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学び方のデザイン加筆版
灘校土曜講座2014で使用した講義資料に、口頭での説明を加筆したもの。
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学び方のデザイン加筆版
1.
学び方のデザイン 盲点に気づくことから始まる学びのプロセス このスライドは2014年の
灘校土曜講座にて使用した講義資料に 口頭でのやりとりと質疑を加筆したものです サイボウズ・ラボ 西尾泰和(52回生)
2.
今回正解を教えにではなく 今悩んでる問題を共有して アイデアを貰いに来ました
2 土曜講座でOBが話しますっていうと 「僕が知っている正解をみんなに教えます」という物が多いかもしれないが 今回は、僕が悩んでいる問題を共有し、僕なりの回答を説明し、 それに対して皆さんがどう思うかアイデアを伺いに参りました、よろしくお願いします。
3.
僕ら学ぶの得意だよね?
3 少なくとも灘校に合格してるし、 大部分の人は東大京大に進学するわけで。 だから特にデザインするまでもなく、 今までのやり方でいいんじゃないかな、と 僕もそう思っていました。
4.
・問題が与えられ ・自分の力で解き ・結果が採点される
4 灘とか京大、東大に受かるための勉強の プロセスを噛み砕いてみると…
5.
問題が与えられる
5
6.
問題は自分の外にある
という考え方 6 当たり前のように思うかもしれないけど本当にそうか?
7.
問題は理想と現実のギャップ
という別の考え方 7 会社に入った、解くべき問題は用意されてなかった、何をするか悩んだ。 結局のところ問題は自分の外の現実と自分の中の理想のギャップ。 現実に働きかけて理想の状態に変化させることが「問題の解決」と呼ばれている。 問題自体が存在するのではない、理想を捨てたら問題もなくなる
8.
自分の力で解く
8
9.
テスト勉強なんかで 自分の力で解かなければ 力がつかない
と考えがち という考え方 9 筆算で計算しなきゃ計算力はつかない? でも筆算で計算する社会人なんていないよね…
10.
筆算で計算しないで、電卓を使ったり、表計算ソフトを使ったりする。 数式の変形にもMathematicaやWolfram Alphaを使ったりする。社会人は
自分の力だけでなく 使えるものは使った方が 力が強いからよい という考え方 10 という生き方をしている。 計算機を使ったり、ソフトウェアを使ったり、 問題解決に同僚や社外の友人の力を借りたりする。
11.
結果が採点される
11 試験勉強の結果は、当然採点されるわけです。
12.
正解と照らしあわせて 採点される !
→正解がすでにある 12 どれくらいあっていたかを つまり ということが前提になっている 正解がすでに社会にあるということはどういうことか?どういうことだと思います?
13.
すでに誰かが解いた問題で 自分がそれを解いても 社会に価値をもたらさない
13 正解がすでにあるってことは ビジネス的には意味のない行為だ、ということになる
14.
正解がすでにあるもの 期末試験 入学試験
資格試験 14 みなさんが今受けてる 大学に入るために受ける 社会人になってからでも
15.
正解がまだないもの 研究 商品開発
人生の大部分 会社入って商品開発します ってこれも正解がない 15 大学入って研究します、ってなっ た時、研究には正解がない 研究結果は正しいと思って発表するわけだけど、後から間違いがわかったり、もっとよ い理論が見つかったりする。商品開発も売れると思って発売するけど、出してみたら売 れなかったりする。人生も正しいと思った道を進むわけだけど、それが正しかったのか どうかは死ぬときにしかわからない。
16.
「正しい」って何だ?
16 正解と見比べて採点ができない状況で、じゃあ ということを悩み始めたわけです まあ悩み始めたのは30歳ぐらいになってからで 「もっと早く悩んどけよ」って話なんですけど(苦笑)
17.
・論理的な正しさ ・自然科学の正しさ ・意思決定の正しさ
17 正しさって、大雑把に分けて 少なくとも3通りの定義がある
18.
純粋数学の正しさ ! 正しい公理から
論理的に導出されたこと 18 正しいということに決めた公理 論理的に正しい手順を組み合わせて
19.
試験採点での正しさ ! 教科書での説明から
論理的に導出されたこと 19 正しいということになっている教科書の説明 数学の証明問題だったら、教科書に書いてあった情報を組み合わせて 論理的なギャップなしに証明を構成できたら丸がもらえる
20.
自然科学の正しさ
20
21.
「実験で確認した!」
「…それ証明になってない」 21 100回実験して再現したとしても、101回目に再現するかどうかは論理的には 何も言えない。具体的に、例えば100匹鳥を捕まえてきて全部飛ぶ鳥だったと して「鳥は全部飛びますね」って結論づけていいかって言うとそうじゃなくて、 「ちょっとペンギン捕まえてこいよ」ってことになる。
22.
そういう理屈で言うと 自然科学は正しくない
ってことになってしまう 純粋数学の正しさの定義に従った場合、正しいと主張することはできない 22 純粋数学の正しさの定義に従った場合、正しいと主張することはできない。 でも、科学者たちが真実だと思ってるものごとはすべて正しくなかった…なんてこ とになると科学者たちは困ってしまう、そこで正しさの定義を変えることにした。
23.
