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【CEDEC2018】Scriptable Render Pipelineを使ってみよう
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2018/8/22に開催されたCEDEC2018の講演資料です。 講師:黒河 優介(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)
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【CEDEC2018】Scriptable Render Pipelineを使ってみよう
1.
2018/8/22 Scriptable Render Pipeline
を使ってみよう
2.
本日のアジェンダ • Scriptable RenderPipelineについて紹介 •
HDRenderPipelineについて紹介 • 独自のRenderPipelineの構築について紹介
3.
Scriptable Render Pipelineの紹介の 前に一旦デフォルトでの描画につい ておさらいします
4.
Unityデフォルトの描画について • 描画順の制御について • ライトの扱いについて •
Shadowの扱いについて
5.
描画順の話 基本的なルール Opaqueなオブジェクト:手前から奥へ → Depth Testで描画面積を減らすため Transparentなオブジェクト:奥から手前へ →描画の破綻を防ぐため
6.
Opaqueは、手前から奥へ
7.
Opaqueは、手前から奥へ
8.
Opaqueは、手前から奥へ
9.
Opaqueは、手前から奥へ Z-Bufferへの書き込み、ZTestを有効にしているので、 出来る限り Z-Testを有効活用して塗るピクセル数を減ら すために手前から奥へ描画するようにしている
10.
Transparentは、奥から手前へ
11.
Transparentは、奥から手前へ
12.
Transparentは、奥から手前へ
13.
Transparentは、奥から手前へ 奥から手前へ書くと 正しく描画されています 手前から奥へ書くと 重なった部分の描画が破綻し ています
14.
もう少し細かく描画順の制御をしたい場合 • 複数のCameraを置いてDepth値で制御 • RendererのsortingLayerNameで制御 •
RendererのsortingOrderで制御 • MeshRendererのsortingOrderで制御 • Material.renderQueueで制御
15.
もう少し描画順の制御をしたい場合 地面の部分は3つのオブジェクトを描画後に描画して、塗るピクセル数を 減らしてほしいが、一番最初に描画されてしまっています。
16.
もう少し描画順の制御をしたい場合 これはRendererのBoundingBoxの中心位置で手前・奥の判定を行ってい るため、地面が一番手前と判定されてしまっています。
17.
理想の描画の形 まず最初に三つのオブジェクトが描画されて…
18.
理想の描画の形 その後に地面が描画されることが理想形です。
19.
Unityのルールを熟知していないと 描画の順番が制御できない…
20.
ライトの扱いについて ポイントライトは、「vertexベースでのライティング」 もしくは「明るい部分の加算合成での処理」を行います
21.
明るい部分の加算合成 このようにポイントライト3つ あるシーンを描画する場合…
22.
明るい部分の加算合成 まず、ポイントライト適応前の状態を描画します
23.
明るい部分の加算合成 その後、ポイントライト一つ一つ当たった状態のオブ ジェクトを描画して加算合成していきます。 そのため余計な描画負荷を伴います
24.
Point Light....
25.
Shadowの扱いについて Shadow周りの処理は、ほとんどブラックボックス QualitySettingsで設定を弄ることは可能
26.
もう少しShadow弄りたい…
27.
これまでのUnityでは、描画に関する 値の設定は出来ました。 が、描画処理自体はエンジン内部で 閉じておりブラックボックスでした。
28.
Scriptable Render Pipeline
では エンジン自体の内部で閉じていた描 画に関する処理をスクリプトで書け るようになりました
29.
SRPの機能紹介 • Unityの内部エンジンで行われていた描画の下記処理の流れをスク リプトでカスタマイズ出来るようになる機能がSRPです • カリング •
オブジェクトのレンダリング • Shadowの処理 • ポストプロセッシング
30.
SRPでは描画の流れをスクリプトで書けます // 描画時にコールバックされます。引数contextに対して描画命令を発行していきます void Render(ScriptableRenderContext
context, Camera[] cameras) { foreach (var camera in cameras){ // まず Camera毎のShader のパラメーターセットアップして… SetupShaderParams(camera); // スクリプトで決めたルールでカリングをして… var res = CullResults.Cull(ref cullingParams, context, ref cull); // そしてカリングして得た Rendererを引数で指定したルールで描画します context.DrawRenderers(res.visibleRenderers, ref settings, filterSettings); } }
31.
LWRPとHDRPについて ここまでSRPの紹介をしてきましたが、すべてを0から設計・構築 するのは敷居が高いです。そのため、Unity側で用意したテンプレー トが二つあります。 ・モバイル等に向けた軽量レンダリングパイプライン LightWeithRenderPipeline(LWRP) ・ハイエンドに特化したレンダリングパイプライン HDRenderPipeline(HDRP)
32.
LWRP と HDRP
33.
LWRP/HDRPの導入について • PackageManagerで取得して取り込む • トラブル少なく導入したい場合はコチラがオススメ •
githubからソースを取得してプロジェクト下に配置 • カスタマイズ等を考えている場合はコチラ https://github.com/Unity-Technologies/ScriptableRenderPipeline
34.
