人間科学のための基礎数学(5)
三角関数
作者: @masa_hiroo_kano (twitter ID)
前回のポイント
• 角度
– 角の広がり、方向、位相を表す量として用いられる
– 度数法(°)または弧度法(rad)で表される 180° = π rad
• 三角比
– 直角三角形の辺の比で定義(鋭角にしか定義できなくて不便)
→ 円の中心角と座標で定義し直し、鈍角にも拡張
– 正弦定理・余弦定理で測量がさらに便利に
– 動作解析で座標データから関節角度を求めるときにも余弦定理が活躍
今回の主役は…
• 位相を表す量としての角度
– 位相…周期的な運動の中での「今何時」
– 周期的な運動…いわゆる「ゆらぎ」「振動」「波」
3
身近な波(振動)と言えば:音
• 音 = 空気圧の振動
– 空気のゆらぎが鼓膜をゆらし、それを音として知覚している
– ゆれの幅が音量、振動数が高さとして知覚される
• 歌声や楽音から楽譜を自動作成する人工知能
– 的な研究をしてる人もいる
– 三角関数はそんな研究の
重要な基礎
(指数・対数の回のスライド)
音声信号の波形
(かえるのうたの出だし by 筆者)
スポ科で波といえば:筋電計
• 筋肉の収縮度合いを計測する装置
– 筋収縮の際のイオンの出入りで生じる電気を拾うセンサー
↑ 筋収縮レベルに応じてLEDのゲージが上がる簡易筋電計 動画:https://twitter.com/masa_hiroo_kano/status/1436241425755086850
• 左の波形から筋肉の状態に関する情報を
もっと引き出せないか?
• 三角関数を使えば引き出せます!!!
← しばらく力んでもらったときの収縮度のゆらぎ
筋電位(mV)
(
収縮の強さと比例)
━ 筋電位
━ 収縮の強さ
• 位相角は0°~360°だけでは不十分
– 周期的な「動き」にはどんなことがあるか考えると…
つまり、位相角には
• 「何周目」の情報が必要
• 進んでいく向きの情報も必要
6
その前に…位相角ならではの事情
トップに見えるが、
実は周回遅れかもしれない
逆向きに進む場合もありうる
一般角
• 次のようにして角度に「何周目」と「向き」を導入
– 原点を中心とする円Oの周上を動く点Pと、
線分OP(動径)とx軸がなす角θ について:
• 回転のスタート地点(θ = 0°)は円周とx軸の正の部分の交点とする
• 反時計回りを正の向き、時計回りを負の向きとする
• 𝜃 は任意の実数値を取ってよいこととする:
𝜃 = 𝛼 + 360° × 𝑛(0° ≦ 𝛼 < 360°, 𝑛は整数)*で「何周目」か判断
* −180° < 𝛼 ≦ 180°の方が便利なときはこっちを使うことも
𝑦
𝑥
O
P
𝜃
正の向き・正の角度
𝑦
𝑥
O
P
𝜃
負の向き・負の角度
𝑦
𝑥
O
P
𝜃 = 𝛼 + 360° × 𝑛
何回転かしての角度
𝛼
7
練習問題
• 次の動径OPの位置に対応する角度𝜃を、
一般角 𝜃 = 𝛼 + 360° × 𝑛 (𝑛は整数)で表してみよう
• 750°、ー480°は右下図の時計で言うと何時の位置か考えてみよう
𝑦
𝑥
O
P
50°
練習問題
• 次の動径OPの位置に対応する角度𝜃を、
一般角 𝜃 = 𝛼 + 360° × 𝑛 (𝑛は整数)で表してみよう
• 750°、ー480°は右下図の時計で言うと何時の位置か考えてみよう
𝑦
𝑥
O
P
50°
0° ≦ 𝛼 < 360°で考えるなら
𝜃 = 310° + 360° × 𝑛
−180° < 𝛼 ≦ 180°で考えるなら
𝜃 = −50° + 360° × 𝑛
750° = 30° + 360° × 2 → 2時の位置
−480° = −120° + 360° × (−1) → 7時の位置
三角関数*
• 三角比の定義域を一般角に拡張
– 単位円の動径と、その先端の円周上の点Pの座標で定義
*もはや三角形より円が主体なので「円関数」と呼ばれることもある
– 定義はどちらで考えてもいいが、②がおすすめ
(グラフなど考えるとき便利なので)
10
𝑥
O
P 𝑥, 𝑦
𝜃
𝑟
𝑟
𝑦
−𝑟
−𝑟
定義のしかた①(半径rの円を利用)
sin𝜃 =
𝑦
𝑟
cos𝜃 =
𝑥
𝑟
tan𝜃 =
𝑦
𝑥
𝑥
O
P′
𝜃
1
1
𝑦
−1
−1
定義のしかた②(単位円を利用)
P
P cos 𝜃 , sin𝜃
P′
1, tan 𝜃
三角関数の符号と定義域・値域
• 辺の長さではなく点P(と点P’)の座標で定義なのに注意
– 定義域:sin 𝜃, cos 𝜃 は実数全体
tan 𝜃 は 𝜃 = 90° + 180° × 𝑛 (𝑛 は整数) を除くすべての実数
– 値域:−1 ≦ sin 𝜃 ≦ 1, −1 ≦ cos 𝜃 ≦ 1, tan 𝜃は実数全体
11
点Pがある象限と sin𝜃 , cos 𝜃 , tan𝜃 の符号
𝑦
𝑥
O
+
−
𝑦
𝑥
O
𝑦
𝑥
O
sin 𝜃の符号 cos 𝜃の符号 tan 𝜃の符号
+ +
+
+
+
−
−
−
−
−
第1象限
第2象限
第3象限 第4象限
練習問題
• 次の三角関数の値を求めてみよう
• 三角関数が次の値の組となる角度θ を求めてみよう
12
sin 210° , cos 210° , tan 210° sin(−60°) , cos(−60°) , tan(−60°)
sin 𝜃 = −
1
2
cos 𝜃 = −
1
2
tan 𝜃 = 1
sin 𝜃 = −
1
2
cos 𝜃 =
3
2
tan 𝜃 = −
1
3
練習問題の答え
• 次の三角関数の値を求めてみよう
13
sin 210° , cos 210° , tan 210° sin(−60°) , cos(−60°) , tan(−60°)
𝑥
O
210°
1
1 𝑦
−1
−1
P cos 210° , sin 210°
P′
1, tan 210°
𝑥
O 60° 1
1 𝑦
−1
−1
P cos(−60°) , sin(−60°)
P′ 1, tan(−60°)
それぞれ
−
1
2
, −
3
2
,
1
3
それぞれ
−
3
2
,
1
2
, − 3
練習問題の答え
• 三角関数が次の値の組となる角度θ を求めてみよう
14
sin 𝜃 = −
1
2
cos 𝜃 = −
1
2
tan 𝜃 = 1
sin 𝜃 = −
1
2
cos 𝜃 =
3
2
tan 𝜃 = −
1
3
𝑥
O
𝜃
1
1 𝑦
−1
−1
P −
1
2
, −
1
2
= cos 𝜃 , sin 𝜃
P′
1, 1
= 1, tan 𝜃
→ 下
→ 左
→ 下
→ 右
𝜃 = 225° + 360° × 𝑛 𝑛は整数 𝜃 = 330° + 360° × 𝑛 𝑛は整数
𝜃 = −30° + 360° × 𝑛 𝑛は整数
𝑥
O
𝜃
1
1 𝑦
−1
−1
P −
1
2
,
3
2
= cos 𝜃 , sin 𝜃
P′
1, −
1
3
= 1, tan 𝜃
押さえておきたい三角関数の値
15
𝜃 sin 𝜃 cos 𝜃 tan 𝜃
−30°
0°
30°
45°
60°
90°
120°
135°
150°
180°
−1/2 3/2 −1/ 3
0 1 0
1/2 3/2 1/ 3
1/ 2 1/ 2 1
3/2 1/2 3
1 0 ※
3/2 −1/2 − 3
1/ 2 −1/ 2 −1
1/2 − 3/2 −1/ 3
0 −1 0
𝜃 sin 𝜃 cos 𝜃 tan 𝜃
150°
180°
210°
225°
240°
270°
300°
315°
330°
360°
390°
1/2 − 3/2 −1/ 3
0 −1 0
−1/2 − 3/2 1/ 3
−1/ 2 −1/ 2 1
− 3/2 −1/2 3
−1 0 ※
− 3/2 1/2 − 3
−1/ 2 1/ 2 −1
−1/2 3/2 −1/ 3
0 1 0
1/2 3/2 1/ 3
同じような値が、点Pの場所に応じて
符号違いで繰り返されるだけ!
