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経営戦略入門
競争戦略 (4)
競争ポジションが及ぼす影響
1-1. 成熟期の競争戦略
• 競争戦略 に影響を与える要因
• 製品ライフサイクルのどの段階か
• 自社(分析対象企業)が業界内のどの競争上の地位(ポジショ
ン)をしめているか
• 成熟期には自社のポジションに応じた競争戦略が必要 (前述)
• 成熟期は限られたパイを奪い合う
• 成長期までの企業行動の結果、自社のポジションが決まって
いる(決まってしまっている)
1-2. 4つのポジション
• リーダー
• 最大の市場シェアを有する企業
• チャレンジャー
• リーダーにチャレンジ可能なシェアを獲得している企業
• 攻撃的チャレンジャー
• 共生的チャレンジャー
• フォロワー
• リーダーにとって魅力的でないセグメントを拾う企業
• ニッチャー
• 製品やサービスがユニークで、他企業が手を出せないセグメント
を確保している企業
1-3. 競争上の地位の分類方法
• 4段階での市場地位分類
• シェアが1位か
• リーダーを狙える市場シェア、経営資源を有しているか
• 独自の生存領域を有しているか
• 「大まかである」ことがよい
• 市場地位について議論をし、思考すること自体が重要
2-1. トップシェアの魅力
―なぜナンバーワンを目指すのか―
• 「市場シェアトップ」がもたらすメリット
• 取引先(流通業者)に対する強い交渉力
• ブランド認知の容易さ
• 幅広い顧客からの情報の獲得
• 顧客との接点で生じる「気付き」
• 出口における(シェルフ)スペースの確保
• 小売店のスペースは限られているので「売れる物」を置きたい
• トップブランドは「売れる→スペースが確保できる→売れる…」
という循環が働く
• 生産工程、サービス提供の経済性
• 規模の経済性、経験(曲線)効果
2-2. トップシェアの課題
• トップシェア維持のコスト
• 本来の顧客でない顧客にも働き
かけるコスト
• トップシェアの魅力は永続的
ではない
• 技術革新などによって生産工程、
サービス提供の経済性が働かな
くなる可能性
• 「トップシェア」という事実
が変化への対応を遅らせる可
能性
• シナジー効果を見極める必要
性
• シナジー効果
• 2つ以上の製品サービスを、別
企業が手掛けるよりも1企業で
手掛けた方がコストが低下する
効果
• シナジー効果が働く市場まで
視野に入れて、シェアを計算
する必要
• 携帯電話とスマートフォン
2-3. リーダーの戦略
• リーダーの目標
• トップシェアを維持し、業界最大の利益を獲得する
• トップシェア(ナンバーワン)というプレステージがもたら
す波及効果を狙う
• 3つの方向性
① 市場全体の拡大
• シェアが維持できる場合、市場拡大は利益(売上)増加
② シェア防衛
③ シェア拡大
2-4-1. リーダーの市場拡大
a. 新しい顧客の獲得 (顧客開拓)
• 販売促進によって未使用の顧客にアプローチ
• 新しいセグメントの創出、別セグメントの開拓
b. 1回当たりの使用量の増加
• 同じ顧客が利用する総量を増加させる
• ミシュランのガイドブック、Webサービスの複合化
(Yahoo!などのポータル)
c. 新しい用途の発見 (用途開発)
• カーボンファイバーの釣り用具、ゴルフクラブへの利用
2-4-2. リーダーのシェア防衛、拡大
a. 直接対決
• プロモーション、価格攻勢などで勝つ
• 市場の拡大が見こまれない場合、「利益なき繁忙」に陥
る危険性
b. 他企業への「いやがらせ」
• 企業倫理、独占禁止法上の問題
• 「優越的地位の濫用」
2-4-2. リーダーのシェア防衛、拡大(続)
c. スキを作らない
• 競合企業の行動に(迅速に)追随する「同質化」
• 同質化を進めすぎることによる弊害
• 顧客からみたイメージの悪化
• イノベーションの停滞による顧客離れ
• イノベーションの推進
• トヨタのハイブリッドカーの投入
