人間科学のための基礎数学(9)
積分
作者: @masa_hiroo_kano (twitter ID)
お品書き
• 基礎・基本的な話題
– 不定積分
– 定積分
– 面積・体積
– 微分積分学の基本定理
• 実用/応用/発展的な話題
– 変位、速度、加速度
– 運動方程式と力学的エネルギー保存則・運動量保存則
– 確率密度関数と積分の関係
– フーリエ変換
• 付録:微分積分法の基本定理
2
積分法とは
• 図形の面積や曲線の長さを求める方法として発展し、これをさらに一
般化し、系統的に扱うようになったのが積分法である。
• 積分法は微分法の逆演算である。すなわち、y=f(x)のグラフの下の面積
S(x)を微分すればf(x)になる。そこで、微分すればf(x)になるような関数
を求め(これを不定積分という)、それに両端の値を代入してその差を
求める(これを定積分という)方法をとる(図)。
• このことによって図形の面積を求めたり、曲線の長さを求めたり、微分
方程式などの種々関連の問題を取り扱うことができるようになった。
"積分法",
日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge,
https://japanknowledge.com , (参照 2021-09-28)
𝑦 = 𝑓(𝑥)
𝑠(𝑥)
𝑎 𝑏
𝑥
𝑦
O
まとめ
• 積分 = 微分の逆
– 微分積分学の基本定理がそのことを保証
– 元々は細切り・薄切りを足し合わせて面積・体積を求める計算
• 積分法の応用
– 加速度の積分が速度、速度の積分が変位
– 運動量と力積の関係や力学的エネルギー保存則は
運動方程式の積分により導出される
– 確率密度関数 𝑃(𝑥) は、𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏 の値が観測される確率を
‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑃 𝑥 𝑑𝑥 (=曲線と 𝑥軸が囲む面積)で表したもの
– 周波数解析で用いられるフーリエ変換は積分で記述される
– このように、積分(と微分)は様々な解析法を深く理解する上で
非常に重要な基礎になっている
4
不定積分(原始関数)
• 関数 𝑓 𝑥 が与えられたとき, 𝐹′ 𝑥 = 𝑓(𝑥) を満たす関数
𝐹 𝑥 を, 𝑓 𝑥 の 不定積分 または 原始関数 という
– 例1:𝑓 𝑥 = 2𝑥 の原始関数の1つは 𝐹 𝑥 = 𝑥2
– 例2:𝐹 𝑥 = 𝑥2 + 3 も 𝑓 𝑥 = 2𝑥 の原始関数の1つ
• 𝑓 𝑥 の原始関数の1つを 𝐹 𝑥 とおくと, 𝑓 𝑥 の任意の
原始関数は 𝐹 𝑥 + 𝐶 と書ける
– 𝐶 は任意の定数で、 積分定数 という
• まとめると、𝐹′ 𝑥 = 𝑓 𝑥 のとき
න 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 + 𝐶 (𝐶 は積分定数)
「∫」は積分を表す記号で,「インテグラル」と読む
5
補足:積分定数
• 原始関数は無条件では定まらない(だから「不定」積分)
– 「𝐹(𝑥)を微分したら𝑓 𝑥 になった」と考えると、微分で定数項が
消えていて、それが何だったかは𝑓 𝑥 からはわからない
– 前スライドの例のように、 𝑓 𝑥 = 2𝑥 の原始関数としては
𝐹 𝑥 = 𝑥2 でも 𝐹 𝑥 = 𝑥2 + 3 でも他の定数項でも何でもありえる
– なので 「具体的に何かはわからないけど定数項も忘れてませんよ」
という気持ちをこめて積分定数Cを書きましょう
• 「C」は定数constantの頭文字
– もちろん「𝐹(0) の値は○○です」といった条件が与えられている
場合は、それを元にCの具体的な値を特定することができる
6
基本的な不定積分の公式
1. ‫׬‬ 𝑥𝑛𝑑𝑥 =
1
𝑛+1
𝑥𝑛+1 + 𝐶 (𝑛は実数、ただし𝑛 ≠ −1)
2. ‫׬‬ 𝑘𝑓(𝑥)𝑑𝑥 = 𝑘 ‫׬‬ 𝑓(𝑥)𝑑𝑥 (𝑘は定数)
3. ‫׬‬ 𝑓 𝑥 ± 𝑔 𝑥 𝑑𝑥 = ‫׬‬ 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ± ‫׬‬ 𝑔(𝑥)𝑑𝑥(複合同順)
• 要は「微分の逆」
• 答案を微分してみて,
元の関数に戻るかチェックする
7
練習問題
8
3 න
1
𝑥2 𝑑𝑥
2 න 6𝑥2
+ 2𝑥 + 3 𝑑𝑥
1 න 𝑥3
𝑑𝑥
4 න
4
𝑥3 𝑑𝑥
練習問題
9
3 න
1
𝑥2 𝑑𝑥
2 න 6𝑥2
+ 2𝑥 + 3 𝑑𝑥
1 න 𝑥3
𝑑𝑥
4 න
4
𝑥3 𝑑𝑥
=
1
4
𝑥4 + 𝐶
= න 6𝑥2
𝑑𝑥 + න 2𝑥 𝑑𝑥 + න 3 𝑑𝑥
= 2𝑥3 + 𝑥2 + 3𝑥 + 𝐶
= න 𝑥−2 𝑑𝑥
= −𝑥−1 = −
1
𝑥
+ 𝐶
= න 𝑥
3
4 𝑑𝑥
=
4
7
𝑥
7
4 + 𝐶
コツ:まず「 𝑥4
」を
書いてから、係数を
そろえるよう調節
(「4かけて1なので1/4」)
(他もそうやると楽)
いろいろな関数の不定積分
関数𝒇(𝒙) 不定積分𝑭(𝒙)
1
𝑥
log𝑒 𝑥 + 𝐶
𝑒𝑥
𝑒𝑥
+ 𝐶
𝑎𝑥
1
log𝑒 𝑎
𝑎𝑥
+ 𝐶
𝑒𝑎𝑥 1
𝑎
𝑒𝑎𝑥
+ 𝐶
log𝑒 𝑥 𝑥 log𝑒 𝑥 − 1 + 𝐶
sin 𝑥 − cos 𝑥 + 𝐶
cos 𝑥 sin 𝑥 + 𝐶
tan 𝑥 − log𝑒 cos 𝑥 + 𝐶
𝑓′ 𝑥
𝑓(𝑥)
log𝑒 𝑓 𝑥 + 𝐶
𝑓 𝑥 ∙ 𝑔′
(𝑥) 𝑓 𝑥 𝑔 𝑥 − න 𝑓′
𝑥 𝑔 𝑥 𝑑𝑥
定積分
• 𝑓 𝑥 の原始関数の1つを 𝐹 𝑥 とするとき、
𝐹 𝑏 − 𝐹(𝑎) を 𝑓(𝑥)の 𝑎 から 𝑏 までの定積分 といい、
න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 𝑎
𝑏
= 𝐹 𝑏 − 𝐹(𝑎)
のように表す
• 𝑎を積分の 下端 、𝑏を積分の 上端 と呼ぶ
• ‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥を求めることを「𝑓 𝑥 を𝑎から𝑏まで積分する」
という
11
定積分の性質
1. ‫׬‬
𝑎
𝑎
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 0
2. ‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = − ‫׬‬
𝑏
𝑎
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
3. ‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑘𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝑘 ‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
4. ‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 + ‫׬‬
𝑏
𝑐
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = ‫׬‬
𝑎
𝑐
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
5. ‫׬‬
𝑎
𝑏
{𝑓 𝑥 ± 𝑔 𝑥 }𝑑𝑥 = ‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ± ‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑔 𝑥 𝑑𝑥 (複合同順)
練習問題
13
1 න
0
3
𝑥2
− 2 𝑑𝑥
2 න
1
3
2𝑥2
+ 𝑥 𝑑𝑥
3 න
−1
2
4𝑥3 − 3𝑥2 + 2𝑥 − 1 𝑑𝑥
4 න
−2
2
4𝑥3 + 2𝑥 𝑑𝑥
練習問題
14
1 න
0
3
𝑥2
− 2 𝑑𝑥
2 න
1
3
2𝑥2
+ 𝑥 𝑑𝑥
3 න
−1
2
4𝑥3 − 3𝑥2 + 2𝑥 − 1 𝑑𝑥
4 න
−2
2
4𝑥3
+ 2𝑥 𝑑𝑥
=
1
3
𝑥3
− 2𝑥
0
3
=
1
3
× 33
− 2 × 3 −
1
3
× 03
