2010/6/23




                                                        本日の内容ー「ディベート思考」とは何かー


      どんなことも自分で決断していく時代の                                1. 自己紹介
          「ディベート思考」入門                                   2. なぜ、今「ディベート思考」が求められるのか?
              (第1回)                                     3. 「ディベート思考」とはなにか?
      ――光文社大学集中講義 第1弾――
                                                        4.
                                                        4 論題の作り方
                                                        5. マクロ議論(メリット/デメリット)の組み立て方、崩し方
                         瀧本哲史
                    京都大学客員准教授
                  全日本ディベート連盟代表理事


                        2010年6月23日

                                                    1                                           2




 大学卒業してから、10年以上が経過しているが、最初はほ
 ぼ3年ごとに転「職」(転「社」だけでなく)している

瀧本哲史のキャリアの変遷

                コンサル      経営者
       学者        タント
                                     投資家
                                         学者?
       94.4-    97.4-    00.4-       03.6-現在
時期     97.3     00.3     03.5                           2.なぜ、今「ディベート思考」が求められるのか?
       東京大学 McKinsey&     日本交通    •エンジェルインベスター
転社     大学院  Company       グループ   京都大学産官学連携本部イ
       法学政治               アドバイ   ノベーションマネジメントサイエンス
       学研究科               ザー     寄付研究部門准教授(08.3月まで)
       助手                        現在は、客員准教授

       法学の      企業経営へ                ベンチャー企業の投資育成
                          企業再建
転職     研究       のアドバイス               企業再建及び研究と教育


               一見なんの脈絡もないようだが、
               「意思決定ビジネス」として一貫している                  3                                           4




 「カオスの時代」かつ、自己責任の「時代」である、今は、「自己決定の時                     今、必要されている「自己決定」は、ルーチン化されている単純な意思
 代」でもある                                                 決定ではない

なぜ、今「自己決定」が求められるのか?                                     今の「自己決定」の特徴

                          安定成長の時代は、「より安定した                           一つの軸、例えばお金とか出世だ
                          組織」を入り口で選べば後はコース               最適化ではなく      けを基準にして決めるのであれば簡
     カオスの時代               で意思決定はなかった                                  単
                          会社の寿命は個人の寿命より短い                トレードオフ      全く違う価値観同士を比較する必
                          常識は変わるし、人によって違う                            要がある

                          リスクがないのではなく、他の人に管
                          理してもらっているに過ぎない                              やることが決まっていて、少しづつ良く
                                                                      することはあまり迷わない
     自己責任の時代              cf.「社員は悪くない」(山一証券)             改善ではなく、      こうした状況では、Lifehackや小さな改
                          リスクとともにチャンスもある時代
                          世代間格差                          方向の選択       善の積み重ねアプローチは無意味
                                                                      むしろ、間違った方向に進んだり、現
                          逃げ切り世代、上から目線世代、氷河
                                                                      実逃避になる
                          期世代、ゆとり世代

                          従うべき何かを求めがち                                不確実性や価値観の問題が絡むので絶対
                          自燈明                                        の正解はなく、その時点の情報に基づく最善
                          価値観は人によって違うはずなので、答え           正解ではなく、
     自己決定の時代                                                          解でしかない
                          ではなく、自分で決める方法を学ぶべき              今の最善解       どういう理由、前提で決めたかの方が結論
                          軍事顧問団と武器を配る              5                 よりも重要                     6




                                                                                                           1
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元々、人間の認識、意思決定はゆがみやすいので、意識的に違う視点          議論とは、違った考えをぶつけ合いお互いを反証し合うことで、正しい答
、複数の視点を持ち込む必要があり、「議論」をする必要がある            えを見つけるための営みで、社会を成り立たせるための基本要素

人間の認識はゆがみやすい                             議論とは

                現状維持                                    「互いに自分の説を述べあい、論じ合
 慣れていることを       自己正当化                                   うこと。意見を戦わせること」(広辞苑)
                                                何か
   重視する         予想外の可能性を低く見積もる

                                                         最初から何か正しいことがあるわけで
                過剰なリスク重視                                はなく、様々な議論をぶつけ合うことで、
                過剰な自信過剰、冒険主義                            よりすぐれた答えを導き出す
                                           何のためか         現在、正しいとされている、科学理論
 確率認識の歪み        疑似科学、法則性                                も学界などでの、様々な議論の結果、現
                レトリック                                   在正しいとされていること


                                                         政治や裁判の場における議論
                アンカリング                                  科学論争
 既知の情報の         サンクコスト                    例えば、、、        科学的に正しいとはどういうことか
                                                         「反証、反論することが可能であるにもかかわ
                記憶に頼る
   影響                                                    らず、その主張が生き残っていること」
                                    7                    (Karl Popperの反証可能性テーゼ) 8




逆に、違う意見を認めないもの、反論を許さないものは科学的に正しい         通常の高校の授業と言うよりは大学や大学院の授業の仕方に近い進
とは言えない                                   行となります

議論ではないもの                                 この授業の特徴

                                                         何らかの専門的な知識を得ること
                私がそう思うので、正しい                            を目的としていません
  自分が根拠         偉い人が言うから正しい              知識よりも考え方       それは本を読めば出来るので、
                                                         むしろ学び方を学ぶ

                                                         私の話していることを板書する必
                                                          私の話して る  を板書する必
                「みんながそう思うので、正しい」                        要を減らすために、プリントを配って
                多数意見が正しいとは限らず、民                         います
  みんなが根拠        主主義はいろいろな意見を出し             授業は双方向        質問は随時して下さい
                合った上で多数決をすることが前提                         こんな質問や発言をするとバカに
                になっている                                   されるのではと思いがちですが、そ
                                                         んなことはありません
                「私が毎日祈っているので、太陽が今
                日も昇っている」                                 わかると、できるは大違い
 反証させないもの       疑問:祈るをやめたらどうなるのか?          ひたすら演習        たくさん、問いを出しますので、ひ
                原因と結果なら、原因をなくせば結果が                       たすら考えて、答えて下さい
                変わるはずでは           9                                             10