※ tan𝜃 は 𝜃 = 90° + 180° × 𝑛 (𝑛は整数)に対しては定義できない
補足:逆三角関数
• 三角関数の逆関数を逆三角関数という
– 右の単位円で
arcsin 𝑦 = 𝜃
arccos 𝑥 = 𝜃
arctan
𝑦
𝑥
= 𝜃
– 三角関数 = 動径の角度 𝜃 から点Pの𝑥, 𝑦,
𝑦
𝑥
を求める関数
– 逆三角関数 = 点Pの𝑥, 𝑦,
𝑦
𝑥
(つまり sin, cos, tanの値)から
動径の角度𝜃を求める関数
– arcsin 𝑦 , arccos 𝑥 , arctan
𝑦
𝑥
は、それぞれ
sin−1 𝑦 , cos−1 𝑥 , tan−1 𝑦
𝑥
と表されることもある
(要は arcsin sin 𝜃 = 𝜃なので、 sin−1 sin 𝜃 = 𝜃と書けるのがうれしい)
16
𝑥
O
P 𝑥, 𝑦
𝜃
1
1
𝑦
−1
−1
sin𝜃 = 𝑦
cos𝜃 = 𝑥
tan𝜃 =
𝑦
𝑥
要するに
• こういうこと
17
𝑥
O
P 𝑥, 𝑦
𝜃
𝑟
𝑟
𝑦
−𝑟
−𝑟
三角関数:角度 → 座標・比
sin𝜃 =
𝑦
𝑟
cos𝜃 =
𝑥
𝑟
tan𝜃 =
𝑦
𝑥
𝑥
O
P 𝑥, 𝑦
𝜃
𝑟
𝑟
𝑦
−𝑟
−𝑟
逆三角関数:座標・比 → 角度
arcsin
𝑦
𝑟
= 𝜃
arccos
𝑥
𝑟
= 𝜃
arctan
𝑦
𝑥
= 𝜃
難しすぎるんですけど💢
• とよく言われますが、皆さんすでに前回使ってます
18
ここの「三角比の値から角度を求める」に対応するのが逆三角関数
表の該当部で言うと arcsin 0.6018 = 37°, arccos0.8090 = 36° などということ
三角関数のグラフ(sin)
𝜃 ° 0 30 45 60 90 120 135 150 180 210 225 240 270 300 315 330 360
sin 𝜽
𝑥
𝑦
1
1
−1
−1
0
1
2
1
2
3
2
1
3
2
1
2
1
2
0
−1
2
−1
2
− 3
2
−1
− 3
2
−1
2
−1
2
0
O
𝑦
𝜃
𝑦 = sin𝜃
O
1
−1
19
−180°
360°
540°
720°
900°
1080°
180°
②
③ ④
①
1170°
270°
450°
630°
810°
990°
90°
−90°
三角関数のグラフ(cos)
𝜃 ° 0 30 45 60 90 120 135 150 180 210 225 240 270 300 315 330 360
cos 𝜃
𝑥
𝑦
1
1
−1
−1
1
3
2
1
2
1
2
0
−1
2
−1
2
− 3
2
−1 − 3
2
−1
2
−1
2
0
1
2
1
2
3
2
1
O
cos 0° = 1から始まるので、
単位円を+90°回転させるとイメージしやすい(後述の sin 𝜃 + 90° = cos 𝜃 の公式も参考に)
𝑦
𝜃
𝑦 = cos 𝜃
O
1
−1
20
①
②
③
④
三角関数のグラフ(tan)
𝑥
𝑦
1
1
−1
−1
𝜃 ° 0 30 45 60 90 120 135 150 180 210 225 240 270 300 315 330 360
tan 𝜃 0
1
3
1 3 × − 3 −1
−1
3
0
1
3
1 3 × − 3 −1
−1
3
0
𝑦
𝜃
𝑦 = tan𝜃
1
−1
21
②
③ ④
①
360° 540° 720°
180°
90° 270° 450° 630°
※ 直線 𝜃 = 90° + 180° × 𝑛(𝑛は整数) は漸近線
(参考) 三角関数のグラフに関する用語
22
𝑦 = 3 sin 2𝑥 − 60° + 1
(= 3 sin 2 𝑥 − 30° + 1)
振幅 波の振れ幅。上の式の「𝑎」
角速度、
振動数・周波数
単位時間あたりにどれだけ角度が進むか(角速度)
または何往復するか(振動数、周波数)
上の式の「𝑏」と関係
周期、波長
山と山、谷と谷の間隔(波の繰り返しの間隔)
横軸が時間なら周期、長さなら波長。上の式の「𝑏」と関係
𝑦 = sin𝜃 , 𝑦 = cos𝜃の周期は360°、𝑦 = tan𝜃の周期は180°
初期位相
横軸がゼロのところでどれだけ進んだ状態か
上の式の「𝑏𝑝」(𝑏 𝜃 − 𝑝 に𝜃 = 0を代入)
基線 ゆらぎの中心のライン。上の式の「𝑞」
𝑦 = 𝑎 sin 𝑏 𝜃 − 𝑝 + 𝑞 という波の…
波の振れ幅。上の式の「𝑎」
単位時間あたりにどれだけ位相角が進むか(角速度)
または何往復するか(振動数、周波数)
上の式の「𝑏」に比例
山と山、谷と谷の間隔(波の繰り返しの間隔)
横軸が時間なら周期、長さなら波長。上の式の「𝑏」に反比例
𝑦 = sin𝜃 , 𝑦 = cos𝜃の周期は360°、𝑦 = tan𝜃の周期は180°
横軸がゼロのところですでにどれだけ進んだ状態か
上の式の「𝑏𝑝」(𝑏 𝜃 − 𝑝 に𝜃 = 0を代入)
ゆらぎの中心のライン。上の式の「𝑞」
三角関数のいろいろな公式
• 以下の公式は単位円やグラフを見れば一目瞭然
– 前回も述べたとおり、三角関数の公式は「覚えない」のがコツ
x軸対称
sin(−𝜃) = − sin 𝜃
cos(−𝜃) = cos 𝜃
tan(−𝜃) = − tan 𝜃
90°から折り返す
sin 90° − 𝜃 = cos 𝜃
cos 90° − 𝜃 = sin 𝜃
tan 90° − 𝜃 =
1
tan 𝜃
y軸対称
sin(180° − 𝜃) = sin 𝜃
cos(180° − 𝜃) = − cos 𝜃