自然科学の正しさ ! 他人が反証できる主張で
現時点で反証されてない 正しさの定義が純粋数学と異なる 23 をとりあえず正しいと認めて研究を進めましょう。反証されたら、正し くなかったとしましょう。こう正しさの定義を変えたわけです。
24.
意思決定の正しさ
24 さて について考えてみましょう
25.
「灘に入学する」という あなたの人生の選択は 正しかっただろうか?
25 具体的な話で言うと 正しかったでしょうか?どう思います? ニヤニヤしている人がいっぱいいますね(笑)
26.
共学に入った方が良かった 男子校に入ったのは間違い だった……という可能性
26 大学で工学部に進んだら90人中女性は2人だけで、 日常的に全く女性と会話する機会がなく… あれ、もしかして男子校に入ったの間違いだったか?!と思ったりするわけです(笑)
27.
入った人生と 入らなかった人生の 対照実験をしよう
27 じゃあ、灘に入ったのが正しかったかどうか検証するために どっちのほうがより幸せ度が高かったかでどちらが正しいか決めましょう!
28.
1回の実験では心許ないので
何度か繰り返し実験しよう 28 ついでに 1回ではたまたまかも知れないから10回か20回実験を繰り返して実験しよう!
29.
そんなこと できません
29 そういうことは人生ではできません。 1回しかタイミングはない。 選択肢なかった側の実験結果は得ることができない。 今から共学に入った場合の人生がどうであったかはもう検証できない。
30.
人生における判断の 大部分は正しくない
自然科学の正しさの定義に従った場合、正しいと主張することはできない 30 つまり 少なくとも科学的には正しいと主張することができない。 じゃあどうするか?そうするとまあ正しさの定義が別にあるのだろう
31.
意思決定の正しさの定義は?
31 じゃあ
32.
意思決定の正しさ 色々意見はあるとは思います。現時点で僕が正しいと思っていることを説明するので 異論があればアンケート用紙に「自分はこう思う」って書いてください
! とった行動の結果が 自分の人生にとって 有益だったかどうか と決めるしかあるまい 32 と決めるしかないのでは?こういう定義を仮にしたとしましょう。
33.
行動の前に 正解を知ることができない
33 そう定義すると、 ということが導出されるわけです。 行動の前に、その行動が正しいかどうか知ろうとすることが無益である、 無益であるということはこの定義からすると正しくない、となるわけです。
34.
「自分にとっての正しさ」 しか存在しない
34 また、定義に「自分の人生にとって」が入っているので、正しさが人によって異なる が導出される。ここにいるみんなのうち、灘に入ってよかったと思う人もいるだろうし、 後悔する人もいるだろう。それは人によって異なっていて、一般的な正解はない。
35.
行動の前に 普遍的に正しい答えを 得ようとすると行き詰まる
35 なのについつい正解を求めてしまいがち。例えば気になる女性がいたとして、バラを贈 るほうがいいのか、スイーツを贈るほうがいいのか。この喩えだとピンと来ない人が多 いか。大学の選択で京大がいいのか東大がいいか、むしろ海外がいいのでは、いやいや 大学進学前に1年leaveを取って海外一周とかして社会経験を積んだほうが…などなど。 行動の前に正解がない、他人とも正しさが一致しないので意見が役に立たない。
36.
・問題が与えられ ・自分の力で解き ・結果が採点される
という状況は得意 36 3つの状況に関して個別に見てきました 僕らは
37.
・問題が何かわからない ・チームワークが必要 ・正解を誰も知らない
という状況ではどうすればいい? 37 しかし とか とか という状況があります。 こういう状況ではどうしたらいい?
38.
38 大学選択 今はまだ前者の状況が多いだろう。 大学から社会の間ぐらいでバランス が逆転するように思う。
39.
39 大学選択 変化のタイミングは人によって異なる。 ・大学の選択は正解がないので後者だけど、僕の場合あんま り深く考えずに京大を選んで入っちゃった。 ・次の機会は研究だけど、研究室に具体的な問題があったり するとその解決方法を考えるだけで成果でちゃう ・就活で『正解』を探して見つからなくて悩む人も多いが… 一見トントン拍子で順調に見えるが、負債を未来に残している
40.
過去の成功体験が 発想の転換の妨げになる
40 転換前の状況が得意でうまく行った経験があるがゆえに、 転換後の状況で「やり方を変える必要がある」と気づくのが遅れる
41.
(休憩)
41
42.
・問題が何かわからない ・チームワークが必要 ・正解を誰も知らない
という状況で一体どうやって学べばいいのだろうか? 42 という試験勉強と違う状況でどうやって学んでいけばいいだろう。 これについて考えていきたい。みなさんはどうすればいいと思います?
43.
新しいことを学ぶためには 盲点に気づく必要がある
盲点:知らないこと、そして知らないということに気づいていなかったこと 43 少なくとも確実に言えることは
44.
