生徒指導論まとめ
     理農工教共通

       富田英司
     愛媛大学教育学部



1
アセスメントとは
「見立て」とも言われ、解決すべき問題や課題のあ
る事例(事象)の家族や地域、関係者などの情報か
ら、なぜそのような状態に至ったのか、児童生徒の
示す行動の背景や要因を、情報を収集して系統的に
分析し、明らかにしようとするものである。(略)
アセスメントを行うに当たっては、校内で組織的対
応を行うことが重要である。例えば、暴力行為には
、思春期の心理、発達の課題、児童虐待や薬物の影
響、友人関係など様々な要因が考えられる。その理
解により指導方法が異なるので、要因を情報に基づ
いて的確に明らかにすることなどが重要である。
(生徒指導提要, P104)
2
アセスメントのポイント(伊部, 2008
            )
• 家庭環境:家族構成,保護者の性格・教育方針,親
    子関係,夫婦関係,経済状況,きょうだい関係,力
    のあるところ,援助を必要とするところ
• 学校環境:友人関係,教師との関係,学習状況,学
    校生活全般(休み時間,保健室,給食,各授業中,
    部活,登下校等)
• 地域環境:家族,本人を支える資源の有無
• 本人自身:学力・体力・運動能力,性格,好き嫌い
    ,こだわり,得意・不得意等,発育状況,日常生活
    (睡眠時間,起床,就寝時間,食事,入浴等),発
    達障害,虐待の有無,自尊感情,人への信頼感
3
アセスメントのための具体的手法
–   アンケート
–   観察法(自然観察,参与観察,組織的観察)
–   面接法
–   心理検査法
    • 知能検査(面接法と質問紙法)
    • 質問紙法による性格検査(Y-G性格検査等)
    • 作業検査法(内田クレペリン精神作業検査)
    • 投影法(質問紙タイプもある:ロールシャッハ,TAT)
    • 社会測定的技法(ソシオメトリー)
      – ソシオメトリック・テスト
         » 結果の表示:ソシオグラム,ソシオマトリックス
      – ゲス・フー・テスト
– 児童生徒の提出物の利用
    • ポートフォリオや日記等
面接法のバラエティ
        (生徒指導提要を一部改変)
    • 代表的な相談形態    • 代表的な相談媒体
      – 個別相談        – 対面相談
      – グループ相談      – 電話相談
      – チーム相談       – 手紙相談
      – 呼出し相談       – FAX相談
      – チャンス相談      – メール相談 など
      – 定期相談
      – 自発相談 など

5
ソシオメトリーを利用する際の留意点

a) テストの結果は,ある時点における特定
   の側面からみた人間関係にすぎない.
b) 目的を明確にし,その結果を生かすよう
   に利用する.
c) あくまで指導のための手段であり,差別
   や偏見を助長しないように配慮する.
d) テストを行うこと自体が,集団の人間関
   係に影響を及ぼす可能性を考慮する.
アセスメントの注意点
    •   身体的,心理的,社会的側面等,複数面を考慮
    •   一般的理解と個別理解
    •   客観的理解と共感的理解
    •   正しいアセスメントはあり得ない
    •   絶え間ない仮説検証の過程:一度きりではない
    • 問題行動の原因や要因が理解できなくても,問題解決す
      ることはある
    • 診断やラベル貼りではなく,問題解決のための資料収集
      と分析が目的
    • 心理検査の実施は専門家に依頼する
    • 組織的対応と保護者とのラポールが基盤

7
滋賀県教育委員会
    スクールソーシャルワーク的学校不適応支援事業

    1. アセスメントとプランニングを重要視
    2. ケース会議の定期的開催
    3. B-PDCAサイクルの採用
     –   “B”:ベーシックアセスメント
    4. ベースシートの活用
     –   支援の共通認識や情報収集,記録作成,SSW概念の
         意識化に役立つ




8
生徒理解を歪ませる人間の特性
• ステレオタイプ

• 初頭効果

• ハロー効果

• 寛容効果

• 対比効果
カウンセリングマインド
        を支える教師の努力
 • 心の余裕
   – 授業間,移動中等に話しかけられる隙を
   – ちょっとした違反は何かの合図かもしれない
 • 心の余裕を支えるライフスキルの重要性
   – タイムマネジメントスキル,ICTスキル
   – 自己啓発のための勉強に常に取り組むこと
 • 教師自身の私生活における対人関係の重要さ
   – 自身の家族や友人の話を聞いているか?
   – 自分に警告や注意をしてくれる人を大事に
 • 子どもの変化を受け入れる
   – 教師自身は変えられるが,世の中は変えられない