                                         ディベートは、議論する能力を身につけるための議論の
                                         トレーニング用の競技
                                         ディベートの特徴
                                                             具体的内容
                                                        •議論が拡散しない様に、テーマが予め設定されて
                                                論題      いる
                                                        •多くの場合、特定の政策をやるか、やらないか
                                                        (e.g.日本は死刑を廃止すべきである、是か非か)

3.「ディベート思考」とは何か?                                        •議論を成り立たせるために、肯定側と否定側
                                                        にくじ引きで割り立てられる
                                          肯定側と否定側
                                          肯             •論題はどちらの立場でも主張が成り立つもの
                                                        が選ばれ、双方の立場で考える


                                                        •話す順番や発言制限時間などがルールで定
                                                        められ、公平かつ、合理的に議論をする
                                         ルールに基づく発言


                                                        •第三者が審判になって、両者の主張を比較
                                          審判による判定       して、勝敗の判断を行う
                                    11                                          12




                                                                                            2
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テレビの討論番組やインターネット掲示板での議論が混乱
                                            一般イメージするディベートと実際のディベートはことなる。
するのは、議論をしやすくする土台がないからである
ダメな議論のパターン                                  ディベートに関する真実
                    具体的内容
               •テーマが漠然としか、決まっておらず、議論があ                       準備をして根拠を磨き合う
     論題        ちらこちらに飛躍する
                                                 準備          準備した議論をぶつけ合うカードゲー
                                                             ムに近い


               •それぞれの立場がはっきりせず、様々な立場
               の議論が、入り交じって混乱する
               の議論が 入り交じって混乱する
 肯定側と否定側
 肯             •近い立場の人同士が細かい違いで喧嘩を始                          双方の立場で準備してそれぞれの弱
               める                                            点を研究しつつ、それを補強する
                                                             両方の視点から考えることで、より問
                                                双方           題に関する理解を深め、客観性を持つ
               •話すルールが決まってないので、勢いで場を
               支配したり、都合の悪い議論をスルーしたり
ルールに基づく発言      やりたい放題

                                                            相手を説得するのではなく第三者を説得する
                                                            素人ではなく、議論の専門家を説得する
               •第三者が存在せず、司会も一緒になって議           第三者説得         ジャッジは、根拠の優劣で決定する
 審判による判定       論をかき回す
                                                            「誰が」言ったかではなく、「何を」言ったか
                                       13                                           14




ディベートで身につく力は、非常に汎用性が高いが実は一番大事なの             「自己決定」を必要とされる現代人にとって、「ディベート思考」は新しい
は、意思決定能力                                    教養(Liberal Arts)

ディベートで身につく力                                 今の「自己決定」に役立つ「ディベート思考」

                                                           一つの基準ではなく、複数の基準
                 いくつかの事実から正しい推論を                          がぶつかり合うのであれば、一定の
                 したり、また推論の間違いを見つけ             最適化ではなく
  論理的思考力                                                   方向で問題を解くよりも、違う立場を
                 やすくなります                       トレードオフ      ぶつけて考えが方が良い



                                                           大きな違いが生まれる、方針の選択を
                 社会的な問題から、身近な問題                           行うのであれば、そうした選択肢を直接
                 までどうしたらよいか迷ったときに、            改善ではなく、
  意思決定能力                                                   比較しぶつけた方がよい
                 自分で意思決定が出来るようにな               方向の選択
                 ります



                 自分の考えを他人に説明したり、                          正解がない以上、意思決定の結論よりも理由
 コミュニケーション       他人の説明をよりよく理解できる              正解ではなく、      付けが重要でありその点で根拠のぶつけ合いを
                                                           行うディベートは「最善解」を見つけるのによい
    能力           ようになります                       今の最善解       ジャッジも理由付けを示して判定する
                                       15                                           16




「カオスの時代」かつ、自己責任の「時代」である、今は、「自己決定の時
代」でもある

三回の構成

              なぜディベートなのか
              論題のたて方
    マクロ       メリット、デメリットの考え方


                                               4.論題の作り方
              論証の方法、反論の方法
              証拠資料の集め方、評価の仕方、反
    ミクロ       論の仕方
              「他人の意見」の評価法
              フローシートの取り方
              議論シートの準備の仕方



   判定と        判定、ジャッジの仕方
              意思決定と行動のPDCAサイクル
 再検討サイクル      不確実性とのつきあい方
                                       17                                           18




                                                                                                3
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論題は、考えたい問題を解決するための大きな方向性を決めるアクショ
ンが良い
                                            リンクマップの考え方

論題の決め方
                                            演習問題
              「ペットは、犬と猫はどちらか」とかはケースバイ
              ケース
 具体的な主体の      大きな国家か小さな国家かもバランスの問題
                                            日本がワールドカップで活躍するには何をしたらよいのか?
 アクションがよい     アクションは採るか採らないかしかない
              複数のアクションが両立するのであれば、それぞれ      • 要因分析をさかのぼる
              検討すればよい
                                            • 因果関係の太さ、細さ、相互関係を吟味する
              現在の延長線上ではなく、また同じような施         • ポジティブフィードバック、ネガティブフィードバッ
 改善ではなく、      策ではなく、意味のある大きな変化                ク、ループを探す
  方向の選択       但し本当に二者択一かを疑う
                                            • 価値評価をおこなう


              具体的なプランレベルに落とす
   論題から       議論を作っていく過程でプランは変化していく
  プランを作る
                                       19




   4.マクロ議論の組み立て方、崩し方                           4-1.メリット、デメリットの構築




                                       21                                 22




メリットとデメリット                                  メリットの三要素




• ある政策をとるべきかどうか判断したい時には、その政                 • 内因性(Inherency)
  策から予想される「良いこと(メリット)」と「悪い事(デメリッ
  ト)」を比べて、どちらが大きいか考えることになります。                 – 現状に何らかの問題があること


そのため、                                       • 重要性(Significancy)
• 肯定側はメリットを提出し、それが否定側のデメリットを上                 – その問題が深刻であること
  回る、と主張することになります。

• 否定側は、その反対にデメリットがメリットを上回る、と主               • 解決性(Solvency)
  張することになります。                                 – 問題が、その政策によって解決すること




                                                                                      4
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演習1                                           演習1(解答)