今は教科書が与えてくれる ! 教科書がない分野は
どうすればいい? 44 今の皆さんの状況では 教科書を読んでいくと「ああ、これは知らなかった、学ばなきゃ」と 自分の知らなかった盲点がどんどん与えられる。 研究の最先端には当然教科書がないし、恋愛や会社の選び方には… まあ教科書のふりをして売ってる本はあるけど、正しいかどうか。 教科書が正しいと信用できるって恵まれた一部の分野だけ。
45.
現実を先入観なく 観察する
「こうなっているはず」という自分の理解との食い違いを見つける 45 理解 「問題は現実と理想のギャップ」とも関連して くる。まずは実験データなど現実をしっかり観 察する。で、それが自分の理解している「こう なるはずだ」と食い違った時、そこに何かまだ 気づいていない盲点がある。
46.
という話はいわゆる正論だけども、実際のところ 先入観なく見るのは難しい
46 どうしても今までの経験から見えやすいもの見えにくい ←見えていない ものができてしまう この視点から見て球だと思っているけど、裏側は見えていない。 実は裏は尖っているかもしれない。 学べば学ぶほど、学んだことが見えやすくなり、バイアスが発生する。
47.
先入観なく見るのは難しい
47 ←見えていない たとえば僕はプログラマで、今までプログラミングに関することを学び続けた結果、プ ログラム上の問題がよく見えるようになった。なのである問題があった時にすぐ「それ このプログラムのここをこうしたら解決するんじゃないの」と思うようになった。すぐ プログラムの修正という解決策に飛びつくことが、逆に問題の根本解決を妨げている。 例えば人間関係が根本解決のために重要でも、不慣れ故にそれを認識できていない。
48.
多くの視点を得ることで 先入観を減らす !
48 どうすれば先入観を減らすことができるかというと、要は視点を増やすこと 自分の視点から裏側が見えないのであ れば、裏側が見える人とコミュニケー ションをとればよい。自分一人で解こ うとするのではなく、複数人でやった 方がよいケースだ。
49.
“他人”が有用
49 試験問題と逆で、むしろ一人でやろうとしないほうが良い。 一人でやることに固執すると「視野が狭い人」になってしまう。 こういうことを言うと「よし他の人に教えてもらおう」と思うかもしれない
50.
知識の多い人と 少ない人がいる
50 知識多い 知識少ない
51.
知識多い人が教え 少ない人が教わる
51 知識多い 知識少ない というハシゴのモデルをついうっかりイメージしがち、そういう 理解をしがちだけど、これは正しくない。どこが正しくない? (会場:教える人が一人で複数の人にその人が教えると、結局そ の教える人の先入観が全員に分配されるだけになってしまう) それは鋭い。素晴らしいポイント。でもそこに辿り着くまでにも うちょっとステップを踏むので、少し話が変わります。
52.
知識多い人が教え 少ない人が教わる
52 知識多い 知識少ない 君たちが16歳で、先生が33歳なので、2倍年が違う。教える人 教わる人の役割分担がある。知識に歴然とした差があるような 気になる。でも大学、社会と進むに連れてこの差は縮まってく る。33歳の僕の2倍年上は66歳。僕の大学院での後輩にそれく らいの年の人がいる。彼のほうが人生経験は豊富だが、僕が数 学を教える。教える人と教えられる人の役割分担がなくなる。
53.
知識の少ない人からでも 学ぶことができる
53 この図だと右側の人は知識の総量が左側の人の 半分しかない。でも経験してきた分野が異なる がゆえに、知識の多い左の人も、知識の少ない 右の人から学べることがある。
54.
知識の少ない人からでも 学ぶことができる
54 追記:今は周囲の人間が「進学校に入って受験勉 強して大学合格を目指す」という狭いレールの上を 走っているので、多様性が少なく分布の重なりが大 きく、知識の少ない人の教える機会が減少している。 大学に進学する、社会にでる、 と進むに連れて多様性がどん どん高まる。
55.
自分以外から 一方通行で学ぶ
思い込みで壁を作りがち 55 「自分は知識が少なくて、知識の多い人から一方通行で学ぶしかない」と思い込みがち
56.
そうではなく、 互いに知識を交換して学ぶ
56 心の壁を壊して、アウトプットしていこう。知識を交換することで互いに得るものがある。
57.
互いに知識を交換して学ぶ
57 学校では授業料を払ってそのお金の対価として知識 を教えてもらっている。社会的行動は基本的にお互 いにとって得にならなければ持続しない。持続的に 学べる状況を維持するには、授業料を払うか、相手 が持っていない知識を提供することで「この人と話 すのは得だな」という状況に持っていかなければな らない。会社に入って「先輩、教えてください!」っ て言うと、先輩も仕事だから教えてはくれるだろう けど、先輩にとってのメリットがないと先輩のやる 気がどんどん下がってしまう。
58.
精力善用 自他共栄
58 つまり、灘の校是「自他共栄」なわけだ 相手が教える、自分が教わる、ではなく お互いに教えあうことによって 自分と他人が共に栄える形を目指していく
59.
ここまでが 「問題が与えられない」 状況で学ぶ方法についての
僕なりの答え みんなの考えもぜひ聞かせてください 59 解説させていただきました。それは違うだろうと思う点があれば 皆さんの手元のアンケート用紙にたくさん書くところがあるので ぜひ容赦なく指摘してください。そうすると来年はもっといいものになります。
60.