10
生徒指導とは
• 1956「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」
     – 教育委員会の職務として「生徒指導に関すること」が規定
     「生徒指導とは、生徒児童幼児の健康、性格、社会性、公
     民性及び余暇利用等に関し、教師の行う生活指導、躾をい
     う。」


1988 生徒指導資料第20集(文部省)
「一人一人の個性の伸長を図りながら、同時に社
会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来に
おいて社会的に自己実現できるような資質・態度
を形成していくための指導・援助であり、個々の
生徒の自己指導能力の育成を目指す」
11
キャリア教育
• キャリアとは(大辞林)
     – 経歴。経験。
     – 職業、特に専門的な知識や技術を要する職業に就いていること。
     – 日本の中央官庁で、国家公務員試験 I 種合格者の俗称。

• 文部科学省によるキャリアの定義・・・「仕事人生」
  – 「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の
    連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付け
    や価値付けの累積」
• キャリア教育とは
     – 「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふ
       さわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や
       能力を育てる教育」ととらえ、端的には、「児童生徒一人一
       人の勤労観、職業観を育てる教育」とする。
      http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/06122006.htm

12
キャリア教育政策の変遷
1999年 初等中等教育と高等教育との接続の改善について[中教審答申]
2003年 若者自立・挑戦プラン[文科省,厚労省,経産省,内閣府]
2004年 キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書[
      文科省]
2004年 若者の自立・挑戦のためのアクションプラン[文科省,厚労省,
      経産省,内閣府]
2006年 小学校・中学校・高等学校キャリア教育の推進の手引:児童生
      徒一人一人勤労観、職業観を育てるために[文科省]
2007年 キャリア教育等推進プラン:自分でつかもう自分の人生[キャリ
      ア教育等推進会議]
2010年 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について[
      中教審・第二次審議通過報告]
2011年 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について[
      中教審答申]

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「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(答申)
                より




 →社会全体で取り組む必要性:学校はその            14
今後の学校におけるキャリア教育・職業
 教育の在り方について [中教審答申2011]
• 基本的な考え方
 1. 社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力
    (≒基礎的・汎用的能力)・態度を育成する、幼児期
    の教育から高等教育までの体系的な取り組み
 2. 子ども・若者一人一人の発達状況の的確な把握とき
    め細かな支援
 3. 能力や態度の育成を通じた勤労観・職業観等の価値
    観の自己形成・自己確立
• 充実施策
 1. 教育方針の明確化と教育課程への位置付け
 2. 重視すべき教育内容・教育方法と評価・改善
 3. 教職員の意識・指導力向上と実施体制の整備   15
「社会的・職業的自立,社会・職業への円滑な
     移行に必要な力」の要素(中教審答申,2011)




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各学校段階ごとの課題
        (中教審答申,2011)
 幼児期:自発的・主体的な活動を促す      特別支援教育:
 小学校:社会性,自主性・自立性,関心・意    個々の生涯の状態に応じたき
 欲等を養う                  め細かい指導・支援の下でおこ
                        なう
 中学校:社会における自らの役割や将来の生
 き方・働き方等を考えさせ,目標を立てて計
 画的に取り組む態度を育成し,進路の選択・
 決定を導く
 後期中等教育:修了までに,生涯にわたる多
 様なキャリア形成に共通して必要な能力や態
 度を形成。これを通じ,勤労観・職業観等の
 価値観を自ら形成・確立する
 高等教育:学校から社会・職業への移行を見据え,教育課程の内外での学習や
 活動を通じ,高等教育全般においてキャリア教育を充実する


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多くの学校種に共通の
         キャリア教育の考え方
 • 子どもがどのような社会人になるかを想像し,
   いま必要な手立てについて考える
     – 例)子どもが「ありがとう」と言わなかったら

 • 学校のあらゆる活動について社会活動との関連
   を考える
     – 例)各単元等がどんな意図で設定されているか

 • 小学校以降・特に高校:学習内容についてどの
   ような社会的活動と関連するか子どもに伝える
     – 例)確率や三角関数は社会の何と関係するのか?
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進歩主義的教育
      Progressive Education
• Dewey「実験学校(1896-1904)」
 – 産業社会の発展 → 民主主義の担い手を育てる教育
 – 子どもの関心や興味から出発する活動的学習

• 学校の整備に尽力
 – 学校は社会の縮図:学校での主体的な経験が,民主
   主義を支える市民を育成する

• 現代教育への影響
 – Kilpatrick「プロジェクトメソッド」
 – 「フリースクール」「総合的な学習の時間」「話し合い」
 – 知識伝達から「学び」や「学びあい」への展開
                19
経験の原理①:連続性の原理(Dewey, 1938)

• 現在の状況と類似しているから過去経験が利用できる
• これまで経験したものは必ず未来に影響を与える
• そのため,教育内容は将来活かされる状況に対応すべき
 – 教師の言動や存在は社会の一員を代表したものでなければ,学
   習者にとって意味を持たない


