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学習場面での
学習者や指導者の
恐れと処方箋
笑顔のおうちクリニック松戸
全日本患者安全組織文化学習支援財団
松本尚浩
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 1
投票準備をお願いします
2
http://goo.gl/BuAec6JASHEP2016@Hamamatsu24 Sep 2016
投票画面のご案内
3
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歓迎です
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu
不安と恐怖の違い
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 4
不安と恐怖には違いがある
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 5
0A B C D E F
不安では、明確な対象がない
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 6
0A B C D E F
不安と恐怖は「対象の有無」の差
不安:特定の対象が存在しない 恐怖:対象が存在する
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 7
(http://pictogram2.com/?p=1988) (http://pictogram2.com/p/p0478/1.png)
Figure 3
Copyright © 2013 Elsevier Inc. Terms and Conditions
不安と恐怖に異なる神経経路
(Neuron 2013 78, 537-544DOI)
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 8
不安は三角中隔核、
恐怖は前交連視床核
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 9
(http://www.qlifepro.com/rssCollection/rssimg/3c991c6fbaf436434d6640b9b0fb3b88/d020b4dd5b3eed32bdc90f063fda32b8.png)
学習場面での
学習者や指導者の
恐れと処方箋
笑顔のおうちクリニック松戸
全日本患者安全組織文化学習支援財団
松本尚浩
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学習場面での
学習者や指導者の
不安・恐れと処方箋
笑顔のおうちクリニック松戸
全日本患者安全組織文化学習支援財団
松本尚浩
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 11
はじめに
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 12
指導者が気づく以上に、
学習者は不安感・恐怖心を持っている
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 13
0A B C D E F
重要な背景(1/2)
• 不安感と恐怖心は教師が気づい
ている以上に学習者の生活の中
でおおきな比重を占めている
– (144頁、『学習意欲をデザインする』、北大路書
房)。
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 14
指導者は学習者の失敗への恐れや
不安感を、学習者よりも低く見積もる
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 15
0A B C D E F
重要な背景(2/2)
• 教師のほぼ全員が、生徒が感じ
ている失敗への恐れや不安感を、
生徒より低く見積もっていた
– Keller, 未発表調査研究
– (144頁、『学習意欲をデザインする』、北大路書
房)。
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 16
物語1:講習会に参加したくない
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 17
物語1:このままじゃ駄目だけど
• 就職10年目の放射線技師
• 最近、造影CT検査中、急変があった。
• 慌てているうちに若手同僚が対応。
• 自分は何も出来なかった。
• 心肺蘇生術実践能力の必要性を感じた。
• 院内での心肺蘇生術を見学した。
• 心肺蘇生術コースには他部署職員や・若手同
僚も参加していて、人前で失敗したくない。
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 18
この物語での
心の仕組み
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 19
変わらないと不安
変われるか不安
物語1:このままじゃ駄目だけど
• 就職10年目の放射線技師
• 最近、造影CT検査中、急変があった。
• 慌てているうちに若手同僚が対応。
• 自分は何も出来なかった。
• 心肺蘇生術実践能力の必要性を感じた。
• 院内での心肺蘇生術を見学した。
• 心肺蘇生術コースには他部署職員や・若手同
僚も参加していて、人前で失敗したくない。
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 20
生き残りへの不安
• ある行動が出来ないと自分は不利
• 生き残りの不安自体は、学ぶ動機付け
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 21
学習することへの不安(1/2)
• なかなか上達しない自分を許せない
• 困難やマイナス面を予想して心配。
• 変わることに対して抵抗を感じる。
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 22
学習することへの不安(2/2)
• せっかく新しい習慣を身につけても、それ
を周囲が理解せず、快く受け入れてもらえ
ないかもしれない。
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 23
物語1:このままじゃ駄目だけど
• 就職10年目の放射線技師
• 最近、造影CT検査中、急変があった。
• 慌てているうちに若手同僚が対応。
• 自分は何も出来なかった。
• 心肺蘇生術実践能力の必要性を感じた。
• 院内での心肺蘇生術を見学した。
• 心肺蘇生術コースには他部署職員や・若手同
僚も参加していて、人前で失敗したくない。
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 24
自分でコントロール出来る
ガスコンロの火は不安が小さい
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 25
0A B C D E F
自分でコントロール出来そうにない
近所の大火事の火は不安が大きい
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 26
0A B C D E F
大きな火事でも自信のある消防士には
自分にコントロール可能と不安が小さい
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 27
0A B C D E F
「学びの過程」で起こることを
コントロール可能と感じると不安軽減
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 28
0A B C D E F
この物語の状況で、どうする?
