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心理科学研究会 (1993). 中学・高校教師になるための教育心理学 有斐閣 第一版
2011fall guidance14summary share 1. 2. 3. アセスメントのポイント(伊部, 2008
)
• 家庭環境:家族構成,保護者の性格・教育方針,親
子関係,夫婦関係,経済状況,きょうだい関係,力
のあるところ,援助を必要とするところ
• 学校環境:友人関係,教師との関係,学習状況,学
校生活全般(休み時間,保健室,給食,各授業中,
部活,登下校等)
• 地域環境:家族,本人を支える資源の有無
• 本人自身:学力・体力・運動能力,性格,好き嫌い
,こだわり,得意・不得意等,発育状況,日常生活
(睡眠時間,起床,就寝時間,食事,入浴等),発
達障害,虐待の有無,自尊感情,人への信頼感
3
4. アセスメントのための具体的手法
– アンケート
– 観察法(自然観察,参与観察,組織的観察)
– 面接法
– 心理検査法
• 知能検査(面接法と質問紙法)
• 質問紙法による性格検査(Y-G性格検査等)
• 作業検査法(内田クレペリン精神作業検査)
• 投影法(質問紙タイプもある:ロールシャッハ,TAT)
• 社会測定的技法(ソシオメトリー)
– ソシオメトリック・テスト
» 結果の表示:ソシオグラム,ソシオマトリックス
– ゲス・フー・テスト
– 児童生徒の提出物の利用
• ポートフォリオや日記等
5. 面接法のバラエティ
(生徒指導提要を一部改変)
• 代表的な相談形態 • 代表的な相談媒体
– 個別相談 – 対面相談
– グループ相談 – 電話相談
– チーム相談 – 手紙相談
– 呼出し相談 – FAX相談
– チャンス相談 – メール相談 など
– 定期相談
– 自発相談 など
5
6. 7. アセスメントの注意点
• 身体的,心理的,社会的側面等,複数面を考慮
• 一般的理解と個別理解
• 客観的理解と共感的理解
• 正しいアセスメントはあり得ない
• 絶え間ない仮説検証の過程:一度きりではない
• 問題行動の原因や要因が理解できなくても,問題解決す
ることはある
• 診断やラベル貼りではなく,問題解決のための資料収集
と分析が目的
• 心理検査の実施は専門家に依頼する
• 組織的対応と保護者とのラポールが基盤
7
8. 滋賀県教育委員会
スクールソーシャルワーク的学校不適応支援事業
1. アセスメントとプランニングを重要視
2. ケース会議の定期的開催
3. B-PDCAサイクルの採用
– “B”:ベーシックアセスメント
4. ベースシートの活用
– 支援の共通認識や情報収集,記録作成,SSW概念の
意識化に役立つ
8
9. 10. カウンセリングマインド
を支える教師の努力
• 心の余裕
– 授業間,移動中等に話しかけられる隙を
– ちょっとした違反は何かの合図かもしれない
• 心の余裕を支えるライフスキルの重要性
– タイムマネジメントスキル,ICTスキル
– 自己啓発のための勉強に常に取り組むこと
• 教師自身の私生活における対人関係の重要さ
– 自身の家族や友人の話を聞いているか?
– 自分に警告や注意をしてくれる人を大事に
• 子どもの変化を受け入れる
– 教師自身は変えられるが,世の中は変えられない
10
11. 生徒指導とは
• 1956「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」
– 教育委員会の職務として「生徒指導に関すること」が規定
「生徒指導とは、生徒児童幼児の健康、性格、社会性、公
民性及び余暇利用等に関し、教師の行う生活指導、躾をい
う。」
1988 生徒指導資料第20集(文部省)
「一人一人の個性の伸長を図りながら、同時に社
会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来に
おいて社会的に自己実現できるような資質・態度
を形成していくための指導・援助であり、個々の
生徒の自己指導能力の育成を目指す」
11
12. キャリア教育
• キャリアとは(大辞林)
– 経歴。経験。
– 職業、特に専門的な知識や技術を要する職業に就いていること。
– 日本の中央官庁で、国家公務員試験 I 種合格者の俗称。
• 文部科学省によるキャリアの定義・・・「仕事人生」
– 「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の
連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付け
や価値付けの累積」
• キャリア教育とは
– 「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふ
さわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や
能力を育てる教育」ととらえ、端的には、「児童生徒一人一
人の勤労観、職業観を育てる教育」とする。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/06122006.htm
12
13. 14. 15. 今後の学校におけるキャリア教育・職業
教育の在り方について [中教審答申2011]
• 基本的な考え方
1. 社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力
(≒基礎的・汎用的能力)・態度を育成する、幼児期
