1. 64 安居平五路（孔明、魏の大軍を撤退させ、呉と関係修復）
“安居平五路(屋敷から一歩の出ずに５つの軍隊を撤退させる)”策を
練る孔明(右)、策に熱中するあまり劉禅(左)が来たことも気づかない

2. 第 64 集 安居平五路（孔明、魏の大軍を撤退させ、呉と関係修復）2009.9.22 更新
―「3 時間で～」第 68、69 話参照
チャプター① 劉備の次男・劉永、三男・劉理を伴い、孔明ら病床の劉備を見舞う～
チャプター② 横たわる劉備、孔明を寝台近くに呼び寄せる～
チャプター③ 劉備の死を知らされた魏の曹丕、喜び「蜀を討とう！」と言うが...
チャプター④ 孔明に対魏防衛策を問いただす諸官の中、鄧芝は一人高笑い～
チャプター⑤ 孫権が蜀への返礼の使者を呼びかけると、張温、名乗り出る～
～解説「...呉からの救援の要請を受けた孔明は、趙雲を陽平関にやり曹丕を牽
制。ところがその時、蜀の南方で暴動が勃発。そこで再び趙雲を成都に呼び戻
し、南征に向うこととなった」。
本第 64 集のあらすじは以下の通り（１→５）：
１陸遜に敗れた劉備は、失意の中、孔明に太子・劉禅を託して白帝城で亡くなる。
２劉備が死んだと知った魏の曹丕は、早速蜀を攻めようと考える。そして司馬仲達の進言をいれ、
魏軍 1 万以外に、羌族の軍１万、南蛮の孟獲軍 1 万、投降軍である孟達軍 1 万、孫権軍 1 万の
合計 5 万の軍隊を編制する手はずを整える。
魏帝・曹丕に向かって、対蜀戦のための軍
の調達方法を説明する司馬仲達

3. ３しかし蜀の孔明は、以上 5 万の軍のうち孫権軍以外の 4 万の軍にそれぞれ牽制策をたて、見事
これらの軍を撤退させる。
蜀帝・劉
禅に、地
図を使っ
て魏軍の
撃退方法
を説明す
る孔明
そして孫権軍に対しては、鄧芝を説客にたて、呉に送り出す。鄧芝もまた見事孫権を説き伏せ、
呉蜀同盟を結ぶことに成功。
呉の孫権の｢釜
茹での刑｣（左
後方）の脅しに
も屈せず、とう
とうと呉蜀同
盟の利を説く
蜀の使者・鄧芝

4. ４四万の軍が撤退させられ、呉蜀同盟が結ばれたと知った曹丕は怒り狂い、再び仲達の意見に従
って、自ら船に乗り呉を攻撃。しかし、呉の武将の活躍と蜀からの牽制により、あえなく敗退
する。
５一方、蜀の南方で孟獲が、付近の太守を巻き込んで暴動を起こしたとの知らせが伝わる。孔明
は、魏を牽制するために陽平関に遣わした趙雲を呼び戻し、南征の途につくことを決意。
以上のあらすじを見て、二つの事が分かる：
一つは、孔明 VS 仲達の戦いは、後の北征(蜀魏戦争)から始まるのではなく、この時既に始まっ
ていたということ。ただし、両者とも戦場での直接対決ではなく、作戦上の勝負、一種の頭脳戦
であったこと。そしてその結果、孔明は仲達に対して二連勝していることである。
二つ目は、５の南蛮王・孟獲の反乱は、実は２の「仲達の入知恵による魏の対蜀戦」から火ぶた
が切られ、魏の対蜀戦がなくなった後もくすぶり続けた結果であることだ。
物語と物語が複雑に絡み合い、次のストーリーへといざなっていく。初めて読む人にとっては結
構ややこしい話だが、何度か読んだ人にとっては「何度読み返しても、新たな発見があって面白
い！」。そう、三国志演義とはそんな物語なのだ。