資本主義の話
60 話が大きく変わりまして
61.
産業革命によって 手作業で作るより 機械で作るほうが
生産性が高くなった 61 それまで手で糸を紡いでいたのだけど、糸を紡ぐ機械が発明されて それを使ったほうが生産性が高いという状況になった。 技術の進歩によって社会の状況に大きな変化が起きた
62.
機械を持つには 金(資本)が必要 働く人が全員機械を買うことは不可能だった
そこでお金のある人が機械を買った ! 資本家は機械を貸して 資本を得ることができる 62 金持ちは機械を買って、それを労働者に貸して、 向上した生産性の一部を取ることで金を得ることができる状況が発生した
63.
ここまでは事実、ここからは解釈 資本家はさらに資本を得て 労働者との格差が拡大し
やがて暴力革命が起こる カール・マルクス(1867)「資本論」 63 って資本主義が壊れるとカール・マルクスとかいうおっさんが言ったわけですが
64.
いまだに資本主義は 崩壊していませんけど?
問:これはなぜか? 64 むしろアメリカとソ連が…まてよソ連が崩壊したタイミングではまだ生まれてないか まあ、ざっくり言えば「資本主義ダメだろう」で作られた国が 結局うまく行かなくてコケたというケースが昔ありました、と。 いまだに資本主義が崩壊してないってのは観測事実なわけです。 これはなぜでしょう?さっきのマルクスの主張は一見正しいかのように思えましたが…
65.
いまだに資本主義は 崩壊していませんけど?
問:これはなぜか? 65 (会場:「今後起こる可能性がある」という解釈。 「資本家に富が集中しすぎないように富を再分配する法律の存在が原因」という解釈。) その解釈もありだと思います。これは科学と違って「法律を取り除いてみて革命が起こる か実験」とかやるわけには行かないので、原因の究明は困難で、解釈するしかない。 他の解釈としては、どういうものがあるかというと
66.
知識も資本
ピーター・F・ドラッカー(1993)「ポスト資本主義社会」 66
67.
機械を動かすには 知識(資本)が必要 !
知識資本は資本家ではなく 労働者の中に蓄積される 67 機械だけではなく これによって資本家への資本の集中が妨げられている。 法律による資本の再分配によっても妨げられているけど、 知識が資本であることでも妨げられる。
68.
機械を動かすには 知識(資本)が必要 !
知識資本は資本家ではなく 労働者の中に蓄積される 68 例えば経験者は新卒より給料が高い。でも体力は新卒の方がある。なんで新卒の給 料は低いの?それは知識の差。労働力より知識の方が高く評価されている
69.
かつて稼ぐための機械に 金が投資されたように、 いまは稼ぐための知識に
金が投資されている。 69 もちろん、今も機械に対しての投資は行われてるんですよ。知識に対しての投資の ウェイトが大きくなってきたということ。具体的にコンピュータでプログラムを書 くってことを考えてみましょう。全く未経験の人にパソコン買って与えたら明日か らすぐ仕事ができるかって言うとできないわけです。教育に対して投資が必要。
70.
みなさんも今後投資するわけです。ここにいる人は大部分が大学に進学する。 大学に進学するとコストがいくら掛かるのか 国立大学4年間
入学金・授業料: 240万 時間コスト: 760万* 合計1000万 70 ざっくり1000万を今後大学教育に投資するわけです。 灘に通うコストがいくらか後でググってみてください。現在進行形であなた もしくはあなたのお父さんお母さんは知識に投資を行っているわけです。 宿題:灘に通うことのコストを計算してみよう * 高卒平均初任給 16万×48ヶ月で概算
71.
どんな知識に 投資するのか?
71 1000万払って何を得たいのか? どんな知識に投資したらいいんだろう?
72.
金を効率よく 稼ぐための知識? 知識を効率よく
得るための知識? 72 生産機械とのアナロジーで単純に考えたら生産性を向上して金 を効率よく稼ぐための知識に投資するってことになるわけだが、 「知識も資本」なのであれば稼ぐ対象が金である必要性はない。金は使うと なくなるが知識は使ってもなくならない。生きていく上で必要最小限の金さ え手に入れれば残りは知識のための知識に投資した方が得なのでは?
73.
知識を効率よく 得るための知識 =学び方
これに投資したい。どうすれば投資できるか模索している 73 これについて本当に知りたい。お金を払って買えるなら買いたい。 買えないので本を読んだり時間を掛けて考えたり、 講演してフィードバックを得たりしている 今思っている一つの戦略、方向性が…
74.
抽象的な知識ほど 応用範囲が広い
74 という原則。例えば数学について考えよう
75.
特定の問題の答えを 覚えるのではなく 「見たことない問題」
を解く能力を学ぶ 75 数学の問題集の巻末解答を暗記したりしてないですよね。 具体的な答えではなく、抽象化した「答えを得る方法」を学んでいる この抽象化された方法論を効率良く学びたい
76.
具体的な問題を解かずに 解き方だけを学べるか?
76 抽象的な知識だけ効率よく学ぶことはできないだろうか? そういうことを思ったことがありました
77.
