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なにを書けばいいの?
「統計」の基本を学ぼう
記述統計から推測統計
 木更津工業高等専門学校 山本長紀	

ytakenori@icloud.com
千葉大学教育学部英語科英語教育研究法セミナー	

2014年7月29日・31日 於 千葉大学教育学部
アンケート
・氏名
・性別
・学年
・TOEIC, TOEFL
自己紹介
・専門分野:小学校外国語活動、教員養成、教室環境
      研究法(量・質・混合)
自己紹介
・2005年∼2011年 大阪教育大学教育学部
・2011年∼2013年 千葉大学大学院教育学研究科
・2014年∼    木更津工業高等専門学校人文学系講師
2005年に本田先生出会い、2013年までお世話になりました
自己紹介
そこで思ったことが…
(ちょっと統計のお話をからめて)
自己紹介
本田研には女子学生が多い(気がする)
歴代のゼミ生の性別内訳を調査(全数調査)
自己紹介
「女子>>>>>>>男子」の場合
本田先生は女子学生にモテるという結論
「女子 男子」の場合
勘違いでしたごめんなさい…
自己紹介
歴代のゼミ生の性別内訳を調査(全数調査)
全数調査できれば話は簡単
実際はそうじゃないことが多い世知辛い世の中です
自己紹介
英語教師を目指す学生には女子が多い?
自己紹介
「女子>>>>>>男子」の場合
世の男子のチャンス!
「女子 男子」の場合
男子は頑張らないと!
自己紹介
英語教師を目指す学生には女子が多い?
英語教師の免許を取れる大学をすべて調査?
自己紹介
一部の大学だけを調べて、全体を推測してみる
自己紹介
一部の大学だけを調べて、全体を推測してみる
標本調査
自己紹介
一部の大学だけを調べて、全体を推測してみる
統計の出番!
母集団
標本
標本抽出
推測
自己紹介
私の発表の流れ
記述統計
推測統計(t検定, χ2検定, 相関分析,分散分析)
効果量
検定力
統計の基礎的知識
1日目:ワークショップ形式で
私の発表の流れ
記述統計
推測統計(t検定, χ2検定, 相関分析,分散分析)
効果量
検定力
統計の基礎的知識
2日目:実践&報告
2日目:時間があれば…
私の発表の流れ
統計の基礎的知識
いきなりクエスチョン
「交際相手いない若者、男性6割・女性5割」	

2013年版の厚生労働白書案が26日、明らかになった。	

白書案は「若者の意識を探る」というサブタイトルで、結婚や出
産・子育て、仕事に関する若者の意識などを分析した。	

 結婚については、国立社会保障・人口問題研究所の調査(20
10年)などで、〈1〉18∼39歳の未婚者の9割弱が結婚願
望を抱いている〈2〉異性の交際相手も友人もいない割合は男性
で約6割、女性で約5割に上っている――との結果になったこと
などを踏まえ、白書案で「結婚相手の候補となりうる交際相手が
いる若者は限定的」と指摘した。	

Yomiuri Online 2013年8月26日記事 	

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130826-OYT1T00614.htm
いきなりクエスチョン
5割ずつが付き合っても男性は1割余る?
でも実は…
!
2010年の20歳から39歳(若者)の人口は…	

!
!
男性 女性
20∼24 3,543,000 3,359,000
25∼29 3,829,000 3,667,000
合計 7,372,000 7,026,000
でも実は…
男性の6割=4,423,000	

女性の5割=3,513,000	

↓	

差は910,000人の男性	

男性の1割2分3厘
でも実は…
_人人人人人人人人人人人人_	

> 悲劇は拡大した!!! <	

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
つまり…
必要な情報を記載しましょう
割合 数	

文字だけじゃ分かりにくい
今回のめあて
「何」を記載すれば良いのか学ぼう
1. 統計を使う研究法とは
・「仮説検証型」の研究(そうじゃないものもある)
・検証した結果の一般化が可能
・検証のためのツール=統計
検証される仮説って?
→Task 1へ
1.1 仮説
仮説=研究目的/Research Question
(できれば)仮説はYes/Noで答えられるもの
1.1実験デザイン・結果
→Task 2∼3へ
1.1実験デザイン・結果
Task2の答え
GroupA	