• 次の議論を、内因性・重要性・解決性の3つに整理
  してください。                                     • 内因性
    論題:「日本は、原子力発電所を全廃すべきである」
                                                – 日本の原子力発電所は、地震が起こると大爆発する
                                                  可能性がある。
    – 日本の原子力発電所は、地震が起こると大爆発する可
      能性がある。周辺地域の放射能汚染を防ぐために、原
      能性がある 周辺地域の放射能汚染を防ぐために 原
      子力発電所を全廃すべきだ。                           • 重要性
                                                – 大爆発が起こると、周囲が放射能汚染されてしまう。(
    – 内因性(Inherency)                              結果、多くの人が死んでしまう。)
    現状に何らかの問題があること
    – 重要性(Significancy)
    その問題が深刻であること                              • 解決性
    – 解決性(Solvency)                             – 原子力発電所を全廃すれば、事故の可能性はゼロ。
    問題が、その政策によって解決すること




メリットの考え方                                      デメリットの3要素


• 現状の問題点の洗い出し
    – 論題に関係しそうな領域で、”今”問題になってことを洗い出す
       • 既に解決してる問題じゃダメ!                       • 発生過程(Linkage)
                                                – 論題を実行した時に、新たな問題が発生する過程
• 現状の問題の取捨選択
    – 深刻さの度合いによって、どの現状の問題を取り上げるべきか、           • 深刻性(Impact)
      取捨選択する                                    – その問題が深刻であること
       • “論題の主体”にとって重要な問題をチョイス!
       • “何となく”ではなく、“なぜ深刻なのか”をきちんと説明できる?
                                              • 固有性(Uniqueness)
• 解決性を検討
                                                – 現状ではそのような問題が生じていないこと
    – きちんと論題(政策)によって解決できそうかを検討する


• 逆に問題よりも機会の取り込みの場合もある。




演習2                                           演習2(答え)




•   次の議論を、固有性・発生過程・深刻性に整理してください。              • 発生過程1:原子力の電力をその他の発電所で補わなくてはいけなくなる。

    論題:「日本は、原子力発電所を全廃すべきである」                  • 発生過程2:その他の発電所では原子力の発電を補いきれない
     – 原子力発電所を全廃すると、その分の電力をその他の発電所で補わなくてはい
       けなくなる。
     – しかし、その他の発電所では原子力の発電を補いきれないため、電力が多く消費   • 発生過程3:電力が多く消費される日には停電する可能性が高い
       される日には停電する可能性が高い。
     – 停電による経済的な損失を防ぐために、原子力発電所の全廃はやめるべきだ。
                                              • 深刻性:停電すると、経済的な損失がある
•   発生過程1:
•   発生過程2:                                    • 固有性:現在は、原子力発電所があるので電力供給に問題はない
•   発生過程3:
•   深刻性:
•   固有性:




                                                                                       5
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                                        演習3 次の状況において考えられるメリット、デメリットを出
デメリットの考え方
                                        してみよう

• ストーリー作り                               問題状況
 – 論題に対する反対派の資料や、自分の発想で、論題を実行した
   らどんな悪いことが起こりそうか、ストーリーを立ててみる。
   • とにかく想像力豊かに!                        • Aさんは、就職活動の中盤でなんとか、X社から内定を採
                                          ることが出来ました。第一志望群からは内定が取れてお
• 固有性の確認                                  らず、X社はベストな就職先ではありません。内定が決ま
 – その問題が、現状でも起こっている問題でないか確認する。
   その問題が、現状でも起  て る問題でな か確認する。            ったところで、X社からは、入社前研修やインターンなど
   • 他の理由で今でも起こってはいないか?                   のオファーが来ています。
                                           オ   が来   ます

• 深刻性の確認                                • 「Aさんは、就職活動を打ち切るべきである」是か非か
 – その問題が、考慮すべき深刻さがあるかを確認する。
   • “論題の主体”にとって重要な問題をチョイス!
   • “何となく”ではなく、“なぜ深刻なのか”をきちんと説明できるか?   • 以上の状況で考えられるメリット、デメリットを出してみま
                                          しょう
• 意外に重要なデメリットは「機会費用」
 – この論題を採択しなければ実現できるはずだったことが出来なく
   なってしまうその損失




演習3解答例 メリット編                            演習3解答例 デメリット編


例えば以下のようなメリットが考えられる                     例えば以下のようなデメリットが考えられる

• X社よりも、よりよい就職先に就職できる                   • 就職活動を続けることで、引き続き多くの時間を消費する
                                          ことになる
• 就職活動自体を、学習や成長の機会として活用できる

• たとえ他の就職先が決まらなくても、就職先への納得感             • 就職先が確定しないことで、自分が(親が)精神的に落ち
  が高まる                                    着かない期間が続く

                                        • 研修に集中できないので、入社してからのパフォーマン
                                          ス、評価に悪影響が出る




演習4 次の状況において考えられるメリット、デメリットを出
                                        もう一度メリットの要件について復習
してみて、それぞれについて、三要件を確認してみよう

問題状況
                                        メリットの3要件
• Aさんは、就職活動の中盤でなんとか、X社から内定を採
  ることが出来ました。第一志望群からは内定が取れてお             • 内因性
  らず、X社はベストな就職先ではありません
                                           現在プランを取っていないことで問題が起こっている
                                         ということ
                                         と う と
• 「Aさんは、X社の内定を受けて、就職活動を打ち切るべ
  きである」是か非か                             • 重要性
                                           その問題が解決すべき重要なものであるということ
• 以上の状況で考えられるメリット、デメリットを出してみま
  しょう                                   • 解決性
                                           プランの実施で問題が解決するということ




                                                                               6
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メリット編                          もう一度デメリットの要件について復習


例えば以下のようなメリットが考えられる
                               デメリットの3要件
• X社よりも、よりよい就職先に就職できる
                               • 固有性
• 就職活動自体を、学習や成長の機会として活用できる        現状では問題が起こっていないということ(=プランで
                                 はじめて問題が起こる)
• たとえ他の就職先が決まらなくても、就職先への納得感    • 発生過程
  が高まる
                                   プランの実施で問題が発生するということ
                               • 深刻性
                                   発生する問題が深刻であるということ




デメリット編


例えば以下のようなデメリットが考えられる

• 就職活動を続けることで、引き続き多くの時間を消費する
  ことになる
                                 4-2.メリット、デメリットに対する反論の仕方
• 就職先が確定しないことで、自分が(親が)精神的に落ち
  着かない期間が続く

• 研修に集中できないので、入社してからのパフォーマン
  ス、評価に悪影響が出る



                                                              40




演習5:それぞれの反論はメリットのどの要件を批判してい
                               もう一度メリットの要件について復習
るのか?