tan(180° − 𝜃) = − tan 𝜃
90°進む
sin 𝜃 + 90° = cos 𝜃
cos 𝜃 + 90° = −sin 𝜃
tan 𝜃 + 90° = −
1
tan 𝜃
180°進む/原点対称
sin(𝜃 + 180°) = −sin 𝜃
cos(𝜃 + 180°) = − cos 𝜃
tan(𝜃 + 180°) = tan 𝜃
一周して元の位置
sin(𝜃 + 360°) = sin 𝜃
cos(𝜃 + 360°) = cos 𝜃
tan(𝜃 + 360°) = tan 𝜃
23
三角関数のいろいろな公式
• 以下の公式は単位円やグラフを見れば一目瞭然
– 前回も述べたとおり、三角関数の公式は「覚えない」のがコツ
x軸対称
sin(−𝜃) = − sin 𝜃
cos(−𝜃) = cos 𝜃
tan(−𝜃) = − tan 𝜃
90°から折り返す
sin 90° − 𝜃 = cos 𝜃
cos 90° − 𝜃 = sin 𝜃
tan 90° − 𝜃 =
1
tan 𝜃
y軸対称
sin(180° − 𝜃) = sin 𝜃
cos(180° − 𝜃) = − cos 𝜃
tan(180° − 𝜃) = − tan 𝜃
𝑥
O
P′
𝜃
1
1
𝑦
−1
−1
P
𝑥
O
P′
𝜃
1
1
𝑦
−1
−1
P
𝜃
𝜃
𝑥
O
P′
𝜃
1
1
𝑦
−1
−1
P
𝜃
24
三角関数のいろいろな公式
• 以下の公式は単位円やグラフを見れば一目瞭然
– 前回も述べたとおり、三角関数の公式は「覚えない」のがコツ
90°進む
sin 𝜃 + 90° = cos 𝜃
cos 𝜃 + 90° = −sin 𝜃
tan 𝜃 + 90° = −
1
tan 𝜃
180°進む/原点対称
sin(𝜃 + 180°) = −sin 𝜃
cos(𝜃 + 180°) = − cos 𝜃
tan(𝜃 + 180°) = tan 𝜃
一周して元の位置
sin(𝜃 + 360°) = sin 𝜃
cos(𝜃 + 360°) = cos 𝜃
tan(𝜃 + 360°) = tan 𝜃
𝑥
O
P′
𝜃
1
1
𝑦
−1
−1
P
𝜃
𝑥
O
P′
𝜃
1
1
𝑦
−1
−1
P
𝜃 𝑥
O
P′
𝜃
1
1
𝑦
−1
−1
P
25
加法定理シリーズ
• sin 𝛼 ± 𝛽 = sin 𝛼 cos 𝛽 ± cos 𝛼 sin 𝛽
• cos 𝛼 ± 𝛽 = cos 𝛼 cos 𝛽 ∓ sin 𝛼 sin 𝛽
• tan 𝛼 ± 𝛽 =
tan 𝛼±tan 𝛽
1∓tan 𝛼 tan 𝛽
(いずれも複号同順)
– 導出も難しくはないが、上記3つだけは覚えてた方がはかどる印象
半角の公式
sin2 𝜃
2
=
1−cos 𝜃
2
cos2 𝜃
2
=
1+cos 𝜃
2
さらにtan 𝜃 =
sin 𝜃
cos 𝜃
を利用↓
tan2 𝜃
2
=
1−cos 𝜃
1+cos 𝜃
𝜃を𝜃/2に
半角の公式
2倍角の公式
sin 2𝜃 = 2 sin 𝜃 cos 𝜃
cos 2𝜃 = cos2 𝜃 − sin2 𝜃
= 1 − 2 sin2 𝜃
= 2 cos2 𝜃 − 1
tan 2𝜃 =
2 tan 𝜃
1+tan2 𝜃
↓ 2θ= (θ+θ)として計算↓
2倍角の公式
3θ=2θ+θ で3倍角の公式
sin 𝛼 cos 𝛽 =
sin 𝛼+𝛽 + sin 𝛼−𝛽
2
cos 𝛼 sin 𝛽 =
sin 𝛼+𝛽 −sin 𝛼−𝛽
2
cos 𝛼 cos 𝛽 =
cos 𝛼+𝛽 +cos 𝛼−𝛽
2
sin 𝛼 sin 𝛽 = −
cos 𝛼+𝛽 −cos 𝛼−𝛽
2
sin 𝐴 + sin 𝐵 = 2 sin
𝐴+𝐵
2
cos
𝐴−𝐵
2
sin 𝐴 − sin 𝐵 = 2 cos
𝐴+𝐵
2
sin
𝐴−𝐵
2
cos 𝐴 + cos 𝐵 = 2 cos
𝐴+𝐵
2
cos
𝐴−𝐵
2
cos 𝐴 − cos 𝐵 = −2 sin
𝐴+𝐵
2
sin
𝐴−𝐵
2
積と和・差の相互変換
参考:加法定理(の利用で導出できる)(のでその下の難しい公式は覚える必要なし)
sin 𝛼 cos 𝛽 + cos 𝛼 sin 𝛽 = sin 𝛼 + 𝛽 …①
sin 𝛼 cos 𝛽 − cos 𝛼 sin 𝛽 = sin 𝛼 − 𝛽 …②
cos 𝛼 cos 𝛽 − sin 𝛼 sin 𝛽 = cos 𝛼 + 𝛽 …③
cos 𝛼 cos 𝛽 + sin 𝛼 sin 𝛽 = cos 𝛼 − 𝛽 …④
積 → 和・差の公式 和・差 → 積の公式
(①±②)、(③±④)を
計算してみると…
𝐴 = 𝛼 + 𝛽
𝐵 = 𝛼 − 𝛽
と置いて
⇔
左辺と
右辺を
逆転
27
三角関数の合成
𝑎 sin 𝜃 + 𝑏 cos 𝜃 = 𝑎2 + 𝑏2 sin 𝜃 + 𝛼
ただし𝛼は cos 𝛼 =
𝑎
𝑎2+𝑏2
, sin 𝛼 =
𝑏
𝑎2+𝑏2
となる角
– 周波数が同じサイン波とコサイン波は、合体して
1つの大きな波になるという話(加法定理で確認できる)
28
例 →
sin 𝜃 + 3 cos 𝜃
= 2 sin 𝜃 + 60°
加法定理と物体の投げ上げ
• 斜め45度に投げると遠くに飛ぶと言われる理由
– 初速𝑣0 , 角度 𝜃 , 重力加速度 𝑔 として、
1. 投げてから頂点に達するまでの時間 t (秒)を求めよ
2. 上って降りてきて元の高さに戻ってくるまでの時間を求めよ
3. その間に水平方向に進む距離を求めよ
29
𝜃
加法定理シリーズの公式で
数学的に説明できます!!!!