(実験群)
GroupB	

(統制群)
実験事前テスト 事後テスト
1. 統計を使う研究法とは
いきなり無茶な課題を出してごめんなさい
1.3 量的研究の流れ
・大きな研究テーマの決定
・先行研究の洗い出し。具体的なテーマの決定
・データ収集
・データ分析
・解釈
・データ収集
・データ分析
被験者の決定、実験デザインの決定	

テスト作成、実験の実施、テストの実施など
統計を使う(記述統計と推測統計)
1.3 量的研究の流れ
実験デザイン	

・実験の流れ	

・集めるデータの種類(テストの内容)	

・使用する統計	

・その他
1.3 量的研究の流れ
分析方法を考えず適当にデータを集めると…
Garbage in, Garbage out
1.3 量的研究の流れ
・データ収集
・データ分析
被験者の決定、実験デザインの決定	

テスト作成、実験の実施、テストの実施など
統計を使う(記述統計と推測統計)
統計に詳しい人が	

やさしい
1.3 量的研究の流れ
・データ収集
・データ分析
被験者の決定、実験デザインの決定	

テスト作成、実験の実施、テストの実施など
統計を使う(記述統計と推測統計)
統計に詳しい人が	

やさしくない
1.3 量的研究の流れ
尺度水準・・・現象をデータとして集めるための基準
比(率)尺度
間隔尺度
順序尺度
名義尺度
ちょっとアンケートを…
1.4 データの種類
名義尺度
性別 1.男性 2.女性	

好きな教科 1.英語 2.国語 3.数学…
四則演算不可	

数字を入れ替えても大丈夫
1.4 データの種類
順序尺度
学年 1.1年生 2.2年生 3.3年生	

テストの順位
四則演算不可	

大小の比較はできる	

数字の間隔は等間隔ではない
1.4 データの種類
間隔尺度
テストの得点	

加算、除算のみ可	

数字の間隔は一定	

「ゼロ」は無を意味しない
1.4 データの種類
比尺度
語数	

時間
四則演算可	

数字の間隔が等間隔	

「ゼロ」が無を意味する
1.4 データの種類
比尺度と間隔尺度は同じものとして扱う
1.4 データの種類
ここで問題です!
1.4 データの種類
ここで問題です!
Sonobe, Ueda &Yamane (2009)の10段階評価は	

何尺度でしょう?
1.4 データの種類
Sonobe, Ueda &Yamane (2009)の10段階評価は	

何尺度でしょう?
Likert scaleは本来順序尺度だが、	

間隔尺度と「みなして」統計処理を行う
1.4 データの種類
尺度は統計的検定の選択に大きく影響するので	

正しく理解する必要があります
1.4 データの種類
1. 統計を使う研究法とは
・「仮説検証型」の研究(そうじゃないものもある)
・検証した結果の一般化が可能
・検証のためのツール=統計
1.5 一般化が可能とは
母集団
標本
標本抽出
推測
→Task 4へ
母集団
偏った標本に対して推測統計を用いる場合
は、標本から母集団をどこまで広げて解釈
とするか、しっかりと考える必要があるで
しょう(竹内・水本, 2012, p. 47)
1.5 一般化が可能とは
私の発表の流れ
記述統計
推測統計(t検定, χ2検定, 相関分析,分散分析)
効果量
検定力
統計の基礎的知識
1日目:ワークショップ形式で
私の発表の流れ
記述統計
2. 記述統計
「この集めたデータの特徴は⃝⃝ですよ」	

と記述する統計
母集団
標本
推測
記述統計
2. 記述統計
実際にデータをいじってみる
エクセルファイル「data」
2. 記述統計
こんな架空の実験のデータ
英語の語彙力を伸ばす指導法AとBがある。どちらの
指導法のほうが語彙の定着が良いのか調べたい。ま
ず教授法Aを実施し、1週間おきに4回の確認テスト
(10点満点)を行った(testAのデータ)。次に同
じ被験者に指導法Bを実施し、同様に1週間おきに4
回の確認テストを行った(testBのデータ)。
2. 記述統計
→Task 5へ
クラス1→機械	