                現在:
                状況A

   過去:
   状況A’

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経験の原理②:相互作用の原理(Dewey, 1938)

• 内的条件は変えられない.内的条件を読み取り,それに
  あわせて客観的条件を調整するのが教育者の役割

           状 況

 子ど                   客観的条件
             内的条件に
      内的
 も    条件
            合わせて調整



      解釈              調整
            親や
            教師
                 先人の知恵や
                  専門的知識21
いじめの現状と対策
• いじめの定義の変遷
     – 平成17年度以前:「自分より弱い者に対して一方的に
       身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦
       痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外
       を問わない」
     – 平成18年度から:「当該児童生徒が、一定の人間関係
       のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことによ
       り、精神的な苦痛を感じているもの。なお起こった場所
       は学校の内外を問わない。」

• いじめの認知件数
     – 文部科学省調査:H18年以降全体的に減尐
     – 法務省調査:一時微減していたがH22に大幅増
       →その一方,暴力行為発生件数は中学で激増

22
文科省定義におけるいじめの様態
• 以前
     ・言葉での脅し   ・冷やかし、からかい ・持ち物隠し
     ・仲間はずれ    ・集団による無視       ・暴力を振るう
     ・たかり      ・お節介、親切の押し付け   ・その他
• 現在
–    冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、イヤなことを言われる。
–    仲間はずれ、集団による無視をされる。
–    軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。
–    酷くぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。
–    金品をたかられる。
–    金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。
–    嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。
–    パソコンや携帯電話で、誹謗中傷やイヤなことをされる。 ・その他

23
ネットいじめ予防の指導(文科省,2008)
① 掲示板等に誹謗・中傷の書き込みを行うことは、いじ
 めであり、決して許される行為ではないこと。

② 掲示板等への書き込みは、匿名で行うことができる
 が、書き込みを行った個人が特定されること。特に、書
 き込みが悪質な場合などは、犯罪となり、警察に検挙さ
 れる場合もあること。また、掲示板等への書き込みが原
 因で、傷害や殺人などの重大犯罪につながる場合もある
 こと。

③ 掲示板等を含めインターネットを利用する際にも、利
 用のマナーがあり、それらをしっかりと守ることによ
 り、インターネットのリスクを回避することにつながっ
 た事例もあったこと。
                         24
いじめへの対応
 • 組織的対応
 • いじめの発見
     – チェックシートやアンケート等の活用
 • 教師の態度
     – 教師もいじめを生み出した集団の一人である
 • 被害者の保護
     – 被害者ケアが最初のステップ。
 • 加害者への指導
     – 家庭の問題や心の問題があることが多い
 • 学級経営上の工夫
     – 特に傍観者への指導(傍観者はいじめを持続させる)
 • いじめの予防
     – 情動制御,言語的文化の醸成,家庭環境,ネット環境
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心理学的アプローチによるいじめ対応
• 予防のためのプログラム例
     – アンガー・マネジメント
        • 怒りのメカニズムの理解,怒りを静める技法,適切
          な表現方法
        • 本田(2002) 『キレやすい子の理解と対応:学校でのアンガー
        マネージメント・プログラム』(ほんの森出版)

     – 共感性トレーニング
       • 特に道具的攻撃を行う者に対して
       • 自他の感情の認識,他者の視点理解,共感的関わり方
        例)セカンド・ステップ(Committee for Children)

• 起こってしまった比較的軽微ないじめへの対応例
     – 支援グループ・アプローチ(Sue Young)
      ・・・ソリューション・フォーカスト・アプローチを応用した手法

26
不登校の現状と対策
 <不登校児童生徒数の傾向>
 • 基本的に横ばい傾向が強い(ここ2年は微減)

 <対応の変化>
 • 働きかけ、かかわりを控えた待つ対応:文部省「学
   校不適応対策調査研究協力者会議」報告(1992)
              ↓
 • 働きかけ、かかわりを持つ対応:文部科学省「不登
   校問題に関する調査研究協力者会議」報告(2003)
 • スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカ
   ーの配置など教育相談の充実
27
不登校の定義の変遷
• 「不登校児童生徒」の定義(H15 文部科学省報告書)
  – 何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・
    背景により、登校しないあるいはしたくともできない状
    況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や
    経済的な理由による者を除いたもの
• 学校教育法施行規則の一部を改正する省令(H17.7.6)
  – 第3 留意事項:不登校状態であるか否かは,小学校又
    は中学校における不登校児童生徒に関する文部科学省の
    調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの
    参考となり得ると考えられるが,その判断は小学校等又
    はその管理機関が行うこととし,例えば,断続的な不登
    校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得る
    も のであること。
28
中1ギャップ :2005年7月27日小学生から中学1年生
になったとたん、学習や生活の変化になじめずに不
登校となったり、いじめが急増するという現象。新
潟県教育委員会が名づけた。同委員会では2004年度
までの2年間にわたり、県下の中学5校の1年生約
1800人を対象に実態調査を実施している。05年3月
にまとめられた報告書によると、ギャップの典型例
は、コミュニケーションが苦手な生徒が小学校時の
友人や教師の支えを失う「喪失不安増大型」と、小
学校でリーダーとして活躍していた生徒が中学校で
居場所を失ってしまう「自己発揮機会喪失ストレス
蓄積型」であることがわかったという。
             (出典:JapanKnowledge)
29
不登校となったきっかけと考えられる状況(平成21年度)