自分の経験から抽象化を
繰り返して理解を育てる 77 しかないのではないかと今は思っている 少なくともプラトンも同じようなことを言っていて 本質的な知識は各人が生み出さねばならない。与えられてもそ れは使えるものにならない。哲学は生むのを助けるだけ。 プラトンは哲学を産婆術に例えた。本質的な知識は各人が産み出さねばならない 野中郁次郎・紺野登(2003)『知識創造の方法論―ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社, p.33
78.
経験と結びつかないと 応用ができない
78 根無し草の知識 応用 根のある知識 なぜかというと
79.
経験と結びつかないと 応用ができない
79 根無し草の知識 応用 根のある知識 なぜかというと 自分の経験と結びついていない抽 象的な知識を与えられたとしても まる覚えしてオウム返しのように 吐き出すことしかできない、応用 できない
80.
経験と結びつかないと 応用ができない
80 根無し草の知識 応用 根のある知識 なぜかというと 一方自分の経験から抽象化して創 りだした根のある知識は、 そのパスをたどって降りて行くこ とで別のちょっと異なる状況に対 しても応用することができる
81.
経験と結びつかないと 応用ができない
81 根無し草の知識 応用 数学の宿題を100問解くことは目的では根のある知識 ない、手段に過ぎない。入試で見たこと のない問題を解くことができる応用能力 を得ることが目的。しかしチャート式の 解法を丸暗記させるのでは成果が出ない から灘ではその戦略をとってない。問題 をたくさん解いて自分の中で理解を育て る戦略をとってる。この戦略は少なくと も灘の合格実績を見る限りでは有用に働 いている。
82.
経験と結びつかないと 応用ができない
82 根無し草の知識 これなんで点線で書いてあるか説明しよう。 経験は2個ほどあるけど、抽象的な知識の一 歩下まで自分でたどり着いてないと抽象的な 知識に触れた時に「結びつき」が起きない。 応用 根のある知識 起きないとすぐに忘れてしまう。 ! この抽象的な話にいま河内先生が灘での数学 の勉強っていう実経験を出してくれたことで 結びつきができて少し記憶に残りやすくなっ たかと思う。
83.
実世界の問題に 応用できない知識は なにも価値を産まない
「意思決定の正しさの定義」では、正しくすらない 83
84.
“正しさ”の話は哲学 ! Wikipediaの“真理”に
色々具体的に書いてある 84 正しさについて色々話をしてきましたけど、これって実は哲学という一番抽象度の高 い学問。Wikipediaで調べてみるとポパーの反証可能性がどうであるとか、価値がある かどうかで決めるジェイムズのプラグマティズムとか細かい具体的な話がいっぱいダラ ダラ書いてあるわけですが…
85.
“知っている”ことの価値は WikipediaやGoogle検索 によって激減した
85 そりゃWikipediaで見ればわかることであって、 この手のサービスが生まれてくる前の時代であれば、こういうことを記憶していて なにか話があった時にさっと出すことができる人には価値があったわけですが、 今はもうない。少なくともWikipediaよりたくさんの知識を持ちGoogle検索より速く 検索することが出来る人でない限り代替されてしまっている。だから
86.
応用して価値を生み出す ことができる知識の体系を 自分の中で育てるには?
どうすればいいのだろうか? 86 だから具体的な詳細な知識を持っていることだけではなく、それを新しく現れた現実の問 題に応用して価値を生み出せる自分の中の知識の体系を育ててないといけない。何年に誰 がどうしたという知識ではなく、講義の機会に応用してこういう講義をして価値を生み出 せるところまで育てないと。中途半端な高さで止まっているのでは価値を産まない。 これが必要だと思っています。では、どうすればできるのだろう?
87.
“わかった” は 仮説にすぎない
87 勉強をしていて “わかった” という気持ちになることがあると思う、しかし
88.
仮説は実験して検証しよう
88 勉強していて “わかった” と思うことがあるだろうけど 実際問題を解いてみたら解けなかったりするわけですよ。 “わかった” は仮説であって、実験して検証しなければ 本当にわかっているのかわからない
89.
PDCAサイクル
計画行動 計画の修正結果の考察 89 計画を立てて行動をして、 行動の結果を考察して、 結果を修正して行く、 このサイクルを回して 事業を進めていく
90.
PDCAサイクル
仮説実験 仮説の修正結果の考察 90 科学研究も似ていて 仮説を立てて実験をし 実験結果が期待通りか考察して 期待と違う時がチャンス 仮説を修正していく
91.
PDCAサイクル 91
勉強でも同じで 理解は仮説であり 理解に基づいた行動をして うまくいくと思ったのに うまく行かなくて 自分の理解と異なる結果が 得られたこれが 理解を修正するチャンス 「うまくいくと思って行動したけど失敗した」が理解修正のチャンス 理解 理解に基づく 行動 理解の修正結果の考察
92.
このサイクルを 小さく回すことで 素早く学ぶ
92 例えばプログラミングならいきなり何千行のプログラムを書いて動かしてみて「動かなかっ た!」では学びが遅い。そうではなく小さな、1行とか数行とかで実行を繰り返して学んで いくのが効率が良い。ビジネスだったら「これを求めている顧客がいる」を検証するための 最小限の製品を作ってリリースし、検証していく。Dropboxが最初にリリースした製品は何 だったでしょう?彼らは製品を作らなかった。解説動画を作って事前登録フォームを置いた。
93.