の教育から高等教育までの体系的な取り組み
2. 子ども・若者一人一人の発達状況の的確な把握とき
め細かな支援
3. 能力や態度の育成を通じた勤労観・職業観等の価値
観の自己形成・自己確立
• 充実施策
1. 教育方針の明確化と教育課程への位置付け
2. 重視すべき教育内容・教育方法と評価・改善
3. 教職員の意識・指導力向上と実施体制の整備 15
16. 17. 各学校段階ごとの課題
(中教審答申,2011)
幼児期:自発的・主体的な活動を促す 特別支援教育:
小学校:社会性,自主性・自立性,関心・意 個々の生涯の状態に応じたき
欲等を養う め細かい指導・支援の下でおこ
なう
中学校:社会における自らの役割や将来の生
き方・働き方等を考えさせ,目標を立てて計
画的に取り組む態度を育成し,進路の選択・
決定を導く
後期中等教育:修了までに,生涯にわたる多
様なキャリア形成に共通して必要な能力や態
度を形成。これを通じ,勤労観・職業観等の
価値観を自ら形成・確立する
高等教育:学校から社会・職業への移行を見据え,教育課程の内外での学習や
活動を通じ,高等教育全般においてキャリア教育を充実する
17
18. 多くの学校種に共通の
キャリア教育の考え方
• 子どもがどのような社会人になるかを想像し,
いま必要な手立てについて考える
– 例)子どもが「ありがとう」と言わなかったら
• 学校のあらゆる活動について社会活動との関連
を考える
– 例)各単元等がどんな意図で設定されているか
• 小学校以降・特に高校:学習内容についてどの
ような社会的活動と関連するか子どもに伝える
– 例)確率や三角関数は社会の何と関係するのか?
18
19. 進歩主義的教育
Progressive Education
• Dewey「実験学校(1896-1904)」
– 産業社会の発展 → 民主主義の担い手を育てる教育
– 子どもの関心や興味から出発する活動的学習
• 学校の整備に尽力
– 学校は社会の縮図:学校での主体的な経験が,民主
主義を支える市民を育成する
• 現代教育への影響
– Kilpatrick「プロジェクトメソッド」
– 「フリースクール」「総合的な学習の時間」「話し合い」
– 知識伝達から「学び」や「学びあい」への展開
19
20. 21. 22. いじめの現状と対策
• いじめの定義の変遷
– 平成17年度以前:「自分より弱い者に対して一方的に
身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦
痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外
を問わない」
– 平成18年度から:「当該児童生徒が、一定の人間関係
のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことによ
り、精神的な苦痛を感じているもの。なお起こった場所
は学校の内外を問わない。」
• いじめの認知件数
– 文部科学省調査:H18年以降全体的に減尐
– 法務省調査:一時微減していたがH22に大幅増
→その一方,暴力行為発生件数は中学で激増
22
23. 文科省定義におけるいじめの様態
• 以前
・言葉での脅し ・冷やかし、からかい ・持ち物隠し
・仲間はずれ ・集団による無視 ・暴力を振るう
・たかり ・お節介、親切の押し付け ・その他
• 現在
– 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、イヤなことを言われる。
– 仲間はずれ、集団による無視をされる。
– 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。
– 酷くぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。
– 金品をたかられる。
– 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。
– 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。
– パソコンや携帯電話で、誹謗中傷やイヤなことをされる。 ・その他
23
24. 25. いじめへの対応
• 組織的対応
• いじめの発見
– チェックシートやアンケート等の活用
• 教師の態度
– 教師もいじめを生み出した集団の一人である
• 被害者の保護
– 被害者ケアが最初のステップ。
• 加害者への指導
– 家庭の問題や心の問題があることが多い
• 学級経営上の工夫
– 特に傍観者への指導(傍観者はいじめを持続させる)
• いじめの予防
– 情動制御,言語的文化の醸成,家庭環境,ネット環境
25
26. 心理学的アプローチによるいじめ対応
• 予防のためのプログラム例
– アンガー・マネジメント
• 怒りのメカニズムの理解,怒りを静める技法,適切
な表現方法
• 本田(2002) 『キレやすい子の理解と対応:学校でのアンガー
マネージメント・プログラム』(ほんの森出版)
– 共感性トレーニング
• 特に道具的攻撃を行う者に対して
• 自他の感情の認識,他者の視点理解,共感的関わり方
例)セカンド・ステップ(Committee for Children)
• 起こってしまった比較的軽微ないじめへの対応例
– 支援グループ・アプローチ(Sue Young)
・・・ソリューション・フォーカスト・アプローチを応用した手法
26
27. 不登校の現状と対策