− 2 × 0
= 3
=
2
3
𝑥3
−
1
2
𝑥2
1
3
=
2
3
× 33
−
1
2
× 32
−
2
3
× 13
−
1
2
× 12
=
64
3
= 𝑥4
− 𝑥3
+ 𝑥2
− 𝑥 −1
2
= 24
− 23
+ 22
− 2
− −1 4
− −1 3
+ −1 2
− −1
= 6
= 𝑥4
+ 𝑥2
−2
2
= 24
+ 22
− −2 4
+ −2 2
= 0
定積分の記号の「気持ち」
• 「面積を求めるための計算です」
– ‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 の「𝑑𝑥」 は微分のと同じで、𝑥の増分(微小な幅)の意味
– グラフで 𝑓 𝑥 × 𝑑𝑥 は長さ𝑓 𝑥 , 幅 𝑑𝑥 の「短冊」の面積を表す
– 短冊の幅 𝑑𝑥 を限りなく小さくすれば、短冊の面積の合計は
曲線 𝑦 = 𝑓 𝑥 が直線 𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏, 𝑥軸で囲まれた図形の面積 𝑆 に
限りなく近づく
𝑆 = න
左端
右端
短冊の長さ × 幅
𝑆 = න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
※定積分は元々微分とは無関係に, 面積を
上のようにして求める計算として定義された
※∫は和=SumのSにちなんで作られた記号
※ どんな仕組みで微分とつながるかは付録で説明
https://en.wikipedia.org/wiki/Integral#/media/File:Riemann
_Integration_and_Darboux_Upper_Sums.gif(GIFアニメ)
定積分と面積
• 定積分は曲線で囲まれる部分の(符号付き)面積を表す
曲線 𝑦 = 𝑓(𝑥) と直線𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏, 𝑥軸で囲まれた図形の面積 𝑆 は
𝑆 = න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 と表せる 曲線が𝑥軸より上の場合:下なら𝑆 = − න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏 で 𝑓 𝑥 > 𝑔(𝑥) のとき、2つの曲線𝑦 = 𝑓 𝑥 , 𝑦 = 𝑔 𝑥 ,
2直線 𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏 で囲まれた部分の面積 𝑆 は
𝑆 = න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 − 𝑔 𝑥 𝑑𝑥 で表される
𝑦 = 𝑓(𝑥)
𝑆
𝑎 𝑏
𝑦
O
𝑥
𝑦 = 𝑓(𝑥)
𝑆
𝑎 𝑏
𝑦
O
𝑥 𝑦 = 𝑓(𝑥)
𝑆
𝑎 𝑏
𝑦
O
𝑥
𝑦 = 𝑔(𝑥)
𝑆 = න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
𝑆 = − න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
𝑆 = න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 − 𝑔 𝑥 𝑑𝑥
練習問題
(1) 放物線 𝑦 = −𝑥2
+ 4𝑥 + 24 と𝑥 軸とで囲まれる部分の面積を求めよ
(2) 2つの放物線 𝑦 = 𝑥2
− 4𝑥 + 8 と 𝑦 = −𝑥2
+ 2𝑥 + 4 で囲まれる
部分の面積を求めよ
17
練習問題
(1) 放物線 𝑦 = −𝑥2
+ 4𝑥 + 12 と𝑥 軸とで囲まれる部分の面積を求めよ
(2) 2つの放物線 𝑦 = 𝑥2
− 4𝑥 + 8 と 𝑦 = −𝑥2
+ 2𝑥 + 4 で囲まれる
部分の面積を求めよ
𝑦 = − 𝑥 − 6 𝑥 + 2 より、右図水色部分の面積を求めればよい。
න
−2
6
−𝑥2
+ 4𝑥 + 12 𝑑𝑥
= −
𝑥2
3
+ 2𝑥2
+ 12𝑥
−2
6
= 途中計算略 =
256
3
𝑥2
− 4𝑥 + 8 = −𝑥2
+ 2𝑥 + 4 を解くと 2 𝑥 − 1 𝑥 − 2 = 0 から
2つの放物線は𝑥 = 1, 2 の2点で交わる(右図)。
したがって右図水色部の面積を求めればよい。
න
1
2
−𝑥2
+ 2𝑥 + 4 − 𝑥2
− 4𝑥 + 8 𝑑𝑥
= න
1
2
−2𝑥2
+ 6𝑥 − 4 𝑑𝑥
= −
2
3
+ 3𝑥2
− 4𝑥
1
2
= (途中計算略) =
1
3
補足:偶関数と奇関数
• 𝑦軸について対称な関数を偶関数、
原点について対称な関数を奇関数という
– 𝑦 = 𝑓 𝑥 が偶関数の場合、 ‫׬‬−𝑎
𝑎
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 2 ‫׬‬0
𝑎
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
𝑦 = 𝑓 𝑥 が奇関数の場合、 ‫׬‬−𝑎
𝑎
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 0
となることが対称性からわかる (※例2の左側の面積は負の値になる)
(スライド14の練習問題(4)は奇関数の問題)
19
例1: 𝑦 = 𝑥2
は偶関数 例2: 𝑦 = 𝑥3
は奇関数
𝑥
𝑥
𝑦 𝑦
補足:定積分で体積も求まる
• 立体の体積を求めるのにも定積分が利用できる
– 円柱を水平に切った断面積はどこでも 𝜋𝑟2
– 円錐の高さ 𝑥 における半径は 𝑟(1 −
1
ℎ
)𝑥 なので,
そこで円錐を水平に切ったときの断面積は 𝜋 𝑟 1 −
1
ℎ
𝑥
2
– 立体 = 「超薄切りの断面を積み重ねたもの」 と捉えると…
න
0
ℎ
𝜋𝑟2
𝑑𝑥 = 𝜋𝑟2
ℎ
න
0
ℎ
𝜋 𝑟 1 −
1
ℎ
𝑥
2
𝑑𝑥 =
1
3
𝜋𝑟2ℎ
例:円柱&円錐
(高さℎ, 底面の半径 𝑟)
0
ℎ
円柱の体積は
円錐の体積は
余談:回転体の体積
• 曲線𝑦 = 𝑓(𝑥) と 𝑥軸 および2直線 𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏 (𝑎 < 𝑏)で囲まれた
図形を 𝑥軸 の周りに1回転してできる立体の体積 𝑉 は
𝑉 = 𝜋 න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 2
𝑑𝑥
(薄切りの断面を回転に沿って並べるイメージ)
• 2曲線 𝑦 = 𝑓 𝑥 , 𝑦 = 𝑔 𝑥 および2直線 𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏 (𝑎 < 𝑏)で
囲まれた図形を 𝑥軸 の周りに1回転してできる立体の体積 𝑉 は
21
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𝑉 = 𝜋 න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 2𝑑𝑥 − 𝜋 න
𝑎
𝑏
𝑔 𝑥 2𝑑𝑥
= 𝜋 න
𝑎
𝑏
[ 𝑓 𝑥 2
− 𝑔 𝑥 2
] 𝑑𝑥
(内側がくりぬかれるイメージ)
実用・応用・発展編
22
なのでv-tグラフは情報量が多い
• 先日の微分の話から…
– したがって、加速度の積分が速度、速度の積分が変位
変位,速度,加速度
変位
速度
加速度
元の位置から全部でどれだけ動いたか
変位の微分
速度の微分
変位
速度
加速度
微分
微分
積分
積分
接線の傾き
=各時刻の加速度
速度曲線
=各時刻の速度
面積=変位
(その時区間の
累計移動距離)
力学と積分
• 物理の力学単元で習う色々な量と公式
– 力積
– 運動量
– 運動量の変化=加わった力積
– 仕事
– 運動エネルギー
– 位置エネルギー
– 力学的エネルギー保存則
• これらはすべて運動方程式 𝑚𝑎 = 𝐹 の積分で
定義・導出されている(𝑚, 𝑎, 𝐹 はそれぞれ質量、加速度、力)
– 次のスライドからそれを示していく
– 計算を追うときは積分に使う変数が時間(𝑡)か座標(𝑥)かに注意
(置換積分という説明してない技も必要ですがご容赦を)(興味ある方は調べてみよう!)