𝑣0
𝑔
↓↓↓
簡単な(?)説明
• 斜め45度に投げると遠くに飛ぶと言われる理由
– 初速𝑣0 , 角度 𝜃 , 重力加速度 𝑔 として、
1. 投げてから頂点に達するまでの時間 t (秒)を求めよ
2. 上って降りてきて元の高さに戻ってくるまでの時間を求めよ
3. その間に水平方向に進む距離を求めよ
𝜃
𝑣0
𝑔
↓↓↓
1. 速度の鉛直成分がt秒後にゼロになるということで
𝑣0 sin 𝜃 − 𝑔𝑡 = 0 から 𝑡 =
𝑣0
𝑔
sin 𝜃
2. 投げ上げた物体は放物線の軌道を描くので、
放物線の対称性から元の高さに戻るまでの時間は
2𝑡 つまり
2𝑣0
𝑔
sin 𝜃
3. 水平成分の速度で2. の時間移動した距離に等しいので
𝑣0 cos𝜃 ×
2𝑣0
𝑔
sin𝜃 =
2𝑣0
2
𝑔
sin𝜃 cos𝜃
4. で、3.の式の2 sin𝜃 cos 𝜃は = sin2𝜃 と変形できるので、
2𝜃 = 90° つまり 𝜃 = 45° のときに3.の距離が最大になる
(再) 身近な波(振動)と言えば: 音
• 音 = 空気圧の振動
– 空気のゆらぎが鼓膜をゆらし、それを音として知覚している
– ゆれの幅が音量、振動数が高さとして知覚される
• 歌声や楽音から楽譜を自動作成する人工知能
– 的な研究をしてる人もいる
– 三角関数はそんな研究の
重要な基礎
(指数・対数の回のスライド)
音声信号の波形
(かえるのうたの出だし by 筆者)
スポ科で波といえば:筋電計
• 筋肉の収縮度合いを計測する装置
– 筋収縮の際のイオンの出入りで生じる電気を拾うセンサー
↑ 筋収縮レベルに応じてLEDのゲージが上がる簡易筋電計 動画:https://twitter.com/masa_hiroo_kano/status/1436241425755086850
• 左の波形から筋肉の状態に関する情報を
もっと引き出せないか?
• 三角関数を使えば引き出せます!!!
← しばらく力んでもらったときの収縮度のゆらぎ
筋電位(mV)
(
収縮の強さと比例)
━ 筋電位
━ 収縮の強さ
• フーリエ変換
– 与えられた波形を三角関数の和(積分)で表現
=どんな周波数のサイン波の成分が、どんな
割合で含まれるかを調べることができる
• 結果の「何Hzがどれだけ含まれてました」の
グラフを「スペクトル」という
周波数解析
どんな関数も
三角関数の和で表せる
J.B.JosephFourier (1768-1830)
(肖像画はwikipediaから)
複雑な形をした謎の波
左の波のスペクトル:
1, 2, 3, … 6 Hzの波が 3Hzだけ
振幅2倍で合成されてたものとわかる
音声の周波数解析
• 「かえるのうたが きこえてくるよ」
– と歌ってみた音声信号を周波数解析してみた結果↓
(スペクトログラム:この時間帯の音にはこんな周波数成分が含まれてます、という図)
– 声(音)の高さは一番下の黄色帯(基音)の周波数にもとづいて
知覚される(黄に近い色ほど成分の振幅が大きいことを表す)
• 声質(音色)はそれ以外の黄色帯(倍音)の含まれ方に反映される
• 下図は声の個性の可視化とも言えるので、「声紋」と呼ばれることもある
34
著者(男声)の声紋 VOICEROID+東北きりたんEX(女声)の声紋
• 筋電図
– 筋活動にともなって発生する微弱な筋電位の変化を検出して、
縦軸に電位、横軸に時間をとり描いたもの (努力度強いほど振幅大)
– 例えば筋肉が疲れてくると、筋電信号全体の振幅が大きくなる。
中でも低い周波数成分の振幅が大きくなる(右下図:10Hz付近に注目)
• 同じ力を出すのにより多くの努力が必要に&「振戦」の成分などが乗ってくる
筋電図の周波数解析
35
10kgのダンベルを左のような姿勢で持って
静止する筆者の上腕二頭筋の筋電図
左の筋電図のスペクトログラム
ちょっと
だらけた 限界への挑戦
最初の頑張り
ちょっと
だらけた 限界への挑戦
最初の頑張り
まとめ
• いろいろな角度
– 図形の広がり具合
– 方向(方位角)
– 時間・位置(位相角)
– 角度の表し方2種類:度数法&弧度法(ラジアン)
• 三角比と三角関数
– 三角関数の公式は大量にあるが、元々の定義と加法定理さえ
使いこなせていれば芋づる式に導出できる
– 動作や生体信号の解析で大活躍するのでぜひ理解してほしい
36
0°~ 360°で十分
一般角が欲しくなる
役立ちそうな文献などの紹介
• 大雑把なイメージをつかみたい人へ
– 佐藤敏明「史上最強図解 これならわかる!三角関数」ナツメ社
– Newton別冊「三角関数」株式会社ニュートンプレス
• 基本的な知識・考え方を学びたい人へ
– 高校・高専の教科書・参考書(数学II)
– 原岡喜重 (2005) 「なるほど高校数学 三角関数の物語」
講談社ブルーバックス
• 周波数解析をもっと知りたい人へ
– 渋谷・晴瀬・トレンドプロ (2006) 「マンガでわかるフーリエ解析」 オーム社
– 竹内淳 (2009)「高校数学でわかるフーリエ変換」 講談社ブルーバックス
– 木塚ら(2006) 「表面筋電図」 東京電機大学出版会
37

三角関数(人間科学のための基礎数学)

  • 1.
