英語教育
リサーチメソッド
第3回
May 8th, 2015
亘理 陽一
eywatar@ipc.shizuoka.ac.jp
第3回: リサーチのデザインと準備(2)
• 前回の感想から
• タスク:先行研究検討の共有/研究課題の絞り込
み
• 講義:外国語教育研究のパラメータ/量的研究の
考え方/質的研究の考え方/リサーチの準備段階
• 課題1-2
Questions & Feedback
• 5件法のアンケートは良くないと高校の時言われたことがあるが、3を
つけられた場合、又は3が過半数だとどのような結果が見えてくるか分
からなくなると思うが、その時の対処はどのようにすればいいか。
• (中略)今回の課題のアンケートは,3人とも答えが一緒で,違いが
生まれない聞き方だったなあと反省です。
• アンケートを作る時は調べたい物事を直接聞くのではなく,それを構
成する下位尺度を項目としてあげる必要があるといったことが分かっ
たが,調べたい物事によっては,あらかじめ結果を予測し,どのよう
な結果が出れば,自分の予測を立証できるのかを考えながら,質問項
目を作ることもあるのではないかと思った
Questions & Feedback
• この調査をするためにはこういう形式がいい、などは、
先行研究を参考にする以外に、それを示してくれる(指
示書等)はないのか。
リサーチのデザインと準備(2)(テキストp.5)
は得られないものです(統計分析でよく使われるG a r b a g e in,g a r b a g e
o u t . つまり,「ゴミを入れてもゴミしか出てこない」という用語からもわ
かります) 。(5)で解釈し,論文や発表でまとめることにより,一連の流
れは完了しますが,そこで出てきた問題点や,新たな課題をもとに,次
の研究に発展きせることが多いため,( 2 ) に戻ることになります。
( 1 ) 大きな研究テーマの決定
( 2 ) 先行研究の洗い出し
具 体 的 な テ ー マ の 決 定
( 3 ) データ収集
( 4 ) データ分析
EJE三三二
( 5 ) 解釈
▲図1−1一般的な研究の手順
計画の段階でもう1つ大切なことは,どのようなデータを収集するかだ
けでなく,その分析方法までも計画しておくということです。分析方法
外国語教育研究のパラメータ
• 概念レベル
• パラメータ1: 現象に対するアプローチ
• パラメータ2: 目的
• 実行レベル
• パラメータ3: 研究条件の統制/操作の度合い
• パラメータ4: データとその収集
外国語教育研究のパラメータ
• 概念レベル
• パラメータ1: 現象に対するアプローチは総合的
か分析的か
• 総合的: 個々の部分の相互依存関係を重視
• 分析的: 現象を構成する個々の要素の役割に着
目
パラメータ1: 現象に対するアプローチ
• 「高等学校の受験対策のためにコミュニケーショ
ンが不足する問題を解決するために、洋画を題
材にする英語学習をプラスするのはどの程度有
効か。」
• 総合的: 洋画視聴による学習効果・影響全般
• 分析的: 機能・場面・ジャンル等の分類
外国語教育研究のパラメータ
• 概念レベル
• パラメータ2: 目的は探索的か演繹的か
• 探索的: データ駆動的、仮説生成
• (結論・結果)記述・仮説
• 演繹的: 仮説駆動的、結果予測・仮説検証
• (結論・結果)理論
パラメータ2: 目的
• 「中学校英語教育の、英語使用が少なすぎると
いう問題点を解決するために、教師の英語使用
頻度を増やすことはどの程度有効か?」
• 探索的: 教師の英語使用頻度の実態調査
• 演繹的: 「教師の英語使用頻度を増やせば学習
者の英語使用も増える」の検証
外国語教育研究のパラメータ
• 実行レベル
• パラメータ3: 研究条件の統制/操作の度合い
• 研究の範囲・焦点の限定: 低∼高
• 変数の統制: 低∼高
• 形式への注意、参加の意識: 低∼高
• 研究者の主観性: 高∼低
パラメータ3: 研究条件の統制と操作の度合い
• 「...教師の英語使用頻度を増やせば…」
• 研究の範囲・焦点の限定:
• 一回∼3年間?(Cf. 横断的/縦断的)、「話す」のみ?
• 変数の統制
• 授業/活動における教師の発話以外の影響
• 生徒の使用頻度?量?が増えたの判断法(質問紙?観察?)
• 形式への注意、参加の意識: 告知する?
