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認知症ケアとはなにか?
- 2. 認知症とはどういう病気?
• 医学的に
• 関係性でいうと
• 脳に器質的な異常があること
• 記憶や言語などの複数の認知機能が障害
• 後天的に障害される
• 慢性に持続する
• 社会生活活動水準が低下する
目黒謙一2004
- 4. 人と人の関係の成り立ち
• コミュニケーションによって支えられる
• 社会生活を営む人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達
• 動物個体間での、身振りや音声・匂い等による情報の伝達
• 動物との大きな違いは「言葉」を使えること
• 言葉を使うことによって、より深く分かり合え、共感することができるから、
強い安定した関係を築くことができる
- 18. 情動記憶
• 感情の負荷によって記憶する
• 扁桃体は感情に関係がある
• 記憶の回路とつながっており、感情を元に記憶
する
• 阪神淡路大震災を体験したアルツハイマー病の
患者に震災のことを尋ねたところ、怖い思いをし
たということをよく覚えていた
- 29. お気づきの通り
• 認知症の方が
• 初めて入所した時(初対面の方と出会った時)
• 困った時(助けて欲しいと思った時)
• 混乱した時(思い通りにならない時)
• 安心したい時
- 32. 抜け殻仮説と関係論
• 抜け殻仮説
• 脳細胞の変性により、健常な状態から、認知症になり、やがて人格が失
われて、空っぽになる
• パーソンの捉え方
• これが自己であると自覚する意識の核が存在するという実体論
• 関係論
• 人格として周囲の人から扱われるから人格なのだという関係論
• パーソン・センタード・ケア
箕岡真子東京大学大学院客員研究員
- 46. 尊厳を守る
• 関係論
• 人格として周囲の人から扱われるから人格なのだという関係論
• 皆さんのおかげ様
• 認知症の方が、認知症の患者になるか、普通の人と同じであ
るか、それは、あなたがその方のことをどう思うかで決まる
• 尊厳を守るとはそういうことなのではないか?
- 48. 尊厳・関係を損なうもの
• BPSD:認知症の行動・心理症状
• Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia
• 脳神経の障害部位で直接起こる症状(中核症状)以外
の症状の総称である
• 行動症状
• 暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為、異食など
• 心理症状
• 抑うつ、不安、幻覚、妄想、睡眠障害など
- 50. BPSDの分類
• 第1群:頻度が高い、厄介
• 幻覚、妄想、抑うつ、不眠、不安、攻撃、徘徊、不穏
• 第2群:頻度は中程度、やや厄介
• 誤認、焦燥、不適切な行動や脱抑制、放浪
• 第3群:頻度は少ない、管理可能
• 泣き、暴言、意欲低下、繰り返し質問、つきまとい
• 国際老年精神医学会議IPA,2000
- 56. “からくり”2
抜け殻仮説
• 自然な会話ができにくくなった認知症の人は“わからなくなった
人”と思われて周囲からのさりげなく温かい声
掛けが激減する
- 68. 年齢
避けて通れない問題
• いつかくる人生の終わり
表1 主な年齢の平均余命
男女
平成24年平成23年前年との差平成24年平成23年前年との差
0歳79.94 79.44 0.50 86.41 85.90 0.51
5 75.19 74.71 0.48 81.67 81.19 0.48
10 70.23 69.77 0.46 76.70 76.24 0.46
15 65.26 64.81 0.45 71.72 71.28 0.44
20 60.36 59.93 0.43 66.78 66.35 0.43
25 55.52 55.10 0.42 61.85 61.45 0.40
30 50.69 50.28 0.41 56.94 56.56 0.38
35 45.85 45.47 0.38 52.04 51.69 0.35
40 41.05 40.69 0.36 47.17 46.84 0.33
45 36.32 35.98 0.34 42.35 42.05 0.30
50 31.70 31.39 0.31 37.59 37.32 0.27
55 27.23 26.95 0.28 32.92 32.68 0.24
60 22.93 22.70 0.23 28.33 28.12 0.21
65 18.89 18.69 0.20 23.82 23.66 0.16
70 15.11 14.93 0.18 19.45 19.31 0.14
75 11.57 11.43 0.14 15.27 15.16 0.11
80 8.48 8.39 0.09 11.43 11.36 0.07
85 6.00 5.96 0.04 8.10 8.07 0.03
90 4.16 4.14 0.02 5.47 5.46 0.01
• 人間の死亡率は100%。かならず死は訪れる
• 認知症の方の場合
• 食事を摂らなくなる
• 嚥下能力があっても、本人が食べる意思がないし、むしろ拒絶すらする
• そのような状況で選べる選択肢とは
- 69. 医療の進歩と死
• 動物は餌を自分で取れなくなったら死ぬ
• 人間は助け合うため、自分で食事が取れなくなったら死ぬことはなくなった
• 動物は病気になったら死ぬ
• 人間は医療という道具を発展させ、病気で死ぬ確率が低くなった
• やがて人間は医療という道具を使って死を回避しようと考えた
• その結果、自分で食べられなくても栄養を取れるようになった
• 動物とは違う最期の迎え方になった
- 80. まとめ
• 認知症の持つ人と人の関係を崩すという症状を食い止めることの重
要性
• それは、認知症の方のためだけではなく、私達の日常でも必要なこと
• お互いを認め合う関係が関係をよくする
• そのためには日頃のコミュニケーションは重要
• さり気なく温かい声掛け!
• 認知症の方の尊厳が守られる、すなわち、我々の尊厳も守られる
• いい最期を迎えられる
Editor's Notes
- 共感とは、相手が痛いと言った時に、過去の経験から同じような痛みを感じることができるようなもの
- なにもしないのではなく、そのまま看取る(大往生)