  • 2.
    前回のポイント • 角度 – 角の広がり、方向、位相を表す量として用いられる –度数法(°)または弧度法(rad)で表される 180° = π rad • 三角比 – 直角三角形の辺の比で定義(鋭角にしか定義できなくて不便) → 円の中心角と座標で定義し直し、鈍角にも拡張 – 正弦定理・余弦定理で測量がさらに便利に – 動作解析で座標データから関節角度を求めるときにも余弦定理が活躍
  • 3.
  • 4.
    身近な波(振動)と言えば:音 • 音 =空気圧の振動 – 空気のゆらぎが鼓膜をゆらし、それを音として知覚している – ゆれの幅が音量、振動数が高さとして知覚される • 歌声や楽音から楽譜を自動作成する人工知能 – 的な研究をしてる人もいる – 三角関数はそんな研究の 重要な基礎 (指数・対数の回のスライド) 音声信号の波形 (かえるのうたの出だし by 筆者)
  • 5.
    スポ科で波といえば:筋電計 • 筋肉の収縮度合いを計測する装置 – 筋収縮の際のイオンの出入りで生じる電気を拾うセンサー ↑筋収縮レベルに応じてLEDのゲージが上がる簡易筋電計 動画:https://twitter.com/masa_hiroo_kano/status/1436241425755086850 • 左の波形から筋肉の状態に関する情報を もっと引き出せないか? • 三角関数を使えば引き出せます!!! ← しばらく力んでもらったときの収縮度のゆらぎ 筋電位(mV) ( 収縮の強さと比例) ━ 筋電位 ━ 収縮の強さ
  • 6.
    • 位相角は0°~360°だけでは不十分 – 周期的な「動き」にはどんなことがあるか考えると… つまり、位相角には •「何周目」の情報が必要 • 進んでいく向きの情報も必要 6 その前に…位相角ならではの事情 トップに見えるが、 実は周回遅れかもしれない 逆向きに進む場合もありうる
  • 7.
    一般角 • 次のようにして角度に「何周目」と「向き」を導入 – 原点を中心とする円Oの周上を動く点Pと、 線分OP(動径)とx軸がなす角θについて: • 回転のスタート地点(θ = 0°)は円周とx軸の正の部分の交点とする • 反時計回りを正の向き、時計回りを負の向きとする • 𝜃 は任意の実数値を取ってよいこととする: 𝜃 = 𝛼 + 360° × 𝑛(0° ≦ 𝛼 < 360°, 𝑛は整数)*で「何周目」か判断 * −180° < 𝛼 ≦ 180°の方が便利なときはこっちを使うことも 𝑦 𝑥 O P 𝜃 正の向き・正の角度 𝑦 𝑥 O P 𝜃 負の向き・負の角度 𝑦 𝑥 O P 𝜃 = 𝛼 + 360° × 𝑛 何回転かしての角度 𝛼 7
  • 8.
    練習問題 • 次の動径OPの位置に対応する角度𝜃を、 一般角 𝜃= 𝛼 + 360° × 𝑛 (𝑛は整数)で表してみよう • 750°、ー480°は右下図の時計で言うと何時の位置か考えてみよう 𝑦 𝑥 O P 50°
  • 9.
    練習問題 • 次の動径OPの位置に対応する角度𝜃を、 一般角 𝜃= 𝛼 + 360° × 𝑛 (𝑛は整数)で表してみよう • 750°、ー480°は右下図の時計で言うと何時の位置か考えてみよう 𝑦 𝑥 O P 50° 0° ≦ 𝛼 < 360°で考えるなら 𝜃 = 310° + 360° × 𝑛 −180° < 𝛼 ≦ 180°で考えるなら 𝜃 = −50° + 360° × 𝑛 750° = 30° + 360° × 2 → 2時の位置 −480° = −120° + 360° × (−1) → 7時の位置
  • 10.
    三角関数* • 三角比の定義域を一般角に拡張 – 単位円の動径と、その先端の円周上の点Pの座標で定義 *もはや三角形より円が主体なので「円関数」と呼ばれることもある –定義はどちらで考えてもいいが、②がおすすめ (グラフなど考えるとき便利なので) 10 𝑥 O P 𝑥, 𝑦 𝜃 𝑟 𝑟 𝑦 −𝑟 −𝑟 定義のしかた①(半径rの円を利用) sin𝜃 = 𝑦 𝑟 cos𝜃 = 𝑥 𝑟 tan𝜃 = 𝑦 𝑥 𝑥 O P′ 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 定義のしかた②(単位円を利用) P P cos 𝜃 , sin𝜃 P′ 1, tan 𝜃
  • 11.
    三角関数の符号と定義域・値域 • 辺の長さではなく点P(と点P’)の座標で定義なのに注意 – 定義域:sin𝜃, cos 𝜃 は実数全体 tan 𝜃 は 𝜃 = 90° + 180° × 𝑛 (𝑛 は整数) を除くすべての実数 – 値域:−1 ≦ sin 𝜃 ≦ 1, −1 ≦ cos 𝜃 ≦ 1, tan 𝜃は実数全体 11 点Pがある象限と sin𝜃 , cos 𝜃 , tan𝜃 の符号 𝑦 𝑥 O + − 𝑦 𝑥 O 𝑦 𝑥 O sin 𝜃の符号 cos 𝜃の符号 tan 𝜃の符号 + + + + + − − − − − 第1象限 第2象限 第3象限 第4象限
  • 12.
    練習問題 • 次の三角関数の値を求めてみよう • 三角関数が次の値の組となる角度θを求めてみよう 12 sin 210° , cos 210° , tan 210° sin(−60°) , cos(−60°) , tan(−60°) sin 𝜃 = − 1 2 cos 𝜃 = − 1 2 tan 𝜃 = 1 sin 𝜃 = − 1 2 cos 𝜃 = 3 2 tan 𝜃 = − 1 3
  • 13.
    練習問題の答え • 次の三角関数の値を求めてみよう 13 sin 210°, cos 210° , tan 210° sin(−60°) , cos(−60°) , tan(−60°) 𝑥 O 210° 1 1 𝑦 −1 −1 P cos 210° , sin 210° P′ 1, tan 210° 𝑥 O 60° 1 1 𝑦 −1 −1 P cos(−60°) , sin(−60°) P′ 1, tan(−60°) それぞれ − 1 2 , − 3 2 , 1 3 それぞれ − 3 2 , 1 2 , − 3
  • 14.