外国語教育研究のパラメータ
• 実行レベル
• パラメータ4: データとその収集
• 何がデータとなるか:
• 観察される全ての行動から研究協力者の発言、
テストの得点まで様々
• どのようにデータを集めるか:
パラメータ4: データとその収集
• 言語習得のモデルに基づく: 例. 文法性判断、イラスト選択課題
• 処理過程研究: 例. 文解釈課題、反応時間計測、視線計測
• インタラクションに基づく: 例. 種々のタスク・パフォーマンス
• 方略・認知過程の研究: 例. 観察法、質問紙調査、ふり返り面接
• 社会言語学的・語用論的研究: 例. 自然環境観察、DCT、Role play
• 既存のデータベース利用: 例. 母語話者コーパス、学習者コーパス
パラメータ4: データとその収集
• 「... 洋画を題材にする英語学習をプラスする...」
• 何がデータとなるか:
• 授業の記録、面接音声・映像、アンケート回答、
テスト・スコア
• どのようにデータを集めるか:
• 授業観察、面接、アンケート、テスト
Task 1
課題2
• 1. Task 1のQ1で書いた内容or関心のあるテーマについ
てキーワードを設定・明示し、学術誌を検索し英語の
一次文献を3本(以上)リストアップする
• 日本語の一次文献の場合6本(以上)
• 2. 検索したタイトルとアブストラクトを読み,表の観
点に沿って各論文の概要をまとめる
• ファイルを提出、コピーを一部5月8日の授業に持参
Task 1
• 順に各論文の概要を報
告・共有
• 各論文のパラメータ
を意識しながら
• 持ち時間3分
• 報告に対し質問orコメ
ントがあれば遠慮なく
量的研究の考え方
• 仮説検証型リサーチ: 実験の処理効果と実験結果の
因果関係・共起関係を示せるか
• 独立変数: 予測因子、研究者が操作する要因・現象
• 従属変数: 予測される方の変数、変化を測られる手段
• その他の変数: 被験者変数、外部変数
• 仮説形成型リサーチ: 現象の分析的確認・記述
恋人へのプレゼントに対するリターン
で恋愛力を測る
• バレンタイン・チョコ
• ホワイトデーのお返し
• 恋人の経済状態・育ち・好み
• チョコの予算
• 恋のライバル
• 恋人の友人の状況
恋人へのプレゼントに対するリターン
で恋愛力を測る
• バレンタイン・チョコ(独立変数)
• ホワイトデーのお返し(従属変数)
• 恋人の経済状態・育ち・好み
• チョコの予算
• 恋のライバル
• 恋人の友人の状況
予算
恋人の経済状態
好み・育ち
恋人へのプレゼントに対するリターン
で恋愛力を測る
バレンタイン
・チョコ
¥3,000
ホワイトデー
のお返し
¥9,000
友人の状況
ライバルの行動ライバルの行動ライバルの行動
Y=3X?
量的研究の考え方
• 妥当性
• 測りたいものを測ろうとしているかどうか
• 信頼性
• 安定して(ゆらぎなく)測れているかどう
か
量的研究の考え方
• 妥当性(validity): 例.「恋愛力」測定
• 構成的妥当性: 恋愛力?, 人懐っこさ?or 自己中…?
• Cf. Rubin, Z. (1970) Measurement of romantic love.
• 概念的定義: 性質を記述 a) affiliative and
dependent need, b) a predisposition to help, and c)
an orientation of exclusiveness and absorption
• 操作的定義: 測定方法 The 13-item love-scale scores
量的研究の考え方
• 妥当性(validity): 例.「恋愛力」測定
• 構成的妥当性: 恋愛力?, 人懐っこさ?or 自己中…?
• 内容的妥当性: 告白まで?交際中?