• 議論1「一院制を導入すると選挙の回数が減って各政党
  の財政難が解消する」
←「各政党の財政難のどこが問題なのか。国民にとっては     メリットの3要件
  どうでもいいことだ」                   • 内因性
•  議論2「一院制を導入すると与党が法案を通しやすくな      現在プランを取っていないことで問題が起こっている
  り、抜本的な景気対策が進む」
  り 抜本的な景気対策が進む」                ということ
                                と う と
←「そもそも景気対策が参議院のせいで妨害されていると
  いう問題など起こっていない」
                               • 重要性
• 議論3「一院制を導入すると議員定数が減って議員が        その問題が解決すべき重要なものであるということ
  淘汰され、これまでより議員の質が向上する」        • 解決性
←「議員定数が減っても、世襲議員、タレント議員、元官僚       プランの実施で問題が解決するということ
  議員が候補者選定で優先されるので優秀な議員が選ば
  れるという保証はない」




                                                                          7
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演習6:それぞれの反論はデメリットのどの要件を批判して
                                    もう一度デメリットの要件について復習
いるのか?

議論4「一院制を導入すると憲法改正の発議が、一回の選
 挙で3分の2多数をとればできるようになり、憲法改悪に
 なる」                                デメリットの3要件
←「発議がされても、国民が反対する憲法改正は国民投票          • 固有性
 を通過できないから、憲法改悪には至らない」
                                       現状では問題が起こっていないということ(=プランで
議論5「 院制を導入すると多数の議員が失職してしまう」
議論5「一院制を導入すると多数の議員が失職してしまう」           はじめて問題が起こる)
←「衆議院と重複した審議しかしていなかった議員は失職し         • 発生過程
 て当然であるし、政治家の失業は国政上考える必要がな              プランの実施で問題が発生するということ
 い」
                                    • 深刻性
議論6「一院制を導入すると審議の慎重さが失われ、人権侵
 害の法案が通ってしまう」                           発生する問題が深刻であるということ
←「現在の二院制でも通信傍受法案など人権侵害のおそれ
 が強い法案が成立してしまっている」




メリットへの反論(応用編)                       演習7:メリットに反論してみよう!

                                    • メリット:重要法案を速やかに成立させられる
メリットへの反論をもっと細かく分類することが可能            • 「現在、参議院で野党が過半数を占める『ねじれ国会』と
• 内因性(プランを導入しないと問題がある)への反論            なっており、重要法案が参議院で否決された結果重要な
 ① プランを取らなくても問題は解決する                  法案の成立が遅れている。そのため、経済政策や福祉
 ② 現状に問題はない                           政策で遅れが出ており、国民に大きな不利益が生じてい
                                      る。そこで 院制を導入すれば、ねじれ国会現象はなく
                                      る。そこで一院制を導入すれば、ねじれ国会現象はなく
• 重要性への反論
                                      なり、法案がストレートに通るようになり、国民の利益とな
 ③ 質的に重要ではない
                                      る。」
 ④ 量的に重要ではない
• 解決性への反論
 ⑤ プランの効果は小さい
 ⑥ プランをとっても別の要因が生じるため問題は解決しない
 ⑦ プランは問題の原因を正しく解決しない




それぞれの反論はどのパターンの批判か?                 デメリットへの反論(応用編)

反論1:現在でも特に重要な法案については優先的に審議され、与野党
 の協力により速やかに可決に至っている
                                    デメリットへの反論ももっと細かく分類することが可能
反論2:一院制になっても野党はより激しい審議拒否や牛歩戦術などで
 対抗するから、法案の通るスピードはあまり速くならない         • 固有性への反論
反論3:成立の遅れている法案は外交関係などであり国民の生活には      ① プランを取っていない現状でも問題は起こっている
 直接関係ないから、国民にとって不利益であるとはいえない         ② プランを取らなくても将来同様の問題が起こる
反論4:ねじれ国会となって以降、成立しなかった重要法案は少ししかな
反論4:ねじれ国会となって以降 成立しなかった重要法案は少ししかな   • 発生過程への反論
 い
                                     ③ プランからデメリットにつながることはない
反論5:野党は国民の支持を失わないようにするため、今後は無意味な
 審議遅延を避けようとしている                      ④ プランだけではデメリットの発生には至らない(他の条件が必要)
                                     ⑤ プランの影響はデメリット発生に至るには弱すぎる
反論6:法案成立の遅れは省庁での原案作成に時間がかかっているせ
 いであり、参議院を廃止しても法案成立のスピードは改善しない      • 深刻性への反論
                                     ⑥質が小さい
                                     ⑦量が小さい




                                                                               8
2010/6/23




演習8:デメリットに反論してみよう!                   それぞれの反論はどのパターンの批判か?

• デメリット:憲法改悪                         反論1:国民投票で支持された憲法改正なら国民にとってもよいことで
                                      あるはずで、憲法改正=悪という考え方は間違っている
• 「これまでは二院での憲法改正の発議という厳格な手続
                                     反論2:そもそも与党議員が戦争のための改憲をたくらんでいるという証
  が要求されたことなどから憲法改正はされてこなかったし          拠はない
  、現在では参議院を野党が支配しているので憲法改正           反論3:野党にも9条を含めた憲法改正の支持者は多数いるため、二院
  はできない。しかし、一院制になると憲法改正が容易とな          制の下でも機会があれば憲法改正の発議がされる可能性は高い
  り、戦争遂行を可能にするような憲法改正を狙っている          反論4:参議院がなくなって憲法改正の発議がされるようになっても、国
                                     反論4:参議院がなくなって憲法改正の発議がされるようになっても 国
  与党議員により改正の発議がされ、9条など重要な条項           民投票の段階がある限りは改悪には至らない
  が改正される。これにより、国民の権利が制約され、戦争         反論5:衆議院においても憲法改正に賛成する議員は3分の2に満たな
  という悲惨な事態にもつながる」                     いので、参議院を廃止しただけでは憲法改正には進めない