    練習問題の答え • 三角関数が次の値の組となる角度θ を求めてみよう 14 sin𝜃 = − 1 2 cos 𝜃 = − 1 2 tan 𝜃 = 1 sin 𝜃 = − 1 2 cos 𝜃 = 3 2 tan 𝜃 = − 1 3 𝑥 O 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 P − 1 2 , − 1 2 = cos 𝜃 , sin 𝜃 P′ 1, 1 = 1, tan 𝜃 → 下 → 左 → 下 → 右 𝜃 = 225° + 360° × 𝑛 𝑛は整数 𝜃 = 330° + 360° × 𝑛 𝑛は整数 𝜃 = −30° + 360° × 𝑛 𝑛は整数 𝑥 O 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 P − 1 2 , 3 2 = cos 𝜃 , sin 𝜃 P′ 1, − 1 3 = 1, tan 𝜃
  • 15.
    押さえておきたい三角関数の値 15 𝜃 sin 𝜃cos 𝜃 tan 𝜃 −30° 0° 30° 45° 60° 90° 120° 135° 150° 180° −1/2 3/2 −1/ 3 0 1 0 1/2 3/2 1/ 3 1/ 2 1/ 2 1 3/2 1/2 3 1 0 ※ 3/2 −1/2 − 3 1/ 2 −1/ 2 −1 1/2 − 3/2 −1/ 3 0 −1 0 𝜃 sin 𝜃 cos 𝜃 tan 𝜃 150° 180° 210° 225° 240° 270° 300° 315° 330° 360° 390° 1/2 − 3/2 −1/ 3 0 −1 0 −1/2 − 3/2 1/ 3 −1/ 2 −1/ 2 1 − 3/2 −1/2 3 −1 0 ※ − 3/2 1/2 − 3 −1/ 2 1/ 2 −1 −1/2 3/2 −1/ 3 0 1 0 1/2 3/2 1/ 3 同じような値が、点Pの場所に応じて 符号違いで繰り返されるだけ! ※ tan𝜃 は 𝜃 = 90° + 180° × 𝑛 (𝑛は整数)に対しては定義できない
  • 16.
    補足:逆三角関数 • 三角関数の逆関数を逆三角関数という – 右の単位円で arcsin𝑦 = 𝜃 arccos 𝑥 = 𝜃 arctan 𝑦 𝑥 = 𝜃 – 三角関数 = 動径の角度 𝜃 から点Pの𝑥, 𝑦, 𝑦 𝑥 を求める関数 – 逆三角関数 = 点Pの𝑥, 𝑦, 𝑦 𝑥 (つまり sin, cos, tanの値)から 動径の角度𝜃を求める関数 – arcsin 𝑦 , arccos 𝑥 , arctan 𝑦 𝑥 は、それぞれ sin−1 𝑦 , cos−1 𝑥 , tan−1 𝑦 𝑥 と表されることもある (要は arcsin sin 𝜃 = 𝜃なので、 sin−1 sin 𝜃 = 𝜃と書けるのがうれしい) 16 𝑥 O P 𝑥, 𝑦 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 sin𝜃 = 𝑦 cos𝜃 = 𝑥 tan𝜃 = 𝑦 𝑥
  • 17.
    要するに • こういうこと 17 𝑥 O P 𝑥,𝑦 𝜃 𝑟 𝑟 𝑦 −𝑟 −𝑟 三角関数:角度 → 座標・比 sin𝜃 = 𝑦 𝑟 cos𝜃 = 𝑥 𝑟 tan𝜃 = 𝑦 𝑥 𝑥 O P 𝑥, 𝑦 𝜃 𝑟 𝑟 𝑦 −𝑟 −𝑟 逆三角関数:座標・比 → 角度 arcsin 𝑦 𝑟 = 𝜃 arccos 𝑥 𝑟 = 𝜃 arctan 𝑦 𝑥 = 𝜃
  • 18.
  • 19.
    三角関数のグラフ(sin) 𝜃 ° 030 45 60 90 120 135 150 180 210 225 240 270 300 315 330 360 sin 𝜽 𝑥 𝑦 1 1 −1 −1 0 1 2 1 2 3 2 1 3 2 1 2 1 2 0 −1 2 −1 2 − 3 2 −1 − 3 2 −1 2 −1 2 0 O 𝑦 𝜃 𝑦 = sin𝜃 O 1 −1 19 −180° 360° 540° 720° 900° 1080° 180° ② ③ ④ ①
  • 20.
    1170° 270° 450° 630° 810° 990° 90° −90° 三角関数のグラフ(cos) 𝜃 ° 030 45 60 90 120 135 150 180 210 225 240 270 300 315 330 360 cos 𝜃 𝑥 𝑦 1 1 −1 −1 1 3 2 1 2 1 2 0 −1 2 −1 2 − 3 2 −1 − 3 2 −1 2 −1 2 0 1 2 1 2 3 2 1 O cos 0° = 1から始まるので、 単位円を+90°回転させるとイメージしやすい(後述の sin 𝜃 + 90° = cos 𝜃 の公式も参考に) 𝑦 𝜃 𝑦 = cos 𝜃 O 1 −1 20 ① ② ③ ④
  • 21.
    三角関数のグラフ(tan) 𝑥 𝑦 1 1 −1 −1 𝜃 ° 030 45 60 90 120 135 150 180 210 225 240 270 300 315 330 360 tan 𝜃 0 1 3 1 3 × − 3 −1 −1 3 0 1 3 1 3 × − 3 −1 −1 3 0 𝑦 𝜃 𝑦 = tan𝜃 1 −1 21 ② ③ ④ ① 360° 540° 720° 180° 90° 270° 450° 630° ※ 直線 𝜃 = 90° + 180° × 𝑛(𝑛は整数) は漸近線
  • 22.
    (参考) 三角関数のグラフに関する用語 22 𝑦 =3 sin 2𝑥 − 60° + 1 (= 3 sin 2 𝑥 − 30° + 1) 振幅 波の振れ幅。上の式の「𝑎」 角速度、 振動数・周波数 単位時間あたりにどれだけ角度が進むか(角速度) または何往復するか(振動数、周波数) 上の式の「𝑏」と関係 周期、波長 山と山、谷と谷の間隔(波の繰り返しの間隔) 横軸が時間なら周期、長さなら波長。上の式の「𝑏」と関係 𝑦 = sin𝜃 , 𝑦 = cos𝜃の周期は360°、𝑦 = tan𝜃の周期は180° 初期位相 横軸がゼロのところでどれだけ進んだ状態か 上の式の「𝑏𝑝」(𝑏 𝜃 − 𝑝 に𝜃 = 0を代入) 基線 ゆらぎの中心のライン。上の式の「𝑞」 𝑦 = 𝑎 sin 𝑏 𝜃 − 𝑝 + 𝑞 という波の… 波の振れ幅。上の式の「𝑎」 単位時間あたりにどれだけ位相角が進むか(角速度) または何往復するか(振動数、周波数) 上の式の「𝑏」に比例 山と山、谷と谷の間隔(波の繰り返しの間隔) 横軸が時間なら周期、長さなら波長。上の式の「𝑏」に反比例 𝑦 = sin𝜃 , 𝑦 = cos𝜃の周期は360°、𝑦 = tan𝜃の周期は180° 横軸がゼロのところですでにどれだけ進んだ状態か 上の式の「𝑏𝑝」(𝑏 𝜃 − 𝑝 に𝜃 = 0を代入) ゆらぎの中心のライン。上の式の「𝑞」
  • 23.
