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@⼤大阪医科⼤大学
アンケート作成WS;試⾏行行版
アンケートを作ろう
廣江 貴則 HIROE, Takanori
早稲⽥田⼤大学理理⼯工学術院 創造理理⼯工
t-‐‑‒hiroe@umin.ac.jp
http://www.thiroe.net/
2. アンケートですよ、みなさん。
全体像を把握する
今日の見通し
1. Introduction 〜 アンケート再考
2. 質問項目を検討する
3. 選択式項目について考える
4. バイアスについて考える
5. 作ってみる(1)
6. 作ってみる(2)
7. 分析について考える
8. まとめ
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 2
3. Introduction
Introduction 〜 アンケート再考
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 3
5. Introduction;なぜアンケート調査をするのか
知りたいことがあるからやる.
e.g. 自分のやったことの影響,受け手側の反応
問題点がある→調査が改善のきっかけに
皆がどういうもの,どんなことを考えているか.
期待しているものを知りたい
WSなら、受講者の考えとやる側の乖離を見つける
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 5
6. Introduction;仮説設定の重要性
仮説検証型調査
仮説を設定し,その仮説が成立するかを検証
仮説は先行研究(事例)のほか,直感でもよい
仮説生成型(事実発見型)調査
仮説を無理に設定する必要はない
実態を把握する
文献調査などで見通しは考えておかないと痛い目に遭う
仮説があると…
質問項目を絞れ,質問紙の設計はやり易くなる
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 6
7. Introduction;質問項目の検討に入る前に
質問項目の検討(作成)に入る前にやっておきたいこと
テーマと目的を決める
知らない人に説明して理解してもらえるかどうかが基準
テーマがないと1回の調査で欲張りすぎてしまうケースも
タイトルを決める
仮説をたてる
調査対象者(範囲)を決める
データ収集法を決める
(スケジュール)
(参考文献の調査)
(倫理的問題について検討する)
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 7
8. Introduction;質問紙設計プロセス
“質問紙法による本調査実施までの各プロセスの関連性”, 鈴鈴⽊木(2011)
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 8
10. Introduction;全数調査
使われているもの 注意点
母集団にバイアスあり
学校の試験 (ある病院/ある製品)
小規模の調査
一般化できない
国勢調査(5年に1回) 報告書の言葉に注意!
選挙(理想なら…) コスト:規模によるが,基
本的に高い
統計解析は難しくない
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 10
11. Introduction;標本調査
計画が大変 注意点
コスト…安い
バイアスがかかる
誤差を許容しないとい
けない 事前に集団の傾向を把握
選んだものが変わっていた
世論調査(N≒1000)
視聴率(N=600)
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 11
12. 設計
質問項目を検討する
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 12
15. 設計;デモグラフィック項目;質問紙における位置(1/2)
最初においた方がいい 最後においた方がいい
年齢・性別など個人の 住所・氏名など個人を特
特定できない情報 定できる情報
簡単な内容のときー答 項目が多いときは聞きた
えやすいものから答えて い内容に到達する前に
いきたい
疲れてしまう
知らない人には出したく
ない(警戒感)
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 15
17. 設計;選択式項目
選択式項目について考える
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 17
18. 設計;選択式回答法の利点と欠点
利点
欠点
答えやすい とりあえず真ん中を選ぶ
基準が人によって違う
自由記述より手間が少な
い 予想外の回答に対応不可
解析しやすい
数値化できる
選択肢を列挙しきれな
い場合は正確に評価で
きない
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 18
19. 設計;選択式回答の形式(1/5)
二項選択法
2つの対立するカテゴリーを選択肢として示す
2つにしか分類できないもの/フィルター・クエスチョンに向く
嗜好を把握するには限界がある(無理に選ばせるため)
e.g. アボカドは好きですか? ー 好き or 嫌い
多項選択法
3つ以上の選択肢を用いるもの
複数の選択肢の中から1つ,または複数の回答を選択
選択肢が増えるため,情報はより現実味を増す
回答がもっとも多くなると予想されるものは最初に置かない
すべの選択肢を検討してもらうため(小松,1999)
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 19
20. 設計;選択式回答の形式(2/5)
多項選択法・択一式(SA)…選択数1
複数の選択肢の中から1つだけ選ばせる
「好き」,「嫌い」,「どちらともいえない」はこの形式の一例
多項選択法・複数選択(MA)…選択数無制限
複数の選択肢の中から該当するものを自由に複数回答
回答しやすいが,重要な肢以外も「とりあえず」選ぶ恐れ
多項選択法・限定選択(LA)…選択数を制限
制限数は全選択肢の1/3を限度に(酒井,2001)
選択肢の数を指示するものと,数の上限を示すものがある
不適当な回答まで無理矢理選ぶ可能性もある
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 20
21. 設計;選択式回答の形式(3/5)
順位法
複数の項目について,順位をつける方法
回答も難しいが,分析も面倒(フリードマンの検定)
項目数は3〜7項目が最適(Mangione, 1995)
完全順位法
全選択肢について順位付けを行う
一部順位法
順位付けをする項目数を限定する
e.g.