クラス2→電気	

クラス3→制御	

クラス4→情報	

クラス5→環境
被験者数=サンプルサイズ
クラス
1
クラス
2
クラス
3
クラス
4
クラス
5
合計
男性の
人数
36 36 25 40 38 175
女性の
人数
6 7 17 3 5 38
合計 42 43 42 43 43 213
2. 記述統計
指導法A 指導法B
平均 9.22 8.21
中央値 10 9
最頻値 10 10
分散 1.64 4.22
標準偏差 1.28 2.05
2. 記述統計
データの中心を表す	

平均値、中央値、最頻値
2. 記述統計
2. 記述統計
データの平均値を中心としたばらつきを表す	

分散=標準偏差2
2. 記述統計
M=50
SD=5
0 20 40 60 80 100
0.000.020.040.060.080.10
2. 記述統計
M=50
SD=10
0 20 40 60 80 100
0.000.020.040.060.080.10
2. 記述統計
M=50
SD=15
0 20 40 60 80 100
0.000.020.040.060.080.10
2. 記述統計
0 20 40 60 80 100
0.000.020.040.060.080.10
2. 記述統計
記述統計のうち	

少なくともMとSDは記載しましょう
2. 記述統計
実験1	

英語のテストの平均点がA組60点、B組40点で5%水準
で有意な差があった。
実験2	

英語のテストの平均点がA組60点、B組40点で有意な
差がなかった。
2. 記述統計
実験1
0 20 40 60 80 100
0.000.020.040.060.080.10
English Test
Score
A組
M=60
SD=5
B組
M=40
SD=5
2. 記述統計
実験2
A組
M=60
SD=20
B組
M=40
SD=20
0 20 40 60 80 100
0.000.020.040.060.080.10
English Test
Score
2. 記述統計
数字だけではなく、	

グラフを作成することも大切
→Task 6へ
2. 記述統計
1)
! !
2. 記述統計
2)
Histogram of X1......
X1......
Frequency
0 2 4 6 8 10
020406080100120140
2. 記述統計
3)
7.8$
8$
8.2$
8.4$
8.6$
8.8$
9$
9.2$
9.4$
9.6$
1 $ 2 $ 3 $ 4 $
Series1$
2. 記述統計
3)
0"
1"
2"
3"
4"
5"
6"
7"
8"
9"
10"
1 " 2 " 3 " 4 "
Series1"
2. 記述統計
おまけ(箱ひげ図)0200400600800
Box Plot
2. 記述統計
おまけ(箱ひげ図)0200400600800
Box Plot
最大値
最小値
中央値
3/4
1/4
2. 記述統計
おまけ(箱ひげ図)
Pre_TOEIC Post_TOEIC
200300400500600700800
Box Plot
2. 記述統計
正しくグラフを作りましょう
2. 記述統計
2. 記述統計
2. 記述統計
2. 記述統計
2. 記述統計
「何」を記載すれば良いのか?	

・記述統計(サンプルサイズ,M,SD)	

・正しいグラフ
2. 記述統計
おまけの話(重要)
正規分布	

妥当性	

信頼性
2.2 正規分布
M±2SDに約96%M±1SDに約68%
M±1.96SDの外側が合計5%
2.2 正規分布
3.1妥当性
構成概念妥当性(ハンドアウト5ページ)	

測定しようとしているものが、構成概念(直接は
測定出来ないもの)に沿っているかどうか	

!
例えば…「英語学習への動機づけ」を見るために
「英語の先生が好きかどうか」を測定する
3.1妥当性
構成概念妥当性(ハンドアウト5ページ)
とりあえずアンケートしてみる
測定項目の妥当性を「事前に」確かめる
3.2信頼性
測定を何度やっても同じ人には同じ結果が得られ
るであろう精度	

クロンバックのアルファ(Cronbach’s alpha)	

