東北弁
論文①<文の記憶再生における述語動詞の動作化の効果>
                      川村義冶


   目的:述語動詞の意味を動作で表すことによ
    る文の記憶再生効果を検証

      二重符号理論
    テムと非言語
                   …情報は言語シス

                   システムに分け
    て表象される




 2つのシステムが稼働すれば加算的効果
 により記憶再生が高まる<仮定>
実験1

例:状態動詞 fear→「両手で身をかばう」とい
 う動作


      「恐怖」という概念の身体的イ
メージ

 心的状態や関係が人間としての共通の身体的経験や関
係を表す動詞の概念は、その形成基盤となっている身体
経験を体現する動作により、イメージ化できる。
実験2
   コーパス資料から選択した高頻度動詞と低頻度
    動詞を用いた文の記憶実験
         動作はどちらの条件でも記憶再生
    に効果
         あり。
      高頻度動詞    call(535),follow(460),like(424),read(2
                            84),take(1797),tell(775),want(945)



         低頻度動詞              Admire(22),assemble(17),
                            classify(16),criticize(17),exhibit(18),gu
                            ard(14),tolerate(12)



   表1    実験2で用いる動詞
結果

   述語動作の属性や使用頻度に関わらず、動作
    は広範囲な内容の文の記憶再生を高める手が
    かりになることが示唆



   ~課題~
   動詞の種類による保持の差があるかどうか
論文②<認知符号化法による目撃者の記憶促進>

越智 啓太



この研究では、事件や事故に遭遇した時に、目撃
 した出来事を後でできるだけ多く想起するため
 の符号化方略について検討している。

   越智氏は、次に4つの認知符号化法を比較し、
    統制群も用いて実験を行っている。
   ①言語的符号化
   見た出来事を言語化する方法。



   ②視覚探索方略
   意図的に多くの点を凝視する方法。

   ③深い処理方略
   人物を記憶する場合には、「この人はどんな性格で、どんな職業
   についているか」などを考える方法。

   ④イメージ符号化方略
   記憶する対象が現れたら、解釈や推論したりせず、見たままをあり
    のままにイメージする方法

    ※統制群として
   できるだけ努力して記憶せよという教示を用いた。
   対象:大学2~4年生の女子89名

実験内容:
 ある事件を描いたスライド10枚を見て、その内
容を指定された符号化方略を用いて、できるだけ
多く記憶させる。後に、再生テストを受けてもら
う。

~テストの質問内容~
事件の現場、犯人や被害者の服装、人相、行動
などの36問からなる
テストの結果

   言語的符号化と、特に方略を指示されなかっ
    た統制群を用いた生徒の成績が優れていた。

   一方で、視覚探索、深い処理方略、イメージ
    符号化方略を指定された生徒の成績は、劣っ
    ていた。
考察
   日常場面を記憶することは、私たちは普段か
    ら行っており、すでに熟練している。
   このような状況で、何らかの符号化方略を使
    用するよう強制されると、慣れておらず最適
    でない方略が使われてしまう。
   結果的に記憶は促進されないのではないか。
論文③<中国人向けカタカナ語eラーニング教材の開発と視
覚的刺激の有効性の検証>
                        著者:
李峰宋、板谷雄二



  目的
  同じ学習内容で
  画像の付いているカタカナ語教材と
  単語と解釈のみのカタカナ語教材を
  開発し、2つの教材の学習効果を比
  較。

      視覚的刺激の有効性を検証
方法
   画像の付いているカタカナ語教材<教材A>と
     単語と解釈のみのカタカナ語教材<教材B>を
     中国人向けにウェブ上で公開し、学習者を募集。
  有効学習者の学習履歴を利用し、教材の学習効果を比較
する。

   被験者(有効学習者)45名
     日本語を学習している中国人大学生
     大学を卒業し日本と関係のある会社で働く中国人

   教材は、利用案内、事前テスト、各レッスンおよび事後テスト、学習終
    了という構成である。学習者の進行状況、学習時間、テスト得点などの
受講率(45名中)
教材A:71.1%(32名)   教材B:68.9%(31名)

修了率(45名中)
教材A:71.9%(23名)   教材B:38.7%(12名)
★イラストや写真などによる多くの視覚的刺激が与えられる
ことによって、学習意欲を向上させることができた。