24
運動方程式と運動量
• 運動方程式 𝐹 = 𝑚𝑎 = 𝑚
𝑑𝑣
𝑑𝑡
– 質量 𝑚 (kg) の物体に 𝑎 𝑚/𝑠2
の加速度を与える力を𝐹 (N) とする
• 力積と運動量
– 運動方程式を時刻0からtにわたり積分してみると…
– 左辺:
න
0
𝑡
𝐹𝑑𝑡 = 𝐹𝑡
– 右辺:
𝑚 න
0
𝑡
𝑑𝑣
𝑑𝑡
𝑑𝑡 = 𝑚 න
𝑣(0)
𝑣(𝑡)
1𝑑𝑣 = 𝑚𝑣 𝑡 − 𝑚𝑣(0)
– つまり 運動量の変化 = 加わった力積
25
← 力積
←運動量の変化
※ ここは置換積分になっている
運動方程式と運動エネルギー
• 運動方程式の両辺に
𝑑𝑥
𝑑𝑡
= 𝑣をかけてみる:
𝐹 𝑥
𝑑𝑥
𝑑𝑡
= 𝑚𝑣
𝑑𝑣
𝑑𝑡
– 両辺を時間 𝑡 について 0, 𝑡 にわたり積分すると
– 左辺:
– 右辺:
– つまりエネルギー = 「仕事」をすることのできる能力
26
න
0
𝑡
𝐹 𝑥
𝑑𝑥
𝑑𝑡
𝑑𝑡 = න
𝑥(0)
𝑥(𝑡)
𝐹 𝑥 𝑑𝑥
𝑚 න
0
𝑡
𝑣
𝑑𝑣
𝑑𝑡
𝑑𝑡 = 𝑚 න
𝑣(0)
𝑣(𝑡)
𝑣 𝑑𝑣 =
1
2
𝑚𝑣 𝑡 2
−
1
2
𝑚𝑣 0 2
↑ 質点を𝑥(0)から𝑥(𝑡)に動かす「仕事」
↑ 運動エネルギーの変化
※ ここも置換積分
※ ここも置換積分
力学的エネルギー保存則
• ここで力 𝐹 𝑥 の原始関数の1つを −𝑉 𝑥 と書く
න 𝐹 𝑥 𝑑𝑥 = −𝑉(𝑥)
– すると1つ前のスライドの左辺の定積分は
න
𝑥(0)
𝑥(𝑡)
𝐹 𝑥 𝑑𝑥 = − 𝑉 𝑥 𝑡 − 𝑉 𝑥 0
– したがって
− 𝑉 𝑥 𝑡 − 𝑉 𝑥 0 =
1
2
𝑚𝑣 𝑡 2
−
1
2
𝑚𝑣 0 2
– 時刻 𝑡 の項と時刻 0 の項をそれぞれまとめると
1
2
𝑚𝑣 𝑡 2 + 𝑉 𝑥 𝑡 =
1
2
𝑚𝑣 0 2 + 𝑉 𝑥 0
↑ 実はこの−𝑉 𝑥 が位置エネルギー
↑ 力学的エネルギー保存則
思い出す:標準偏差とヒストグラム
• データが「正規分布」にしたがっているとき、
– 平均値±標準偏差1つ分の幅に約68%
– 平均値±標準偏差2つ分の幅に約95%
– 平均値±標準偏差3つ分の幅に約99.7% のデータが含まれる
(σは標準偏差を表す)
← 68% →
← ← ← 95% → → →
← ← ← ← ← 99.7% → → → → →
※ 正規分布
…左図のような、
平均値に近い値ほど
現れやすく、遠い値ほど
現れにくい釣鐘型の分布
確率と積分
• 確率密度関数
– 正規分布は 𝑝 𝑥 =
1
2𝜋𝜎2
exp −
𝑥−𝜇 2
2𝜎2 という確率密度関数で
表される (他にも様々な確率分布に対応した関数がある)
– 区間の面積が出現確率に対応した値となる
• つまり確率変数𝑋 が 𝑎 ≦ 𝑋 ≦ 𝑏 の値をとる確率が
න
𝑎
𝑏
𝑝(𝑥) 𝑑𝑥
• ちなみに確率の合計値は 1 なので、‫׬‬
−∞
∞
𝑝 𝑥 𝑑𝑥 = 1 (広義積分という積分法)
で表される(𝑝(𝑥)は任意の確率密度関数)
-3σ -2σ -1σ 平均 +1σ +2σ +3σ
データの値
確率密度
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
※ exp 𝑥 は指数関数𝑒𝑥
のこと
(𝑒 は自然対数の底 𝑒 = 2.7182 … )
𝜇は平均値、 𝜎は標準偏差
• フーリエ変換
– 与えられた波形を三角関数の和(積分)で表現
=どんな周波数のサイン波の成分が、どんな
割合で含まれるかを調べることができる
• 結果の「何Hzがどれだけ含まれてました」の
グラフを「スペクトル」という
思い出す:周波数解析
どんな関数も
三角関数の和で表せる
J.B.JosephFourier(1768-1830)
(肖像画はwikipediaから)
複雑な形をした謎の波
左の波のスペクトル:
1, 2, 3, … 6 Hzの波が 3Hzだけ
振幅2倍で合成されてたものとわかる
フーリエ変換と積分
• 関数𝑓(𝑡)のフーリエ変換は次のような式で表現される
𝐹 𝜔 = න
−∞
∞
𝑓 𝑡 𝑒−𝑖𝜔𝑡
𝑑𝑡
– 要は波=時間 𝑡 の関数 𝑓 𝑡 に 𝑒−𝑖𝜔𝑡
をかけて積分することで、
𝑓 𝑡 を周波数 𝜔 の関数に変換できる、ということ
(オイラーの公式 𝑒𝑖𝜃
= cos 𝜃 + 𝑖 sin 𝜃 を利用して短く書いた式)(この 𝑒 も自然対数の底)
( 𝑖 はなんと虚数単位)
– こんな計算を (コンピュータで) やる
ことで、複雑な信号(波)に含まれる
周波数成分とそのバランスを
調べることができる
実は 𝑦 = sin 2𝜋𝑥 + sin 4𝜋𝑥
+2 sin 6𝜋𝑥 + sin 8𝜋𝑥
+ sin 10𝜋𝑥 + sin 12𝜋𝑥でした!*
* ただし成分ごとに位相がずれていて、
そのずれ方についてはわからない
なお、周波数 𝑓 Hzの正弦波は sin 2𝜋𝑓𝑡と表される
(𝑡は時間、𝜋は円周率)
まとめ
• 積分 = 微分の逆
– 微分積分学の基本定理がそのことを保証
– 元々は細切り・薄切りを足し合わせて面積・体積を求める計算
• 積分法の応用
– 加速度の積分が速度、速度の積分が変位
– 運動量と力積の関係や力学的エネルギー保存則は
運動方程式の積分により導出される
– 確率密度関数 𝑃(𝑥) は、𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏 の値が観測される確率を
‫׬‬
𝑎
𝑏
𝑃 𝑥 𝑑𝑥 (=曲線と 𝑥軸が囲む面積)で表したもの
– 周波数解析で用いられるフーリエ変換は積分で記述される
– このように、積分(と微分)は様々な解析法を深く理解する上で
非常に重要な基礎になっている
32
おすすめ文献
• 大雑把なイメージをつかみたい人へ
– Newton別冊「微分と積分」 ニュートンプレス
– 神永正博「「超」入門 微分積分」 講談社ブルーバックス
• 基本的な知識・考え方を学びたい人へ
– 高専・大学の教科書・参考書(微分積分学)
– 小島寛之「ゼロから学ぶ微分積分」 講談社
• 物理や統計、運動科学等での応用をもっと知りたい人へ
– 深代千之, 柴山明 (2000) 「スポーツ基礎数理ハンドブック」 朝倉書店
– 竹内淳 (2012) 「高校数学でわかる統計学」 講談社ブルーバックス
– 竹内淳 (2009) 「高校数学でわかるフーリエ変換」 講談社ブルーバックス
– 小野弓絵 (2018) 「MATLABで学ぶ生体信号処理」 コロナ社
33
付録: 微分積分法の基本定理
なぜ「積分は微分の逆」と言えるか?