Interrater reliability	

例えばスピーキングの評価を2人で行った
場合の信頼性
3. 妥当性と信頼性
妥当性は事前に	

信頼性は事後に	

それぞれ確認をする
私の発表の流れ
記述統計
推測統計(t検定, χ2検定, 相関分析,分散分析)
効果量
検定力
統計の基礎的知識
1日目:ワークショップ形式で
私の発表の流れ
推測統計(t検定, χ2検定, 相関分析,分散分析)
母集団
標本
推測
記述統計
推測統計
1. 統計を使う研究法とは
・「仮説検証型」の研究
・検証した結果の一般化が可能
・仮説の検証のためのツール=推測統計
おさらい
4.1 帰無仮説と対立仮説
帰無仮説(null hypothesis, H0)
対立仮説(alternative hypothesis, H1)
4.1 帰無仮説と対立仮説
帰無仮説(null hypothesis, H0)
対立仮説(alternative hypothesis, H1)
男女で英語のテストの平均点に差はない
男女で英語のテストの平均点に差がある
推測統計の考え方(ざっくり)
集めたデータの下で帰無仮説が正しい確率を求め
る。その確率がとても小さい(5%未満)ならば帰
無仮説が正しいとは考えず(帰無仮説を棄却する)、
対立仮説が正しいと考える(対立仮説を採択する)。
4.1 帰無仮説と対立仮説
推測統計の考え方(ざっくり)
「差がない」という帰無仮説を棄却した場合、
「差がある」のではなく、「差がないとはいえ
ない」が正しい
帰無仮説が正しい確率=p値	

5%=有意水準
4.1 帰無仮説と対立仮説
4.2 第1種&第2種の過誤
研究結果
真の結果
差がない 差がある
有意差なし 正しい判断(1-α) 第2種の過誤(β)
有意差あり 第1種の過誤(α) 正しい判断(1-β)
5.2 第1種&第2種の過誤
第1種の過誤	

本当は差がないのに、統計で差がある
という結果になる
真実:女の子はBoyのことを本当は好きじゃない	

推測:数々のデータから「自分のこと好きなん
だ」と結論を導き出してしまう勘違いBoy
5.2 第1種&第2種の過誤
第1種の過誤	

本当は差がないのに、統計で差がある
という結果になる	

確率は5% (=α)
5.2 第1種&第2種の過誤
第2種の過誤	

本当は差があるのに、統計で差がない
という結果になる
真実:女の子はBoyのことを本当に好き	

推測:数々のデータから「自分のこと好きじゃな
い」と結論を導き出してしまう残念Boy
5.2 第1種&第2種の過誤
第2種の過誤	

本当は差があるのに、統計で差がない
という結果になる	

確率は20% (=β)
推測統計(t検定, χ2検定, 相関分析,分散分析)
「差があるかどうか」を見る検定
「関係があるかどうか」を見る検定
5.1差の検定
対応のないt検定
対応のあるt検定
繰り返しのない一元配置分散分析(ANOVA)
繰り返しのある一元配置分散分析(ANOVA)
χ2検定
5.1.1 t検定
対応のないt検定
対応のあるt検定
2つのグループの平均値の差を見る検定
例えば、1学期期末テストの平均点がA組68
点、B組78点でした。この10点の差は統計的
に差があると言えるのか。
5.1.1 t検定
差があれば…	

差がなければ…
0 20 40 60 80 100
0.000.010.020.030.04
English test A-B
Test score
5.1.1 t検定
正規性が確保されているか	

(母集団が正規分布かどうか)	

間隔尺度以上か	

2グループのサンプルサイズに偏りがないか	

2グループの分散が等しいか(等分散か)
5.1.1 t検定
対応のないt検定
対応のあるt検定
対応のない=異なる2グループが	

      1つのテストを受けた場合	

対応のある=同じ1グループが	

      1つのテストを2回受けた場合
5.1.1 t検定
「対応のない」の例
A組
B組
授業
言語能力	

テスト
5.1.1 t検定
「対応のある」の例(pre-postデザイン)
A組 授業
Pretest	

言語能力	

テスト
Posttest	

言語能力	

テスト
5.1.1 t検定
2つを組み合わせたデザイン
A組
B組
授業
Pretest	

言語能力	

テスト
Posttest	

言語能力	

テスト
これはt検定では分析できない
5.1.1 t検定
→Task 8へ
→Task 7へ
5.1.1 t検定
Task7
H0:指導法間で1回目確認テストのスコアに差はない	

H1:指導法間で1回目確認テストのスコアに差はある	

結果:指導法間で1回目確認テストのスコアに差があ
るかどうか対応のないt検定を行なった結果、有意
な差があることが明らかとなった (t(424)=5.70,
p=.00)	