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 29
「学び直す不安」の軽減(1/2)
その新しい行動には学ぶ価値があって
習得可能なものと実感する。
導いてくれる指針やコーチングや支援
があると認識
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 30
「学び直す不安」の軽減(2/2)
せっかく身につけたものを実践する場
があると感じたい。
もし、これから学ぼうとしていることが、
なんらかのかたちで馴染んできた文化
に合わないものであるならば、これら
のサポートを自分自身で調達しなけれ
ばならない。
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 31
ワイナーの成功・失敗の原因分類
安定性
統制の所在
内的 外的
安定 能力 課題の困難度
不安定 努力 運
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 32
ワイナーの成功・失敗の原因分類
安定性
統制の所在
内的 外的
安定 能力 課題の困難度
不安定 努力 運
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 33
生じた結果の
原因は
自分にある
ワイナーの成功・失敗の原因分類
安定性
統制の所在
内的 外的
安定 能力 課題の困難度
不安定 努力 運
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 34
生じた結果の
原因は
自分でないこと
ワイナーの成功・失敗の原因分類
安定性
統制の所在
内的 外的
安定 能力 課題の困難度
不安定 努力 運
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 35
変えられそうな原因
変わり得る原因
ワイナーの成功・失敗の原因分類
安定性
統制の所在
内的 外的
安定 能力 課題の困難度
不安定 努力 運
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 36
変えられそうにない原因
変わりにくい原因
「学びをコントロール出来る」ために
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 37
動機付けのARCSモデルとその下位分類を
ご参照(日本語版168-73, 297-300p)
行動と結果における
統制の位置と自己効力感の違い
努力
(ゴールへ)
行動
結果
(成果)
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 38
自己効力感
(成功への期待)
統制の所在
(結果のコントロール観)
(Fig 6.2, Motivational Design for Learning and Performance: The ARCS Model Approach より改変)
ARCSモデル応用:
Confidence(自信)への処方例
• C1: 学習の要求(何を学ぶ、何が評価される)
– 学ぶ内容を具体的に、行動で示す。
– 自分でチェックリストを作る
• C2: 成功の機会
– 難易度を学習者レベルに適合させる
– 練習が学習目標・内容・事例に合致
• C3: コントロールの個人化
– 学ぶ内容・方法などを自分で決めるよう支援
– 学習者が学習環境を選択できるよう支援
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 39
動機付けのARCSモデルは
学びの場で応用している
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 40
0A B C D E F
行動と結果における
統制の位置と自己効力感の違い
努力
(ゴールへ)
行動
結果
(成果)
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 41
自己効力感
(成功への期待)
統制の所在
(結果のコントロール観)
(Fig 6.2, Motivational Design for Learning and Performance: The ARCS Model Approach より改変)
統制の所在に焦点をあてた
処方例を試みます
大きすぎる課題
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 42
挑む課題が困難過ぎると、
心が萎えてしまいます(苦笑)
統制の所在と原因帰属の応用1
安定性
統制の所在
内的 外的
安定 能力 課題の困難度
不安定 努力 運
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 43
成功確率が50%程度の
課題に挑む
統制の所在と原因帰属の応用2
安定性
統制の所在
内的 外的
安定 能力 課題の困難度
不安定 努力 運
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 44
成功したら、原因は
内的要因にあると認識する
統制の所在と原因帰属の応用3
安定性
統制の所在
内的 外的
安定 能力 課題の困難度
不安定 努力 運
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 45
失敗
したら、
原因は
努力にあると
認める
行動と結果における
統制の位置と自己効力感の違い
努力
(ゴールへ)
行動
結果
(成果)
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 46
自己効力感
(成功への期待)
統制の所在
(結果のコントロール観)
(Fig 6.2, Motivational Design for Learning and Performance: The ARCS Model Approach より改変)
自己効力感に焦点をあてた
処方例を試みます
「失敗の恐れ」への処方へ
スキナー「プログラム学習の5原理」応用
(1)小ステップの原理