34
積分の本来の定義
• 本当のスタートは定積分を面積の計算として定義すること
– 「短冊の長さ × 幅」で 𝑦 = 𝑓(𝑥) と 𝑥軸と 2直線𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏 で
囲まれる部分の面積 𝑆 を考えると
– この定義からスタートして、これから「積分=微分の逆」を示していく
(最初に簡単に「積分=微分の逆」と定義したのはいったん忘れて下さい)
35
𝑆 = lim
ℎ𝑘→0
෍
𝑘=1
𝑛
𝑓 𝑥𝑘 ℎ𝑘
O
𝑦
𝑥
𝑥 = 𝑎 𝑥 = 𝑏
𝑎 = 𝑥0
𝑥1 𝑥2 𝑥𝑘−1
𝑥𝑛 = 𝑏
𝑥𝑛−1
𝑥𝑘
ℎ1 ℎ2 ℎ𝑘 ℎ𝑛
… …
… …
𝑦 = 𝑓(𝑥)
𝑆 = lim
ℎ𝑘→0
෍
𝑘=1
𝑛
𝑓 𝑥𝑘 ℎ𝑘 = න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥
つまり
と定義
(準備)定積分の性質 1/2
• 本編で説明した定積分の性質は、今度の定義でも
(ほぼ)同様に成り立つ(成り立ってくれないと困るけど)
– この後の流れ的にもう一つ明示しておきたいのが次の性質:
36
※1.と2.は「面積」の
定義では意味不明になるが、
「𝑎 ≧ 𝑏の場合はこう」と
いうことで計算として
定義しておく
න
𝑎
𝑏
𝑐 𝑑𝑥 = 𝑐(𝑏 − 𝑎)
(イメージに頼った証明)
• 下図の通り(単に長方形の面積)
O
𝑦
𝑥
𝑥 = 𝑎 𝑥 = 𝑏
𝑥1 𝑥2 𝑥𝑘−1 𝑥𝑛−1
𝑥𝑘
ℎ1 ℎ2 ℎ𝑘 ℎ𝑛
… …
… …
𝑎 = 𝑥0 𝑥𝑛 = 𝑏
𝑦 = 𝑐
(準備)定積分の性質 2/2
• 次の性質も確認しておく: 区間 𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏 で 𝑓 𝑥 ≧ 𝑔(𝑥)のとき
37
න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ≧ න
𝑎
𝑏
𝑔 𝑥 𝑑𝑥
O
𝑦
𝑥
𝑥 = 𝑎 𝑥 = 𝑏
𝑦 = 𝑔(𝑥)
𝑦 = 𝑓(𝑥)
(イメージに頼った証明)
• 下図の通り(積分区間が同じなら、上にある方が広く囲める)
この性質は「定積分の大小関係」と呼ばれる
※ あと次のスライドで
「定積分に関する平均値の定理」を示せば
準備が整います
(準備)定積分に関する平均値の定理
• 𝑓 𝑥 が区間𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏で連続ならば、等式
1
𝑏 − 𝑎
න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝑓 𝑐 𝑎 < 𝑐 < 𝑏
を満たす 𝑐 が少なくとも1つ存在する
(証明)
• この区間での𝑓 𝑥 の最大値を𝑀, 最小値を𝑚とすると
𝑚 ≦ 𝑓 𝑥 ≦ 𝑀 なので、「定積分の大小関係」より
• ここで と置くと、
𝑓 𝑥 は区間 𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏で連続なので、同区間内に
𝑓 𝑐 = 𝐾 を満たす 𝑐 が少なくとも1つ存在する。
したがって、上記の命題が成り立つ。
න
𝑎
𝑏
𝑚 𝑑𝑥 = 𝑚 𝑏 − 𝑎 ≦ න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ≦ න
𝑎
𝑏
𝑀 𝑑𝑥 = 𝑀(𝑏 − 𝑎)
つまり 𝑚 ≦
1
𝑏 − 𝑎
න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ≦ 𝑀
1
𝑏 − 𝑎
න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐾
O
𝑦
𝑥
𝑎 𝑏
𝑦 = 𝑓(𝑥)
𝑐
𝐾
𝑚
𝑀
微分積分法の基本定理 1/2
• 𝑓 𝑥 が定数 𝑎 を含む区間𝐼で連続で、 𝑥 が 𝐼 内の値をとるとき、
𝐹 𝑥 = න
𝑎
𝑥
𝑓(𝑡) 𝑑𝑡 とおくと 𝐹′ 𝑥 =
𝑑
𝑑𝑥
න
𝑎
𝑥
𝑓(𝑡) 𝑑𝑡 = 𝑓 𝑥
つまり:定積分で表された関数を微分すると中身の関数
(証明)
• 関数𝑦 = 𝑓 𝑡 は区間 𝑎 ≦ 𝑡 ≦ 𝑏 で連続であるとする。 𝑎 ≦ 𝑡 ≦ 𝑏 内の
任意の 𝑥 について ‫׬‬𝑎
𝑥
𝑓 𝑡 𝑑𝑡 は 𝑥 の関数となるから、これを 𝐹(𝑥)とおく。
• 𝐹(𝑥) の導関数𝐹′(𝑥)を微分の定義に従い求めると、
𝐹′
𝑥 = lim
𝑋→𝑥
𝐹 𝑋 − 𝐹(𝑥)
𝑋 − 𝑥
= lim
𝑋→𝑥
1
𝑋 − 𝑥
න
𝑎
𝑋
𝑓 𝑡 𝑑𝑡 − න
𝑎
𝑥
𝑓 𝑡 𝑑𝑡
= lim
𝑋→𝑥
1
𝑋 − 𝑥
න
𝑥
𝑋
𝑓 𝑡 𝑑𝑡
𝑦 = 𝑓 𝑡
𝑡
𝑦
𝑋
𝑥
O 𝑎
𝑎から𝑥まで( )が𝐹 𝑥
𝑎から𝑋まで( )が𝐹(𝑋)
(次のスライドへ続く)
微分積分法の基本定理 2/2
• ここで定積分に関する平均値の定理より、
1
𝑋−𝑥
‫׬‬
𝑥
𝑋
𝑓 𝑡 𝑑𝑡 = 𝑓 𝑐 を満たす 𝑐 が 𝑥 と 𝑋 の間に存在する。
• 𝑋 → 𝑥 とすると 𝑐 → 𝑥 となるから、
𝐹′ 𝑥 = lim
𝑋→𝑥
1
𝑋 − 𝑥
න
𝑥
𝑋
𝑓 𝑡 𝑑𝑡 = lim
𝑐→𝑥
𝑓 𝑐 = 𝑓 𝑥
ということになる。
• つまり(もう一度書くと)
– これを微分積分法の基本定理と言い、
この定理が「積分は微分の逆」を保証してくれる
– そして 𝐹 𝑥 が原始関数と呼ばれるもの
𝑦 = 𝑓 𝑡
𝑡
𝑦
𝑋
𝑥
O 𝑎
𝑎から𝑥まで( )が𝑆 𝑥
𝑎から𝑋まで( )が𝑆(𝑋)
𝑐
𝐹′ 𝑥 =
𝑑
𝑑𝑥
න
𝑎
𝑥
𝑓(𝑡) 𝑑𝑡 = 𝑓 𝑥
定積分で表された関数を微分すると中身の関数
𝑥 < 𝑐 < 𝑋 なので𝑋 → 𝑥 とすると 𝑐 も → 𝑥
原始関数と定積分の計算
• 𝑓 𝑥 の任意の不定積分の1つを𝐹(𝑥)とする。
• 微分積分法の基本定理から、‫׬‬
𝑎
𝑥
𝑓 𝑥 𝑑𝑥も𝑓 𝑥 の不定積分なので、
න
𝑎
𝑥
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 + 𝐶 (𝐶は任意の定数)
• とおける。ここで 𝑥 = 𝑎 を考えると ‫׬‬
𝑎
𝑎
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 0 = 𝐹 𝑎 + 𝐶
なので、 𝐶 = −𝐹 𝑎 となる。したがって
න
𝑎
𝑥
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 − 𝐹(𝑎)
• 𝑥 = 𝑏 とおき、 𝐹 𝑏 − 𝐹 𝑎 を 𝐹 𝑥 𝑎
𝑏
という記号で表せば、
本編で紹介した定積分の計算法
න
𝑎
𝑏
𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 𝑎
𝑏 = 𝐹 𝑏 − 𝐹 𝑎
が得られる(完)

積分 (人間科学のための基礎数学)

  • 1.
