Successfully reported this slideshow.
We use your LinkedIn profile and activity data to personalize ads and to show you more relevant ads. You can change your ad preferences anytime.

シリコンバレーの「何が」凄いのか

129,286 views

Published on

シリコンバレーのスタートアップを数多く取材する中で気付いた「シリコンバレーにおけるディシプリン(規律)の存在」や「General Electric(GE)やIBM、SAPといった老舗企業が必死になってシリコンバレーのスタートアップを真似している理由」、そして「日本企業がイノベーションを実現するための処方箋」について解説します

詳しく知りたい場合は「GE 巨人の復活」をご覧下さい。
http://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/17/P55110/

今後の記事は「シリコンバレーNext」をご覧下さい。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/siliconvalley/

Published in: Technology

シリコンバレーの「何が」凄いのか

  1. 1. シリコンバレーの「何が」凄いのか - スタートアップ取材から見えた共通点 - シリコンバレー支局 中田 敦 2017年10月
  2. 2. 自己紹介 中田 敦(なかだ あつし) 1975年4月 富山市生まれ 1998年3月 慶應義塾大学 商学部 卒業 1998年4月 日経BP社入社、「日経レストラン」編集部に配属 2000年9月 Web媒体「BizTech」編集部に異動 以来、17年間、IT専門記者として働く 2008年10月 「日経コンピュータ」編集部に異動 2009年4月 「クラウド大全」を刊行(共著) 2015年4月 シリコンバレー支局に異動 2017年6月 「GE 巨人の復活-- シリコンバレー式『デジタル製造業』への挑戦」刊行
  3. 3. シリコンバレーって どんなところ? • 気候は天国 • 生活は地獄(大金持ち以外は) • SFじみた未来生活が展開
  4. 4. 支局のあるパロアルト 3月~10月はいつも晴れ 夏でも夜が涼しい
  5. 5. サンフランシスコの公園(左)、シリコンバ レーから車で1時間強のモントレー(右)
  6. 6. 毎週土日に開催される 「ファーマーズマーケット(朝市)」
  7. 7. 新鮮なオーガニック野菜が並ぶ (凄く旨い、かなり高い)
  8. 8. クパチーノにできた「くら寿司」 開店から1年以上経っても行列
  9. 9. 1人前50ドル+チップ20% 1人前10~11ドル+チップ 20%
  10. 10. シリコンバレーって どんなところ? • 気候は天国 – 3~10月(初夏のような天候がずっと続く) – 11~2月(晩秋のような雨がちな日々) • きれいな田舎 – 車で30分の山に登ると天の川 – 車で1時間できれいなビーチや森 • 海には野生のラッコ、森には野生のシカ • 週末はファーマーズマーケット • 生活は便利(日本のものは入手容易)
  11. 11. シリコンバレーって どんなところ? • 生活は地獄(大金持ち以外は) – 1LDK(1BR、70㎡)で家賃2600ドル – ラーメンがチップ込みで15ドル – 「やよい軒」の定食18.5ドル – 居酒屋で2人100ドル • 階層化が激しすぎる – オーガニック野菜ばかりのWhole Foods – 野菜が少ないTarget、Wal-Mart