このサイクルを 小さく回すことで 素早く学ぶ
93 最初の一歩を小さくする。サイクルを小さくする。 (河内先生:期末考査なしで入試一発勝負だったらヤバイよね。だからこまめに試験をする。 小テストをしばしば出すのもそういうこと) その通り、ただし「うまくいくと思ったけど失敗した」が大事。失敗が学びのチャンス。
94.
最初の計画、仮説、理解は どうやって作るのか
94 数学の小テストの場合、解くべき問題、チェックする方法を先生が用意してくれる。 学ぶべきことは授業で教えてくれる。 そうでない状況では一体どうやって…
95.
演習
先日京都大学サマーデザインスクールで3日間かけて行ったワークショップでは、 自分の学び方について盲点を見つけ、改善計画をたてること(P)を目標にした。 発散干渉 成長 そこで使った具体的な方法を少し紹介しよう 収束 選択 整理 発表 付箋づくり グループ編成 図解化 A型 書き出し 発表資料 づくり B型
96.
書いてから考えよう 書いてから考えよう
96 いままで抽象的な話だったけど、ここから具体的な話をします。 何度かやってきていくつか有用な原則があることがわかった。 1つ目が
97.
書いてから考えよう なぜ書いてから考える? どちらが簡単?
! ・暗算 ・筆算 97
98.
書いてから考えよう なぜ書いてから考える? どちらが簡単?
! ・目隠し将棋 ・普通の将棋 普通の将棋 = 駒や盤を見ながら戦う将棋 98
99.
書いてから考えよう なぜ書いてから考える? どちらが簡単?
! ・頭の中だけで考える ・書いて、見ながら考える 99 考え事をするときに、頭のなかだけで考える のと、思ったことを全部書きだして、それを 見ながら考えるのとどっちが楽だと思う? 書きだすのは時間がかかるから、頭のなかだけで考えるほうが良い、 という意見もあるだろう どういう方法が正しいかは個々人にとって有用であるかどうかで決まる
100.
思ったことを書きだすのは 将棋の駒を用意するのと 同じこと
書いてから考えよう なぜ書いてから考える? 100 僕にとっては
101.
書いてから考えよう なぜ書いてから考える? まずは全部書き出し
“覚えておく負担”をなくし 考えることに集中しよう 101 その方が最終的なアウトプットの質がよく、効率が良い、と僕は思っています
102.
京大サマーデザインスクール2014 演習課題 他人が読める字で。この演習では質ではなく量が評価される。時間は2分
学び方の改善に 「関係あるかもしれないこと」 を時間内に数多く書いてみよう 102 これはワークショップで実際に行った実際の演習の例。 時間内に数多く、用意した付箋に書いていく。 重要なのは「量が質よりも評価される」たくさん書いてみよう。 こういう感じの演習を何度か繰り返して100枚位の付箋を作った。
103.
こういう演習初めての人は なかなかスラスラ書けない
103 訓練すると新しいアイデアを出す効率が上がるのだが…。 で、スラスラ書けない人がなぜ書けないのかを観察して 色々なアドバイスをしているのだけど、そのスライドを全部説明す ると時間がなくなるので数枚だけ解説:
104.
“アイデアは一時に 書いてから考えよう
完全な形で現れるものだと 思っている人が多いが そんなものではない” トーマス・エジソン 104 p256 A.オスボーン(2008)『創造力を生かす : アイディアを得る38の方法』豊田晃 訳, 創元社
105.
書いてから考えよう 最初から完璧なものを 作ろうとして手が止まる
完成度高めるのは後でやろう 105 まずは関係あるかもしれないこと、関係ないかもしれないこと、 モヤモヤ悩んでいること、頭に浮かんだものをまずは全部書き出してしまう 後からそれを見ながら改善していけば良い
106.
書いたものは改善できる 後か書ら改善かしていなくことかがでっきる、た積み上もげていのくことは ができる
消えてしまう 書いてから考えよう 106 書かなかった頭のなかでモヤモヤ考えていることって一瞬で消えてしまう 考えている最中に「ピンポーン、宅配便です」であっさり消えてしまう 頭のなかだけで考えたほうがスピードが早いという意見もあるけど 消えてしまうリスクとのトレードオフで考えると 出して行って積み上げていったほうがより高みに到達することができる
107.
本の内容をまとめるなら 本の内容だけではなく 思ったことすべて書き出す
107 書き出してからまとめる。 その方が「本の中だけの知識」「机上の空論」ではなく 自分の経験に結びついたまとめになりやすい
108.
他人に意見を聞いて 判断保留して書き留める !
108 盲点に気づく上では 「こういう問題があるんだけどどう思います?」 って人に聞いて返事が帰ってきた時に 「いやそれは違うだろ」と反発したり 「色々話してるけど、それは自分が求めていたものじゃない」 「それは有効な解決法ではないから役に立たない」 とかシャットアウトしてせっかく聞いたのに捨ててしまう というすっごいもったいないことをやりがちなのね、なぜか。 そうではなく「少なくともこの人はこう考えている」「これが関係あると考え ている」と受け止め書き留め、それからじっくり考える
109.