不登校の理由                    小学校                  中学校
いじめ                473          2.1%   2694          2.7%
いじめを除く友人関係をめぐる問題   2640     11.8%      19084     19.1%
教職員との関係をめぐる問題      706          3.2%   1562          1.6%
学業の不振              1540         6.9%   11041     11.0%
クラブ活動,部活動等への不適応    75           0.3%   2516          2.5%
学校のきまり等をめぐる問題      208          0.9%   4796          4.8%
入学,転編入学,進級時の不適応    714          3.2%   3853          3.8%
家庭の生活環境の急激な変化      2366     10.6%      5255          5.2%
親子関係をめぐる問題         4303     19.3%      9613          9.6%
家庭内の不和             1427         6.4%   4508          4.5%
病気による欠席            1975         8.8%   6601          6.6%
その他本人に関わる問題        9829     44.0%      43001     43.0%


                                                        30
不登校への対応にあたって(5つの視点)
              (文部科学省,2003)
         (『生徒指導提要』ではP188-189に対応)
 1. 将来の社会的自立に向けた支援の視点
     –   不登校解決の最終目標は社会的自立
 2. 連携ネットワークによる支援
     –   不登校を見極め適切に対応するために必要な連携ネットワーク
 3. 将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割
     –   すべての児童生徒にとって居場所となる学校を目指して
 4. 働きかけることや関わりを持つことの重要性
     –   関係を構築しつつ,適切な働きかけやかかわることの大切さ
 5. 保護者の役割と家庭への支援
     –   保護者を支え,家庭の教育力を充実させる
         例)相談相手になる.専門家の紹介.適宜必要な対応をとる.

31
カウンセリングマインド
      教師が教育指導に当たる際に必要とされる相談
     的な考え方や態度,またはカウンセリングで大切
     にしている基本的な指導理念,態度・姿勢を示す
     和製英語。1982年の東京都議会文教委員会での発
     言が由来とも言われているが,実際の由来は不明
     (学校カウンセリング事典,1995)
     本日の授業で取りあげる具体的な手法
     ・トーマス・ゴードン(1974)
       TET(Teacher Effectiveness Training)
       『T・E・T 教師学』小学館 (1985)
32
コミュニケーションの志向性
                  非効果的なコミュニケーショ
      生徒が取り組む対象   ン:
        ・恋愛や友情     子どもよりも問題に感心を
         ・受験勉強    持っている。問題を自分のもの
        ・家族の問題    かのように混同している。


                         T
                   効果的なコミュニケーショ
         S         ン:
                    問題に取り組む子どもに
                   感心を持ち,寄り添う。問
                   題自体は子ども自身のもの
                   であることを理解。
33
コミュニケーション能力の重要性
・ワークショップ型授業への関心
 -ワークショップ型授業
  「参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学び合ったり
作り 出したりする学びと創造のスタイル」(中野,2001)


ワークショップの問題点(大塚 ,2009)
     ・参加者の気づきと共有にとどまり、自発的な改善が困難
      →気づきのフィードバックの必要性
     ・問題点に気づく具体的な手掛かりがないことがある
      →評価基準の設定の必要性


34
ワークショップ型授業の要素
 • 学習目標設定
     – 顕在的ニーズ調査
     – 潜在的ニーズ探索 ・・・ イメージの共有

 • ふり返りの設計
     – 省察を促す仕組み
        • 事前 学習目標の共有,個別の課題の確認
        •中   注意を向けるポイントの維持
        • 事後 学習目標と対応したふり返り + 気づき
     – フィードバックの技術
      • 人間関係を維持しながら,互いを成長させるコメントを


 • 配付資料・補助教材の設計
     – 冊子・シート類の作成と共有
35
ピアフィードバック研究の位置づけ
• 教育評価研究
  – 他者評価                               評定
                          アセスメント            フィード
  – 自己評価                  バック
  – 相互評価(Peer Assessment)              コメント
     • 診断的評価
     • 総括的評価
     • 形成的評価(Formative Peer Assessment)
        – バリエーションの記述研究
           » 権威的,解釈的,探索的,協同的
        – 効果研究のバラエティ
           » ピアフィードバックという活動への態度
           » フィードバックスキル
           » 特定スキルのパフォーマンス・・・作文の研究が多い
           » 心理学的自己評定尺度
36
 2012/2/3