   上位層と下位層の
     修了率の比較(右図)

    ★イラストや写真など
    は
    初級者にとってさらに
    効果がある。
縦棒:各レッスンの
                           練習問題の平均成績
                           水平直線:教材ごと
                           の練習問題の平均成
                           績
    練習問題の平均値の比較(上図)
   教材ごとの練習問題の平均成績
     教材A:94.4点、教材B:85.5点


       ★イラストや写真が学習にとって有
       効
       ★教材A・・・より多くの視覚的刺
       激
               →言語記憶の促進
論文④第2言語の発語における単語の検索過程


著者:松見法男



 目的
第2言語の単語の検索過程が、第2言語の習得レベルによって
異なることを調べる
 仮説

同じような方法を用いて符号している第2言語の単語であれ
ば、上級者は初級者に比べてその単語をより速くより正確に検
索できるであろう。
 被験者
初級:中学3年生12名
中級:英語を専攻していない大学生12名
上級:中学校の英語教師12名
 実験内容

日本語単語、写真、英語単語を見る
日本語音読、日本語‐英語翻訳、写真‐日本語命
名、英語‐日本語翻訳、英語音読
結果
結果
初級
日本語‐英語翻訳の時間が写真英語命名の時間よりも短い
(10.74秒)
中級
日本語‐英語翻訳の時間が写真‐英語命名の時間よりも短い
(4.35秒)
上級
日本語‐英語翻訳の時間と、写真‐英語命名の時間との間胃
に差がなく、写真‐日本語命名の時間と写真英語命名の時
間との間にも差がない(1.60秒)

上級者ほど、単語をイメージとしてとらえてい
る!
論文⑤<ボディメカニクス習得における視覚的教育方法に関する検討>
-動作解析装置を用いたベッドメーキング動作の分析-


   土井 英子、石本 傳江、椋代 弘
   新見公立短期大学紀要 21, 75-82, 2000-12-25




<研究目的>
看護学援助初期の学生の動作傾向を明らかにし、それを用
いた視覚的教材の有効性について研究する。

※今回は視覚的教材の有効性にのみ注目し
た。
<研究方法>
ベッドメーキングを行う際の、学生の動作傾向の差を比較
する。

 A群→視覚的指導あり

               <指導内容>
               ①ベッドメーキングのビデオ
               映像を学生にみせて全体の傾
               向をつかませる
               ②自分の行った動作と模範的
               な動作を比べさせる
               ③修正が必要だと思う所をそ
               の場で確認
               ④教員による模範動作で再確
               認させる

 B群→視覚的指導なし
<実験結果>




(ずれ、移動率をパーセントで表している。値が大きいほど動きが大き
い。)
   3つの項目において、特に差が見られた。
   視覚的指導を行った学生の値が基本的に小さいことが分か
    る。
視覚的指導は学生が動作を理解するには有効な方
法であることが分かった。
   論文⑤<映像の心理学>
    -実践場面における映像の効果-


    中島 義明・井上 雅勝

   ○目的
   学習過程における映像効果という特定の文脈で書かれた先行研究を概観し、これらを
    心理学的視点から再検討すること、さらにそこから今後の研究の方向性を探っていく
   ○実験
   Clark(1978)による実験
   32人の大学生に対して幾何学的な15のデザインに関する言語・映像情報を与え、
    それに従って被験者にデザインを書かせ、さらに提示された情報に該当するデザイン
    の再認テストを行った。ただし、どのようなデザインを描くかを示すために、(1)
    その手順についての文章を提示する、(2)文章をナレーションとして聴覚提示す
    る、(3)文章を読み上げる教示者を視覚提示し、かつナレーションを聴覚提示す
    る、(4)デザインのみを視覚提示する、(5)デザインを視覚提示し、かつナレー
    ションを聴覚提示する、という5つの条件を設定した。
   ○結果
   即時再生テスト、再認テストどちらとも、デザインと言語情報を同時に提示する条件
    (5)が最も再生成績がよく、次いでデザインのみを提示する条件(4)の成績がよ
    かった。
   ○考察
   視覚的な記憶課題において言語情報を併用することが最も効率的な方法である。

東北弁発表