実録 KJ法の流れ 109
そうやってガンガン書き出していくとこうなる。 だいたい100枚ぐらいある。書いたものは机の上に広げます、なぜか
110.
一時記憶は7個程度 書いてから考えよう 書いたものを机に広げれば
100個をひと目で見渡せる 110 一時記憶にはたかだか7つぐらいの情報しか入らない、机の上に広げてひと目で見 渡せるようにすると、視線を動かすだけで100の情報が目に入るようになる。一 時記憶を物理的な方法で拡張することができる。拡張した状態で考えるのと頭の なかだけで7つの一時記憶だけで考えるのとどっちがいいか?
111.
一時記憶は7個程度 書いてから考えよう 書いたものを机に広げれば
100個をひと目で見渡せる 111 少なくとも僕にとっては広げるほうがやりやすい。僕にとっては有益であり、正 しい方法。みなさんにも有益かもしれない、有益でないかもしれない。それはみ なさんが試してみないとわからない。 実際、この講義資料も僕が最近出した書籍とかも全部この方法でやっている。 個人的には手放せない方法。(追記:今は紙だけど電子化してさらに改善したい)
112.
断片的情報の構造化 - KJ法の実践
2: ボトムアップでグループ編成 ボトムアップで グループを作っていく 112 広げた後どうするのか?
113.
断片的情報の構造化 - KJ法の実践
2: ボトムアップでグループ編成 何のために? ! 情報量が多いと脳が考えることを 拒否してしまう。数枚のグループに するとアイデアが出やすくなる。 113 100枚付箋があります!ってそんなに情報があると脳が混乱してパンクして 考える事を拒否してしまう。「うわー、ごちゃごちゃしているなー」ってなる。 なので数枚のグループにした上でそれについて考える。
114.
断片的情報の構造化 - KJ法の実践
演習(実際の風景) 数枚ずつのグループができている
115.
断片的情報の構造化 - KJ法の実践
2: ボトムアップでグループ編成 ボトムアップで グループを作っていく 115 書いた後でグループ化していく 最初に書き出すときに綺麗に構造化された状態で出てきたりはしない 出てくるときは細切れの断片として出てくる 皆さんが本を読むときも綺麗に構造化されて入ったりしない まずは断片として入っていく。 断片の状態になっているものを、後から構造化していく。
116.
116 ボトムアップが重要 トップダウンに分類すると
既存の考え方の枠に情報を 押し込めているだけになる トップダウンっていうのは例えば付箋を書きだした後「この付箋は現状に関するものだ、 これは解決法、これは原因だ、じゃあ3つに分類しよう」という方法。これはダメだ。な ぜか?トップダウンにやると、自分がすでに脳内に持っている情報の枠組みに合わせて情 報の側を合わせていくことになり、予期しない構造を発見することができなくなる。
117.
目的は 予期しない構造の発見
117 紙に書くとか机に広げるとかボトムアップで組み立てるとかはあくまで手段。 目的は盲点に気づくこと、学ぶべきことに気づくこと、 今まで気づいていなかった何者かに気づくこと。 既存の考え方で分類すると、自分の考えている通りの構造が出来上がって 「うん確かに自分の思ってるとおりだったね」PDCAサイクルでDoしたのに 失敗しない状態になる。それでは学びにならない。新しいものが生まれなくなる
119.
119
図解化
120.
図解化と文章化
120 集めた付箋の間の関係性や、グループを囲う線を書き足し図解にする 図解化をし、次に文章化をする。なぜか?
121.
断片的情報の構造化 - KJ法の実践
KJ法B型 図解は全体像を見るのに向いている 文章は飛躍がないかを確認すること に向いている 違うフォーマットに変えることで 足りない部分に気づきやすくなる AでBだからCなんだ。DとEとは対立構造だな、というのには図解が向いている 逆に話のギャップには気づきにくくなる 順番に文章で説明していくと、論理的な飛躍があると「あれ?ここうまくつなが らないぞ?」とか「この話からこの話に進むのはおかしいよな、もう一段階クッ ションが必要だ」とか気づきやすい。しかし全体像はわかりにくい。 なので図解を作った後、文章にする
122.
122
文章化してアウトプットし 他人のフィードバックを得る 文章化すると何がいいか?アウトプットがしやすい 図解を見せても伝わりにくい
123.
PDCAサイクル 123
組み立てた理解Pを元に、アウト プットDができて、その結果が他 人からフィードバックされ… サイクルが回り始める 「うまくいくと思って行動したけど失敗した」が理解修正のチャンス 理解 理解に基づく 行動 理解の修正結果の考察
124.
まとめ
124 今まで出てきた重要なコンセプト をおさらいしてみましょう
125.
125
問題は理想と現実のギャップ
126.
126
正解がまだ存在しない問題が 解くことに価値のある問題 そういう分野での正しさは?
127.