  12. 12. シリコンバレーって どんなところ? • SFじみた未来生活が展開 – 1週間でテスラに驚かなくなる – 自動運転車は「いつでも」見られる – 変なガジェットがたくさん – なんでも「オンデマンド」 – 激しい貧富の格差が見え隠れ
  13. 13. シリコンバレーの未来生活 • シリコンバレーでのある1日 – ①出勤前 – ②SF市内を移動 ③ランチ – ④買い物(1) ⑤買い物(2) – ⑥買い物(3) ⑦買い物(4) – ⑧掃除 – ⑨料理
  14. 14. ①出勤前 • あれ?車の鍵が見当たらない…!! 車の鍵には「Tile(タイル)」が付けてあるから大丈夫。あら ゆるモノで「iPhoneを探す」を実現。スマホとBluetoothで通 信して、鍵のGPSデータを記録。アプリの「Find(探す)」ボ タンをタップすると、音が鳴るし、最後に通信した場所を地図 で確認できる
  15. 15. ②サンフランシスコ市内を移動 • 知らない人と乗り合いでUber 配車サービス「Uber」 一般人が自家用車を使っ てサービスを提供する 「Uber X」や、行き先が 同じ他のお客と「相乗 り」する「Uber pool」 が人気 Uber poolを利用する場 合、運賃は通常のUber X の運賃の3~4割引き
  16. 16. ③ランチ • お気に入りのレストランから出前 出前サービス「Door Dash」 ビジネスモデルは「Uber X」と一緒で、一般人が自家用車を使って料理を出前してく れる。 ドライバーはUber XとDoor Dashなどを兼業していることも
  17. 17. ④買い物(1) • 近所のお店の品物をネットで注文 買い物代行サービス「Instacart」 近所のスーパーマーケットにある商品を1時間以内に自宅 まで届けてくれる。配達人はやはり一般人
  18. 18. オムニチャネルは 日米で逆の意味 スーパーには 「Instacart」の出荷 コーナーがある 日本のオムニチャネル は「ネットの商品を実 店舗で受け取る」 米国のオムニチャネル は「実店舗の商品を ネットで注文」
  19. 19. ⑤買い物(2) • 買い物リストをなくそうと企むAmazon 「Amazon Dashボタン」 鏡に貼り付けてある小さ なデバイス(ボタン)を 押すだけで、 「Amazon.com」で 「Tide」ブランドの洗濯 洗剤を注文できる ボタンは無線LAN経由で インターネットに繋がっ ている
  20. 20. ⑥買い物(3) • あらゆる製品は「サービス」に 郵便で届いたのは「Blue Bottle Coffee」の「コーヒー豆サブスクリプション(定期購読)」 隔週で挽き立てのコーヒー豆が郵便で届く。送られてくるコーヒー豆はその都度異なる
  21. 21. ⑦買い物(4) • ショッピングセンターではロボが警備 シリコンバレーで人気の ショッピングセンター「ウェ ストフィールド」で買い物を していたら、警備ロボット 「Knightscope」が巡回中 4個のカメラで360度をカバー、 超音波センサーやマイク、 サーモグラフィーなどによっ て、夜でも人間の有無などを 検出できる
  22. 22. ⑧掃除 • 寝てる間にロボットが掃除 日本でもおなじみの掃除機ロボット「ルンバ」と、日本でも最近発売された 床ふきロボット「ブラーバ」
  23. 23. ⑨料理 Juneオーブン 食材をAIが画像認識 最適な焼き方を提案 焼き色も監視して、 コゲ無し調理 価格は1999ドル 元アップルのエンジ ニアが白物家電で起 業!