演習9                                  職業における満足をMECEに分析すると、

                                     職業における満足の分解
                                                                具体例

• 先ほど作ってみた、「Aさんの就職活動を終わらせる」メリ                        短期的満足
                                                             •給与の絶対水準
  ット、デメリットを整理してみよう                                           •アップサイドボーナスの度合い
                                                             •市場価値の高いスキル
                                             経済的満足   長期的満足
• 様々な視点から、それぞれのメリット、デメリットを批判し                                •長期的なキャリアプランが明確
  てみよう
                                     職業に
                                     おける満足
                                                             •顧客に満足してもらえる
                                                     外的満足    •一緒に働く仲間が優れている
                                             精神的満足
                                                             •社会に役立つ

                                                             •知的に刺激がある
                                                     内的満足    •変化が大きく、スリルがある
                                                             •落ち着いて仕事に専念できる

                                52




                                                                                9

光文社大学初日

  • 1.
    2010/6/23 本日の内容ー「ディベート思考」とは何かー どんなことも自分で決断していく時代の 1. 自己紹介 「ディベート思考」入門 2. なぜ、今「ディベート思考」が求められるのか? (第1回) 3. 「ディベート思考」とはなにか? ――光文社大学集中講義 第1弾―― 4. 4 論題の作り方 5. マクロ議論(メリット/デメリット)の組み立て方、崩し方 瀧本哲史 京都大学客員准教授 全日本ディベート連盟代表理事 2010年6月23日 1 2 大学卒業してから、10年以上が経過しているが、最初はほ ぼ3年ごとに転「職」(転「社」だけでなく)している 瀧本哲史のキャリアの変遷 コンサル 経営者 学者 タント 投資家 学者? 94.4- 97.4- 00.4- 03.6-現在 時期 97.3 00.3 03.5 2.なぜ、今「ディベート思考」が求められるのか? 東京大学 McKinsey& 日本交通 •エンジェルインベスター 転社 大学院 Company グループ 京都大学産官学連携本部イ 法学政治 アドバイ ノベーションマネジメントサイエンス 学研究科 ザー 寄付研究部門准教授(08.3月まで) 助手 現在は、客員准教授 法学の 企業経営へ ベンチャー企業の投資育成 企業再建 転職 研究 のアドバイス 企業再建及び研究と教育 一見なんの脈絡もないようだが、 「意思決定ビジネス」として一貫している 3 4 「カオスの時代」かつ、自己責任の「時代」である、今は、「自己決定の時 今、必要されている「自己決定」は、ルーチン化されている単純な意思 代」でもある 決定ではない なぜ、今「自己決定」が求められるのか? 今の「自己決定」の特徴 安定成長の時代は、「より安定した 一つの軸、例えばお金とか出世だ 組織」を入り口で選べば後はコース 最適化ではなく けを基準にして決めるのであれば簡 カオスの時代 で意思決定はなかった 単 会社の寿命は個人の寿命より短い トレードオフ 全く違う価値観同士を比較する必 常識は変わるし、人によって違う 要がある リスクがないのではなく、他の人に管 理してもらっているに過ぎない やることが決まっていて、少しづつ良く することはあまり迷わない 自己責任の時代 cf.「社員は悪くない」(山一証券) 改善ではなく、 こうした状況では、Lifehackや小さな改 リスクとともにチャンスもある時代 世代間格差 方向の選択 善の積み重ねアプローチは無意味 むしろ、間違った方向に進んだり、現 逃げ切り世代、上から目線世代、氷河 実逃避になる 期世代、ゆとり世代 従うべき何かを求めがち 不確実性や価値観の問題が絡むので絶対 自燈明 の正解はなく、その時点の情報に基づく最善 価値観は人によって違うはずなので、答え 正解ではなく、 自己決定の時代 解でしかない ではなく、自分で決める方法を学ぶべき 今の最善解 どういう理由、前提で決めたかの方が結論 軍事顧問団と武器を配る 5 よりも重要 6 1
  • 2.