  • 2.
    お品書き • 基礎・基本的な話題 – 不定積分 –定積分 – 面積・体積 – 微分積分学の基本定理 • 実用/応用/発展的な話題 – 変位、速度、加速度 – 運動方程式と力学的エネルギー保存則・運動量保存則 – 確率密度関数と積分の関係 – フーリエ変換 • 付録:微分積分法の基本定理 2
  • 3.
    積分法とは • 図形の面積や曲線の長さを求める方法として発展し、これをさらに一 般化し、系統的に扱うようになったのが積分法である。 • 積分法は微分法の逆演算である。すなわち、y=f(x)のグラフの下の面積 S(x)を微分すればf(x)になる。そこで、微分すればf(x)になるような関数 を求め(これを不定積分という)、それに両端の値を代入してその差を 求める(これを定積分という)方法をとる(図)。 •このことによって図形の面積を求めたり、曲線の長さを求めたり、微分 方程式などの種々関連の問題を取り扱うことができるようになった。 "積分法", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-09-28) 𝑦 = 𝑓(𝑥) 𝑠(𝑥) 𝑎 𝑏 𝑥 𝑦 O
  • 4.
    まとめ • 積分 =微分の逆 – 微分積分学の基本定理がそのことを保証 – 元々は細切り・薄切りを足し合わせて面積・体積を求める計算 • 積分法の応用 – 加速度の積分が速度、速度の積分が変位 – 運動量と力積の関係や力学的エネルギー保存則は 運動方程式の積分により導出される – 確率密度関数 𝑃(𝑥) は、𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏 の値が観測される確率を ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑃 𝑥 𝑑𝑥 (=曲線と 𝑥軸が囲む面積)で表したもの – 周波数解析で用いられるフーリエ変換は積分で記述される – このように、積分(と微分)は様々な解析法を深く理解する上で 非常に重要な基礎になっている 4
  • 5.
    不定積分(原始関数) • 関数 𝑓𝑥 が与えられたとき, 𝐹′ 𝑥 = 𝑓(𝑥) を満たす関数 𝐹 𝑥 を, 𝑓 𝑥 の 不定積分 または 原始関数 という – 例1:𝑓 𝑥 = 2𝑥 の原始関数の1つは 𝐹 𝑥 = 𝑥2 – 例2:𝐹 𝑥 = 𝑥2 + 3 も 𝑓 𝑥 = 2𝑥 の原始関数の1つ • 𝑓 𝑥 の原始関数の1つを 𝐹 𝑥 とおくと, 𝑓 𝑥 の任意の 原始関数は 𝐹 𝑥 + 𝐶 と書ける – 𝐶 は任意の定数で、 積分定数 という • まとめると、𝐹′ 𝑥 = 𝑓 𝑥 のとき න 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 + 𝐶 (𝐶 は積分定数) 「∫」は積分を表す記号で,「インテグラル」と読む 5
  • 6.
    補足:積分定数 • 原始関数は無条件では定まらない(だから「不定」積分) – 「𝐹(𝑥)を微分したら𝑓𝑥 になった」と考えると、微分で定数項が 消えていて、それが何だったかは𝑓 𝑥 からはわからない – 前スライドの例のように、 𝑓 𝑥 = 2𝑥 の原始関数としては 𝐹 𝑥 = 𝑥2 でも 𝐹 𝑥 = 𝑥2 + 3 でも他の定数項でも何でもありえる – なので 「具体的に何かはわからないけど定数項も忘れてませんよ」 という気持ちをこめて積分定数Cを書きましょう • 「C」は定数constantの頭文字 – もちろん「𝐹(0) の値は○○です」といった条件が与えられている 場合は、それを元にCの具体的な値を特定することができる 6
  • 7.
    基本的な不定積分の公式 1. ‫׬‬ 𝑥𝑛𝑑𝑥= 1 𝑛+1 𝑥𝑛+1 + 𝐶 (𝑛は実数、ただし𝑛 ≠ −1) 2. ‫׬‬ 𝑘𝑓(𝑥)𝑑𝑥 = 𝑘 ‫׬‬ 𝑓(𝑥)𝑑𝑥 (𝑘は定数) 3. ‫׬‬ 𝑓 𝑥 ± 𝑔 𝑥 𝑑𝑥 = ‫׬‬ 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ± ‫׬‬ 𝑔(𝑥)𝑑𝑥(複合同順) • 要は「微分の逆」 • 答案を微分してみて, 元の関数に戻るかチェックする 7
  • 8.
    練習問題 8 3 න 1 𝑥2 𝑑𝑥 2න 6𝑥2 + 2𝑥 + 3 𝑑𝑥 1 න 𝑥3 𝑑𝑥 4 න 4 𝑥3 𝑑𝑥
  • 9.
    練習問題 9 3 න 1 𝑥2 𝑑𝑥 2න 6𝑥2 + 2𝑥 + 3 𝑑𝑥 1 න 𝑥3 𝑑𝑥 4 න 4 𝑥3 𝑑𝑥 = 1 4 𝑥4 + 𝐶 = න 6𝑥2 𝑑𝑥 + න 2𝑥 𝑑𝑥 + න 3 𝑑𝑥 = 2𝑥3 + 𝑥2 + 3𝑥 + 𝐶 = න 𝑥−2 𝑑𝑥 = −𝑥−1 = − 1 𝑥 + 𝐶 = න 𝑥 3 4 𝑑𝑥 = 4 7 𝑥 7 4 + 𝐶 コツ:まず「 𝑥4 」を 書いてから、係数を そろえるよう調節 (「4かけて1なので1/4」) (他もそうやると楽)
  • 10.
    いろいろな関数の不定積分 関数𝒇(𝒙) 不定積分𝑭(𝒙) 1 𝑥 log𝑒 𝑥+ 𝐶 𝑒𝑥 𝑒𝑥 + 𝐶 𝑎𝑥 1 log𝑒 𝑎 𝑎𝑥 + 𝐶 𝑒𝑎𝑥 1 𝑎 𝑒𝑎𝑥 + 𝐶 log𝑒 𝑥 𝑥 log𝑒 𝑥 − 1 + 𝐶 sin 𝑥 − cos 𝑥 + 𝐶 cos 𝑥 sin 𝑥 + 𝐶 tan 𝑥 − log𝑒 cos 𝑥 + 𝐶 𝑓′ 𝑥 𝑓(𝑥) log𝑒 𝑓 𝑥 + 𝐶 𝑓 𝑥 ∙ 𝑔′ (𝑥) 𝑓 𝑥 𝑔 𝑥 − න 𝑓′ 𝑥 𝑔 𝑥 𝑑𝑥
  • 11.
    定積分 • 𝑓 𝑥の原始関数の1つを 𝐹 𝑥 とするとき、 𝐹 𝑏 − 𝐹(𝑎) を 𝑓(𝑥)の 𝑎 から 𝑏 までの定積分 といい、 න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 𝑎 𝑏 = 𝐹 𝑏 − 𝐹(𝑎) のように表す • 𝑎を積分の 下端 、𝑏を積分の 上端 と呼ぶ • ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥を求めることを「𝑓 𝑥 を𝑎から𝑏まで積分する」 という 11
  • 12.
    定積分の性質 1. ‫׬‬ 𝑎 𝑎 𝑓 𝑥𝑑𝑥 = 0 2. ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = − ‫׬‬ 𝑏 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 3. ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑘𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝑘 ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 4. ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 + ‫׬‬ 𝑏 𝑐 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = ‫׬‬ 𝑎 𝑐 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 5. ‫׬‬ 𝑎 𝑏 {𝑓 𝑥 ± 𝑔 𝑥 }𝑑𝑥 = ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ± ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑔 𝑥 𝑑𝑥 (複合同順)
  • 13.
    練習問題 13 1 න 0 3 𝑥2 − 2𝑑𝑥 2 න 1 3 2𝑥2 + 𝑥 𝑑𝑥 3 න −1 2 4𝑥3 − 3𝑥2 + 2𝑥 − 1 𝑑𝑥 4 න −2 2 4𝑥3 + 2𝑥 𝑑𝑥
  • 14.