  24. 24. シリコンバレーの今 • 「テクノロジー企業」の意味が変わった – 昔は「テクノロジーを売る会社」 • シリコンバレーならHP、Intel、Oracle、Cisco Systemsなどがテクノロジー企業 – IBM、Microsoft、Dellなどはシリコンバレー以外 – 今は「テクノロジーでビジネスを営む会社」 • ただし昔で言う「ユーザー企業」のことではない (テクノロジーは自社で作ってるので) • 広告(Google、Facebook)、交通(Uber、 Lyft)、ホテル(Airbnb)、金融(FinTech)、 農業(AgTech)、法律(Legal Tech)…
  25. 25. シリコンバレーの今 • キーワードは「アンバンドル」 – 「金融」「自動車」「ロジスティクス」など、 巨大企業が「垂直統合」で支配する市場にス タートアップが続々参入 – スタートアップが目指すのは、巨大企業によ る垂直統合の「分解(アンバンドル)」 – アンバンドルはITの業界でまず発生(メイン フレーム→PC) – 同じ事が他の産業にも発生中
  26. 26. シリコンバレーの今 • 例:金融業のアンバンドル – 「クレジットカード」「投資信託」「投資助 言」「不動産ローン」「学資ローン」「決 済」「中小企業融資」「消費者融資」などの 分野毎にFinTechスタートアップ • 例:自動車のアンバンドル – 「セキュリティ」「自動車間通信」「自動運 転」「修理サービス」「センサー」「電池」 「マップ・ナビゲーション」などの分野にス タートアップが続々登場
  27. 27. 交通・自動車分野の スタートアップ例 ユーザーの要望に応 じてルートが決まる バス会社「Chariot」 フォードが買収 関連記事:米フォード、通勤バン乗り合いベンチャー買収 https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN09H2K_Z00C16A9000000/ (出典:米Ford Motor)
  28. 28. FinTech分野の スタートアップ例 ショッピング ローンのAffirm eコマースサイト で商品を購入す る際に、即時審 査、即時融資す るショッピング ローン 審査はAI 関連記事:シリコンバレーがやって来る、全産業を襲う新たな脅威 http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/watcher/14/334361/062600307/
  29. 29. AgTech(農業)分野の スタートアップ取材例 Blue River Technologies 画像認識によってレタ スの苗を選別 生育の悪い苗にだけ、 農薬をスプレーして間 引く 関連記事:「これはレタスか雑草か?」、草むしりはロボットにお任せ http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/082500346/082800002/ (出典:米Blue River Technologies)
  30. 30. 建設分野の スタートアップ取材例 Comfy オフィスビルの空調シス テムをAIでコントロール 従業員はスマホでオフィ ス空調をコントロール可 能 従業員の好みを学習して、 自動調整する Googleのビル空調は人工知能が制御、スタートアップの米Building Roboticsが開発 http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/061500148/122200041/
  31. 31. 法律分野の スタートアップ取材例 Ravel Law:米国の過去の判決をすべて解析。「ある判事がどの判決を引用する傾向にある か」「ある判事が好む証拠の傾向は」などを分析 関連記事:リーガルインフォマティクスで法律業務を革新 http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/061500148/122200042/ (出典: 米Ravel Law)
  32. 32. ロボット分野の スタートアップ取材例 Simbe Robotics 自走式棚チェックロ ボット 画像認識AIが在庫切 れをチェック 関連記事:商品陳列棚をチェックする自走式ロボット「Tally」、コストは人間を下回る http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/061500148/060100065/ (出典:米Simbe Robotics)