    三角関数のいろいろな公式 • 以下の公式は単位円やグラフを見れば一目瞭然 – 前回も述べたとおり、三角関数の公式は「覚えない」のがコツ x軸対称 sin(−𝜃)= − sin 𝜃 cos(−𝜃) = cos 𝜃 tan(−𝜃) = − tan 𝜃 90°から折り返す sin 90° − 𝜃 = cos 𝜃 cos 90° − 𝜃 = sin 𝜃 tan 90° − 𝜃 = 1 tan 𝜃 y軸対称 sin(180° − 𝜃) = sin 𝜃 cos(180° − 𝜃) = − cos 𝜃 tan(180° − 𝜃) = − tan 𝜃 90°進む sin 𝜃 + 90° = cos 𝜃 cos 𝜃 + 90° = −sin 𝜃 tan 𝜃 + 90° = − 1 tan 𝜃 180°進む/原点対称 sin(𝜃 + 180°) = −sin 𝜃 cos(𝜃 + 180°) = − cos 𝜃 tan(𝜃 + 180°) = tan 𝜃 一周して元の位置 sin(𝜃 + 360°) = sin 𝜃 cos(𝜃 + 360°) = cos 𝜃 tan(𝜃 + 360°) = tan 𝜃 23
  • 24.
    三角関数のいろいろな公式 • 以下の公式は単位円やグラフを見れば一目瞭然 – 前回も述べたとおり、三角関数の公式は「覚えない」のがコツ x軸対称 sin(−𝜃)= − sin 𝜃 cos(−𝜃) = cos 𝜃 tan(−𝜃) = − tan 𝜃 90°から折り返す sin 90° − 𝜃 = cos 𝜃 cos 90° − 𝜃 = sin 𝜃 tan 90° − 𝜃 = 1 tan 𝜃 y軸対称 sin(180° − 𝜃) = sin 𝜃 cos(180° − 𝜃) = − cos 𝜃 tan(180° − 𝜃) = − tan 𝜃 𝑥 O P′ 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 P 𝑥 O P′ 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 P 𝜃 𝜃 𝑥 O P′ 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 P 𝜃 24
  • 25.
    三角関数のいろいろな公式 • 以下の公式は単位円やグラフを見れば一目瞭然 – 前回も述べたとおり、三角関数の公式は「覚えない」のがコツ 90°進む sin𝜃 + 90° = cos 𝜃 cos 𝜃 + 90° = −sin 𝜃 tan 𝜃 + 90° = − 1 tan 𝜃 180°進む/原点対称 sin(𝜃 + 180°) = −sin 𝜃 cos(𝜃 + 180°) = − cos 𝜃 tan(𝜃 + 180°) = tan 𝜃 一周して元の位置 sin(𝜃 + 360°) = sin 𝜃 cos(𝜃 + 360°) = cos 𝜃 tan(𝜃 + 360°) = tan 𝜃 𝑥 O P′ 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 P 𝜃 𝑥 O P′ 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 P 𝜃 𝑥 O P′ 𝜃 1 1 𝑦 −1 −1 P 25
  • 26.
    加法定理シリーズ • sin 𝛼± 𝛽 = sin 𝛼 cos 𝛽 ± cos 𝛼 sin 𝛽 • cos 𝛼 ± 𝛽 = cos 𝛼 cos 𝛽 ∓ sin 𝛼 sin 𝛽 • tan 𝛼 ± 𝛽 = tan 𝛼±tan 𝛽 1∓tan 𝛼 tan 𝛽 (いずれも複号同順) – 導出も難しくはないが、上記3つだけは覚えてた方がはかどる印象 半角の公式 sin2 𝜃 2 = 1−cos 𝜃 2 cos2 𝜃 2 = 1+cos 𝜃 2 さらにtan 𝜃 = sin 𝜃 cos 𝜃 を利用↓ tan2 𝜃 2 = 1−cos 𝜃 1+cos 𝜃 𝜃を𝜃/2に 半角の公式 2倍角の公式 sin 2𝜃 = 2 sin 𝜃 cos 𝜃 cos 2𝜃 = cos2 𝜃 − sin2 𝜃 = 1 − 2 sin2 𝜃 = 2 cos2 𝜃 − 1 tan 2𝜃 = 2 tan 𝜃 1+tan2 𝜃 ↓ 2θ= (θ+θ)として計算↓ 2倍角の公式 3θ=2θ+θ で3倍角の公式
  • 27.
    sin 𝛼 cos𝛽 = sin 𝛼+𝛽 + sin 𝛼−𝛽 2 cos 𝛼 sin 𝛽 = sin 𝛼+𝛽 −sin 𝛼−𝛽 2 cos 𝛼 cos 𝛽 = cos 𝛼+𝛽 +cos 𝛼−𝛽 2 sin 𝛼 sin 𝛽 = − cos 𝛼+𝛽 −cos 𝛼−𝛽 2 sin 𝐴 + sin 𝐵 = 2 sin 𝐴+𝐵 2 cos 𝐴−𝐵 2 sin 𝐴 − sin 𝐵 = 2 cos 𝐴+𝐵 2 sin 𝐴−𝐵 2 cos 𝐴 + cos 𝐵 = 2 cos 𝐴+𝐵 2 cos 𝐴−𝐵 2 cos 𝐴 − cos 𝐵 = −2 sin 𝐴+𝐵 2 sin 𝐴−𝐵 2 積と和・差の相互変換 参考:加法定理(の利用で導出できる)(のでその下の難しい公式は覚える必要なし) sin 𝛼 cos 𝛽 + cos 𝛼 sin 𝛽 = sin 𝛼 + 𝛽 …① sin 𝛼 cos 𝛽 − cos 𝛼 sin 𝛽 = sin 𝛼 − 𝛽 …② cos 𝛼 cos 𝛽 − sin 𝛼 sin 𝛽 = cos 𝛼 + 𝛽 …③ cos 𝛼 cos 𝛽 + sin 𝛼 sin 𝛽 = cos 𝛼 − 𝛽 …④ 積 → 和・差の公式 和・差 → 積の公式 (①±②)、(③±④)を 計算してみると… 𝐴 = 𝛼 + 𝛽 𝐵 = 𝛼 − 𝛽 と置いて ⇔ 左辺と 右辺を 逆転 27
  • 28.