    2010/6/23 元々、人間の認識、意思決定はゆがみやすいので、意識的に違う視点 議論とは、違った考えをぶつけ合いお互いを反証し合うことで、正しい答 、複数の視点を持ち込む必要があり、「議論」をする必要がある えを見つけるための営みで、社会を成り立たせるための基本要素 人間の認識はゆがみやすい 議論とは 現状維持 「互いに自分の説を述べあい、論じ合 慣れていることを 自己正当化 うこと。意見を戦わせること」(広辞苑) 何か 重視する 予想外の可能性を低く見積もる 最初から何か正しいことがあるわけで 過剰なリスク重視 はなく、様々な議論をぶつけ合うことで、 過剰な自信過剰、冒険主義 よりすぐれた答えを導き出す 何のためか 現在、正しいとされている、科学理論 確率認識の歪み 疑似科学、法則性 も学界などでの、様々な議論の結果、現 レトリック 在正しいとされていること 政治や裁判の場における議論 アンカリング 科学論争 既知の情報の サンクコスト 例えば、、、 科学的に正しいとはどういうことか 「反証、反論することが可能であるにもかかわ 記憶に頼る 影響 らず、その主張が生き残っていること」 7 (Karl Popperの反証可能性テーゼ) 8 逆に、違う意見を認めないもの、反論を許さないものは科学的に正しい 通常の高校の授業と言うよりは大学や大学院の授業の仕方に近い進 とは言えない 行となります 議論ではないもの この授業の特徴 何らかの専門的な知識を得ること 私がそう思うので、正しい を目的としていません 自分が根拠 偉い人が言うから正しい 知識よりも考え方 それは本を読めば出来るので、 むしろ学び方を学ぶ 私の話していることを板書する必 私の話して る を板書する必 「みんながそう思うので、正しい」 要を減らすために、プリントを配って 多数意見が正しいとは限らず、民 います みんなが根拠 主主義はいろいろな意見を出し 授業は双方向 質問は随時して下さい 合った上で多数決をすることが前提 こんな質問や発言をするとバカに になっている されるのではと思いがちですが、そ んなことはありません 「私が毎日祈っているので、太陽が今 日も昇っている」 わかると、できるは大違い 反証させないもの 疑問:祈るをやめたらどうなるのか? ひたすら演習 たくさん、問いを出しますので、ひ 原因と結果なら、原因をなくせば結果が たすら考えて、答えて下さい 変わるはずでは 9 10 ディベートは、議論する能力を身につけるための議論の トレーニング用の競技 ディベートの特徴 具体的内容 •議論が拡散しない様に、テーマが予め設定されて 論題 いる •多くの場合、特定の政策をやるか、やらないか (e.g.日本は死刑を廃止すべきである、是か非か) 3.「ディベート思考」とは何か? •議論を成り立たせるために、肯定側と否定側 にくじ引きで割り立てられる 肯定側と否定側 肯 •論題はどちらの立場でも主張が成り立つもの が選ばれ、双方の立場で考える •話す順番や発言制限時間などがルールで定 められ、公平かつ、合理的に議論をする ルールに基づく発言 •第三者が審判になって、両者の主張を比較 審判による判定 して、勝敗の判断を行う 11 12 2
  • 3.
    2010/6/23 テレビの討論番組やインターネット掲示板での議論が混乱 一般イメージするディベートと実際のディベートはことなる。 するのは、議論をしやすくする土台がないからである ダメな議論のパターン ディベートに関する真実 具体的内容 •テーマが漠然としか、決まっておらず、議論があ 準備をして根拠を磨き合う 論題 ちらこちらに飛躍する 準備 準備した議論をぶつけ合うカードゲー ムに近い •それぞれの立場がはっきりせず、様々な立場 の議論が、入り交じって混乱する の議論が 入り交じって混乱する 肯定側と否定側 肯 •近い立場の人同士が細かい違いで喧嘩を始 双方の立場で準備してそれぞれの弱 める 点を研究しつつ、それを補強する 両方の視点から考えることで、より問 双方 題に関する理解を深め、客観性を持つ •話すルールが決まってないので、勢いで場を 支配したり、都合の悪い議論をスルーしたり ルールに基づく発言 やりたい放題 相手を説得するのではなく第三者を説得する 素人ではなく、議論の専門家を説得する •第三者が存在せず、司会も一緒になって議 第三者説得 ジャッジは、根拠の優劣で決定する 審判による判定 論をかき回す 「誰が」言ったかではなく、「何を」言ったか 13 14 ディベートで身につく力は、非常に汎用性が高いが実は一番大事なの 「自己決定」を必要とされる現代人にとって、「ディベート思考」は新しい は、意思決定能力 教養(Liberal Arts) ディベートで身につく力 今の「自己決定」に役立つ「ディベート思考」 一つの基準ではなく、複数の基準 いくつかの事実から正しい推論を がぶつかり合うのであれば、一定の したり、また推論の間違いを見つけ 最適化ではなく 論理的思考力 方向で問題を解くよりも、違う立場を やすくなります トレードオフ ぶつけて考えが方が良い 大きな違いが生まれる、方針の選択を 社会的な問題から、身近な問題 行うのであれば、そうした選択肢を直接 までどうしたらよいか迷ったときに、 改善ではなく、 意思決定能力 比較しぶつけた方がよい 自分で意思決定が出来るようにな 方向の選択 ります 自分の考えを他人に説明したり、 正解がない以上、意思決定の結論よりも理由 コミュニケーション 他人の説明をよりよく理解できる 正解ではなく、 付けが重要でありその点で根拠のぶつけ合いを 行うディベートは「最善解」を見つけるのによい 能力 ようになります 今の最善解 ジャッジも理由付けを示して判定する 15 16 「カオスの時代」かつ、自己責任の「時代」である、今は、「自己決定の時 代」でもある 三回の構成 なぜディベートなのか 論題のたて方 マクロ メリット、デメリットの考え方 4.論題の作り方 論証の方法、反論の方法 証拠資料の集め方、評価の仕方、反 ミクロ 論の仕方 「他人の意見」の評価法 フローシートの取り方 議論シートの準備の仕方 判定と 判定、ジャッジの仕方 意思決定と行動のPDCAサイクル 再検討サイクル 不確実性とのつきあい方 17 18 3
  • 4.
    2010/6/23 論題は、考えたい問題を解決するための大きな方向性を決めるアクショ ンが良い リンクマップの考え方 論題の決め方 演習問題 「ペットは、犬と猫はどちらか」とかはケースバイ ケース 具体的な主体の 大きな国家か小さな国家かもバランスの問題 日本がワールドカップで活躍するには何をしたらよいのか? アクションがよい アクションは採るか採らないかしかない 複数のアクションが両立するのであれば、それぞれ • 要因分析をさかのぼる 検討すればよい • 因果関係の太さ、細さ、相互関係を吟味する 現在の延長線上ではなく、また同じような施 • ポジティブフィードバック、ネガティブフィードバッ 改善ではなく、 策ではなく、意味のある大きな変化 ク、ループを探す 方向の選択 但し本当に二者択一かを疑う • 価値評価をおこなう 具体的なプランレベルに落とす 論題から 議論を作っていく過程でプランは変化していく プランを作る 19 4.マクロ議論の組み立て方、崩し方 4-1.メリット、デメリットの構築 21 22 メリットとデメリット メリットの三要素 • ある政策をとるべきかどうか判断したい時には、その政 • 内因性(Inherency) 策から予想される「良いこと(メリット)」と「悪い事(デメリッ ト)」を比べて、どちらが大きいか考えることになります。 – 現状に何らかの問題があること そのため、 • 重要性(Significancy) • 肯定側はメリットを提出し、それが否定側のデメリットを上 – その問題が深刻であること 回る、と主張することになります。 • 否定側は、その反対にデメリットがメリットを上回る、と主 • 解決性(Solvency) 張することになります。 – 問題が、その政策によって解決すること 4
