イノベーションマネジメント15
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イノベーションマネジメント15
- 1. イノベーション マネジメント 第15回 まとめに代えて 新興国からイノベーションを考える 中川功一 大阪大学大学院経済学研究科 Koichi NAKAGAWA Graduate School of Economics, Osaka University
- 7. ダイキン工業のグローバル成長 1991年 海外子会社 5 海外売上 444億円 海外売上比率 10% 2001年 海外子会社 29 海外売上 1644億円 海外売上比率 30% 2011年 海外子会社 147 海外売上 7335億円 海外売上比率 63%
- 8. 新興国は主戦場 世界の名目GDP推移 名目GDP（10億米ドル） 西暦（年） 出所：IMF World Economic Outlook 2012 世界の名目GDP内訳 EU 26% 米国 23% 中国 9％ 日本 9％ アジア（日中除く）9％ 中南米 8％ その他 16％
- 11. エースコックベトナム 現地で50%を超えるシェア。当 初は市場をうまく開拓できな かったが、「日本人が口を出 さないほうが良い」と方針転 換ののち、現地人が主導的に 開発したHaohaoが大ヒット。
- 13. “本国中心主義 Ethnocentrism” • 本国の手厚い支援体制の背景には、「海外法人には任 せておけない」という、かつて吉原（1996）によって 「未熟な国際経営」と批判された、本国中心主義的な 思想がある。 • 本国中心主義（Ethnocentrism）とは、グローバル企業 であるにも関わらず、本国人中心で事業を運営し、海 外従業員には完全には信頼を置かないという考え方 （Heenan and Perlmutter，1979）。 • 本国からの知識移転を軸とする日本的国際経営の背後 には、日本のものづくり・技術への自負の裏返しとし て、本国中心主義が潜んでいることは否定し切れない。
- 14. 日本的国際経営の功罪 • ものづくり能力や品質の考え方など、日本的経営の特徴を 積極移転してきたことが、日本企業の国際競争力向上に貢 献してきたことは否定しない。 • しかしながら、大きく事業環境が変わろうとしている今、 これまで通りの日本発の技術・ノウハウの移転だけでは不 適合を招く状況が増えてくるのではないか。 • 現地での知識創造を、もっと積極的にビジネスに、イノ ベーションに活かす必要があるのでは？
- 15. 中川による新興国ビジネスを対象とした分析の結果 子会社の 財務成果 日本流の 商品・マーケ案の 移転 商品・マーケ案の 変革現地企業との パートナーシップ 親会社からの自立 ／自律 日本文化の移転 Conventional Japanese way Developing a new way + 0.15 -0.37 + 0.32 +0.38 + 0.25 + 0.29 文化の クロスバージェン ス 日系新興国子会社173社による分析。 no effect
- 16. 結果のまとめ • 優れた業績を上げるためには、本社からの知識移転ではなく、現 地での知識創造が求められる。 • 知識創造と知識移転の間にはトレードオフがあり、その主原因は 本社側の集権化と文化移転である。 • 知識創造を促進するには、本社からの知識移転をいくぶん弱めて でも、子会社の自律性を高め、現地文化を学び、現地パートナー との連携を活かすこと。 これからのイノベーションのためには。
- 17. これは「新興国に限定」のことか？
- 18. 新興国ビジネスから、 イノベーション活動一般への教訓 • 自律性＝あなたが上司ならば、現場に委ねよ。あなた が現場ならば、上司に甘えるな。 • 新たな文化・考え方への進取性。 • 異なるアイデアをもったパートナーと積極的に交わる。