以下の7項目の中で,重要だと思うものを3つ選び,
1位〜3位まで順位をつけてください.
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 21
22. 設計;選択式回答の形式(4/5)
恒常和法
順位+項目間の重要性の違いを測る
全項目に100%もしくは100点を与え,それを配分させる
分析は面倒(コンジョイント分析/重回帰)
e.g. 宝くじが当たったら何に使いたいですか?
合計が100%になるように,空欄に記入してください.
1. 貯金 ( )%
2. 旅行 ( )%
3. 買い物 ( )%
4. 投資 ( )%
5. その他 ( )%
合計:100%
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 22
26. 設計;自由記述(自由回答法)
利点
欠点
選択肢のバイアスが入り 分析が大変
にくい 回答者も疲れる(何を答え
書き漏らしたことを書く欄を たらいいのかわからない)
つくれば、想定外のものに
も対応できる 回答者の意図をくみとれ
要望を集める るか。意見を判断しにくい
字で性格が分かる
選択肢の追加・補足質
問ができる
答えてくれない
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 26
27. 設計;自由記述の欠点をカバーするための方策
量・回答スペースを工夫する
量は少ない方がいい
スペースは狭い方が気軽に答えられる
回答者が答えやすいタイミングを用意する
待ち時間を利用する
項目の工夫(質問文を詳細に)
選択式の質問の構成を工夫する
低姿勢でお願いする
それを書かないと終了しない(WEB)
作り手と受けての言葉の違い
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 27
29. 設計;バイアス
バイアスについて考える
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 29
30. 設計;誘導質問(1/3)
語尾に価値判断を含む文
「〜すべきだと思いませんか」,「〜に困っていませんか?」
回答者が明確な意見を持っていない場合,強く誘導
同調圧力を含む文
「一般に言われている〜」,「社会問題化している〜」
e.g. 若者の選挙離れによる投票率の低下が社会問題に
なっています.あなたは次回の選挙で投票に行きますか?
(回答: 行く, 行かない, 未定)
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 30
31. 設計;誘導質問(2/3)
Yes-Tendency
“Yes”が”Noに比較して選ばれやすい傾向
二項選択式の質問形式で顕著
知識を問う質問では「無知は恥」に縛られる(山田,2010)
同様の質問内容が続くと飽きて機械的に回答することも
回答者が態度を決めかねている場合
「〜に賛成ですか?」 … 賛成と答える場合が多い
「〜に反対ですか?」 … 反対と答える場合が多い
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 31
32. 設計;誘導質問(3/3)
ハロー効果
影響力が強い人名や職種が回答を誘導する(辻ら,1987)
「△△省の●×審議会」,「□□の専門家」
権威に対して同調する傾向がみられる
前提を事実とした質問
e.g. あなたは新聞を毎日何分くらい読みますか?
読んでいて当然という暗黙の質問者の意図がある
フィルター・クエスチョンを導入する
1. あなたは新聞を読みますか?
2. 1で「はい」の方は何分くらい読みますか?