  33. 33. スタートアップ取材で 気づいたこと • スタートアップの「やり方」はどこも似 ている – オフィスはどこも小洒落ている – でかいホワイトボードがある – ホワイトボードにはポストイットがたくさん – ユーザーを巻き込んだテストが大好き – 試作品を作ってはすぐにテスト – なんで似ているの?
  34. 34. 方法論を作っている 人たちがいた • スタンフォード大学の「デザイン思考」 ス タ ン フ ォ ー ド 大 学 の 「 d.School 」 ス タ ン フ ォ ー ド 大 学 出 身 ス タ ー ト ア ッ プ スタンフォード大学卒業生は、大学で学ん だデザイン思考をスタートアップで実践
  35. 35. イノベーションには 方法論があった • 大学(スタンフォード大学等)が理論化 • シリコンバレーのスタートアップは皆、 イノベーションの方法論を学び、トレー ニングし、実践していた • 共通する方法論 – デザイン思考 – アジャイル開発 – これらを統合したリーンスタートアップ 等
  36. 36. シリコンバレーの人々は スポーツ選手に似ている • 「方法論」を学んでいる • 学んだ内容は訓練して身につける • イノベーションの方法論は、大学やベン チャーキャピタル(VC)が教えていた • 優れたスポーツ選手がコーチを雇い、ト レーニングを欠かさないのと似ている! – スタートアップ=スポーツ選手 – 大学、ベンチャー・キャピタル=コーチ
  37. 37. イノベーションは 「ひらめき」にあらず • ドラッガーがそういってるらしい • むしろイノベーションはスポーツに近い • スポーツでもひらめきが大事? – 「練習」しないと絶対に勝てない – 握り、けり方、視線移動にまで定式 – 戦術を理解しなければ絶対に勝てない – 戦術は座学ではなく練習で身につける – ひらめき=「戦術メモリー」 • 良いサッカー選手は、サッカーをたくさん観る
  38. 38. 皆が実践する手法の一つが デザイン思考 • デザイン思考とは? – デザイナーの手法や考え方を応用にした、イ ノベーションを生み出すための方法論 – ソフトウエア開発者とビジネスの専門家、デ ザイナーが三位一体となり、定式化された手 法によって構想、試作、ユーザーによる評価、 改良を繰り返して、新たなサービスやビジネ スモデルを作り出す • デザイン思考はシリコンバレーの定石 – みんな訓練して身につけ、実践している
  39. 39. ルームサービス配達ロボ Savioke Relayでの実践例 ホテルのルームサービスの品物を従業員に代わって部屋まで運搬するロボット「Relay」を開発。 (出典:米Savioke)
  40. 40. Saviokeはグーグル系VCに デザイン思考をコーチされた • Saviokeの不安:「誰もロボットに接客さ れた経験は無い。果たして宿泊客がRelay を受け入れてくれる?」 • 解決する手段として、Saviokeに出資する グーグル系VCが開発したデザイン思考の 方法論「Design Sprint」を実践 • 経営幹部、エンジニア、デザイナー、営 業担当者を5日間カンヅメ
  41. 41. Design Sprint 怒濤の5日間 月曜日 • Unpack(問題点 の理解) • 営業、エンジニ アリング、サ ポート、デザイ ンの各チームが 抱えている問題 点を全員で共有 し、今回解決す る問題を絞る 火曜日 • Sketch(解決策 の考案) • 各人が問題の解 決策を「ノー ト」「マインド マップ」「クレ イジー8S」「ス トーリーボー ド」といった ツールを用いて 書き出し、相互 に批評する 水曜日 • Decide(決定) • 火曜日に作成し た複数の解決策 の中から一つを 選び、ストー リーボードを作 成する 木曜日 • Prototype(試 作) • 「PowerPoint」 や「Keynote」 といったプレゼ ンテーションソ フトを使ってア プリケーション のプロトタイプ を開発する 金曜日 • Test(テスト) • ユーザーにプロ トタイプを使わ せた上でインタ ビューを行い、 プロトタイプを 使った感想や新 しい問題点など を導き出す
  42. 42. ユーザーの「痛み」に フォーカスする • 「宿泊客がロボットに恐怖感を抱かない ようにすること」が一番大事 • 全員がアイデアを考えて「スケッチ」 • 「ストーリーボード」(ユーザーが製品 やサービスを利用する一連の体験を絵物 語風に記述するもの)でまとめる • ロボットに感情を持たせたら、親しみが わき、恐怖感が減るのでは?