2011fall guidance14summary share

  • 1.
    生徒指導論まとめ 理農工教共通 富田英司 愛媛大学教育学部 1
  • 2.
    アセスメントとは 「見立て」とも言われ、解決すべき問題や課題のあ る事例(事象)の家族や地域、関係者などの情報か ら、なぜそのような状態に至ったのか、児童生徒の 示す行動の背景や要因を、情報を収集して系統的に 分析し、明らかにしようとするものである。(略) アセスメントを行うに当たっては、校内で組織的対 応を行うことが重要である。例えば、暴力行為には 、思春期の心理、発達の課題、児童虐待や薬物の影 響、友人関係など様々な要因が考えられる。その理 解により指導方法が異なるので、要因を情報に基づ いて的確に明らかにすることなどが重要である。 (生徒指導提要, P104) 2
  • 3.
    アセスメントのポイント(伊部, 2008 ) • 家庭環境:家族構成,保護者の性格・教育方針,親 子関係,夫婦関係,経済状況,きょうだい関係,力 のあるところ,援助を必要とするところ • 学校環境:友人関係,教師との関係,学習状況,学 校生活全般(休み時間,保健室,給食,各授業中, 部活,登下校等) • 地域環境:家族,本人を支える資源の有無 • 本人自身:学力・体力・運動能力,性格,好き嫌い ,こだわり,得意・不得意等,発育状況,日常生活 (睡眠時間,起床,就寝時間,食事,入浴等),発 達障害,虐待の有無,自尊感情,人への信頼感 3
  • 4.
    アセスメントのための具体的手法 – アンケート – 観察法(自然観察,参与観察,組織的観察) – 面接法 – 心理検査法 • 知能検査(面接法と質問紙法) • 質問紙法による性格検査(Y-G性格検査等) • 作業検査法(内田クレペリン精神作業検査) • 投影法(質問紙タイプもある:ロールシャッハ,TAT) • 社会測定的技法(ソシオメトリー) – ソシオメトリック・テスト » 結果の表示:ソシオグラム,ソシオマトリックス – ゲス・フー・テスト – 児童生徒の提出物の利用 • ポートフォリオや日記等
  • 5.
    面接法のバラエティ (生徒指導提要を一部改変) • 代表的な相談形態 • 代表的な相談媒体 – 個別相談 – 対面相談 – グループ相談 – 電話相談 – チーム相談 – 手紙相談 – 呼出し相談 – FAX相談 – チャンス相談 – メール相談 など – 定期相談 – 自発相談 など 5
  • 6.
    ソシオメトリーを利用する際の留意点 a) テストの結果は,ある時点における特定 の側面からみた人間関係にすぎない. b) 目的を明確にし,その結果を生かすよう に利用する. c) あくまで指導のための手段であり,差別 や偏見を助長しないように配慮する. d) テストを行うこと自体が,集団の人間関 係に影響を及ぼす可能性を考慮する.
  • 7.
    アセスメントの注意点 • 身体的,心理的,社会的側面等,複数面を考慮 • 一般的理解と個別理解 • 客観的理解と共感的理解 • 正しいアセスメントはあり得ない • 絶え間ない仮説検証の過程:一度きりではない • 問題行動の原因や要因が理解できなくても,問題解決す ることはある • 診断やラベル貼りではなく,問題解決のための資料収集 と分析が目的 • 心理検査の実施は専門家に依頼する • 組織的対応と保護者とのラポールが基盤 7
  • 8.
    滋賀県教育委員会 スクールソーシャルワーク的学校不適応支援事業 1. アセスメントとプランニングを重要視 2. ケース会議の定期的開催 3. B-PDCAサイクルの採用 – “B”:ベーシックアセスメント 4. ベースシートの活用 – 支援の共通認識や情報収集,記録作成,SSW概念の 意識化に役立つ 8
  • 9.
  • 10.
    カウンセリングマインド を支える教師の努力 • 心の余裕 – 授業間,移動中等に話しかけられる隙を – ちょっとした違反は何かの合図かもしれない • 心の余裕を支えるライフスキルの重要性 – タイムマネジメントスキル,ICTスキル – 自己啓発のための勉強に常に取り組むこと • 教師自身の私生活における対人関係の重要さ – 自身の家族や友人の話を聞いているか? – 自分に警告や注意をしてくれる人を大事に • 子どもの変化を受け入れる – 教師自身は変えられるが,世の中は変えられない 10
  • 11.
    生徒指導とは • 1956「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」 – 教育委員会の職務として「生徒指導に関すること」が規定 「生徒指導とは、生徒児童幼児の健康、性格、社会性、公 民性及び余暇利用等に関し、教師の行う生活指導、躾をい う。」 1988 生徒指導資料第20集(文部省) 「一人一人の個性の伸長を図りながら、同時に社 会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来に おいて社会的に自己実現できるような資質・態度 を形成していくための指導・援助であり、個々の 生徒の自己指導能力の育成を目指す」 11
  • 12.
