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神戸医療イノベーションフォーラム
2013.01.20




メモリーサービスによる
認知症ケアのイノベーション
         桜新町アーバンクリニック
         遠矢純一郎
我が国の認知症高齢者数の推計
万人             2010年推計         65歳以上人口に対する比率                    %

500                                                   470      16.0
                                            410
400                                                            14.0
                                  345                   12.8
                                                               12.0
300                      280                  11.3
                                    10.2                       10.0
                189        9.5
200
       156                                                     8.0
                  7.3
100                                                            6.0
         6.0

 0                                                             4.0
      2000年    2005年    2010年    2015年     2020年     2025年
       認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の高齢者数推計
認知症の定義


「一旦正常に発達した知的能力が低下し
もの忘れや判断力の低下があるために
日常生活や社会生活に支障を来すよう
になった状態」
認知症の病理
              脳細胞のダメージ

        見当識障害               実行機能障害
                中核症状
             記憶障害    理解・判断力障害
                                      環境・
性格・素質
                                     心理状態


                妄想    せん妄

        幻覚
                周辺症状         抑うつ

        不眠    (行動心理症状)        異食
                徘徊    暴言暴力


   二次的に惹き起こされる「行動心理症状」は、個々人によって異なる
認知症の治療
  薬物治療      ケアによる対応
認知症治療薬




抗精神病薬
認知症のケア
中核症状                      映画「我が母の記」より



• 買い物が出来ない          介護保険のサービスを
• 料理が出来ない           有効に利用する
• 大切なものの管理が出来ない



周辺症状
行動心理症状

•   無関心、無気力、うつ傾向
•   もの取られ妄想         「なぜそういう行動を
•   徘徊、夜間せん妄        するのか?」を考える
•   入浴・食事・外出を拒否する
海外の認知症への国家戦略
 国名    高齢化率   認知症数       国家戦略名         開始時期

                      認知症統合ケア
オランダ   15%    30万人                     2004
                      プログラム(第2期)
                      プラン・アルツハイマー
フランス   17%    80万人                     2001
                      2008-2012(第3期)
イギリス   17%    82万人    国家認知症戦略          2009

 日本    23%    304万人        なし

<各国の国家戦略に共通する内容>
• なるべく自宅や地域で過ごせるように、地域に専門チームを配置
• 早期診断、早期ケアの導入により、なるべく進行を抑える
• 抗精神病薬の使用を減らす、精神病院への入院を避ける
精神科病床の問題
OECD加盟国の人口1000人あたりの精神科病床数        日本の精神科病床への入院数の推移

                                     認知症   統合失調症
                            60,000                  220,000
                                                    210,000
                            50,000
                                                    200,000
                            40,000                  190,000
                                                    180,000
                            30,000
                                                    170,000
                            20,000                  160,000



 ⇒精神異常者は病院に閉じ込めておく、という体質が未だに続いている
厚労省から国の認知症施策の基本方針が発表
「今後の認知症施策の方向性について」
                    平成24年6月18日

「かつて私たちは認知症を何も分からなくなる病気と考え、
徘徊や大声を出すなどの症状だけに目を向け、認知症の
人の訴えを理解しようとするどころか、多くの場合、認知症
の人を疎んじたり、拘束するなど不当な扱いをしてきた。」


このプロジェクトは「認知症の人は、精神科病院や施設を利
用せざるを得ない」という考え方を改め、認知症になっても
本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい
環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指している
認知症施策推進5か年計画
   (2013年-2017年 オレンジプラン)

1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及
1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及
2.早期診断・早期対応
2.早期診断・早期対応
    「認知症初期集中支援チーム」の設置
    認知症初期集中支援チームの設置
   早期診断等を担う医療機関を500カ所整備   など
   早期診断等を担う医療機関を500カ所整備   など
3.地域での生活を支える医療サービスの構築
3.地域での生活を支える医療サービスの構築
   「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定
   「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定
   精神科病院からの円滑な退院・在宅復帰の支援 など
   精神科病院からの円滑な退院・在宅復帰の支援 など
4.地域での生活を支える介護サービスの構築
4.地域での生活を支える介護サービスの構築
5.地域での日常生活・家族の支援の強化
5.地域での日常生活・家族の支援の強化
6.若年性認知症施策の強化
6.若年性認知症施策の強化
7.医療・介護サービスを担う人材の育成
7.医療・介護サービスを担う人材の育成
ケアの流れを変える
<これまでのケア>           <今後目指すべきケア>

