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29.呉王夫差、会稽にて越王句践を捕らえる
- 1. 春秋篇 第 29 集
会稽之恥(呉王夫差、会稽にて越王句践を捕らえる)
呉軍に破れ越国滅亡の危機に瀕し、一時は自決を考えた句践。
が、忠臣に励まされ、越国再建を心に誓う。
- 2. 第 29 集 会稽之恥(呉王夫差、会稽にて越王句践を捕らえる) -春秋篇-
―あらすじ―
内乱の知らせを聞いて急きょ楚から帰国した呉王・闔閭(こうろ)は、内乱の首謀者である弟・
夫椒(ふしょう)を殺し、呉は平和を取り戻した。しかし、闔閭は、内乱に乗じて呉に侵攻しよ
うとした越に対し、深い恨みを抱いた。
その九年後、越王・允常(いんじょう)が亡くなり、年若い太子・句践(こうせん)が越王の
位についた。闔閭は、
「好機到来」と喜び、喪中で余裕のない越国を一挙に滅ぼそうと考えた。そ
こで三万の軍を率い、檇李(すいり)という場所で越軍と対峙することになった。
ところが向こうからやって来たのは、越の正規軍ではなく、上半身裸で、右半身が黒くなった
男達である。
呉王・闔閭の前
で集団自殺を
演じようとす
る越の死刑囚
たち
そしてその先頭の男曰く:
「我々は越の死刑囚だ。越王句践の代わりに死ぬため、此処に来た。
(腰
の剣を抜き放って首にあてがい)呉王様、句践が刃向かった罪は、我々が血をもって償いますの
で、どうか越の人々が戦乱に巻き込まれないよう、お願いします」
そして、その男をはじめ、次々と剣を首にあてて倒れていく。その光景を見て呆気にとられ、
立ち尽くす呉の兵士たち。
しかし、伍子胥(ごししょ)は、この異常な光景の裏にあるトリックに気づき、大声を上げる:
- 4. こうして BC 494 年、軍備を整えた呉王夫差は、伍子胥を大将に、伯嚭(はくひ)を副将にして
越に攻め入った。対する越王句践は、敗戦につぐ敗戦。ついに敗残兵5千人を引きつれ会稽山(か
いけいざん)に篭もるが、そこを呉軍に取り囲まれ、絶体絶命の状況に陥った。
会稽山では、もう自決するしかないと考えた句践、妻達と共に死のうとする。と、そこへ家臣
の范蠡(はんれい)と文種(ぶんしょう)がやって来る。句践は、彼らの手にかかって死のうと
するが、范蠡は「越王様、それでは天下に面目が立ちません」と反対する。そこで、句践は五千
人の敗残兵と共に呉軍と決戦しようと考える。
しかし今度は文種に「それでは、五千名の者たちを無駄に死なせることになります。今はただ、
呉に対して降伏を願い出る道しかありません」と言われる。
「降伏を願い出る」という言葉に頭にきた句践、いきなり文種を斬りつけようとする。
怒 っ て 剣 を振 り 回 す
句践
が、范蠡はそれを止め「上に立つ者は、恥を耐え忍んでこそ大事をなすことができるのです。恥
に耐えられないようでは、国は滅びます」と諌める。そして「越王様、あなた様は、越国とご自
身の面子と、どちらが大切なのですか?!」と詰め寄る。
その言葉にハッと我に返った句践は、ついに呉に降伏する決意をする。そして降伏の意思を伝
えるよう、文種を呉軍に派遣するのであった。
一方、呉軍の方では、伍子胥が「越王句践に自決するよう説得に行かせて下ださい」と呉王夫
- 6. 越女達
の艶や
かさに
メロメ
ロにな
り、骨抜
きにさ
れてし
まった
呉王夫
差(中)
一方、句践を自殺に追い込もうとしていた伍子胥は、夫差が約束した八千の兵が集まらないこ
とに不審を感じ、夫差の幕屋に行こうとする。それを見て慌てて止める伯嚭。が、伍子胥は伯嚭
を押しのけて幕屋に入っていく。そして夫差が、越女たちと戯れている光景を目の当たりにし、
激怒して言う:
「呉王様、八千人の兵士たちの話は一体どうなったのですか?!」
それを聞いた夫差は、句践から送られてきた投降書を伍子胥に見せながら「もうその必要はな
くなった。さがっておれ」と言う。
「まさか、句践を殺さないおつもりではないでしょうね?!」と
伍子胥。しかし、夫差はそんな伍子胥を無視する。
堪りかねた伍子胥は例の言葉「夫差よ、句践がお前の父を殺した恨みを忘れたか!?」を口にす
る。と、さすがの夫差も急にシャキッとなり「いや、その事は片時も忘れは致しません」と反射
的に答える。
が、その後がいけない。その会話を傍らで聞いていた越女達は夫差をからかって言う:
「あの人
(伍子胥のこと)は呉王様のことを『夫差!』って呼び捨てにしていたわね。あの人は呉王様の
伯父様?それともお祖父様?」
「お祖父様にきまっているじゃない。だって王様を呼び捨てにする
のだもの」そして一斉にドッと笑う。