    キャリア教育 • キャリアとは(大辞林) – 経歴。経験。 – 職業、特に専門的な知識や技術を要する職業に就いていること。 – 日本の中央官庁で、国家公務員試験 I 種合格者の俗称。 • 文部科学省によるキャリアの定義・・・「仕事人生」 – 「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の 連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付け や価値付けの累積」 • キャリア教育とは – 「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふ さわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や 能力を育てる教育」ととらえ、端的には、「児童生徒一人一 人の勤労観、職業観を育てる教育」とする。 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/06122006.htm 12
  • 13.
    キャリア教育政策の変遷 1999年 初等中等教育と高等教育との接続の改善について[中教審答申] 2003年 若者自立・挑戦プラン[文科省,厚労省,経産省,内閣府] 2004年キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書[ 文科省] 2004年 若者の自立・挑戦のためのアクションプラン[文科省,厚労省, 経産省,内閣府] 2006年 小学校・中学校・高等学校キャリア教育の推進の手引:児童生 徒一人一人勤労観、職業観を育てるために[文科省] 2007年 キャリア教育等推進プラン:自分でつかもう自分の人生[キャリ ア教育等推進会議] 2010年 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について[ 中教審・第二次審議通過報告] 2011年 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について[ 中教審答申] 13
  • 14.
  • 15.
    今後の学校におけるキャリア教育・職業 教育の在り方について [中教審答申2011] •基本的な考え方 1. 社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力 (≒基礎的・汎用的能力)・態度を育成する、幼児期 の教育から高等教育までの体系的な取り組み 2. 子ども・若者一人一人の発達状況の的確な把握とき め細かな支援 3. 能力や態度の育成を通じた勤労観・職業観等の価値 観の自己形成・自己確立 • 充実施策 1. 教育方針の明確化と教育課程への位置付け 2. 重視すべき教育内容・教育方法と評価・改善 3. 教職員の意識・指導力向上と実施体制の整備 15
  • 16.
    「社会的・職業的自立,社会・職業への円滑な 移行に必要な力」の要素(中教審答申,2011) 16
  • 17.
    各学校段階ごとの課題 (中教審答申,2011) 幼児期:自発的・主体的な活動を促す 特別支援教育: 小学校:社会性,自主性・自立性,関心・意 個々の生涯の状態に応じたき 欲等を養う め細かい指導・支援の下でおこ なう 中学校:社会における自らの役割や将来の生 き方・働き方等を考えさせ,目標を立てて計 画的に取り組む態度を育成し,進路の選択・ 決定を導く 後期中等教育:修了までに,生涯にわたる多 様なキャリア形成に共通して必要な能力や態 度を形成。これを通じ,勤労観・職業観等の 価値観を自ら形成・確立する 高等教育:学校から社会・職業への移行を見据え,教育課程の内外での学習や 活動を通じ,高等教育全般においてキャリア教育を充実する 17
  • 18.
    多くの学校種に共通の キャリア教育の考え方 • 子どもがどのような社会人になるかを想像し, いま必要な手立てについて考える – 例)子どもが「ありがとう」と言わなかったら • 学校のあらゆる活動について社会活動との関連 を考える – 例)各単元等がどんな意図で設定されているか • 小学校以降・特に高校:学習内容についてどの ような社会的活動と関連するか子どもに伝える – 例)確率や三角関数は社会の何と関係するのか? 18
  • 19.
    進歩主義的教育 Progressive Education • Dewey「実験学校(1896-1904)」 – 産業社会の発展 → 民主主義の担い手を育てる教育 – 子どもの関心や興味から出発する活動的学習 • 学校の整備に尽力 – 学校は社会の縮図:学校での主体的な経験が,民主 主義を支える市民を育成する • 現代教育への影響 – Kilpatrick「プロジェクトメソッド」 – 「フリースクール」「総合的な学習の時間」「話し合い」 – 知識伝達から「学び」や「学びあい」への展開 19
  • 20.
    経験の原理①:連続性の原理(Dewey, 1938) • 現在の状況と類似しているから過去経験が利用できる •これまで経験したものは必ず未来に影響を与える • そのため,教育内容は将来活かされる状況に対応すべき – 教師の言動や存在は社会の一員を代表したものでなければ,学 習者にとって意味を持たない 現在: 状況A 過去: 状況A’ 20
  • 21.
    経験の原理②:相互作用の原理(Dewey, 1938) • 内的条件は変えられない.内的条件を読み取り,それに あわせて客観的条件を調整するのが教育者の役割 状 況 子ど 客観的条件 内的条件に 内的 も 条件 合わせて調整 解釈 調整 親や 教師 先人の知恵や 専門的知識21
  • 22.