( t(自由度)=t値, p=確率)
5.1.1 t検定
Task8
H0:1回目と4回目のテストスコアに差がない	

H1:1回目と4回目のテストスコアに差がある	

結果:指導法Aにおける1回目と4回目のテストス
コアに差があるかどうか対応のあるt検定を用
いて分析した結果、(t(424)=1.35, n.s.) …
5.1.1 t検定
5.1差の検定
対応のないt検定
対応のあるt検定
繰り返しのない一元配置分散分析(ANOVA)
繰り返しのある一元配置分散分析(ANOVA)
χ2検定
5.1.2 一元配置分散分析
繰り返しのない一元配置分散分析(ANOVA)
繰り返しのある一元配置分散分析(ANOVA)
3つ以上のグループの平均値の差を見る検定
5.1.2 一元配置分散分析
例えば、1学期期末テストの平均点がA組68
点、B組78点、C組45点。この3つのグルー
プの差は統計的に差があると言えるのか。
0 20 40 60 80 100
0.000.010.020.030.04
English test A-B
Test score
5.1.2 一元配置分散分析
正規性が確保されているか	

間隔尺度以上か	

3グループ以上のサンプルサイズに偏りがないか	

等分散であるか
5.1.2 一元配置分散分析
繰り返しのない一元配置分散分析(ANOVA)
繰り返しのある一元配置分散分析(ANOVA)
繰り返しのない=異なる3グループ以上が	

      1つのテストを受けた場合	

繰り返しのある=同じ1グループが	

    1つのテストを3回以上受けた場合
5.1.2 一元配置分散分析
「繰り返しのない」の例
A組
B組
C組
授業
言語能力	

テスト
5.1.2 一元配置分散分析
「繰り返しのある」の例
A組 授業test1 授業test2 test3
分散分析と多重比較について (ハンドアウトp.10)
5.1.2 一元配置分散分析
分散分析
A組 授業test1 授業test2 test3
多重比較
5.1.2 一元配置分散分析
結局t検定を	

繰り返してもいいんじゃない?
ハンドアウトp. 9
5.1.2 一元配置分散分析
第1種の過誤	

本当は差がないのに、統計で差がある
という結果になる	

確率は5% (=α)
5.1.2 一元配置分散分析
Sonobe, Ueda, &Yamane (2009)は…
実験群
統制群
指導Pretest Posttest
差があった差がなかった
5.1.2 一元配置分散分析
5.1.2 分散分析
繰り返しのない二元配置分散分析	

繰り返しのある二元配置分散分析	

2要因混合計画の分散分析	

多元配置分散分析
5.1.2 分散分析
2要因混合計画の分散分析
実験群
統制群
指導Pretest Posttest
5.1差の検定
対応のないt検定
対応のあるt検定
繰り返しのない一元配置分散分析(ANOVA)
繰り返しのある一元配置分散分析(ANOVA)
χ2検定
χ2検定
5.1.3 χ2検定
適合度検定
独立性の検定
χ2検定 適合度検定
例えば...	

生徒の最も好きな教科の選択に差があるのか
国語 数学 英語 理科 社会
55 30 13 74 58
被験者数 230
5.1.3 χ2検定
χ2検定 適合度検定
名義尺度のデータを扱う検定
国語 数学 英語 理科 社会
55 30 13 74 58
5.1.3 χ2検定
χ2検定 適合度検定
データが名義尺度であるか	

データが累積の頻度であるか	

データが独立しているか	

   が5以上であるか期待値
5.1.3 χ2検定
χ2検定 適合度検定
期待値
同じように選択されると仮定した場合の値	

つまり「差がない」と仮定した場合の値
国語 数学 英語 理科 社会
実測値 55 30 13 74 58
期待値 46 46 46 46 46
被験者数 230
5.1.3 χ2検定
χ2検定 適合度検定
実測値と期待値がどれだけ離れているかを
検定し、全体として差があるかどうか見る
5.1.3 χ2検定
χ2検定 適合度検定
実測値と期待値がどれだけ離れているかを
検定し、全体として差があるかどうか見る
どこが多くてどこが少ないのかは、	

多重比較を用いて分析(今回は扱わない)
5.1.3 χ2検定
χ2検定
適合度検定
独立性の検定
5.1.3 χ2検定
χ2検定
例えば...	