2-5. リーダーの戦略定石
• 市場拡大とシェア維持・拡大は同時追求が可能
• 自ら市場の拡大を先導し、同質化やイノベーションを織り交ぜて、
スキを作らない
• セグメントはフルカバレッジ
• Productはフルライン、かつ、(若干)高品質
• Placeは開放型チャネル政策
• 広い小売店のカバレッジ、顧客へのリーチ
• Promotionは積極的
• リーダーゆえに持てる経営資源の余裕
• Priceは(若干)高め
• 低価格での競争を挑まれたときにも対応可能に
3-1. チャレンジャーの選択肢
• チャレンジャーが考えるべき2つの選択肢
• リーダー企業を攻撃してリーダーになる
• 攻撃的チャレンジャー
• チャレンジャーの地位を維持してリーダーと共存することで
業界を安定させ、利潤を確保する
• 共生的チャレンジャー
• 市場の成長が見込めない成熟期には、最初に真剣に検討
3-2-1. 攻撃的チャレンジャーの基本戦略
―差別化によるリーダー攻撃―
• 誰からシェアを奪うか
• リーダーからか、他の下位企業からか
• リーダーからシェアを奪う場合
• 経営資源などで劣っているため、直接的攻撃は困難
• リーダーとは異なる「差別化」の実行
• リーダーの「反撃(同質化行動)」に対応できる差別化
• リーダーが持たない経営資源や組織能力を蓄積し、活用
3-2-1. 間接戦略によるリーダーの攻撃
• リーダーが同質化できない「事情」を創り出す
• カシオのウォッチ事業の事例
• Productは付加機能で差別化
• Placeは家電量販店やディスカウント・ストアを開拓
• Promotionは「大衆品のイメージ」で訴求
• Priceは大幅に低く設定
3-2-2. 攻撃的チャレンジャーの
戦略定石
• 短期的に若干の利益を犠牲にしてもシェアを伸ばすこと
• セミ・フルカバレッジ、セミ・フルライン
• リーダー企業にとって「死角」となるような主戦場を創り、そこに
経営資源を集中投入
• 他のセグメントへの波及効果のある決定的セグメントの選択
• 決定的セグメントでの「局地的」勝利
• 隣接するセグメントに先手を取って進出し、個別撃破
• 機動的な競争戦略の策定と実現によって、リーダーを追い詰める
• リーダーの同質化が追いつかないような機敏さが重要
• 戦術を組み合わせてリーダーとの差異(ギャップ)を創出
3-3-1. 共生的チャレンジャーの意図
• 市場拡大が臨めない状況下での競争は「みなが不幸になる」危
険性
• 需要量を上回る供給能力
• 稼働率を無理に引き上げることによる過剰供給
• 過剰供給による値崩れ
• 構造的不況業種
• 付加価値化や棲み分けによって非価格競争を(緩やかに)実現
3-3-2. 共生的チャレンジャーの
戦略定石
• リーダーとの正面衝突を避けて棲み分けし、業界を安定させる
• セミ・フルライン
• リーダーとは異なるライン構成
• 可能な限り高めの価格設定
• リーダーの顧客には高く、自社の顧客には割安
• 価格による(競争を挑まないという)シグナリング
• リーダー企業との「戦略の読みあい」が重要
• お互いに相手の出方を見ながら、競争戦略を打ち出していく
• (繰り返し)ゲーム理論的状況
4-1. フォロワーの基本戦略
• 市場の中での「したたかな」利益確保
• 一定の利潤を確保して存続しつつ、したたかに成長
• 魅力的でないセグメントに集中
• 他社が魅力を感じて攻撃をしてこないセグメント
• 「値段が安ければ何でもいい」顧客 (経済性セグメント)
• ニッチャーとは異なり、セグメントの独自性はない
• 経済性セグメントをターゲットにし、リーダーの4Pに比較して
「ワンランク」落として実現
4-2. フォロワーの戦略定石
• Product
• リーダーと「同じような」プロダクト・ミックス
• 浅めの製品ライン
• 他社の製品(サービス)を手に取った後「これでいいか」と思わせる製品ライン
• 規模の経済性などを発揮するために深くはしない
• Place
• 低コストのチャネル政策