  43. 43. 液晶モニターで 感情を表現する機能を実装
  44. 44. シリコンバレーは 決まり事だらけ • ブレーンストーミングのやり方 – 発散→集約 • アイデアのメモの仕方 • アイデアの取りまとめ方 • ユーザーへの質問術 • プログラミング手法 • コラボレーティブなオフィスの在り方
  45. 45. シリコンバレーで得た 気付き • 実はシリコンバレーにはディシプリン (規律)がある – ディシプリン(規律、決まり事) – 訓練を経て身につけるもの – デザイン思考、アジャイル開発、リーンス タートアップ • シリコンバレーのマインドセットは「Go Crazy」ではなく「規律を守ろう」
  46. 46. なぜデザイン思考が ディシプリンとなったか? • シリコンバレー企業の強みとは? – ユーザーが体験したことの無い、それでいて 役に立つ、売れる製品やサービスを開発して いること • 体験したことの無い製品やサービスはど うやって作る? – ユーザーに聞いても無駄 – でもユーザーが欲しいものじゃなきゃ売れな い
  47. 47. 体験したことの無い 製品・サービスを作るには? • 要件定義の存在しない世界 – 「顧客に言われたとおり作る」ことが不可能 – 顧客も「欲しいものが分からない」から • 単純な聞き方では絶対に分からない – (例)自動運転車の中で何がしたい? • ユーザーはそもそも自動運転車の車中を創造でき ない – (例) AIをどうやって活用しますか? • AIを使ったことが無い人が分かるはずがない
  48. 48. ユーザーに聞くなら 質問術を学べ • デザイン思考では質問術として「エスノ グラフィ」などを使う – 未開の民族の文化調査をする手法 • 電話を使ったことが無い人に「電話を 使ってみたいですか?」と質問 – 答えは当然「ノー」 – 遠くの知り合いと協力したい?→イエス! • 電話は知らないが「長距離コミュニケーション」 の需要はある
  49. 49. 体験したことの無い 体験を作るには? • プロトタイプをとにかく早く作る • それを顧客にテストしてもらう • 顧客のフィードバックを得る – 実物を体験すれば、さすがに何かは言える • 良くない点を製品を改善する • 失敗を改善するサイクルを繰り返す • つまり「リーンスタートアップ」 – 実現手法が、アジャイル開発やデザイン思考
  50. 50. テストと改善は 何回ぐらいやるべきか? • 「グーグル検索」の例 • 2010年の1年間に実施したテスト回数 • A/Bテストの回数:8157回 – 同じ内容で見た目や使い勝手などが異なる「パターン A」と「パターンB」を用意し、ユーザーにテストして貰 う • 1%テストの回数:2800回 – サービス修正前に、全ユーザーの1%にだけ変更を適用 して反応をテスト • 検索サービスだけで、毎日30回テスト! 数字はラズロ・ボック著「ワーク・ルールズ」参照
  51. 51. シリコンバレーの強みは 技術+デザイン • シリコンバレー企業の最大の特徴は? – リリースした製品は「必ず間違っている」 – 「リリース後の改善力」こそが強み • ユーザーの「痛み」を引き出すためには、質問力 を備えたデザイナーが必要=デザイン思考 • ユーザーの要望に素早く応えられるソフトウエア 開発者が必要=アジャイル開発 • 質問に的確に答えられる「優れたユーザー」 – シリコンバレー住人は質問慣れしている • だからシリコンバレーで作りたい
  52. 52. デザイナーは ファシリテーター • エンジニアとビジネス専門家、顧客をつ なぐ「ファシリテーター」がデザイナー • 人がぼんやりと抱いている「願い」「思 い」を巧みな質問術で引き出すのがデザ イナー • アートスクールで教えていた「意匠」の デザインの方法論を、工学部の「設計」 のデザインに注入したのがデザイン思考
  53. 53. かつてのデザインと デザイン思考 かつてのデザイン (特に情報システム) 要件定義 ビジネス専門家 開発 エンジニア UI デザイン デザイナー デザイン思考 共感 問題 定義 創造 試作評価 デザイナー ビジネス専門家 エンジニア デザイナーは工 程の最後に関与 するだけ デザイナーはす べてのプロセス に関与 すぐにプロトタ イプを作って試 す ユーザーに「共 感」することで 本当の問題点を あぶり出す 試した結果をす ぐに反映する
