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シカケワークショップの開発(第12回仕掛学研究会)
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シカケワークショップの開発(第12回仕掛学研究会)
1.
行動デザインで解決できる課題を捉える ためのシカケワークショップの開発
2.
2 背景 (なぜ、ワークショップを開発したのか。仕掛学の社会実装を進めるにあたって、 どのような意義があるのか。) 仕掛学の着眼点で社会課題の解決策を検討する際には、人の行動変 化で解決できる課題を選択することが重要である。例えば、健康増進の 解決策を考える場合は栄養摂取の食行動や運動習慣を検討対象とし、 そのための人の行動をデザインするアプローチをとっている[1]。 これまでに特定課題に対して、仕掛けのアイデアを考えるコンテストや プロトタイピングが行われている[2]。また、特定の社会課題に対するア イデアの発想を支援する方法[3]が考案されている。しかし、仕掛学の アプローチに適した社会課題を特定し、解決策の発想を支援する取組 は少ない。 そこで本研究では、仕掛学の観点で解決すべき社会的課題を見つけ、 その解決策として仕掛けを発想するまでのフレームワークを用いたシ カケワークショップを開発した。本稿では本ワークショップの構成や実践 事例を紹介する。
3.
3 シカケワークショップの全体像(1/2) 本WSでは仕掛学の着眼点を学んだ上で、各自が「人の行動で解決できる課題 を捉える」ことと、仕掛けで「人の行動をデザインする」ことに取組む。 仕掛学が解決でき る課題を捉える ステップ2 仕掛学 を知る ステップ1 仕掛けを 考える ステップ3 課題解決 . 人の行動で解決 できる課題を捉える 人の行動を デザインする 社会課題 仕掛け いつもの 行動 理想の 行動
4.
4 シカケワークショップの全体像(2/2) 仕掛学が対象とする行動を起点に考えて、仕掛けの対象物を多く挙げて発想 を広げていく。 散策する 歩く 対象物② 対象物③ 対象物① 迷う 対象物⑤ 対象物⑥ 対象物④ 心理的なトリガ 仕掛け = = = = = = 言い換える 仕掛け の対象 仕掛けに 取り入れる 工夫 仕掛けで どのような 気持ちに させるか 対象物 行動の 類義語 対象と する行動 関連する行動 仕掛け発想のフレームワーク 仕掛けの対象物を多く挙げる
5.
5 情報提示(1/2) 仕掛学の実例や仕掛けの原理を伝える。(本発表での説明は省略) 仕掛けの原理 仕掛け 物理的 トリガ 心理的 トリガ フィード バック フィード フォワード 個人的 文脈 社会的 文脈 聴覚 触覚 嗅覚 味覚 視覚 アナロジー アフォーダンス 挑戦 不協和 ネガティブな期待 ポジティブな期待 報酬 自己承認 被視感 社会規範 社会的証明 出所:松村研究室Website、大阪大学HP、松村真宏『仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方』他
6.
6 テーマ分類 人の行動 1. ヘルスケア 運動習慣(例:散歩習慣) 健康行動選択(例:徒歩・階段利用促進) 2.
ファイナンス 金融行動(例:貯蓄の推奨) 資産運用(例:投資先選択) 3. 教育 学習習慣(例:勉強習慣の可視化) 読書習慣(例:おすすめ本の紹介) 4. 環境・エネルギー 省エネ行動(例:電気・水道の節約) 購買行動(例:エシカル商品選択) 5. 仕事 生産性向上(例:パフォーマンスの見える化) 職場内交流(例:共有区域の空間デザイン) 6. 社会活動 景観保護行動(例:ポイ捨て禁止) 奉仕行動(例:ボランティア参加、寄付活動) 7. その他 生活行動(例:人流混雑解消、渋滞回避) Withコロナ行動(例:対人距離確保) 情報提示(2/2) 仕掛学が対象とする「社会課題のテーマ」や「人の行動」の実例を提示する。 仕掛けが対象とする課題の実例 出所:大阪大学「「仕掛け」が、駅の人の流れを変えた!!」(2019/9/4)
7.
7 フレームワーク 手順:仕掛学の着眼点でシカケを発想する 参考例 シカケる側の目的 シカケられる側の目的 飽きずに定期的な運動(散歩)を習 慣化する。 つい 散歩
したくなる ( 健康になっていく) 定期散歩したくなる 靴 定期散歩したくなる 通勤 = = 定期散歩したくなる 道路 = 定期散歩したくなる 商店街 定期散歩したくなる 百貨店 = = 定期散歩したくなる 店舗 = 定期散歩したくなる 路地裏 = 対象物 心理的なトリガ つい、靴が擦り減らしたくなる。 つい、通勤路の途中でつい、寄り道をし たくなる。 つい、景観美化のための行動で、町な かをつい歩き回ってしまう つい商店街の様子をみにいきたくなり、 夜の商店街を歩き回ってしまう 仕掛け 擦り減りやすい靴を開発。擦り減った靴をメーカー に持っていくと無料で健康診断。同じ靴を割引販売。 会社の福利厚生として、オフィス付近の飲食店と提 携して「寄り道」させる情報を提供。 とある町で道路にチョーク落書き可。ごみや犬のふ んが放置された地面に〇をつけて美化できる。 誰もいない夜の商店街をフィールドにして、ナイト アート(ライトアップ、昼間の様子の上映など)。 仕掛けの要素 ☑目的の二重性 ☑公平性 定期散歩したくなる 商店街 昼間は居住地にいなく、夜散歩をする人を対象に、近隣商店街や居住地近くのまちに愛着をもっ てもらうようなシカケがあったら、ステキだと思ったため。 「誰もいない夜の商店街」をフィールドにしたシカケの可能性を感じたため。 一番良いと思った仕掛けを選び、その理由を記載する
8.