  • 5.
    2010/6/23 演習1 演習1(解答) • 次の議論を、内因性・重要性・解決性の3つに整理 してください。 • 内因性 論題:「日本は、原子力発電所を全廃すべきである」 – 日本の原子力発電所は、地震が起こると大爆発する 可能性がある。 – 日本の原子力発電所は、地震が起こると大爆発する可 能性がある。周辺地域の放射能汚染を防ぐために、原 能性がある 周辺地域の放射能汚染を防ぐために 原 子力発電所を全廃すべきだ。 • 重要性 – 大爆発が起こると、周囲が放射能汚染されてしまう。( – 内因性(Inherency) 結果、多くの人が死んでしまう。) 現状に何らかの問題があること – 重要性(Significancy) その問題が深刻であること • 解決性 – 解決性(Solvency) – 原子力発電所を全廃すれば、事故の可能性はゼロ。 問題が、その政策によって解決すること メリットの考え方 デメリットの3要素 • 現状の問題点の洗い出し – 論題に関係しそうな領域で、”今”問題になってことを洗い出す • 既に解決してる問題じゃダメ! • 発生過程(Linkage) – 論題を実行した時に、新たな問題が発生する過程 • 現状の問題の取捨選択 – 深刻さの度合いによって、どの現状の問題を取り上げるべきか、 • 深刻性(Impact) 取捨選択する – その問題が深刻であること • “論題の主体”にとって重要な問題をチョイス! • “何となく”ではなく、“なぜ深刻なのか”をきちんと説明できる? • 固有性(Uniqueness) • 解決性を検討 – 現状ではそのような問題が生じていないこと – きちんと論題(政策)によって解決できそうかを検討する • 逆に問題よりも機会の取り込みの場合もある。 演習2 演習2(答え) • 次の議論を、固有性・発生過程・深刻性に整理してください。 • 発生過程1:原子力の電力をその他の発電所で補わなくてはいけなくなる。 論題:「日本は、原子力発電所を全廃すべきである」 • 発生過程2:その他の発電所では原子力の発電を補いきれない – 原子力発電所を全廃すると、その分の電力をその他の発電所で補わなくてはい けなくなる。 – しかし、その他の発電所では原子力の発電を補いきれないため、電力が多く消費 • 発生過程3:電力が多く消費される日には停電する可能性が高い される日には停電する可能性が高い。 – 停電による経済的な損失を防ぐために、原子力発電所の全廃はやめるべきだ。 • 深刻性:停電すると、経済的な損失がある • 発生過程1: • 発生過程2: • 固有性:現在は、原子力発電所があるので電力供給に問題はない • 発生過程3: • 深刻性: • 固有性: 5
  • 6.
    2010/6/23 演習3 次の状況において考えられるメリット、デメリットを出 デメリットの考え方 してみよう • ストーリー作り 問題状況 – 論題に対する反対派の資料や、自分の発想で、論題を実行した らどんな悪いことが起こりそうか、ストーリーを立ててみる。 • とにかく想像力豊かに! • Aさんは、就職活動の中盤でなんとか、X社から内定を採 ることが出来ました。第一志望群からは内定が取れてお • 固有性の確認 らず、X社はベストな就職先ではありません。内定が決ま – その問題が、現状でも起こっている問題でないか確認する。 その問題が、現状でも起 て る問題でな か確認する。 ったところで、X社からは、入社前研修やインターンなど • 他の理由で今でも起こってはいないか? のオファーが来ています。 オ が来 ます • 深刻性の確認 • 「Aさんは、就職活動を打ち切るべきである」是か非か – その問題が、考慮すべき深刻さがあるかを確認する。 • “論題の主体”にとって重要な問題をチョイス! • “何となく”ではなく、“なぜ深刻なのか”をきちんと説明できるか? • 以上の状況で考えられるメリット、デメリットを出してみま しょう • 意外に重要なデメリットは「機会費用」 – この論題を採択しなければ実現できるはずだったことが出来なく なってしまうその損失 演習3解答例 メリット編 演習3解答例 デメリット編 例えば以下のようなメリットが考えられる 例えば以下のようなデメリットが考えられる • X社よりも、よりよい就職先に就職できる • 就職活動を続けることで、引き続き多くの時間を消費する ことになる • 就職活動自体を、学習や成長の機会として活用できる • たとえ他の就職先が決まらなくても、就職先への納得感 • 就職先が確定しないことで、自分が(親が)精神的に落ち が高まる 着かない期間が続く • 研修に集中できないので、入社してからのパフォーマン ス、評価に悪影響が出る 演習4 次の状況において考えられるメリット、デメリットを出 もう一度メリットの要件について復習 してみて、それぞれについて、三要件を確認してみよう 問題状況 メリットの3要件 • Aさんは、就職活動の中盤でなんとか、X社から内定を採 ることが出来ました。第一志望群からは内定が取れてお • 内因性 らず、X社はベストな就職先ではありません 現在プランを取っていないことで問題が起こっている ということ と う と • 「Aさんは、X社の内定を受けて、就職活動を打ち切るべ きである」是か非か • 重要性 その問題が解決すべき重要なものであるということ • 以上の状況で考えられるメリット、デメリットを出してみま しょう • 解決性 プランの実施で問題が解決するということ 6
  • 7.