  54. 54. デザイナーが起業する シリコンバレー これらのスタートアップの創業メンバーに、デザイナーが名を連ねている
  55. 55. 大手企業が デザイン会社を買収 企業名 主な動き 米アクセンチュア デザイン会社の米フィヨルド(Fjord)を2013年に買収 米キャピタルワン デザイン会社の米アダプティブパス(Adaptive Path)を2014年に 買収 米フェイスブック 以下のデザイン会社を買収。米ソファ(Sofa、2011年)、米ボルト ピータース(Bolt Peters、2012年)、米ホットスタジオ(Hoto Studio、2013年)、米カーボンデザイン(Carbon Design、2014 年)、ティーハン+ラックス(Teehan+Lax、2015年) 米グーグル 以下のデザイン会社を買収。米マイク&マーイク(Mike&Maaike、 2012年)、米ゲッコーデザイン(Gecko Design、2014年) 米IBM 2012年から全社的にデザイン思考を全面採用。2015年までに1100 人のデザイナーを雇用し、2017年までに1500人にまで増やす予定 米マッキンゼー デザイン会社の米ルナデザイン(Lunar Design)を買収 独SAP 2012年からデザイン思考を全社展開。2013年からはデザイン思考 を用いたコンサルティングサービスも開始
  56. 56. 方法論だけが ディシプリンではない • 方法論の実践を支えるのは文化 • 製品開発で大切なのは失敗からの学び • 失敗と改善の回数をとにかく増やせ – 増やすだけでなく「Fail Harder」(激しく失 敗しろ)という言葉も • 失敗を「尊ぶ」文化がなければムリ – 半期/1年単位での厳しい人事評価・成果主義 を見直す企業も増えている • 文化もディシプリンの一つ
  57. 57. シリコンバレーの規律を 完コピする大企業も登場 • GE、IBM、SAPのこと IBM SAP GE
  58. 58. その結果 二つの特集ができました シリコンバレー企業の常識「デザイン 思考」を特集 日経コンピュータ 2016年3月13日号 「リーンスタートアップ」「デザイン思 考」「OSS」「アジャイル開発」「マイ クロサービス」「グラフDB」などシリ コンバレーの流行を「完コピ」するGE を特集 日経コンピュータ 2016年9月1日号
  59. 59. さらに深掘りして書籍化 GE 巨人の復活 シリコンバレー式「デジタル製造業」への挑戦 https://www.amazon.co.jp/dp/4822255115
  60. 60. なぜGE? ジョブズコスプレするGEの経営幹部を見て「シリコンバレー を真似たい」ことに対する本気を感じたから
  61. 61. GEがシリコンバレー化を 目指す理由 • 過去の経験則が通用しない世界 – ウェルチ時代の「脱・製造業」「金融強化」 がリーマンショックで破綻 – 「ソフトウエアが世界を食う」世界 – 傘下のテレビ局がいち早くデジタル化で苦戦 • Netflixをバカにしていたら、してやられた • 製造業をデジタル化するしかない – でもどうやって? • シリコンバレーにはそれができている
  62. 62. 可能性の芸術を 理解せよ • イメルトCEO(当時)が2017年2月の「株主へ の手紙」で表明 – 産業界の多くの企業が20年前に進めた『デジタル筋 肉(マッスル)』のアウトソーシングが、今日には 敗者であると我々は学んだ。 – 今後、GEのすべての新規採用者はコード(プログラ ミング)を学ぶことになる。 – 彼ら全員がソフトウエアを書けるようになるとは期 待していないが、デジタルの未来における『可能性 の芸術(アート)』は、必ず理解しなければならな い
  63. 63. なぜアウトソーシングは 敗者なのか • 外注は「ナレッジキャピタル」の流出 – 一番大事なのは「失敗からの学び」 • 外注していては学べない • 速ければ、失敗を許容できる – 試し、学び、修正するスピードが重要 – 外注していてはスピードを保てない – そのためには内製するしかない – 「失敗が快適(コンフォート)」な企業文化、 人事制度も不可欠
  64. 64. デジタル筋肉ムキムキ • 2011年にシリコンバレーにソフトウエア 開発拠点を開設 – 3年で10億ドルを投資 – 2000人のシリコンバレー人材を採用 – 「バランスドチーム」を形成 • ビジネスの専門家、ソフトウエア開発者、デザイ ナー、データサイエンティスト – 新しい製品・サービスは「バランスドチー ム」で作る