• ディスカウント・ショップ、ネット通販など
• Promotion
• リーダーなど他社のPromotionへのフリーライド
• Price
• 低価格
• コスト管理が重要
• 徹底的に無駄な機能を省き、PlaceやPromotionコストも切り詰めて、「これでいいか」
な製品サービスを低価格で実現
5-1. ニッチャーの基本戦略
• ニッチャー
• 小さいが、他企業が参入できない
隙間市場(ニッチ)に集中し、圧倒
的シェアを確保している企業
• ニッチャーの基本戦略
• 顧客が「こだわり」を持っていて、
価格が多少高くても購入(し続け
る)魅力
• ブランドロイヤリティ
• マイペースの成長路線
• 高い利益率
• 安定した売上
• 狭いターゲット・セグメントへの
ファイン・チューニング
• こだわった4P、QCDF
• 市場の中の「別空間」を創り、
維持
• 同じ「マーケット」で差別化す
るのではなく、生存空間の差別
化を目指す
• 他社が見出せない、参入できな
い独自の経営資源、組織能力
• 市場全体を視野に入れた上で
の独自空間への集中
• 「この市場はなにか」という問
いかけ
5-2. ニッチャーの戦略定石
• Product
• 狭いが、深い製品ライン
• 独自性が高い、一つ一つの製品サービス
• Place
• 狭めのチャネル政策、閉鎖型チャネル政策
• Promotion
• 特定のセグメントに焦点をあてた媒体、メッセージ
• Price
• (若干)高め
• 4つのPを慎重に考慮し、ファインチューニングし続ける
6. まとめと若干の補足
• 戦略定石は「正解」ではない
• そもそも企業は、全て個性的
• 4つの市場地位は、現実の企業の「近似」
↓
• 戦略定石を参考にしつつ、自社の競争戦略を個別具体に考える
• 適合性(fitness)をキーワードに、論理的に繋がりのある競争
戦略を創造

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  • 2. 1-1. 成熟期の競争戦略 • 競争戦略 に影響を与える要因 • 製品ライフサイクルのどの段階か • 自社(分析対象企業)が業界内のどの競争上の地位(ポジショ ン)をしめているか • 成熟期には自社のポジションに応じた競争戦略が必要 (前述) • 成熟期は限られたパイを奪い合う • 成長期までの企業行動の結果、自社のポジションが決まって いる(決まってしまっている)
  • 3. 1-2. 4つのポジション • リーダー • 最大の市場シェアを有する企業 • チャレンジャー • リーダーにチャレンジ可能なシェアを獲得している企業 • 攻撃的チャレンジャー • 共生的チャレンジャー • フォロワー • リーダーにとって魅力的でないセグメントを拾う企業 • ニッチャー • 製品やサービスがユニークで、他企業が手を出せないセグメント を確保している企業
  • 4. 1-3. 競争上の地位の分類方法 • 4段階での市場地位分類 • シェアが1位か • リーダーを狙える市場シェア、経営資源を有しているか • 独自の生存領域を有しているか • 「大まかである」ことがよい • 市場地位について議論をし、思考すること自体が重要
  • 5. 2-1. トップシェアの魅力 ―なぜナンバーワンを目指すのか― • 「市場シェアトップ」がもたらすメリット • 取引先(流通業者)に対する強い交渉力 • ブランド認知の容易さ • 幅広い顧客からの情報の獲得 • 顧客との接点で生じる「気付き」 • 出口における(シェルフ)スペースの確保 • 小売店のスペースは限られているので「売れる物」を置きたい • トップブランドは「売れる→スペースが確保できる→売れる…」 という循環が働く • 生産工程、サービス提供の経済性 • 規模の経済性、経験(曲線)効果