    練習問題 14 1 න 0 3 𝑥2 − 2𝑑𝑥 2 න 1 3 2𝑥2 + 𝑥 𝑑𝑥 3 න −1 2 4𝑥3 − 3𝑥2 + 2𝑥 − 1 𝑑𝑥 4 න −2 2 4𝑥3 + 2𝑥 𝑑𝑥 = 1 3 𝑥3 − 2𝑥 0 3 = 1 3 × 33 − 2 × 3 − 1 3 × 03 − 2 × 0 = 3 = 2 3 𝑥3 − 1 2 𝑥2 1 3 = 2 3 × 33 − 1 2 × 32 − 2 3 × 13 − 1 2 × 12 = 64 3 = 𝑥4 − 𝑥3 + 𝑥2 − 𝑥 −1 2 = 24 − 23 + 22 − 2 − −1 4 − −1 3 + −1 2 − −1 = 6 = 𝑥4 + 𝑥2 −2 2 = 24 + 22 − −2 4 + −2 2 = 0
  • 15.
    定積分の記号の「気持ち」 • 「面積を求めるための計算です」 – ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑓𝑥 𝑑𝑥 の「𝑑𝑥」 は微分のと同じで、𝑥の増分(微小な幅)の意味 – グラフで 𝑓 𝑥 × 𝑑𝑥 は長さ𝑓 𝑥 , 幅 𝑑𝑥 の「短冊」の面積を表す – 短冊の幅 𝑑𝑥 を限りなく小さくすれば、短冊の面積の合計は 曲線 𝑦 = 𝑓 𝑥 が直線 𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏, 𝑥軸で囲まれた図形の面積 𝑆 に 限りなく近づく 𝑆 = න 左端 右端 短冊の長さ × 幅 𝑆 = න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ※定積分は元々微分とは無関係に, 面積を 上のようにして求める計算として定義された ※∫は和=SumのSにちなんで作られた記号 ※ どんな仕組みで微分とつながるかは付録で説明 https://en.wikipedia.org/wiki/Integral#/media/File:Riemann _Integration_and_Darboux_Upper_Sums.gif(GIFアニメ)
  • 16.
    定積分と面積 • 定積分は曲線で囲まれる部分の(符号付き)面積を表す 曲線 𝑦= 𝑓(𝑥) と直線𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏, 𝑥軸で囲まれた図形の面積 𝑆 は 𝑆 = න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 と表せる 曲線が𝑥軸より上の場合:下なら𝑆 = − න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏 で 𝑓 𝑥 > 𝑔(𝑥) のとき、2つの曲線𝑦 = 𝑓 𝑥 , 𝑦 = 𝑔 𝑥 , 2直線 𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏 で囲まれた部分の面積 𝑆 は 𝑆 = න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 − 𝑔 𝑥 𝑑𝑥 で表される 𝑦 = 𝑓(𝑥) 𝑆 𝑎 𝑏 𝑦 O 𝑥 𝑦 = 𝑓(𝑥) 𝑆 𝑎 𝑏 𝑦 O 𝑥 𝑦 = 𝑓(𝑥) 𝑆 𝑎 𝑏 𝑦 O 𝑥 𝑦 = 𝑔(𝑥) 𝑆 = න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 𝑆 = − න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 𝑆 = න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 − 𝑔 𝑥 𝑑𝑥
  • 17.
    練習問題 (1) 放物線 𝑦= −𝑥2 + 4𝑥 + 24 と𝑥 軸とで囲まれる部分の面積を求めよ (2) 2つの放物線 𝑦 = 𝑥2 − 4𝑥 + 8 と 𝑦 = −𝑥2 + 2𝑥 + 4 で囲まれる 部分の面積を求めよ 17
  • 18.
    練習問題 (1) 放物線 𝑦= −𝑥2 + 4𝑥 + 12 と𝑥 軸とで囲まれる部分の面積を求めよ (2) 2つの放物線 𝑦 = 𝑥2 − 4𝑥 + 8 と 𝑦 = −𝑥2 + 2𝑥 + 4 で囲まれる 部分の面積を求めよ 𝑦 = − 𝑥 − 6 𝑥 + 2 より、右図水色部分の面積を求めればよい。 න −2 6 −𝑥2 + 4𝑥 + 12 𝑑𝑥 = − 𝑥2 3 + 2𝑥2 + 12𝑥 −2 6 = 途中計算略 = 256 3 𝑥2 − 4𝑥 + 8 = −𝑥2 + 2𝑥 + 4 を解くと 2 𝑥 − 1 𝑥 − 2 = 0 から 2つの放物線は𝑥 = 1, 2 の2点で交わる(右図)。 したがって右図水色部の面積を求めればよい。 න 1 2 −𝑥2 + 2𝑥 + 4 − 𝑥2 − 4𝑥 + 8 𝑑𝑥 = න 1 2 −2𝑥2 + 6𝑥 − 4 𝑑𝑥 = − 2 3 + 3𝑥2 − 4𝑥 1 2 = (途中計算略) = 1 3
  • 19.
    補足:偶関数と奇関数 • 𝑦軸について対称な関数を偶関数、 原点について対称な関数を奇関数という – 𝑦= 𝑓 𝑥 が偶関数の場合、 ‫׬‬−𝑎 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 2 ‫׬‬0 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 𝑦 = 𝑓 𝑥 が奇関数の場合、 ‫׬‬−𝑎 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 0 となることが対称性からわかる (※例2の左側の面積は負の値になる) (スライド14の練習問題(4)は奇関数の問題) 19 例1: 𝑦 = 𝑥2 は偶関数 例2: 𝑦 = 𝑥3 は奇関数 𝑥 𝑥 𝑦 𝑦
  • 20.
    補足:定積分で体積も求まる • 立体の体積を求めるのにも定積分が利用できる – 円柱を水平に切った断面積はどこでも𝜋𝑟2 – 円錐の高さ 𝑥 における半径は 𝑟(1 − 1 ℎ )𝑥 なので, そこで円錐を水平に切ったときの断面積は 𝜋 𝑟 1 − 1 ℎ 𝑥 2 – 立体 = 「超薄切りの断面を積み重ねたもの」 と捉えると… න 0 ℎ 𝜋𝑟2 𝑑𝑥 = 𝜋𝑟2 ℎ න 0 ℎ 𝜋 𝑟 1 − 1 ℎ 𝑥 2 𝑑𝑥 = 1 3 𝜋𝑟2ℎ 例:円柱&円錐 (高さℎ, 底面の半径 𝑟) 0 ℎ 円柱の体積は 円錐の体積は
  • 21.
    余談:回転体の体積 • 曲線𝑦 =𝑓(𝑥) と 𝑥軸 および2直線 𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏 (𝑎 < 𝑏)で囲まれた 図形を 𝑥軸 の周りに1回転してできる立体の体積 𝑉 は 𝑉 = 𝜋 න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 2 𝑑𝑥 (薄切りの断面を回転に沿って並べるイメージ) • 2曲線 𝑦 = 𝑓 𝑥 , 𝑦 = 𝑔 𝑥 および2直線 𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏 (𝑎 < 𝑏)で 囲まれた図形を 𝑥軸 の周りに1回転してできる立体の体積 𝑉 は 21 https://www.pinterest.es/pin/555561304011307531/ 𝑉 = 𝜋 න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 2𝑑𝑥 − 𝜋 න 𝑎 𝑏 𝑔 𝑥 2𝑑𝑥 = 𝜋 න 𝑎 𝑏 [ 𝑓 𝑥 2 − 𝑔 𝑥 2 ] 𝑑𝑥 (内側がくりぬかれるイメージ)
  • 22.
  • 23.
  • 24.
    力学と積分 • 物理の力学単元で習う色々な量と公式 – 力積 –運動量 – 運動量の変化=加わった力積 – 仕事 – 運動エネルギー – 位置エネルギー – 力学的エネルギー保存則 • これらはすべて運動方程式 𝑚𝑎 = 𝐹 の積分で 定義・導出されている(𝑚, 𝑎, 𝐹 はそれぞれ質量、加速度、力) – 次のスライドからそれを示していく – 計算を追うときは積分に使う変数が時間(𝑡)か座標(𝑥)かに注意 (置換積分という説明してない技も必要ですがご容赦を)(興味ある方は調べてみよう!) 24
  • 25.