  65. 65. 社内デザイナーも急増中 • GEデジタル – 開発者:デザイナー=10:1 • 普通のIT企業 – 開発者:デザイナー=50:1 • シリコンバレーのスタートアップ – 開発者:デザイナー=「4:1」が理想
  66. 66. プロジェクトマネジャーから プロダクトマネジャー • 昔のGEにはプロジェクトマネジャーしか いなかった – 顧客の要件定義に従って作る人のこと • 重要なのはプロダクトマネジャー – 何を作るべきか、どう作るべきかの責任者 – 何を作るべきかは顧客に聞いても仕方がない – しかし何を作るべきかは顧客が決める – 作っては試すサイクルを回すしかない
  67. 67. GEがやったこと • ちゃんと学ぶ – リーンスタートアップのエリック・リースと コンサルティング契約。80人のトレーナー育 成し、その後はトレーナー自前育成 • ちゃんと雇う – ソフトウエア開発者、デザイナー、データサ イエンティストを大量に新規雇用 • 文化を変える – 社訓を変更、人事制度を変更
  68. 68. シリコンバレー流は 新しい米国型経営モデル • 米国の「経営学」はGMのやり方を記録す るところから始まった – それをやったのがピーター・ドラッカー – 「米国型経営モデル」には常にお手本がある • シリコンバレー流が新しいモデルに – リーンスタートアップ、デザイン思考 – テクノロジー主導、アジャイル開発、OSS – 「モノマネの達人」GEが動いた • シックスシグマも他社のモノマネだった
  69. 69. Fordの新CEOは デザイン思考の伝道師 • マツダ社長も務めたマーク・フィールズ 氏が退任 • その後任はジム・ハケット氏 – オフィス家具メーカー「スティールケース」 のCEOとしてデザイン思考を導入 • IDEOの元・親会社 – 家具メーカーを「コラボレーション促進企 業」へと変貌 – モノ売りの会社をコト売りの会社に変えた CEOがフォードを率いることに
  70. 70. なぜGEやFordの取り組みが 重要なのか? • GEとFordは「ディスラプション(破壊) の連鎖」を食い止めようと努力している • 広告・メディア産業はGoogleやFacebook が、小売業はAmazonが、エンタープライ ズITもAmazonがディスラプトした • 運輸、自動車、宿泊、金融、医薬、製造 業もGoogleやAmazon、それに続くデジ タル勢力にディスラプトされるのか?
  71. 71. なぜGEやFordの取り組みが 重要なのか? • GEやFordのデジタル改革は、「デジタル 勢力(シリコンバレー)の脅威」に対す る回答の一つ • シリコンバレーのやり方を自らも実践す れば、老舗企業にもシリコンバレーのよ うなイノベーションが可能になる? • その仮説をGEとFordは自ら証明しようと している
  72. 72. シリコンバレーは 簡単に真似られる? • 簡単に真似られるわけでは無い • GEも苦しみ、もがいている – 特にソフトウエア開発… – イメルト氏は2017年7月末でCEO退任 • 難しいけれども、真似るしかない – 真似ずにディスラプトされた例は枚挙にいと まが無い… • 我々メディア業が特にそうでしたが…(つらい) – 新CEO「我々の未来はデジタルにしかない」
  73. 73. 日本企業は「昔」を 思い出そう • 昔の日本企業は、必死になってアメリカ 企業を真似した – カイゼンもアメリカが教えてくれた • デミング賞の受賞第一号はトヨタ自動車 – 80年代に米経営学者が日本企業に質問 • 学者「なんで終身雇用なの?」 • 当時の日本企業幹部「1950~60年代のIBMやGM が終身雇用だったから、それを真似した」 • GEの必死さは、かつての日本企業の必死 さに似ている
  74. 74. より詳しく学ぶなら GE 巨人の復活 シリコンバレー式「デジタル製造業」への挑戦 https://www.amazon.co.jp/dp/4822255115
  75. 75. さいごに • 支局発の記事は「シリコンバレーNext」 – http://itpro.nikkeibp.co.jp/siliconvalley/ • 「GE 巨人の復活」もご覧下さい • 何か質問があれば中田までメール下さい – anakada@nikkeibp.co.jp

×