    いじめの現状と対策 • いじめの定義の変遷 – 平成17年度以前:「自分より弱い者に対して一方的に 身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦 痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外 を問わない」 – 平成18年度から:「当該児童生徒が、一定の人間関係 のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことによ り、精神的な苦痛を感じているもの。なお起こった場所 は学校の内外を問わない。」 • いじめの認知件数 – 文部科学省調査:H18年以降全体的に減尐 – 法務省調査:一時微減していたがH22に大幅増 →その一方,暴力行為発生件数は中学で激増 22
  • 23.
    文科省定義におけるいじめの様態 • 以前 ・言葉での脅し ・冷やかし、からかい ・持ち物隠し ・仲間はずれ ・集団による無視 ・暴力を振るう ・たかり ・お節介、親切の押し付け ・その他 • 現在 – 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、イヤなことを言われる。 – 仲間はずれ、集団による無視をされる。 – 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。 – 酷くぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。 – 金品をたかられる。 – 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。 – 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。 – パソコンや携帯電話で、誹謗中傷やイヤなことをされる。 ・その他 23
  • 24.
    ネットいじめ予防の指導(文科省,2008) ① 掲示板等に誹謗・中傷の書き込みを行うことは、いじ めであり、決して許される行為ではないこと。 ②掲示板等への書き込みは、匿名で行うことができる が、書き込みを行った個人が特定されること。特に、書 き込みが悪質な場合などは、犯罪となり、警察に検挙さ れる場合もあること。また、掲示板等への書き込みが原 因で、傷害や殺人などの重大犯罪につながる場合もある こと。 ③ 掲示板等を含めインターネットを利用する際にも、利 用のマナーがあり、それらをしっかりと守ることによ り、インターネットのリスクを回避することにつながっ た事例もあったこと。 24
  • 25.
    いじめへの対応 • 組織的対応 • いじめの発見 – チェックシートやアンケート等の活用 • 教師の態度 – 教師もいじめを生み出した集団の一人である • 被害者の保護 – 被害者ケアが最初のステップ。 • 加害者への指導 – 家庭の問題や心の問題があることが多い • 学級経営上の工夫 – 特に傍観者への指導(傍観者はいじめを持続させる) • いじめの予防 – 情動制御,言語的文化の醸成,家庭環境,ネット環境 25
  • 26.
    心理学的アプローチによるいじめ対応 • 予防のためのプログラム例 – アンガー・マネジメント • 怒りのメカニズムの理解,怒りを静める技法,適切 な表現方法 • 本田(2002) 『キレやすい子の理解と対応:学校でのアンガー マネージメント・プログラム』(ほんの森出版) – 共感性トレーニング • 特に道具的攻撃を行う者に対して • 自他の感情の認識,他者の視点理解,共感的関わり方 例)セカンド・ステップ(Committee for Children) • 起こってしまった比較的軽微ないじめへの対応例 – 支援グループ・アプローチ(Sue Young) ・・・ソリューション・フォーカスト・アプローチを応用した手法 26
  • 27.
    不登校の現状と対策 <不登校児童生徒数の傾向> •基本的に横ばい傾向が強い(ここ2年は微減) <対応の変化> • 働きかけ、かかわりを控えた待つ対応:文部省「学 校不適応対策調査研究協力者会議」報告(1992) ↓ • 働きかけ、かかわりを持つ対応:文部科学省「不登 校問題に関する調査研究協力者会議」報告(2003) • スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカ ーの配置など教育相談の充実 27
  • 28.
    不登校の定義の変遷 • 「不登校児童生徒」の定義(H15 文部科学省報告書) – 何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・ 背景により、登校しないあるいはしたくともできない状 況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や 経済的な理由による者を除いたもの • 学校教育法施行規則の一部を改正する省令(H17.7.6) – 第3 留意事項:不登校状態であるか否かは,小学校又 は中学校における不登校児童生徒に関する文部科学省の 調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの 参考となり得ると考えられるが,その判断は小学校等又 はその管理機関が行うこととし,例えば,断続的な不登 校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得る も のであること。 28