男女ごとで最も好きな教科の選択に違いがあるか
独立性の検定
国語 数学 英語 理科 社会
男子 11 25 6 40 16
女子 34 5 7 34 42
5.1.3 χ2検定
χ2検定独立性の検定
期待値
実測値 国語 数学 英語 理科 社会 合計
男子 11 25 6 40 16 98
女子 44 5 7 34 42 132
合計 55 30 13 74 58 230
期待値 x : 98 = 55 : 230
    x = (55 × 98) ÷ 230
5.1.3 χ2検定
χ2検定独立性の検定
期待値	

男女に関係なく教科が選ばれた場合の値	

!
つまり、性別と教科の選択に関係がないと
仮定した場合の値
5.1.3 χ2検定
χ2検定独立性の検定
2つの変数(性別・好きな教科)は	

関係があるかどうかを見る検定
もし関係があれば、どこかが多くなり、	

どこかが少なくなるかも…
→残差分析を用いて分析
5.1.3 χ2検定
→Task 10へ
→Task 9へ
5.1.3 χ2検定
Task9
H0:クラス間の男子の人数に差はない	

H1:クラス間の男子の人数に差がある	

結果:クラス間の男子の人数に差があるかど
うかχ2検定を用いて分析した結果、男子の
人数に有意な差がなかった (χ2(4)=3.89, p=.42)	

(χ2(4)=3.89, p=.42) 自由度=カテゴリー数−1
5.1.3 χ2検定
Task10
H0:性別と専攻は独立である	

H1:性別と専攻は独立でない	

結果:性別と実験の効果の有無に関係がある
かどうかχ2検定用いて分析した結果、性別
と専攻の間には有意な関係があることが明ら
かとなった (χ2(4)=19.71, p=.00)
5.1.3 χ2検定
5.2 関係の検定
相関分析(ピアソン積率相関)
相関分析(ピアソン積率相関)
例えば…	

中学生の国語と英語のテストの間に相関関係
があるかどうか
5.2 関係の検定
相関分析(ピアソン積率相関)
間隔尺度以上	

(厳密には)正規性が確保されている
5.2 関係の検定
相関分析(ピアソン積率相関)
ピアソン積率相関係数 r	

r = ± .70∼1.0 強い相関あり
r = ± .40∼.70 中程度の相関あり
r = ± .20∼.40 弱い相関あり
r = ± .00∼.20 相関なし
5.2 関係の検定
相関
r = .00
相関
r = .25
相関
r = .50
相関
r = .75
相関
r = .90
相関
r = 1.00
相関分析(ピアソン積率相関)
しかし、「どういう相関関係か」と「統計的
に有意な相関関係があるか」は別問題。	

!
→帰無仮説・対立仮説(ハンドアウトp. 13)
5.2 関係の検定
相関分析(ピアソン積率相関)
相関関係を視覚的に見るために散布図を!
→Task 11へ
5.2 関係の検定
Task11
H0:指導法AとBの1回目のテストスコアの間に相関が
ない	

H1:指導法AとBの1回目のテストスコアの間に相関が
ない	

結果:指導法AとBの1回目のテストスコアの間に相関
関係があるかどうか相関分析を行った結果、2つの
指導法の間に弱い正の相関関係があった(r=.32)
5.2 関係の検定
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● ●
●
●
●
●
●
●
●
20 30 40 50 60 70 80 90
405060708090100
Scatter Plot
Japanese
English
5.2 関係の検定
Group M SD Diff p value
Group 1 50 10
2 .374
Group 2 52 10
Group M SD Diff p value
Group 1 50 10
2 .046
Group 2 52 10
8.1効果量
Group M SD Diff n p value
Group 1 50 10
2
20
.374
Group 2 52 10 20
Group M SD Diff n p value
Group 1 50 10
2
200
.046
Group 2 52 10 200
8.1効果量
サンプルサイズが大きいと、有意になりやすい
Group M SD Diff n p value
Group 1 50 10
2
200
.046
Group 2 52 10 200
8.1効果量
サンプルサイズに左右されず、	