<不登校児童生徒数の傾向>
• 基本的に横ばい傾向が強い(ここ2年は微減)
<対応の変化>
• 働きかけ、かかわりを控えた待つ対応:文部省「学
校不適応対策調査研究協力者会議」報告(1992)
↓
• 働きかけ、かかわりを持つ対応:文部科学省「不登
校問題に関する調査研究協力者会議」報告(2003)
• スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカ
ーの配置など教育相談の充実
27
28. 不登校の定義の変遷
• 「不登校児童生徒」の定義(H15 文部科学省報告書)
– 何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・
背景により、登校しないあるいはしたくともできない状
況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や
経済的な理由による者を除いたもの
• 学校教育法施行規則の一部を改正する省令(H17.7.6)
– 第3 留意事項:不登校状態であるか否かは,小学校又
は中学校における不登校児童生徒に関する文部科学省の
調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの
参考となり得ると考えられるが,その判断は小学校等又
はその管理機関が行うこととし,例えば,断続的な不登
校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得る
も のであること。
28
29. 30. 不登校となったきっかけと考えられる状況(平成21年度)
不登校の理由 小学校 中学校
いじめ 473 2.1% 2694 2.7%
いじめを除く友人関係をめぐる問題 2640 11.8% 19084 19.1%
教職員との関係をめぐる問題 706 3.2% 1562 1.6%
学業の不振 1540 6.9% 11041 11.0%
クラブ活動,部活動等への不適応 75 0.3% 2516 2.5%
学校のきまり等をめぐる問題 208 0.9% 4796 4.8%
入学,転編入学,進級時の不適応 714 3.2% 3853 3.8%
家庭の生活環境の急激な変化 2366 10.6% 5255 5.2%
親子関係をめぐる問題 4303 19.3% 9613 9.6%
家庭内の不和 1427 6.4% 4508 4.5%
病気による欠席 1975 8.8% 6601 6.6%
その他本人に関わる問題 9829 44.0% 43001 43.0%
30
31. 不登校への対応にあたって(5つの視点)
(文部科学省,2003)
(『生徒指導提要』ではP188-189に対応)
1. 将来の社会的自立に向けた支援の視点
– 不登校解決の最終目標は社会的自立
2. 連携ネットワークによる支援
– 不登校を見極め適切に対応するために必要な連携ネットワーク
3. 将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割
– すべての児童生徒にとって居場所となる学校を目指して
4. 働きかけることや関わりを持つことの重要性
– 関係を構築しつつ,適切な働きかけやかかわることの大切さ
5. 保護者の役割と家庭への支援
– 保護者を支え,家庭の教育力を充実させる
例)相談相手になる.専門家の紹介.適宜必要な対応をとる.
31
32. カウンセリングマインド
教師が教育指導に当たる際に必要とされる相談
的な考え方や態度,またはカウンセリングで大切
にしている基本的な指導理念,態度・姿勢を示す
和製英語。1982年の東京都議会文教委員会での発
言が由来とも言われているが,実際の由来は不明
(学校カウンセリング事典,1995)
本日の授業で取りあげる具体的な手法
・トーマス・ゴードン(1974)
TET(Teacher Effectiveness Training)
『T・E・T 教師学』小学館 (1985)
32
33. コミュニケーションの志向性
非効果的なコミュニケーショ
生徒が取り組む対象 ン:
・恋愛や友情 子どもよりも問題に感心を
・受験勉強 持っている。問題を自分のもの
・家族の問題 かのように混同している。
T
効果的なコミュニケーショ
S ン:
問題に取り組む子どもに
感心を持ち,寄り添う。問
題自体は子ども自身のもの
であることを理解。
33
34. 35. ワークショップ型授業の要素
• 学習目標設定
– 顕在的ニーズ調査
– 潜在的ニーズ探索 ・・・ イメージの共有
• ふり返りの設計
– 省察を促す仕組み
• 事前 学習目標の共有,個別の課題の確認
•中 注意を向けるポイントの維持
• 事後 学習目標と対応したふり返り + 気づき
– フィードバックの技術
• 人間関係を維持しながら,互いを成長させるコメントを
• 配付資料・補助教材の設計
– 冊子・シート類の作成と共有
35
36. ピアフィードバック研究の位置づけ
• 教育評価研究
– 他者評価 評定
アセスメント フィード
– 自己評価 バック
– 相互評価(Peer Assessment) コメント
• 診断的評価
• 総括的評価
• 形成的評価(Formative Peer Assessment)
– バリエーションの記述研究
» 権威的,解釈的,探索的,協同的
– 効果研究のバラエティ
» ピアフィードバックという活動への態度
» フィードバックスキル
» 特定スキルのパフォーマンス・・・作文の研究が多い
» 心理学的自己評定尺度
36
2012/2/3