 認知症状の             「早期・事前的な対
 進行・悪化             応」を充実させる



 「危機」が発生してからの        新たに「初期集中支援」
「事後的な対応」が多かった        「危機回避支援」を整備




                    住み慣れた自宅・地域の
精神病院への長期入院や
                    良い環境で暮らし続ける
施設入所が増加する
                    ことが出来る社会へ


                「今後の認知症施策の方向性について」
                平成24年6月18日 厚労省認知症施策検討プロジェクトチーム
初期集中支援
新たな支援体制                     (メモリーサービス)

 認知症早期                  訪問調査内容        6か月後
                      訪問調査内容
                      • • 普段の生活
                           普段の生活
                      • • 病歴、身体状況
                           病歴、身体状況
                        • 認知能力
                      • 認知能力
                      • • ADL、生活環境
                           ADL、生活環境



          •   医師による早期診断につなげる                  地域ケアマネ
          •   在宅での具体的ケアの提供            自宅での    に引き継ぐ
                                      生活が継続

              •   看護師、心理士、作業療法士、PSWなど
                  で構成された専門チームがご自宅に訪問
              •   認知症初期から関わり、記憶が失われる前に、
 初期集中支援           本人の情報や意思、どんな生活を送りたいかを聞き取る
   チーム
              •   その方の人生や譲れない価値を調査、記録して
                  行動心理症状への対応方法をアドバイス
              •   地域での生活が続けられるように包括的支援プランを立て
                  6ヶ月をめどに地域のケアマネや介護者らに引き継ぐ
ICTの活用              初期集中支援
                               (メモリーサービス)

クラウド型地域連携システム
    “EIR(エイル)” 役に立っているか?の評価
                                初期集中支援
                                認知症専門チーム
                       専門的支援
     専用調査シート

      記述 ⇒ データ化
                                      ケア指導
                                      フィードバック

                       本人・家族
      本人・家族の
    価値観や心理面を評価
                       日常的ケア
                                  地域ケア
                                  チーム
                  ケアの質の評価
生活支援には膨大な人手がかかる
ICTのさらなる活用




               www.orcatech.orgより動画

• 24時間の自動モニタリングにより、安否や服薬確認
• 移動時間を無くすことで、効率性が劇的に向上
• 生体情報に限らず、行動、心理、環境との関係性もチェック
認知症ケアのイノベーション
  • 早期診断、早期ケアにより、住み慣れた
    自宅での生活を継続出来るようにすることが
    進行や悪化を防ぐ

  • 個人の生活や意思、価値観が反映された
    情報のデータ化と経時的評価手法により、
    その方に応じた質の高いケアの提供

  • ICT活用により、中央集約的な「病院型」から
    「個人中心型」医療への転換をはかり、
    認知症でも安心出来る居住環境や地域を創る

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神戸医療イノベーションフォーラム 2013 slideshare用