    運動方程式と運動量 • 運動方程式 𝐹= 𝑚𝑎 = 𝑚 𝑑𝑣 𝑑𝑡 – 質量 𝑚 (kg) の物体に 𝑎 𝑚/𝑠2 の加速度を与える力を𝐹 (N) とする • 力積と運動量 – 運動方程式を時刻0からtにわたり積分してみると… – 左辺: න 0 𝑡 𝐹𝑑𝑡 = 𝐹𝑡 – 右辺: 𝑚 න 0 𝑡 𝑑𝑣 𝑑𝑡 𝑑𝑡 = 𝑚 න 𝑣(0) 𝑣(𝑡) 1𝑑𝑣 = 𝑚𝑣 𝑡 − 𝑚𝑣(0) – つまり 運動量の変化 = 加わった力積 25 ← 力積 ←運動量の変化 ※ ここは置換積分になっている
  • 26.
    運動方程式と運動エネルギー • 運動方程式の両辺に 𝑑𝑥 𝑑𝑡 = 𝑣をかけてみる: 𝐹𝑥 𝑑𝑥 𝑑𝑡 = 𝑚𝑣 𝑑𝑣 𝑑𝑡 – 両辺を時間 𝑡 について 0, 𝑡 にわたり積分すると – 左辺: – 右辺: – つまりエネルギー = 「仕事」をすることのできる能力 26 න 0 𝑡 𝐹 𝑥 𝑑𝑥 𝑑𝑡 𝑑𝑡 = න 𝑥(0) 𝑥(𝑡) 𝐹 𝑥 𝑑𝑥 𝑚 න 0 𝑡 𝑣 𝑑𝑣 𝑑𝑡 𝑑𝑡 = 𝑚 න 𝑣(0) 𝑣(𝑡) 𝑣 𝑑𝑣 = 1 2 𝑚𝑣 𝑡 2 − 1 2 𝑚𝑣 0 2 ↑ 質点を𝑥(0)から𝑥(𝑡)に動かす「仕事」 ↑ 運動エネルギーの変化 ※ ここも置換積分 ※ ここも置換積分
  • 27.
    力学的エネルギー保存則 • ここで力 𝐹𝑥 の原始関数の1つを −𝑉 𝑥 と書く න 𝐹 𝑥 𝑑𝑥 = −𝑉(𝑥) – すると1つ前のスライドの左辺の定積分は න 𝑥(0) 𝑥(𝑡) 𝐹 𝑥 𝑑𝑥 = − 𝑉 𝑥 𝑡 − 𝑉 𝑥 0 – したがって − 𝑉 𝑥 𝑡 − 𝑉 𝑥 0 = 1 2 𝑚𝑣 𝑡 2 − 1 2 𝑚𝑣 0 2 – 時刻 𝑡 の項と時刻 0 の項をそれぞれまとめると 1 2 𝑚𝑣 𝑡 2 + 𝑉 𝑥 𝑡 = 1 2 𝑚𝑣 0 2 + 𝑉 𝑥 0 ↑ 実はこの−𝑉 𝑥 が位置エネルギー ↑ 力学的エネルギー保存則
  • 28.
    思い出す:標準偏差とヒストグラム • データが「正規分布」にしたがっているとき、 – 平均値±標準偏差1つ分の幅に約68% –平均値±標準偏差2つ分の幅に約95% – 平均値±標準偏差3つ分の幅に約99.7% のデータが含まれる (σは標準偏差を表す) ← 68% → ← ← ← 95% → → → ← ← ← ← ← 99.7% → → → → → ※ 正規分布 …左図のような、 平均値に近い値ほど 現れやすく、遠い値ほど 現れにくい釣鐘型の分布
  • 29.
    確率と積分 • 確率密度関数 – 正規分布は𝑝 𝑥 = 1 2𝜋𝜎2 exp − 𝑥−𝜇 2 2𝜎2 という確率密度関数で 表される (他にも様々な確率分布に対応した関数がある) – 区間の面積が出現確率に対応した値となる • つまり確率変数𝑋 が 𝑎 ≦ 𝑋 ≦ 𝑏 の値をとる確率が න 𝑎 𝑏 𝑝(𝑥) 𝑑𝑥 • ちなみに確率の合計値は 1 なので、‫׬‬ −∞ ∞ 𝑝 𝑥 𝑑𝑥 = 1 (広義積分という積分法) で表される(𝑝(𝑥)は任意の確率密度関数) -3σ -2σ -1σ 平均 +1σ +2σ +3σ データの値 確率密度 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 ※ exp 𝑥 は指数関数𝑒𝑥 のこと (𝑒 は自然対数の底 𝑒 = 2.7182 … ) 𝜇は平均値、 𝜎は標準偏差
  • 30.
    • フーリエ変換 – 与えられた波形を三角関数の和(積分)で表現 =どんな周波数のサイン波の成分が、どんな 割合で含まれるかを調べることができる •結果の「何Hzがどれだけ含まれてました」の グラフを「スペクトル」という 思い出す:周波数解析 どんな関数も 三角関数の和で表せる J.B.JosephFourier(1768-1830) (肖像画はwikipediaから) 複雑な形をした謎の波 左の波のスペクトル: 1, 2, 3, … 6 Hzの波が 3Hzだけ 振幅2倍で合成されてたものとわかる
  • 31.
    フーリエ変換と積分 • 関数𝑓(𝑡)のフーリエ変換は次のような式で表現される 𝐹 𝜔= න −∞ ∞ 𝑓 𝑡 𝑒−𝑖𝜔𝑡 𝑑𝑡 – 要は波=時間 𝑡 の関数 𝑓 𝑡 に 𝑒−𝑖𝜔𝑡 をかけて積分することで、 𝑓 𝑡 を周波数 𝜔 の関数に変換できる、ということ (オイラーの公式 𝑒𝑖𝜃 = cos 𝜃 + 𝑖 sin 𝜃 を利用して短く書いた式)(この 𝑒 も自然対数の底) ( 𝑖 はなんと虚数単位) – こんな計算を (コンピュータで) やる ことで、複雑な信号(波)に含まれる 周波数成分とそのバランスを 調べることができる 実は 𝑦 = sin 2𝜋𝑥 + sin 4𝜋𝑥 +2 sin 6𝜋𝑥 + sin 8𝜋𝑥 + sin 10𝜋𝑥 + sin 12𝜋𝑥でした!* * ただし成分ごとに位相がずれていて、 そのずれ方についてはわからない なお、周波数 𝑓 Hzの正弦波は sin 2𝜋𝑓𝑡と表される (𝑡は時間、𝜋は円周率)
  • 32.
    まとめ • 積分 =微分の逆 – 微分積分学の基本定理がそのことを保証 – 元々は細切り・薄切りを足し合わせて面積・体積を求める計算 • 積分法の応用 – 加速度の積分が速度、速度の積分が変位 – 運動量と力積の関係や力学的エネルギー保存則は 運動方程式の積分により導出される – 確率密度関数 𝑃(𝑥) は、𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏 の値が観測される確率を ‫׬‬ 𝑎 𝑏 𝑃 𝑥 𝑑𝑥 (=曲線と 𝑥軸が囲む面積)で表したもの – 周波数解析で用いられるフーリエ変換は積分で記述される – このように、積分(と微分)は様々な解析法を深く理解する上で 非常に重要な基礎になっている 32
  • 33.
    おすすめ文献 • 大雑把なイメージをつかみたい人へ – Newton別冊「微分と積分」ニュートンプレス – 神永正博「「超」入門 微分積分」 講談社ブルーバックス • 基本的な知識・考え方を学びたい人へ – 高専・大学の教科書・参考書(微分積分学) – 小島寛之「ゼロから学ぶ微分積分」 講談社 • 物理や統計、運動科学等での応用をもっと知りたい人へ – 深代千之, 柴山明 (2000) 「スポーツ基礎数理ハンドブック」 朝倉書店 – 竹内淳 (2012) 「高校数学でわかる統計学」 講談社ブルーバックス – 竹内淳 (2009) 「高校数学でわかるフーリエ変換」 講談社ブルーバックス – 小野弓絵 (2018) 「MATLABで学ぶ生体信号処理」 コロナ社 33
  • 34.
  • 35.