8 シカケワークショップの実施 ワークショップの実施概要は以下の通りである。 ・日時:2021年10月2日(土) ・時間:2時間 ・場所:愛知県名古屋市内 ・人数:14人 ・備考:仕掛学の講座依頼があった
9.
9 シカケワークショップでの検討結果① 対象とする課題は20行動挙げられ、この中から4つの行動に関する仕掛けを 検討した。最終的には、4つの行動に対する仕掛けが16アイデア生まれた。 参考例 課題とした行動 取り上げた 行動 行動に関連 する動詞 仕掛けの対象物 仕掛けアイデア 20 行動
4 行動 24 動詞 44 対象(重複あり) 16 アイデア 運動習慣 食事の栄養摂取 学習習慣 部屋のそうじ ウォーキング 老後資金準備 ヘルスケア 遵守行為 エスカレーター 適量摂食 早めの行動 健康行動選択 通路・階段の通行 運動習慣 社会行動 食行動 会議室の整頓 プロボノ参加 アンケート回答 栄養摂取 掃除 エスカレーター アンケート回答 楽しむ 買う つくる しまう 掃除する 片付ける 歩く 見る 静止する 作る 選ぶ 喜ぶ 歩く 見る 静止する つくる 買う かむ 調理する 外食する 栄養をとる 意見を言う 協力する 投票する ポスター 動画 音 香り・匂い 料理 キッチン スーパー 食材 健康 会話 快楽 アナウンス 踏板 ポスター 動画 音 香り・匂い 調理用品 気力 レシピ スーパー 食材 飲食店 口腔 健康 歯 キッチン テレビ 道具 店 散歩 バランス カロリー計算 栄養素 健康食 相手 場 満足 友人 満足感 正義感 箱 紙 ボタン 栄養摂取 →3アイデア 掃除 →3アイデア エスカレーター →5アイデア アンケート回答 →5アイデア シカケワークショップでの仕掛けの検討結果 仕掛けの対象物 を多く挙げる 多くのアイデア 創出につながる n=7
10.
10 シカケワークショップでの検討結果② 対象とする課題は20行動挙げられ、この中から4つの行動に関する仕掛けを 検討した。最終的には、4つの行動に対する仕掛けが16アイデア生まれた。 参考例 受講生が興味を持ったこと: ・ 食事を食べやすくする仕組み、話しやすい雰囲気の会議をつくる仕掛けなど、行動変容への仕掛けについ て興味津々です。 ・
ワークショップで発想の仕方を学べたことがとても良かったです。 ・ 動詞と名詞の行動の類似性に興味を持った。 受講生が得られたこと: ・ 好奇心が強い人には仕掛けを考えるのが楽しくなりますね。 ・ つい したくなる という基本的心理と行動の密接さを再確認した。 ・ やや馴染みにくいと思われがちなSDGsも問題解決の糸口がどんどん見えてくる気がします。 受講生が難しいと感じたこと: ・ 人の行動で解決できる課題を捉えることを発想するのが難しかったです。例えば、コロナ感染対応において、 マスク・手洗い・ソーシャルディスタンス等を叫んでも受け入れる人と拒否する人への仕掛けなどに悩みます。 ・ レジュメがわかりやすかったので、難しいと感じたことは特にありませんでした。 ・ 当初不慣れのため若干必要な名詞の探索に面倒な気がしたが帰宅して資料を見直すと誰もが発想しや すい汎用性に優れていることが分かりました。 受講生の感想: ・ YouTubeで仕掛学講座が開講して頂けると受講したいですね。それから、NHK文化センターでの開講は 如何でしょうか?私はZoom活用でいろいろな講座を楽しんでいます。 ・ 参加者の関心事がわかった。時間が短かったが、いろいろ考えることができた。フレームワークシートはよくで きていた。
11.
11 仕掛学の社会実装に向けて 導入 プロトタイピング アイデア発想 実証実験 (PoC) 社会実装 開発ステージ 事業化ステージ 企画ステージ 講演会 シカケ ワークショップ シカケ コンテスト シカケ ハッカソン (プロトタイピング) 実証事業 行政 実証実験 共同研究 企業 授業・WS 研究プロジェクト 教育・研究機関 1.行政サービス改善 2.地域課題解決 1.サービス開発 2.サービス改善 3.生産性向上 1.人材育成 2.研究成果 パッケージ化されたコンテンツ 企業 大学等
行政 (政府・自治体) 連携・協業 連携・協業 パートナー 仕掛学の対象課題を検討する過程を経て、実証実験や社会実装につなげていくことが重要である。
12.
12 まとめ 仕掛学の観点で解決すべき社会的課題を見つけ、その解決策 として仕掛けを発想するまでのフレームワークを用いたシカケ ワークショップを開発した。 シカケワークショップは3つのステップで構成されている。 ・ステップ1:仕掛学を知る ・ステップ2:課題を捉える ・ステップ3:仕掛けを考える
実際のワークショップでは、7名から対象とする課題は20行動 挙げられ、この中から4つの行動に関する仕掛けを検討した。 最終的には、4つの行動に対する仕掛けが16アイデア生まれ た。 仕掛学の着眼点で取組む課題の対象範囲やニーズを検討する 取組や、社会課題を解決する仕掛けの発想を支援する取組は、 仕掛学の社会実装の促進に有効ではないか。 →大学:教育・研究の実践 / 自治体:課題抽出・実証事業 企業:研修・新規事業企画
13.
13 END
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