  • 2. 我が国の認知症高齢者数の推計 万人 2010年推計 65歳以上人口に対する比率 % 500 470 16.0 410 400 14.0 345 12.8 12.0 300 280 11.3 10.2 10.0 189 9.5 200 156 8.0 7.3 100 6.0 6.0 0 4.0 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の高齢者数推計
  • 4. 認知症の病理 脳細胞のダメージ 見当識障害 実行機能障害 中核症状 記憶障害 理解・判断力障害 環境・ 性格・素質 心理状態 妄想 せん妄 幻覚 周辺症状 抑うつ 不眠 (行動心理症状) 異食 徘徊 暴言暴力 二次的に惹き起こされる「行動心理症状」は、個々人によって異なる
  • 5. 認知症の治療 薬物治療 ケアによる対応 認知症治療薬 抗精神病薬
  • 6. 認知症のケア 中核症状 映画「我が母の記」より • 買い物が出来ない 介護保険のサービスを • 料理が出来ない 有効に利用する • 大切なものの管理が出来ない 周辺症状 行動心理症状 • 無関心、無気力、うつ傾向 • もの取られ妄想 「なぜそういう行動を • 徘徊、夜間せん妄 するのか?」を考える • 入浴・食事・外出を拒否する
  • 7. 海外の認知症への国家戦略 国名 高齢化率 認知症数 国家戦略名 開始時期 認知症統合ケア オランダ 15% 30万人 2004 プログラム(第2期) プラン・アルツハイマー フランス 17% 80万人 2001 2008-2012(第3期) イギリス 17% 82万人 国家認知症戦略 2009 日本 23% 304万人 なし <各国の国家戦略に共通する内容> • なるべく自宅や地域で過ごせるように、地域に専門チームを配置 • 早期診断、早期ケアの導入により、なるべく進行を抑える • 抗精神病薬の使用を減らす、精神病院への入院を避ける
  • 8. 精神科病床の問題 OECD加盟国の人口1000人あたりの精神科病床数 日本の精神科病床への入院数の推移 認知症 統合失調症 60,000 220,000 210,000 50,000 200,000 40,000 190,000 180,000 30,000 170,000 20,000 160,000 ⇒精神異常者は病院に閉じ込めておく、という体質が未だに続いている
  • 9. 厚労省から国の認知症施策の基本方針が発表 「今後の認知症施策の方向性について」 平成24年6月18日 「かつて私たちは認知症を何も分からなくなる病気と考え、 徘徊や大声を出すなどの症状だけに目を向け、認知症の 人の訴えを理解しようとするどころか、多くの場合、認知症 の人を疎んじたり、拘束するなど不当な扱いをしてきた。」 このプロジェクトは「認知症の人は、精神科病院や施設を利 用せざるを得ない」という考え方を改め、認知症になっても 本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい 環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指している
  • 10. 認知症施策推進5か年計画 (2013年-2017年 オレンジプラン) 1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及 1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及 2.早期診断・早期対応 2.早期診断・早期対応 「認知症初期集中支援チーム」の設置 認知症初期集中支援チームの設置 早期診断等を担う医療機関を500カ所整備 など 早期診断等を担う医療機関を500カ所整備 など 3.地域での生活を支える医療サービスの構築 3.地域での生活を支える医療サービスの構築 「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定 「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定 精神科病院からの円滑な退院・在宅復帰の支援 など 精神科病院からの円滑な退院・在宅復帰の支援 など 4.地域での生活を支える介護サービスの構築 4.地域での生活を支える介護サービスの構築 5.地域での日常生活・家族の支援の強化 5.地域での日常生活・家族の支援の強化 6.若年性認知症施策の強化 6.若年性認知症施策の強化 7.医療・介護サービスを担う人材の育成 7.医療・介護サービスを担う人材の育成
  • 11. ケアの流れを変える <これまでのケア> <今後目指すべきケア> 認知症状の 「早期・事前的な対 進行・悪化 応」を充実させる 「危機」が発生してからの 新たに「初期集中支援」 「事後的な対応」が多かった 「危機回避支援」を整備 住み慣れた自宅・地域の 精神病院への長期入院や 良い環境で暮らし続ける 施設入所が増加する ことが出来る社会へ 「今後の認知症施策の方向性について」 平成24年6月18日 厚労省認知症施策検討プロジェクトチーム
  • 12. 初期集中支援 新たな支援体制 (メモリーサービス) 認知症早期 訪問調査内容 6か月後 訪問調査内容 • • 普段の生活 普段の生活 • • 病歴、身体状況 病歴、身体状況 • 認知能力 • 認知能力 • • ADL、生活環境 ADL、生活環境 • 医師による早期診断につなげる 地域ケアマネ • 在宅での具体的ケアの提供 自宅での に引き継ぐ 生活が継続 • 看護師、心理士、作業療法士、PSWなど で構成された専門チームがご自宅に訪問 • 認知症初期から関わり、記憶が失われる前に、 初期集中支援 本人の情報や意思、どんな生活を送りたいかを聞き取る チーム • その方の人生や譲れない価値を調査、記録して 行動心理症状への対応方法をアドバイス • 地域での生活が続けられるように包括的支援プランを立て 6ヶ月をめどに地域のケアマネや介護者らに引き継ぐ
  • 13. ICTの活用 初期集中支援 (メモリーサービス) クラウド型地域連携システム “EIR(エイル)” 役に立っているか?の評価 初期集中支援 認知症専門チーム 専門的支援 専用調査シート 記述 ⇒ データ化 ケア指導 フィードバック 本人・家族 本人・家族の 価値観や心理面を評価 日常的ケア 地域ケア チーム ケアの質の評価
  • 15. ICTのさらなる活用 www.orcatech.orgより動画 • 24時間の自動モニタリングにより、安否や服薬確認 • 移動時間を無くすことで、効率性が劇的に向上 • 生体情報に限らず、行動、心理、環境との関係性もチェック
  • 16. 認知症ケアのイノベーション • 早期診断、早期ケアにより、住み慣れた 自宅での生活を継続出来るようにすることが 進行や悪化を防ぐ • 個人の生活や意思、価値観が反映された 情報のデータ化と経時的評価手法により、 その方に応じた質の高いケアの提供 • ICT活用により、中央集約的な「病院型」から 「個人中心型」医療への転換をはかり、 認知症でも安心出来る居住環境や地域を創る