    三角関数の合成 𝑎 sin 𝜃+ 𝑏 cos 𝜃 = 𝑎2 + 𝑏2 sin 𝜃 + 𝛼 ただし𝛼は cos 𝛼 = 𝑎 𝑎2+𝑏2 , sin 𝛼 = 𝑏 𝑎2+𝑏2 となる角 – 周波数が同じサイン波とコサイン波は、合体して 1つの大きな波になるという話(加法定理で確認できる) 28 例 → sin 𝜃 + 3 cos 𝜃 = 2 sin 𝜃 + 60°
  • 29.
    加法定理と物体の投げ上げ • 斜め45度に投げると遠くに飛ぶと言われる理由 – 初速𝑣0, 角度 𝜃 , 重力加速度 𝑔 として、 1. 投げてから頂点に達するまでの時間 t (秒)を求めよ 2. 上って降りてきて元の高さに戻ってくるまでの時間を求めよ 3. その間に水平方向に進む距離を求めよ 29 𝜃 加法定理シリーズの公式で 数学的に説明できます!!!! 𝑣0 𝑔 ↓↓↓
  • 30.
    簡単な(?)説明 • 斜め45度に投げると遠くに飛ぶと言われる理由 – 初速𝑣0, 角度 𝜃 , 重力加速度 𝑔 として、 1. 投げてから頂点に達するまでの時間 t (秒)を求めよ 2. 上って降りてきて元の高さに戻ってくるまでの時間を求めよ 3. その間に水平方向に進む距離を求めよ 𝜃 𝑣0 𝑔 ↓↓↓ 1. 速度の鉛直成分がt秒後にゼロになるということで 𝑣0 sin 𝜃 − 𝑔𝑡 = 0 から 𝑡 = 𝑣0 𝑔 sin 𝜃 2. 投げ上げた物体は放物線の軌道を描くので、 放物線の対称性から元の高さに戻るまでの時間は 2𝑡 つまり 2𝑣0 𝑔 sin 𝜃 3. 水平成分の速度で2. の時間移動した距離に等しいので 𝑣0 cos𝜃 × 2𝑣0 𝑔 sin𝜃 = 2𝑣0 2 𝑔 sin𝜃 cos𝜃 4. で、3.の式の2 sin𝜃 cos 𝜃は = sin2𝜃 と変形できるので、 2𝜃 = 90° つまり 𝜃 = 45° のときに3.の距離が最大になる
  • 31.
    (再) 身近な波(振動)と言えば: 音 •音 = 空気圧の振動 – 空気のゆらぎが鼓膜をゆらし、それを音として知覚している – ゆれの幅が音量、振動数が高さとして知覚される • 歌声や楽音から楽譜を自動作成する人工知能 – 的な研究をしてる人もいる – 三角関数はそんな研究の 重要な基礎 (指数・対数の回のスライド) 音声信号の波形 (かえるのうたの出だし by 筆者)
  • 32.
    スポ科で波といえば:筋電計 • 筋肉の収縮度合いを計測する装置 – 筋収縮の際のイオンの出入りで生じる電気を拾うセンサー ↑筋収縮レベルに応じてLEDのゲージが上がる簡易筋電計 動画:https://twitter.com/masa_hiroo_kano/status/1436241425755086850 • 左の波形から筋肉の状態に関する情報を もっと引き出せないか? • 三角関数を使えば引き出せます!!! ← しばらく力んでもらったときの収縮度のゆらぎ 筋電位(mV) ( 収縮の強さと比例) ━ 筋電位 ━ 収縮の強さ
  • 33.
    • フーリエ変換 – 与えられた波形を三角関数の和(積分)で表現 =どんな周波数のサイン波の成分が、どんな 割合で含まれるかを調べることができる •結果の「何Hzがどれだけ含まれてました」の グラフを「スペクトル」という 周波数解析 どんな関数も 三角関数の和で表せる J.B.JosephFourier (1768-1830) (肖像画はwikipediaから) 複雑な形をした謎の波 左の波のスペクトル: 1, 2, 3, … 6 Hzの波が 3Hzだけ 振幅2倍で合成されてたものとわかる
  • 34.
    音声の周波数解析 • 「かえるのうたが きこえてくるよ」 –と歌ってみた音声信号を周波数解析してみた結果↓ (スペクトログラム:この時間帯の音にはこんな周波数成分が含まれてます、という図) – 声(音)の高さは一番下の黄色帯(基音)の周波数にもとづいて 知覚される(黄に近い色ほど成分の振幅が大きいことを表す) • 声質(音色)はそれ以外の黄色帯(倍音)の含まれ方に反映される • 下図は声の個性の可視化とも言えるので、「声紋」と呼ばれることもある 34 著者(男声)の声紋 VOICEROID+東北きりたんEX(女声)の声紋
  • 35.
    • 筋電図 – 筋活動にともなって発生する微弱な筋電位の変化を検出して、 縦軸に電位、横軸に時間をとり描いたもの(努力度強いほど振幅大) – 例えば筋肉が疲れてくると、筋電信号全体の振幅が大きくなる。 中でも低い周波数成分の振幅が大きくなる(右下図:10Hz付近に注目) • 同じ力を出すのにより多くの努力が必要に&「振戦」の成分などが乗ってくる 筋電図の周波数解析 35 10kgのダンベルを左のような姿勢で持って 静止する筆者の上腕二頭筋の筋電図 左の筋電図のスペクトログラム ちょっと だらけた 限界への挑戦 最初の頑張り ちょっと だらけた 限界への挑戦 最初の頑張り
  • 36.
    まとめ • いろいろな角度 – 図形の広がり具合 –方向(方位角) – 時間・位置(位相角) – 角度の表し方2種類:度数法&弧度法(ラジアン) • 三角比と三角関数 – 三角関数の公式は大量にあるが、元々の定義と加法定理さえ 使いこなせていれば芋づる式に導出できる – 動作や生体信号の解析で大活躍するのでぜひ理解してほしい 36 0°~ 360°で十分 一般角が欲しくなる
  • 37.
    役立ちそうな文献などの紹介 • 大雑把なイメージをつかみたい人へ – 佐藤敏明「史上最強図解これならわかる!三角関数」ナツメ社 – Newton別冊「三角関数」株式会社ニュートンプレス • 基本的な知識・考え方を学びたい人へ – 高校・高専の教科書・参考書(数学II) – 原岡喜重 (2005) 「なるほど高校数学 三角関数の物語」 講談社ブルーバックス • 周波数解析をもっと知りたい人へ – 渋谷・晴瀬・トレンドプロ (2006) 「マンガでわかるフーリエ解析」 オーム社 – 竹内淳 (2009)「高校数学でわかるフーリエ変換」 講談社ブルーバックス – 木塚ら(2006) 「表面筋電図」 東京電機大学出版会 37