(2)積極的反応の原理
(3)即時確認の原理
(4)自己ペースの原理
(5)学習者検証の原理
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 47
学習者がなるべく
失敗しないように、学習の
ステップを細かく設定する。
学習者個々が
自分のペースで
進められるようにする。
適切なスピードは
学習者それぞれによって
異なる。
「失敗が怖い」処方箋例
• 中堅・管理者向け講習会
– 自分のペースで学べるコース
– 自分で練習方法・環境選択
• 若手同僚の目の前で失敗を避けることが出来る
• 現場での成功支援
– 講習会での学習内容を現場で実践機会へ
– 現場での成功についてふり返り会話
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 48
動機付けのARCSモデルは
学びの場で応用してみたい
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 49
0A B C D E F
物語2:練習では出来たのに
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 50
物語2:本番では上手くいかない
• 静脈路確保の講習会に参加後の新人看護師
– 筆記試験合格
– 実技試験合格
• 現場で患者さんに輸液する場面
– 何度も失敗
– 患者さんが泣き出した
– 先輩に「講習会に参加したはず」と叱られた
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 51
この物語での
心の仕組み
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 52
練習と実際が
違うので
不安
物語2:本番では上手くいかない
• 静脈路確保の講習会に参加後の新人看護師
– 筆記試験合格
– 実技試験合格
• 現場で患者さんに輸液する場面
– 何度も失敗
– 患者さんが泣き出した
– 先輩に「講習会に参加したはず」と叱られた
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 53
達成確認方法は適切か?
どっちが本物(真正性)か?
現場環境と異なる教育環境 現場には患者さん・家族など
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 54
(http://www.ntu.ac.jp/images/kango/kango_bloodpressure_001.jpg)
学びは、学習者の場で起こる
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 55
学習は、学習者の脳だけで起こっているではない。
学習者の学びの場で起こっている。
Authenticity(真正性・真実性)
• 将来ほんとうにその力が必要になる場面で
• その場で要求される知力(本物の知力)
• 例:静脈注射・採血
– 場面:検査室、患者さん、ご家族、同僚、上司
– 本物の知力:注射の知識、技術。患者さんとの対
応、ご家族との対応。同僚・上司との関わり
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 56
この物語の状況で、どうする?
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 57
現場で出来るための処方箋例
• 真正な文脈(現場で起こりそうな状況)クイズ
– 問い:アルコールで拭くと赤くなったことがある患
者さんでは、どう対応するか?
• 1)◎◎、2)△△、……
• 記述しましょう
• 習熟度に応じた支援(足場かけ)
– 現場での試行時に、状況次第で手伝う指導者
• ふり返り会話
– 現場実践から、次回実践改善の計画立案
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 58
物語3:ついつい介入したくなる
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 59
物語3:ついつい、講義する
• 院内での教育担当医師
– 教育理論を学んでいる。
• 様々な教育手法を知っている。
– 講義以外の教育手法を応用している。
• 短い話と、実技、グループ議論などを試す
– 学習者の状況を見ながら、適宜介入。
– 徐々に、介入の度合いが高くなる
• 時限の後半は、ほとんど講義になる
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 60
学習の場で、重要なのは、
指導者が活躍することである。
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 61
0A B C D E F
この物語での
心の仕組み
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 62
指導者が
不要な場の
不安
「役に立つ支援」と
「役に立たない支援」がある
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 63
指導者は学習者に頼まれたのか
頼まれていない指導者
• その教室の担当指導者
• 割り当てられた指導者
頼まれた指導者
• 尊敬する実践者
• 真似したい実践者
• あこがれの実践者
• 指導力を見込んだ人
• その評価を受け入れたい人
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 64
役に立つ指導者
(学習支援者)を目指そう
学習の場で、重要なのは、
学習者が学ぶことである。
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 65
0A B C D E F
指導者は「◎◎主義?」
行動
主義
認知
主義
折衷
主義
構成
主義
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 66
学習者に適切な学習観で
学習支援していますか?