  • 6. 2-2. トップシェアの課題 • トップシェア維持のコスト • 本来の顧客でない顧客にも働き かけるコスト • トップシェアの魅力は永続的 ではない • 技術革新などによって生産工程、 サービス提供の経済性が働かな くなる可能性 • 「トップシェア」という事実 が変化への対応を遅らせる可 能性 • シナジー効果を見極める必要 性 • シナジー効果 • 2つ以上の製品サービスを、別 企業が手掛けるよりも1企業で 手掛けた方がコストが低下する 効果 • シナジー効果が働く市場まで 視野に入れて、シェアを計算 する必要 • 携帯電話とスマートフォン
  • 7. 2-3. リーダーの戦略 • リーダーの目標 • トップシェアを維持し、業界最大の利益を獲得する • トップシェア(ナンバーワン)というプレステージがもたら す波及効果を狙う • 3つの方向性 ① 市場全体の拡大 • シェアが維持できる場合、市場拡大は利益(売上)増加 ② シェア防衛 ③ シェア拡大
  • 8. 2-4-1. リーダーの市場拡大 a. 新しい顧客の獲得 (顧客開拓) • 販売促進によって未使用の顧客にアプローチ • 新しいセグメントの創出、別セグメントの開拓 b. 1回当たりの使用量の増加 • 同じ顧客が利用する総量を増加させる • ミシュランのガイドブック、Webサービスの複合化 (Yahoo!などのポータル) c. 新しい用途の発見 (用途開発) • カーボンファイバーの釣り用具、ゴルフクラブへの利用
  • 9. 2-4-2. リーダーのシェア防衛、拡大 a. 直接対決 • プロモーション、価格攻勢などで勝つ • 市場の拡大が見こまれない場合、「利益なき繁忙」に陥 る危険性 b. 他企業への「いやがらせ」 • 企業倫理、独占禁止法上の問題 • 「優越的地位の濫用」
  • 10. 2-4-2. リーダーのシェア防衛、拡大(続) c. スキを作らない • 競合企業の行動に(迅速に)追随する「同質化」 • 同質化を進めすぎることによる弊害 • 顧客からみたイメージの悪化 • イノベーションの停滞による顧客離れ • イノベーションの推進 • トヨタのハイブリッドカーの投入
  • 11. 2-5. リーダーの戦略定石 • 市場拡大とシェア維持・拡大は同時追求が可能 • 自ら市場の拡大を先導し、同質化やイノベーションを織り交ぜて、 スキを作らない • セグメントはフルカバレッジ • Productはフルライン、かつ、(若干)高品質 • Placeは開放型チャネル政策 • 広い小売店のカバレッジ、顧客へのリーチ • Promotionは積極的 • リーダーゆえに持てる経営資源の余裕 • Priceは(若干)高め • 低価格での競争を挑まれたときにも対応可能に
  • 12. 3-1. チャレンジャーの選択肢 • チャレンジャーが考えるべき2つの選択肢 • リーダー企業を攻撃してリーダーになる • 攻撃的チャレンジャー • チャレンジャーの地位を維持してリーダーと共存することで 業界を安定させ、利潤を確保する • 共生的チャレンジャー • 市場の成長が見込めない成熟期には、最初に真剣に検討
  • 13. 3-2-1. 攻撃的チャレンジャーの基本戦略 ―差別化によるリーダー攻撃― • 誰からシェアを奪うか • リーダーからか、他の下位企業からか • リーダーからシェアを奪う場合 • 経営資源などで劣っているため、直接的攻撃は困難 • リーダーとは異なる「差別化」の実行 • リーダーの「反撃(同質化行動)」に対応できる差別化 • リーダーが持たない経営資源や組織能力を蓄積し、活用
  • 14. 3-2-1. 間接戦略によるリーダーの攻撃 • リーダーが同質化できない「事情」を創り出す • カシオのウォッチ事業の事例 • Productは付加機能で差別化 • Placeは家電量販店やディスカウント・ストアを開拓 • Promotionは「大衆品のイメージ」で訴求 • Priceは大幅に低く設定