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 32
33. 設計;噓の回答を招く質問
倫理・道徳に関する質問
社会規範,正義とされている内容では事実に反しても同調
e.g. 震災後の支援,選挙前の投票に関する調査
プライバシーにかかわる項目(デモグラフィックの項参照)
正直に回答するのが恥ずかしいと考える項目
「知識」,「流行への関心」の有無(無い場合)
調査者を落胆させないための,期待に沿った回答
講習後の評価ではこれが多いのでは?
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 33
35. 噓の回答を防ぐ
回答項目
「そんなことは考えたこともない」,「知らない」
「聞いたことがない」
フィルター・クエスチョンを使って、無関係な人に回答さ
せない
年収などはある程度の幅をもたせた選択肢
「200万円以上500万円未満」
「500万円以上800万円未満」
「800万円以上
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 35
36. 設計;二重質問(Double-barreled Question)
1つの質問に2つ以上の異なる論点が含まれる
回答者が混乱する原因になる
経験者でもうっかり起こす,頻度の高いミス(Azzara,2010)
回答選択肢を増やすか,質問を分割するなどして対処
2分類(山田,2010)
論点並列型
「〜や〜」,「もしくは」で論点がつながれる
「FacebookやTwitterを利用していますか?」
論点従属型
一方がもう一方に従属
「ダイエットのために運動していますか?」
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 36
37. 設計;回答バイアス(1/2)
両極選択バイアス
選択肢が多いとき,最初か最後の選択肢を選ぶ傾向
面倒くさくて全ての項目に目を通さない
不必要な項目の削除,グループ化で対処
社会的望ましさバイアス
社会的に受け入れられやすい方向で回答
調査者が求めていると思う回答(Leman,2010)
中間回答バイアス
中心化傾向;「どちらともいえない」
日本人に対する調査では非常に多い問題
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 37
38. 設計;回答バイアス(2/2)
記憶バイアス(記憶効果)
過去の出来事や行動を具体的に思い出すことは難しい
記憶質問に対する回答の信頼性は低い(直井,1998)
時期(「X年前」も同様)を思い出すこともなかなか難しい
結果は参考程度にとどめる必要がある
極端反応バイアス
(両極選択と混同しないように注意)
たとえば,5段階尺度で両極の選択肢ばかり選ぶ傾向
回答者個人の傾向で,質問側は悪くない.防ぎようがない.
回答データは無効とし,集計から外すのがベター
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 38
39. 設計;それでは,質問順序を検討しよう
どんな順序で質問を配置したらよいか
質問の最初の段階で「面倒くさい」と思われたら負け
検討のポイント
デモグラフィック項目の内容と位置
重要な質問をどこに置くか
事実や行動に関する質問 ー 意見や意識に関する質問
簡単な質問 ー 難しい質問
一般的な質問 ー 個別の質問
選択式 ー 自由記述式
知識に関する質問(〜を知っているか)
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 39
40. 質問順序
デモグラフィック→選択式→自由記述
真ん中あたりに一番聞きたいことを書く
長くなると疲れる
疲れないうちに重要な質問をした方がいいのではないか
プライバシーに関係ないもの:前に,それ以外:最後に
簡単な質問を出した後、重要な質問
事実・行動(答えやすい)を先に
誘導につながる危険もある
知識に関する質問:最後に
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 40
41. 自由記述の分析方法(例)
アフターコーディング法
後から設定したカテゴリーに回答項目を分類
構文解析/形態素解析
テキストデータとして,ソフトを使って言葉を文節に区切る
名詞,形容詞.動詞などを抽出
頻出の単語を抽出して,それに係る言葉を分析する
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 41
42. 設計;尺度の種類
尺度の種類
"On the theory of scales of measurement”, Stanley S. Stevens, 1946
(上位)
↑比率尺度(Ratio Scale) e.g. 大半の物理量
間隔尺度(Interval Scale) e.g. 摂氏温度
順序尺度(Ordinal Scale) e.g. Likert Scale
↓名義尺度(Nominal Scale)
(下位)
上位の尺度は下位の尺度の特徴を包含
上位の尺度の方が扱える演算の種類が豊富
2012, Takanori Hiroe, Faculty of Science and Engineering, Waseda University 42