理論は学習者と課題により折衷で(鈴木克明(編著)(2004)『詳説インストラクショナルデザイン:eラーニングファンダメンタル』、図表9-11より改変)
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 67
学習者の習熟度
学
習
課
題
高
次
化
学習者に応じた理論を選択
課
題
に
応
じ
た
理
論
を
選
択
この物語の状況で、どうする?
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 68
「失敗の恐れ」への処方例
スキナー「プログラム学習の5原理」応用
(1)小ステップの原理
(2)積極的反応の原理
(3)即時確認の原理
(4)自己ペースの原理
(5)学習者検証の原理
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 69
プログラムの善し悪しは、専門家が判断するのでは
なく、実際に学習が成立したかどうかで判断する。
(学びの過程改善に学習者を巻き込む)
「ファシリテータは教えない人」の誤解
• 状態
– 教師は新しい知識を直接的に教えるべきではない
– 生徒たち自身で知識を構成させるべき
• 原因
– 認知理論と教授理論を混同したための誤解
• 処方箋
– いかなるメカニズムで学習が進む(と考える)にせよ、
そのプロセスを外側から支援するように工夫
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 70
デブリーフィング支援者の第1段階
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 71
(出典:医療職の能力開発 vol.2, 25-34, 2013)
デブリーフィング支援者
デブリーフィングを仕切る指導者
デブリーフィング支援者の第2段階
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 72
(出典:医療職の能力開発 vol.2, 25-34, 2013)
デブリーフィング支援者
皆さんは、デブリーフィング実践者の
会話内容に応じて、適宜介入します。
デブリーフィング支援者の第3段階
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 73
(出典:医療職の能力開発 vol.2, 25-34, 2013)
デブリーフィング支援者
学習者が自発的に
振り返り会話を実践する状況を見守ります
工業時代教育から情報時代学習へ
(Reigeluth, CMによる)
工場時代の教育
• 教師中心
• 内容中心教育
• 時間基盤型教育
• 集団教育
• 人の篩分けに利用
情報時代の学習
• 学習者中心学習
• 学習到達基盤型学習
• 個別化学習
• 人の発達に役立つ
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 74
学習者中心学習では
教師の役割は多様です
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 75
第4巻(最新刊)には学習者中心学習の
理論が解りやすく解説されています。
「ついつい介入」処方例
• 学習者の状況を確認
– クイズで学びの場をはじめよう
– 学習者に教える役目を果たしてもらう
• 学習者に「好きな学び方」を支援
– 好きな学び方を尋ね、選択・実践へ
• 指導者の使用教材の改善を学習者と共に
– 解りやすい教材へ練り上げ
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 76
資料
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 77
心理学・学習心理学、教授システム学
• 心理学
– https://goo.gl/RAcJcr
– http://www.2px.jp/psycho/
• 教育・学習のモデル
– https://goo.gl/QUKzef
• ARCSモデル(教授システム学)
– https://goo.gl/eK0lWK
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 78
このプレゼンテーションファイル欲しい
A: 全くそう思わない
B: あまりそう思わない
C: ややそう思わない
D: ややそう思う
E: かなりそう思う
F: とてもそう思う
24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 79
0A B C D E F
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• SlideShareからダウンロード
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• メールで連絡
– takahiro.matsumoto418@gmail.com
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24 Sep 2016 JASHEP2016@Hamamatsu 80

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