意思決定の正しさ ! とった行動の結果が
自分の人生にとって 有益だったかどうか 127 と決めるしかあるまい 多くの分野では科学的な正しさや論理的な正しさを求められない、そこで
128.
PDCAサイクル 128
行動の結果から学ぶ つまり 理解 理解に基づく 行動 理解の修正結果の考察 ここで正しさがわかる
129.
盲点に気づくには 他人の目が有用
129 学ぶためには点に気づく必要があり
130.
知識の少ない人からでも 学ぶことができる
130 どんな人が相手でも「この人から何かが学べるはずだ」と考えよう
131.
互いに知識を交換して学ぶ
131 という形への移行が起きる その結果
132.
“判断の保留” が大事
132 その際、他人が言うことをついつい自分の枠組みで 「違う」「関係ない」とか判断して拒絶してしまいがちだが そうやって取り入れたいろいろな知識を
133.
ボトムアップで 理解を育てる
133 しっくりこないものを「ノイズだ」と言って捨ててはいけない。 そういうものこそ理解を育てる上で重要なパーツとなる プラトンは哲学を産婆術に例えた。本質的な知識は各人が産み出さねばならない 野中郁次郎・紺野登(2003)『知識創造の方法論―ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社, p.33
134.
ボトムアップでないと 応用ができない
134 根無し草の知識 応用 根のある知識 応用できない知識に価値はない
135.
書いてから考えよう
135 具体的な方法論としては、まず 書いたものは
136.
机に広げることで 一時記憶を拡張する
136 そしてボトムアップで組み上げる
137.
フォーマットの変換で 足りないものに気づく
137 空間的に配置した状態から文章へと そして他人にアウトプットすることで PDCAサイクルが回り始める
138.
異論 反論 大募集
どんなコメントが来るか 楽しみにしています。 138
139.
異論 反論 大募集
どんなコメントが来るか 楽しみにしています。 139 異論反論と言ってもすぐに出ないかもしれないので、例えば 「ここの話ざっくりしすぎだろ」とか 「この視点が抜けてないか」とかそういう 鋭いナイフを僕に投げつけてくるようなコメントを期待しています
140.
質疑応答 140
141.
141 Q:
知識には知識を効率よく得 るための知識とお金を効率よく 得るための知識という話だった が、知識を効率良く得る知識の 知識とはどちらの知識か
142.
142 A:
両方だね。再帰的な定義。 どちらも人間の行動を効率化し ているという点では同じ。
143.
Q: (マイクから遠いため 聞き取れず)
143
144.
144 A: 検索で見つからない知識にし
か価値が残ってないということ だね。
145.
145 A: 例えば学割で電車に乗る方法を知らなかった
とする。Googleで検索して調べて学割を買ったと する。僕は学割購入方法の知識は持っていなかっ たが「Googleで検索すればいい」という「知識の 取得効率を上げるメタな知識」のお陰で安く電車 に乗れて金が浮いた。具体的な知識はどんどん価 値を失い、メタな知識の方に価値のウェイトが移っ て行っている。
146.
146 A:「Googleで検索したらいい」って知識はGoogle で検索して得た知識ではないから別の方法で得た
んだろうね。
147.
147 Q:
マインドマップはどう思いま すか?よく似ているが、違いは?
148.
148 A:
思ったことをまず書きだすと いう点では同じ。小さな紙に書 いて並べるか直接書くかの違い
149.
149 A: マインドマップは中心にコアイ
メージがあってそこから放射状にツ リーを書くのでトップダウンで構造 化されたものを書くバイアスがかか りがち。これが悪い点。カラフルな のは良い点。
150.
150 A: よく事例として目にするよう
なきれいなマインドマップがい きなり描けると思う?最初から 完成度高いものを書こうとする とつまずく。
151.
151 A: 1回描いて終わりじゃなく
て、見ながら「この枝はこっち につくべきだな」「ここにあれ が抜けてるな」などと考えて新 しいマインドマップを描いた方 が良い物になる。
152.
152 A:
付箋で並べたものを最終的に マインドマップにしてもいい。 その方が他人にしっくり来やす いマップになるだろう。
153.
153 A: マインドマップも使ってたけ
ど、最初の一歩は僕にとっては 付箋のほうが楽だった。使いや すい方を使うのがいいと思うよ。 あなたにとって有用なものがあ なたにとって正しい。
154.
154 Q:
「正解がある問題はすでに 誰かが解いたものだから解いて も価値を生まない」の価値は誰 にとっての価値か?正解があっ ても解くことによって個人に有 益なら価値はあるのでは?
155.
155 Q:
意思決定などの答えのない 問題の学び方の話だったが、逆 に日々の試験のような答えがあ る問題にはどう対処する?
156.
156 A:
PDCAサイクルをいかに小さ く速く回すかに尽きると思う。
157.
157 A:
素晴らしい。その通りです。 例えば入試の問題は答えがある のでそれを解いても社会にとっ ての価値は増えないが、少なく ともあなた自身はそれによって 大学に受かるという価値がある。
158.
158 A: ついつい「社会にとって価値
があるのか」という大きなこと を考えてしまいがちだけど、最 終的には「自分にとって」が重 要なポイント。なのでご指摘の とおりです。
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