Process-Based Therapy勉強会の第6回後半，齋藤 順⼀さんによる発表資料です。"Learning Process-Based Therapy"という書籍の第13章の内容がまとめられています。 勉強会の概要はこちら。 https://note.com/junkashihara/n/n6e93928a8fcb

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Chapter 13.
Using the Tools of PBT in Practice
Process-Based Therapy勉強会
2022年8⽉26⽇
齋藤 順⼀ (広島⼤学病院／早稲⽥⼤学)

2. ⾃⼰紹介
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n 専⾨（臨床⼼理⼠・公認⼼理師）
• 精神科・⼼療内科での認知⾏動療法
ü アクセプタンス＆コミットメント・セラピー（ACT）
ü スキーマ療法
n 興味関⼼
• 慢性疾患、ストレス関連疾患（⼼⾝症）
• ⽣きることの意味、価値の明確化
• クライエントに合わせた技法の選択
• ⽣態学的経時的評価（EMA）、デジタルセラピューティクス（DTx）

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第13章の要約

4. PBTのツールを実践で活かす
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n 幅広い領域で活⽤可能
• 保健医療領域の実践家
• ライフコーチング、ペアレントトレーニング
• 児童発達専⾨家、⽼年学者 etc.
n PBT ≠ 複雑なネットワーク分析
• ネットワーク分析はプロセスベースの考え⽅を促進する⽅法の⼀つ
• 系統だった、ダイナミックな変化のプロセスを利⽤することが⽬的
• 特定の⽅法論が重要ではない

5. PBTのツールを実践で活かす
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n 既存の実践ツール
• PBTのミニ・ネットワークツールとして活⽤可能
ü 従来の機能分析
ü 認知療法の下向き⽮印法
ü ACT マトリックス etc.
n ネットワーク図の作り⽅
• ⼀般的なグラフィックやプレゼンソフトウェアの利⽤
• 無料のオンラインプログラムなどの利⽤
ü diagrams.net︓https://www.diagrams.net

6. クライエントとネットワークを作る
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n クライエントの実体験に頼る
• ネットワークのノードとエッジは、概念より体験的であるべき
セッション中にネットワークを作ることは妥当性があり効率的
• 4章、5章、6章のガイディング・クエッションが役⽴つ
n 作業同盟の構築
• 何が問題で何をすべきかについて、共有することができる
• クライエント⾃⾝に問題があるのではなく、
悪循環のシステムに取り込まれていることを理解してもらう

7. PBTセッションの記録システムの構築
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n プロセスに基づいた観点を組み込む
• 治療システムが診断や症状の記録を求めるならば記述する
• プロセスに基づいた観点を組み込むことができる
例えば、不安のため仕事を回避しているクライエント
プロセス⽬標は、感情の受容性の向上になる可能性がある
ü セラピーに来る
ü セッション内で困難な感情について検討し表現できる
ü エクスポージャーに積極的に取り組む、⽋勤の減少

8. PBTセッションの記録システムの構築
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n 短・中⻑期のアウトカムにプロセス⽬標を関連づける
• クライエントの変化のプロセスは、近似的なアウトカムになる
• ⽣態学的経時的評価（EMA）のデータ、定期的なプロセス測定、
終結時の測定、セッション中の⾏動観察など全てが⼀体になる
Ø 変化のプロセスを追跡することが治療の説明責任につながる

9. ネットワークモデルの簡略化
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n 「完全な」ネットワークという概念は不要
• クライエントの全体像を把握できる広い視野は必要だが、
過剰にネットワークを複雑化させる必要はない
• 本当に必要なものが⽋落していれば、介⼊の中で現れる
• 技法の選択、⽬標達成に向けたプロセスを追跡することが重要
サブネットワークを記述し、追跡することは難しくない

10. ネットワークモデルの簡略化
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n 簡略化の⽅法
• ① 類似した機能に基づいてネットワークのノードを統合する
例えば、ある⼈の反芻、⼼配、先延ばし → 完璧主義の特徴
• ② 介⼊の⽬的に関連した、実⽤性のある情報のみを含める
⾏動療法の考え⽅である評価漏⽃（assessment funnel）に類似
広い視野から中核的な問題が明確になるにつれて焦点を狭める
• ③ 理論に基づき、EEMMをネットワークに適⽤することで、
ノードとエッジの重要性が低下することがある
実証的にも概念的にも重要でなければ、削除すれば良い

11. プロセスの階層性への注⽬
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n 個別事例を「プロセスの典型例」に当てはめる
• 多数の個別的ネットワークと階層的プロセスを要約した
特徴的なネットワークを法則定⽴的に利⽤できる可能性
・・・・・・・・
Aさん Bさん Cさん Dさん
〇〇の特徴を有するネットワーク □□の介入技法が効果的
クライエント

12. 同僚とネットワークを共有する
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n プロセスに基づいた考えを浸透させる
• 学派の垣根を超えることができるが、以下の点に注意
ü ⽤語を巡って争うことは避ける
ü モデルやプロセス⽬標が異なる場合、両者を評価、検討する
ü 最初は、進化学の⽤語ではなく、平易な⽤語を使っても良い
ü エビデンスに基づく個別化医療の必要性を理解してもらう

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考察・発展的な議論

14. PBTを実践してみての感想・疑問
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n EEMMとネットワーク分析
• 治療同盟の構築やクライエント理解が深まるのはGood︕
• EEMMのContextの部分には、何を記載すればいいのだろうか︖
• 解像度を切り替えてネットワーク分析する必要があるかも
エピソードレベルでのミクロな分析が介⼊には役⽴つと感じる
n プロセス変数の測定に関する問題
• 例えば、Acceptance and Action Questionnaire – II（AAQ-II）
⼼理的柔軟性や体験の回避を測定していない（Rochefort et al., 2018）
• EMAデータの収集・解析には⽇本語の専⽤アプリが欲しい

15. PBTを実践してみての感想・疑問
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n CBT（特にACT）の特徴が強い
• PBTの中で治療関係（転移・逆転移）はどう考えるのか︖
• 他学派の⼈たちにも関与してもらいたい
• 医療現場では、ACTより理解されやすいかもしれない
n PBTへの期待
• いろいろと課題はありそうだが、個⼈的にはとても⾯⽩い
• エビデンスに基づく個別化医療が実現して欲しい
• ⼀臨床家としてPBTの発展に貢献したい