• 基準関連妥当性
• 予測的: この人は「恋愛力」が高いから……♡
• 同時的: 別の測定法と比べると…
量的研究の考え方
• 信頼性(reliability): 安定して(ゆらぎなく)測れ
ているかどうか
• 検査・再検査、採点者内: 時間的
• 採点者間、平行検査: 空間的
• 内的整合性
• Cronbach’s alpha>.80 or 折半法
量的研究の考え方
• データの一般化の可能性: 平均的な対象の行動を
収集データがどれだけ代表しているかということ
• 再使用性: 後になっても再検証できるようになっ
ていること
• 確証性: 同じ結果を確認できること
• Cf. 客観性・再現性・普遍性
質的研究とは(テキストpp. 242-243)
• 「その場に生きる人々にとっての事象や行為の
意味を解釈し、その場その時のローカルな状況
の意味を具体的に解釈し構成していく」もの
• 「具体的な事例を重視し、それを文化・社会・
時間的文脈の中でとらえようとし、人々自身の
行為や語りを、その人びとが生きているフィー
ルドの中で理解しようとする学問分野」
質的研究の考え方
ルーツ エスノグラフィ 会話分析
背景 : :
基本原理 longitudinal :
holistic :
emic
:
データ収集 or
デ ー タ 分 析
の目的・方向
thick, or rich
triangulation :
sequence :
分析技法
質的研究の考え方
• 探索的研究との親和性: 修正の余地がある研究過程
• 帰納的: 現象の記述・説明、仮説生成と親和的
• 自然主義的: 変数を統制・操作しようとしない
• 記述的・解釈的: 価値判断を伴う
質的研究の考え方
• 多角的な視点: 価値的な視点、内側からの視点
• 循環的: 同時進行しつつ、必要に応じて往復しつつ
• 文脈に注意を向ける: 教室の環境、人間関係等
• 個別に焦点をあてる: 個別的特徴・相違を深く掘り
下げ
質的分析の枠組み
談話分析
• Interactional Analysis
• スクリプトを見ながら何らかの枠組み(例はFLINT)を用いた
分析を行うことによって、教師の発話の定型やクセを発見する
6. Give
Directions
質的分析の枠組み
談話分析
• Pattern Analysis
• 用途: 授業のやりとりの中に出現する、普段自覚
されていなインタラクションの定型やクセを発見
する
• 方式: 授業スクリプトを読み、何度も繰り返され
るパターン的なやり取りを発見し、それを文章と
して表現し提示する
質的分析の枠組み
談話分析
• Pattern Analysis
質的分析の枠組み
内容分析
• Stimulated Recall
• 用途: 授業で教師(や生徒)が取った行動の、背
景にある理由を明らかにし、その行動を振り返る
• 方式: 授業ビデオをもとに、発話すべてをスクリ
プトに打ち出す。スクリプトを見ながら、授業者
(や生徒)が、その時なぜそういう行動を選んだ
かについて物語る
リサーチの準備段階
• 第1相:おおまかな研究課題: 出所
• 第2相:研究課題を絞る…実行可能性
(feasibility)
• 第3相:研究目的を決める
• 第4相:リサーチの計画や仮説を立てる
リサーチの準備段階
• 第1相:おおまかな研究課題: 出所
• 研究者自身の経験や関心(…信念の知識)
• 他者による言語・外国語教育研究を読む(先験的知識A):
• a) 理論的性格の研究
• b) 実証的研究
• 外国語教育研究以外(先験的知識B)
リサーチの準備段階
• 第2相:研究課題を絞る…実行可能性
• どのようにして?
• 研究に先立って必要な前提知識
• 概念と用語の定義の統一
• 実施上の問題
リサーチの準備段階
• 第3相:研究目的を決める
• 探索的: 研究手順の記述・観察、用語の概念
的・操作的定義
• 演繹的: 用語や要因の操作的定義、(より限定
された)研究課題や仮説の設定
• …なので実際は「探索的⇄演繹的」
リサーチの準備段階
• 第3相:研究目的を決める
• 概念的・構成的定義: 概念の意味・構成要素、
構成要素が共通に持つ性質を記述したもの
• 操作的定義: 概念を操作可能なものと見なし
て、測定方法を記述したもの
リサーチの準備段階
• 第4相:リサーチの計画や仮説を立てる
• “A hypothesis ... is not supposed to lead to
conclusions which cannot be tested further.... It
is part of the‘game’of science to view research
as the best possible‘guess’at a particular point
in our state of knowledge.”…反証可能性
Task 2
Task 2
• 先行研究を踏まえ、自分の研究課題について、パラ
メータを選択し、研究テーマを一文で表現してみる
• 総合的 or 分析的
• 探索的 or 演繹的
• その研究課題に対して必要なデータや準備を考える
課題1-2
• Task 2で設定した研究テーマについて、研究計画のフォー
マットに沿って、仮の構想(第2∼4相)をまとめる
• 研究課題(第2相)
• 研究目的(第3相)
• 研究デザイン、対象者・データの種類等(第4相)
• 5月13日14:25までファイルを提出、コピーを一部持参
連絡
• テキスト第2章を読んでおく(復習)
• 課題1-2提出
• 次回5月13日: 記述統計の基礎知識(1)(2)
• 教室: 育G101、14:25開始(2コマ連続)
• 課題3を出します

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