負荷を軽減する
患者の洗髪を支
援し、看護師の負
荷を軽減する
患者のコミュニ
ケーションを支援
する
患者の状態を把
握し、看護師の判
断を支援する
・ ・
選択肢の順位(評価前)
1 2 3 4
評価基準 重み付け
看護師の負担
軽減
A×B
÷C
5 7 10
質の高い看護
サービスの提
供
10 6 6×10
÷24
6 4 8 6+6+4+
8=24
導入コストを
低く抑えられ
るか
5 9 9×5
÷24
5 9 1 9+5+9+
1=24
どれだけ早期
に実現できそ
うか
5 9 9×5
÷22
5 7 1 9+5+7+
1=22
・
・
総合得点
合計
選択肢の順位(評価後)
1 3 2 4
B A C
作業7:結果を考察・共有する
• 最初に考えた選択肢の順位(評価前)と、計算結果に基づいた選択肢
の順位(評価後)とを比較してみてください。
• どちらの順位のほうが納得がいきますか?
• この2つの順位の食い違いは、どうして生まれたのだと思いますか?
• 評価基準の重み付けをどのように変えたり、どのような新しい評価基準
を組み込んだりすると、より納得のいく順位になりそうでしょうか?
• 結果的に「上位4つ」には選ばなかった導入案を、改めて評価基準と照
らしあわせてみましょう。高い評価を与えられそうな導入案があります
か?
• これらについて議論した結果を、各グループで発表してください。
まとめ
• 最善の選択肢を選ぶには、複数の評価基準を考慮しなければならない。
• 選択肢を評価する際、複数の評価基準を同時に考えるのは不可能だ
が、一方、他の評価基準を無視して一つの評価基準だけを考えるのも
難しい。
• そもそも、今回用意した選択肢群や評価基準群が最適かどうかはわか
らない。
• 評価基準群にも選択肢群にも「正解」があるわけではなく、ましてや「最
善の選択肢」に正解があるわけでもない。何度も試行錯誤を繰り返す
ことが必要。
まとめ
• その過程で、自分たちの価値観を自覚し、互いに議論することでそれら
を共有し、よりよい選択を目指していく。つまり、大切なのは「プロセス」
である。
• この「プロセス」は、時々「暫定的な結論」を生み出しながらも、半ば永
遠に続けていかなければならない。
• 未来について考えたり、議論したり、意思決定したり、合意形成したり
といった行為を行うときには、行為の対象そのものだけではなく、「行為
の方法」についても考えなければならない。
• その一つの例として、今回のワークショップの手法を参考にしてほしい。
補足
• 今回のワークショップの手法はAHP(Analytic Hierarchy Process:階層
分析法)と呼ばれる手法を大きく簡略化したもの。
• 正式なAHPでは、選択肢群に対して一気に評価点をつけるのではなく、
1つずつ選択肢を比較して評価点をつけ、それらを特定の計算式で統
合して各選択肢の総合評価を決める(=一対比較法)。
• 一対比較法
• 利点
• 一つ一つの評価点をつけやすい
• 欠点
• 回答者の負荷が大きい
• 時間がかかる
• あまり多くの選択肢や評価基準を扱えない

看護ロボットについて考えるワークショップ20150829(確定版)