実験の「効果」を見るにはどうすれば…
8.1効果量
52 79
59 55
61 61
76 89
45 51
68 71
63 63
69 41
43 41
51 83
36 93
51 47
39 37
71 52
26 41
70 57
38 64
58 76
48 43
28 90
54 58
58 38
38 38
42 43
47 58
78 60
68 48
40 45
50 24
68 36
Group A Group B
あるテストの結果
浦野研先生の日本第二言語習得学会2013年度夏季セミナー投影資料を加筆	

http://www.urano-ken.com/blog/2013/08/19/j-sla2013-workshop/
8.1効果量
平均点
Group A Group B
52.1 57.1
Group B の方が優秀?
<
浦野研先生の日本第二言語習得学会2013年度夏季セミナー投影資料を加筆	

http://www.urano-ken.com/blog/2013/08/19/j-sla2013-workshop/
8.1効果量
「差」ではなく「重なり」を見よう
0"
1"
2"
3"
4"
5"
6"
7"
8"
9"
0,10" 11,20" 21,30" 31,40" 41,50" 51,60" 61,70" 71,80" 81,90" 91,100"
Group"A"
Group"B"
浦野研先生の日本第二言語習得学会2013年度夏季セミナー投影資料を加筆	

http://www.urano-ken.com/blog/2013/08/19/j-sla2013-workshop/
8.1効果量
(吉田, 1998, p. 173)
浦野研先生の日本第二言語習得学会2013年度夏季セミナー投影資料を加筆	

http://www.urano-ken.com/blog/2013/08/19/j-sla2013-workshop/
8.1効果量
差は同じ
(吉田, 1998, p. 173)
浦野研先生の日本第二言語習得学会2013年度夏季セミナー投影資料を加筆	

http://www.urano-ken.com/blog/2013/08/19/j-sla2013-workshop/
8.1効果量
重なりの量が違う
浦野研先生の日本第二言語習得学会2013年度夏季セミナー投影資料を加筆	

http://www.urano-ken.com/blog/2013/08/19/j-sla2013-workshop/
8.1効果量
0"
1"
2"
3"
4"
5"
6"
7"
8"
9"
0,10" 11,20" 21,30" 31,40" 41,50" 51,60" 61,70" 71,80" 81,90" 91,100"
Group"A"
Group"B"
この重なりは多いの?少ないの?
浦野研先生の日本第二言語習得学会2013年度夏季セミナー投影資料を加筆	

http://www.urano-ken.com/blog/2013/08/19/j-sla2013-workshop/
8.1効果量
この重なりは多いの?少ないの?
重なりの大小を示す指標=効果量
水本・竹内(2008, p. 62)へ
8.1効果量
Sonobe, Ueda, & Yamane
(2009)の結果
2 4 6 8 10
0.00.10.20.30.40.50.6
Post-practice
Evaluation
2 4 6 8 10
0.00.10.20.30.40.50.6
Pre-practice
Evaluation
赤:実験群 青:統制群
Sonobe, Ueda, & Yamane
(2009)の結果
2 4 6 8 10
0.00.10.20.30.40.50.6
Post-practice
Evaluation
2 4 6 8 10
0.00.10.20.30.40.50.6
Pre-practice
Evaluation
Cohen’s d=1.18Cohen’s d=0.21
8.2検定力
事前の検定力分析	

事後の検定力分析
有意確率
(α)
サンプル	
 
サイズ
効果量 検定力	
 
(1-β)
8.2検定力
有意確率
(α)
サンプル	
 
サイズ
効果量 検定力	
 
(1-β)
5%
80%中程度
?
事前の検定力分析
8.2検定力
事前の検定力分析	

適切な検定力(80%)を得るためには、いく
つのサンプルサイズにすれば良いのかを分析
する
8.2検定力
有意確率
(α)
サンプル	
 
サイズ
効果量 検定力	
 
(1-β)
8.2検定力
有意確率
(α)
サンプル	
 
サイズ
効果量 検定力	
 
(1-β)
5%
?d
n
事後の検定力分析
8.2検定力
事後の検定力分析	

被験者数、データから効果量を用いて、実験
における検定力を得るために行う分析
8.2検定力

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