    2010/6/23 メリット編 もう一度デメリットの要件について復習 例えば以下のようなメリットが考えられる デメリットの3要件 • X社よりも、よりよい就職先に就職できる • 固有性 • 就職活動自体を、学習や成長の機会として活用できる 現状では問題が起こっていないということ(=プランで はじめて問題が起こる) • たとえ他の就職先が決まらなくても、就職先への納得感 • 発生過程 が高まる プランの実施で問題が発生するということ • 深刻性 発生する問題が深刻であるということ デメリット編 例えば以下のようなデメリットが考えられる • 就職活動を続けることで、引き続き多くの時間を消費する ことになる 4-2.メリット、デメリットに対する反論の仕方 • 就職先が確定しないことで、自分が(親が)精神的に落ち 着かない期間が続く • 研修に集中できないので、入社してからのパフォーマン ス、評価に悪影響が出る 40 演習5:それぞれの反論はメリットのどの要件を批判してい もう一度メリットの要件について復習 るのか? • 議論1「一院制を導入すると選挙の回数が減って各政党 の財政難が解消する」 ←「各政党の財政難のどこが問題なのか。国民にとっては メリットの3要件 どうでもいいことだ」 • 内因性 • 議論2「一院制を導入すると与党が法案を通しやすくな 現在プランを取っていないことで問題が起こっている り、抜本的な景気対策が進む」 り 抜本的な景気対策が進む」 ということ と う と ←「そもそも景気対策が参議院のせいで妨害されていると いう問題など起こっていない」 • 重要性 • 議論3「一院制を導入すると議員定数が減って議員が その問題が解決すべき重要なものであるということ 淘汰され、これまでより議員の質が向上する」 • 解決性 ←「議員定数が減っても、世襲議員、タレント議員、元官僚 プランの実施で問題が解決するということ 議員が候補者選定で優先されるので優秀な議員が選ば れるという保証はない」 7
  • 8.
    2010/6/23 演習6:それぞれの反論はデメリットのどの要件を批判して もう一度デメリットの要件について復習 いるのか? 議論4「一院制を導入すると憲法改正の発議が、一回の選 挙で3分の2多数をとればできるようになり、憲法改悪に なる」 デメリットの3要件 ←「発議がされても、国民が反対する憲法改正は国民投票 • 固有性 を通過できないから、憲法改悪には至らない」 現状では問題が起こっていないということ(=プランで 議論5「 院制を導入すると多数の議員が失職してしまう」 議論5「一院制を導入すると多数の議員が失職してしまう」 はじめて問題が起こる) ←「衆議院と重複した審議しかしていなかった議員は失職し • 発生過程 て当然であるし、政治家の失業は国政上考える必要がな プランの実施で問題が発生するということ い」 • 深刻性 議論6「一院制を導入すると審議の慎重さが失われ、人権侵 害の法案が通ってしまう」 発生する問題が深刻であるということ ←「現在の二院制でも通信傍受法案など人権侵害のおそれ が強い法案が成立してしまっている」 メリットへの反論(応用編) 演習7:メリットに反論してみよう! • メリット:重要法案を速やかに成立させられる メリットへの反論をもっと細かく分類することが可能 • 「現在、参議院で野党が過半数を占める『ねじれ国会』と • 内因性(プランを導入しないと問題がある)への反論 なっており、重要法案が参議院で否決された結果重要な ① プランを取らなくても問題は解決する 法案の成立が遅れている。そのため、経済政策や福祉 ② 現状に問題はない 政策で遅れが出ており、国民に大きな不利益が生じてい る。そこで 院制を導入すれば、ねじれ国会現象はなく る。そこで一院制を導入すれば、ねじれ国会現象はなく • 重要性への反論 なり、法案がストレートに通るようになり、国民の利益とな ③ 質的に重要ではない る。」 ④ 量的に重要ではない • 解決性への反論 ⑤ プランの効果は小さい ⑥ プランをとっても別の要因が生じるため問題は解決しない ⑦ プランは問題の原因を正しく解決しない それぞれの反論はどのパターンの批判か? デメリットへの反論(応用編) 反論1:現在でも特に重要な法案については優先的に審議され、与野党 の協力により速やかに可決に至っている デメリットへの反論ももっと細かく分類することが可能 反論2:一院制になっても野党はより激しい審議拒否や牛歩戦術などで 対抗するから、法案の通るスピードはあまり速くならない • 固有性への反論 反論3:成立の遅れている法案は外交関係などであり国民の生活には ① プランを取っていない現状でも問題は起こっている 直接関係ないから、国民にとって不利益であるとはいえない ② プランを取らなくても将来同様の問題が起こる 反論4:ねじれ国会となって以降、成立しなかった重要法案は少ししかな 反論4:ねじれ国会となって以降 成立しなかった重要法案は少ししかな • 発生過程への反論 い ③ プランからデメリットにつながることはない 反論5:野党は国民の支持を失わないようにするため、今後は無意味な 審議遅延を避けようとしている ④ プランだけではデメリットの発生には至らない(他の条件が必要) ⑤ プランの影響はデメリット発生に至るには弱すぎる 反論6:法案成立の遅れは省庁での原案作成に時間がかかっているせ いであり、参議院を廃止しても法案成立のスピードは改善しない • 深刻性への反論 ⑥質が小さい ⑦量が小さい 8
  • 9.
    2010/6/23 演習8:デメリットに反論してみよう! それぞれの反論はどのパターンの批判か? • デメリット:憲法改悪 反論1:国民投票で支持された憲法改正なら国民にとってもよいことで あるはずで、憲法改正=悪という考え方は間違っている • 「これまでは二院での憲法改正の発議という厳格な手続 反論2:そもそも与党議員が戦争のための改憲をたくらんでいるという証 が要求されたことなどから憲法改正はされてこなかったし 拠はない 、現在では参議院を野党が支配しているので憲法改正 反論3:野党にも9条を含めた憲法改正の支持者は多数いるため、二院 はできない。しかし、一院制になると憲法改正が容易とな 制の下でも機会があれば憲法改正の発議がされる可能性は高い り、戦争遂行を可能にするような憲法改正を狙っている 反論4:参議院がなくなって憲法改正の発議がされるようになっても、国 反論4:参議院がなくなって憲法改正の発議がされるようになっても 国 与党議員により改正の発議がされ、9条など重要な条項 民投票の段階がある限りは改悪には至らない が改正される。これにより、国民の権利が制約され、戦争 反論5:衆議院においても憲法改正に賛成する議員は3分の2に満たな という悲惨な事態にもつながる」 いので、参議院を廃止しただけでは憲法改正には進めない 演習9 職業における満足をMECEに分析すると、 職業における満足の分解 具体例 • 先ほど作ってみた、「Aさんの就職活動を終わらせる」メリ 短期的満足 •給与の絶対水準 ット、デメリットを整理してみよう •アップサイドボーナスの度合い •市場価値の高いスキル 経済的満足 長期的満足 • 様々な視点から、それぞれのメリット、デメリットを批判し •長期的なキャリアプランが明確 てみよう 職業に おける満足 •顧客に満足してもらえる 外的満足 •一緒に働く仲間が優れている 精神的満足 •社会に役立つ •知的に刺激がある 内的満足 •変化が大きく、スリルがある •落ち着いて仕事に専念できる 52 9