    積分の本来の定義 • 本当のスタートは定積分を面積の計算として定義すること – 「短冊の長さ× 幅」で 𝑦 = 𝑓(𝑥) と 𝑥軸と 2直線𝑥 = 𝑎, 𝑥 = 𝑏 で 囲まれる部分の面積 𝑆 を考えると – この定義からスタートして、これから「積分=微分の逆」を示していく (最初に簡単に「積分=微分の逆」と定義したのはいったん忘れて下さい) 35 𝑆 = lim ℎ𝑘→0 ෍ 𝑘=1 𝑛 𝑓 𝑥𝑘 ℎ𝑘 O 𝑦 𝑥 𝑥 = 𝑎 𝑥 = 𝑏 𝑎 = 𝑥0 𝑥1 𝑥2 𝑥𝑘−1 𝑥𝑛 = 𝑏 𝑥𝑛−1 𝑥𝑘 ℎ1 ℎ2 ℎ𝑘 ℎ𝑛 … … … … 𝑦 = 𝑓(𝑥) 𝑆 = lim ℎ𝑘→0 ෍ 𝑘=1 𝑛 𝑓 𝑥𝑘 ℎ𝑘 = න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 つまり と定義
  • 36.
    (準備)定積分の性質 1/2 • 本編で説明した定積分の性質は、今度の定義でも (ほぼ)同様に成り立つ(成り立ってくれないと困るけど) –この後の流れ的にもう一つ明示しておきたいのが次の性質: 36 ※1.と2.は「面積」の 定義では意味不明になるが、 「𝑎 ≧ 𝑏の場合はこう」と いうことで計算として 定義しておく න 𝑎 𝑏 𝑐 𝑑𝑥 = 𝑐(𝑏 − 𝑎) (イメージに頼った証明) • 下図の通り(単に長方形の面積) O 𝑦 𝑥 𝑥 = 𝑎 𝑥 = 𝑏 𝑥1 𝑥2 𝑥𝑘−1 𝑥𝑛−1 𝑥𝑘 ℎ1 ℎ2 ℎ𝑘 ℎ𝑛 … … … … 𝑎 = 𝑥0 𝑥𝑛 = 𝑏 𝑦 = 𝑐
  • 37.
    (準備)定積分の性質 2/2 • 次の性質も確認しておく:区間 𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏 で 𝑓 𝑥 ≧ 𝑔(𝑥)のとき 37 න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ≧ න 𝑎 𝑏 𝑔 𝑥 𝑑𝑥 O 𝑦 𝑥 𝑥 = 𝑎 𝑥 = 𝑏 𝑦 = 𝑔(𝑥) 𝑦 = 𝑓(𝑥) (イメージに頼った証明) • 下図の通り(積分区間が同じなら、上にある方が広く囲める) この性質は「定積分の大小関係」と呼ばれる ※ あと次のスライドで 「定積分に関する平均値の定理」を示せば 準備が整います
  • 38.
    (準備)定積分に関する平均値の定理 • 𝑓 𝑥が区間𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏で連続ならば、等式 1 𝑏 − 𝑎 න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝑓 𝑐 𝑎 < 𝑐 < 𝑏 を満たす 𝑐 が少なくとも1つ存在する (証明) • この区間での𝑓 𝑥 の最大値を𝑀, 最小値を𝑚とすると 𝑚 ≦ 𝑓 𝑥 ≦ 𝑀 なので、「定積分の大小関係」より • ここで と置くと、 𝑓 𝑥 は区間 𝑎 ≦ 𝑥 ≦ 𝑏で連続なので、同区間内に 𝑓 𝑐 = 𝐾 を満たす 𝑐 が少なくとも1つ存在する。 したがって、上記の命題が成り立つ。 න 𝑎 𝑏 𝑚 𝑑𝑥 = 𝑚 𝑏 − 𝑎 ≦ න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ≦ න 𝑎 𝑏 𝑀 𝑑𝑥 = 𝑀(𝑏 − 𝑎) つまり 𝑚 ≦ 1 𝑏 − 𝑎 න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ≦ 𝑀 1 𝑏 − 𝑎 න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐾 O 𝑦 𝑥 𝑎 𝑏 𝑦 = 𝑓(𝑥) 𝑐 𝐾 𝑚 𝑀
  • 39.
    微分積分法の基本定理 1/2 • 𝑓𝑥 が定数 𝑎 を含む区間𝐼で連続で、 𝑥 が 𝐼 内の値をとるとき、 𝐹 𝑥 = න 𝑎 𝑥 𝑓(𝑡) 𝑑𝑡 とおくと 𝐹′ 𝑥 = 𝑑 𝑑𝑥 න 𝑎 𝑥 𝑓(𝑡) 𝑑𝑡 = 𝑓 𝑥 つまり:定積分で表された関数を微分すると中身の関数 (証明) • 関数𝑦 = 𝑓 𝑡 は区間 𝑎 ≦ 𝑡 ≦ 𝑏 で連続であるとする。 𝑎 ≦ 𝑡 ≦ 𝑏 内の 任意の 𝑥 について ‫׬‬𝑎 𝑥 𝑓 𝑡 𝑑𝑡 は 𝑥 の関数となるから、これを 𝐹(𝑥)とおく。 • 𝐹(𝑥) の導関数𝐹′(𝑥)を微分の定義に従い求めると、 𝐹′ 𝑥 = lim 𝑋→𝑥 𝐹 𝑋 − 𝐹(𝑥) 𝑋 − 𝑥 = lim 𝑋→𝑥 1 𝑋 − 𝑥 න 𝑎 𝑋 𝑓 𝑡 𝑑𝑡 − න 𝑎 𝑥 𝑓 𝑡 𝑑𝑡 = lim 𝑋→𝑥 1 𝑋 − 𝑥 න 𝑥 𝑋 𝑓 𝑡 𝑑𝑡 𝑦 = 𝑓 𝑡 𝑡 𝑦 𝑋 𝑥 O 𝑎 𝑎から𝑥まで( )が𝐹 𝑥 𝑎から𝑋まで( )が𝐹(𝑋) (次のスライドへ続く)
  • 40.
    微分積分法の基本定理 2/2 • ここで定積分に関する平均値の定理より、 1 𝑋−𝑥 ‫׬‬ 𝑥 𝑋 𝑓𝑡 𝑑𝑡 = 𝑓 𝑐 を満たす 𝑐 が 𝑥 と 𝑋 の間に存在する。 • 𝑋 → 𝑥 とすると 𝑐 → 𝑥 となるから、 𝐹′ 𝑥 = lim 𝑋→𝑥 1 𝑋 − 𝑥 න 𝑥 𝑋 𝑓 𝑡 𝑑𝑡 = lim 𝑐→𝑥 𝑓 𝑐 = 𝑓 𝑥 ということになる。 • つまり(もう一度書くと) – これを微分積分法の基本定理と言い、 この定理が「積分は微分の逆」を保証してくれる – そして 𝐹 𝑥 が原始関数と呼ばれるもの 𝑦 = 𝑓 𝑡 𝑡 𝑦 𝑋 𝑥 O 𝑎 𝑎から𝑥まで( )が𝑆 𝑥 𝑎から𝑋まで( )が𝑆(𝑋) 𝑐 𝐹′ 𝑥 = 𝑑 𝑑𝑥 න 𝑎 𝑥 𝑓(𝑡) 𝑑𝑡 = 𝑓 𝑥 定積分で表された関数を微分すると中身の関数 𝑥 < 𝑐 < 𝑋 なので𝑋 → 𝑥 とすると 𝑐 も → 𝑥
  • 41.
    原始関数と定積分の計算 • 𝑓 𝑥の任意の不定積分の1つを𝐹(𝑥)とする。 • 微分積分法の基本定理から、‫׬‬ 𝑎 𝑥 𝑓 𝑥 𝑑𝑥も𝑓 𝑥 の不定積分なので、 න 𝑎 𝑥 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 + 𝐶 (𝐶は任意の定数) • とおける。ここで 𝑥 = 𝑎 を考えると ‫׬‬ 𝑎 𝑎 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 0 = 𝐹 𝑎 + 𝐶 なので、 𝐶 = −𝐹 𝑎 となる。したがって න 𝑎 𝑥 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 − 𝐹(𝑎) • 𝑥 = 𝑏 とおき、 𝐹 𝑏 − 𝐹 𝑎 を 𝐹 𝑥 𝑎 𝑏 という記号で表せば、 本編で紹介した定積分の計算法 න 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝐹 𝑥 𝑎 𝑏 = 𝐹 𝑏 − 𝐹 𝑎 が得られる(完)