  • 29.
    中1ギャップ :2005年7月27日小学生から中学1年生 になったとたん、学習や生活の変化になじめずに不 登校となったり、いじめが急増するという現象。新 潟県教育委員会が名づけた。同委員会では2004年度 までの2年間にわたり、県下の中学5校の1年生約 1800人を対象に実態調査を実施している。05年3月 にまとめられた報告書によると、ギャップの典型例 は、コミュニケーションが苦手な生徒が小学校時の 友人や教師の支えを失う「喪失不安増大型」と、小 学校でリーダーとして活躍していた生徒が中学校で 居場所を失ってしまう「自己発揮機会喪失ストレス 蓄積型」であることがわかったという。 (出典:JapanKnowledge) 29
  • 30.
    不登校となったきっかけと考えられる状況(平成21年度) 不登校の理由 小学校 中学校 いじめ 473 2.1% 2694 2.7% いじめを除く友人関係をめぐる問題 2640 11.8% 19084 19.1% 教職員との関係をめぐる問題 706 3.2% 1562 1.6% 学業の不振 1540 6.9% 11041 11.0% クラブ活動,部活動等への不適応 75 0.3% 2516 2.5% 学校のきまり等をめぐる問題 208 0.9% 4796 4.8% 入学,転編入学,進級時の不適応 714 3.2% 3853 3.8% 家庭の生活環境の急激な変化 2366 10.6% 5255 5.2% 親子関係をめぐる問題 4303 19.3% 9613 9.6% 家庭内の不和 1427 6.4% 4508 4.5% 病気による欠席 1975 8.8% 6601 6.6% その他本人に関わる問題 9829 44.0% 43001 43.0% 30
  • 31.
    不登校への対応にあたって(5つの視点) (文部科学省,2003) (『生徒指導提要』ではP188-189に対応) 1. 将来の社会的自立に向けた支援の視点 – 不登校解決の最終目標は社会的自立 2. 連携ネットワークによる支援 – 不登校を見極め適切に対応するために必要な連携ネットワーク 3. 将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割 – すべての児童生徒にとって居場所となる学校を目指して 4. 働きかけることや関わりを持つことの重要性 – 関係を構築しつつ,適切な働きかけやかかわることの大切さ 5. 保護者の役割と家庭への支援 – 保護者を支え,家庭の教育力を充実させる 例)相談相手になる.専門家の紹介.適宜必要な対応をとる. 31
  • 32.
    カウンセリングマインド 教師が教育指導に当たる際に必要とされる相談 的な考え方や態度,またはカウンセリングで大切 にしている基本的な指導理念,態度・姿勢を示す 和製英語。1982年の東京都議会文教委員会での発 言が由来とも言われているが,実際の由来は不明 (学校カウンセリング事典,1995) 本日の授業で取りあげる具体的な手法 ・トーマス・ゴードン(1974) TET(Teacher Effectiveness Training) 『T・E・T 教師学』小学館 (1985) 32
  • 33.
    コミュニケーションの志向性 非効果的なコミュニケーショ 生徒が取り組む対象 ン: ・恋愛や友情 子どもよりも問題に感心を ・受験勉強 持っている。問題を自分のもの ・家族の問題 かのように混同している。 T 効果的なコミュニケーショ S ン: 問題に取り組む子どもに 感心を持ち,寄り添う。問 題自体は子ども自身のもの であることを理解。 33
  • 34.
    コミュニケーション能力の重要性 ・ワークショップ型授業への関心 -ワークショップ型授業 「参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学び合ったり 作り 出したりする学びと創造のスタイル」(中野,2001) ワークショップの問題点(大塚 ,2009) ・参加者の気づきと共有にとどまり、自発的な改善が困難 →気づきのフィードバックの必要性 ・問題点に気づく具体的な手掛かりがないことがある →評価基準の設定の必要性 34
  • 35.
    ワークショップ型授業の要素 • 学習目標設定 – 顕在的ニーズ調査 – 潜在的ニーズ探索 ・・・ イメージの共有 • ふり返りの設計 – 省察を促す仕組み • 事前 学習目標の共有,個別の課題の確認 •中 注意を向けるポイントの維持 • 事後 学習目標と対応したふり返り + 気づき – フィードバックの技術 • 人間関係を維持しながら,互いを成長させるコメントを • 配付資料・補助教材の設計 – 冊子・シート類の作成と共有 35
  • 36.
    ピアフィードバック研究の位置づけ • 教育評価研究 – 他者評価 評定 アセスメント フィード – 自己評価 バック – 相互評価(Peer Assessment) コメント • 診断的評価 • 総括的評価 • 形成的評価(Formative Peer Assessment) – バリエーションの記述研究 » 権威的,解釈的,探索的,協同的 – 効果研究のバラエティ » ピアフィードバックという活動への態度 » フィードバックスキル » 特定スキルのパフォーマンス・・・作文の研究が多い » 心理学的自己評定尺度 36 2012/2/3