  • 15. 3-2-2. 攻撃的チャレンジャーの 戦略定石 • 短期的に若干の利益を犠牲にしてもシェアを伸ばすこと • セミ・フルカバレッジ、セミ・フルライン • リーダー企業にとって「死角」となるような主戦場を創り、そこに 経営資源を集中投入 • 他のセグメントへの波及効果のある決定的セグメントの選択 • 決定的セグメントでの「局地的」勝利 • 隣接するセグメントに先手を取って進出し、個別撃破 • 機動的な競争戦略の策定と実現によって、リーダーを追い詰める • リーダーの同質化が追いつかないような機敏さが重要 • 戦術を組み合わせてリーダーとの差異(ギャップ)を創出
  • 16. 3-3-1. 共生的チャレンジャーの意図 • 市場拡大が臨めない状況下での競争は「みなが不幸になる」危 険性 • 需要量を上回る供給能力 • 稼働率を無理に引き上げることによる過剰供給 • 過剰供給による値崩れ • 構造的不況業種 • 付加価値化や棲み分けによって非価格競争を(緩やかに)実現
  • 17. 3-3-2. 共生的チャレンジャーの 戦略定石 • リーダーとの正面衝突を避けて棲み分けし、業界を安定させる • セミ・フルライン • リーダーとは異なるライン構成 • 可能な限り高めの価格設定 • リーダーの顧客には高く、自社の顧客には割安 • 価格による(競争を挑まないという)シグナリング • リーダー企業との「戦略の読みあい」が重要 • お互いに相手の出方を見ながら、競争戦略を打ち出していく • (繰り返し)ゲーム理論的状況
  • 18. 4-1. フォロワーの基本戦略 • 市場の中での「したたかな」利益確保 • 一定の利潤を確保して存続しつつ、したたかに成長 • 魅力的でないセグメントに集中 • 他社が魅力を感じて攻撃をしてこないセグメント • 「値段が安ければ何でもいい」顧客 (経済性セグメント) • ニッチャーとは異なり、セグメントの独自性はない • 経済性セグメントをターゲットにし、リーダーの4Pに比較して 「ワンランク」落として実現
  • 19. 4-2. フォロワーの戦略定石 • Product • リーダーと「同じような」プロダクト・ミックス • 浅めの製品ライン • 他社の製品(サービス)を手に取った後「これでいいか」と思わせる製品ライン • 規模の経済性などを発揮するために深くはしない • Place • 低コストのチャネル政策 • ディスカウント・ショップ、ネット通販など • Promotion • リーダーなど他社のPromotionへのフリーライド • Price • 低価格 • コスト管理が重要 • 徹底的に無駄な機能を省き、PlaceやPromotionコストも切り詰めて、「これでいいか」 な製品サービスを低価格で実現
  • 20. 5-1. ニッチャーの基本戦略 • ニッチャー • 小さいが、他企業が参入できない 隙間市場(ニッチ)に集中し、圧倒 的シェアを確保している企業 • ニッチャーの基本戦略 • 顧客が「こだわり」を持っていて、 価格が多少高くても購入(し続け る)魅力 • ブランドロイヤリティ • マイペースの成長路線 • 高い利益率 • 安定した売上 • 狭いターゲット・セグメントへの ファイン・チューニング • こだわった4P、QCDF • 市場の中の「別空間」を創り、 維持 • 同じ「マーケット」で差別化す るのではなく、生存空間の差別 化を目指す • 他社が見出せない、参入できな い独自の経営資源、組織能力 • 市場全体を視野に入れた上で の独自空間への集中 • 「この市場はなにか」という問 いかけ
  • 21. 5-2. ニッチャーの戦略定石 • Product • 狭いが、深い製品ライン • 独自性が高い、一つ一つの製品サービス • Place • 狭めのチャネル政策、閉鎖型チャネル政策 • Promotion • 特定のセグメントに焦点をあてた媒体、メッセージ • Price • (若干)高め • 4つのPを慎重に考慮し、ファインチューニングし続ける
  • 22. 6. まとめと若干の補足 • 戦略定石は「正解」ではない • そもそも企業は、全て個性的 • 4つの市場地位は、現実の企業の「近似」 ↓ • 戦略定石を参考にしつつ、自社の競争戦略を個別具体に考える • 適合性(fitness)をキーワードに、論理的に繋がりのある競争 戦略を創造