PackageManagerからLWRP/HDRPの導入 PackageManagerよりInstallする だけです
35.
LightWeightRenderPipeline(LWRP)の紹 介 Unityの標準(Built-In)のRenderPipelineのサブセットとし て作成されました。 一部機能を意図的に除外した形となっており、その分パ フォーマンスは標準のよりも良いものになっています。 標準とLWRPの機能比較は下記URLより https://blogs.unity3d.com/jp/2018/02/21/the-lightweight-render- pipeline-optimizing-real-time-performance/
36.
標準パイプラインとLWRPの機 能比較表を公開しています https://blogs.unity3d.com/jp/2018/02/21/the- lightweight-render-pipeline-optimizing-real- time-performance/
37.
HD RenderPipelineの紹介 https://keijiro.github.io/cedec-hdrp-deck
38.
SRPの作成方法 1.RenderPipelineAsset/RenderPipelineを継承したクラスを それぞれ独自に定義します 2. RenderPipelineAssetを継承したクラスのAssetを作成し、 GraphicsSettings.renderPipelineAssetにセットします 3.Shaderを独自のRenderpipelineに合わせて、 LightModeの書き換えます
39.
1.継承したクラスを定義します [ExecuteInEditMode] public class MySRPAsset
: RenderPipelineAsset{ protected override IRenderPipeline InternalCreatePipeline(){ return new MyScriptableRenderPipelineInstance(); } } public class MyScriptableRenderPipelineInstance : RenderPipeline{ // 描画のタイミングでコールバックされます public override void Render(ScriptableRenderContext context, Camera[] cameras){ base.Render(context, cameras); foreach (var camera in cameras){ // 描画処理をここに書いていきます } } }
40.
2-1. GraphicsSettingsで設定 var instance
= ScriptableObject.CreateInstance<MySRPAsset>(); AssetDatabase.CreateAsset(instance, "Assets/MyScriptableRenderPipeline.asset"); 上記のようなEditor拡張で、独自の RenderPipelineAssetのアセットを作成します
41.
2-2. GraphicsSettingsで設定 先ほど作成したRenderPipelineAssetを指定します
42.
3. Shaderの書き換え RenderPipeline側で Rendererを描画するときの設定に、ShaderPassName を渡しています。そうすることで、任意の順番でのPass描画が可能になっ ています。 そのため、Shader側にはPassの名前をLightModeで明示的に指定する必要 があります。
43.
var settings =
new DrawRendererSettings(camera, new ShaderPassName("BasicPass")); settings.sorting.flags = SortFlags.CommonOpaque; var filterSettings = new FilterRenderersSettings(true) { renderQueueRange = RenderQueueRange.opaque, layerMask = 1 << LayerDefine.BG }; context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref settings, filterSettings); SubShader{ Tags { "Queue"=“Geometry" "RenderType"=“Opaque"} Pass{ Tags { "LightMode" = "BasicPass"} ....処理等 } } C#側の処理 Shader側
44.
var settings =
new DrawRendererSettings(camera, new ShaderPassName("BasicPass")); settings.sorting.flags = SortFlags.CommonOpaque; var filterSettings = new FilterRenderersSettings(true) { renderQueueRange = RenderQueueRange.opaque, layerMask = 1 << LayerDefine.BG }; context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref settings, filterSettings); SubShader{ Tags { "Queue"=“Geometry" "RenderType"=“Opaque"} Pass{ Tags { "LightMode" = "BasicPass"} ....処理等 } } C#側の処理 Shader側 描画設定で指定したShaderPassName と ShaderのLightModeを一致させる必 要があります。
45.
SRP導入に当たっての注意点
46.
SRPの注意点① Cameraのコールバック系は呼び出されなくなります。 そのため、ImageEffect系の実装をし直す必要があります。 public class MyScriptableRenderPipelineInstance
: RenderPipeline{ // 描画のタイミングでコールバックされます public override void Render(ScriptableRenderContext context, Camera[] cameras){ base.Render(context, cameras); foreach (var camera in cameras){ // 描画処理をここに書いていきます } // ImageEffect等の実装はココで実行されるようにする等が必要です } }
47.
SRPの注意点② Surface Shaderは対応していません。 SRPでは、vertex shader
/ fragment shaderもしくは、 2018.1からの新機能ShaderGraphでのShader記述に置き 換える必要があります。
48.
RenderPipeline作成事例 • 0から独自のRenderPipeline自作した話 • LWRPをベースにRenderPipelineをカスタムした話
49.
0から独自のRenderPipelineを自作した話
50.
板ポリゴンで描画しているだけ キャラクターは板ポリゴンに スプライトを貼っただけ
51.
通常のRenderPipelineでは…
52.
通常のRenderPipelineでは… Transparentは奥から手前を 遵守します
53.
通常のRenderPipelineでは… Materialの切り替えを都度しな がら奥から手前へ描画します
54.
通常のRenderPipelineでは… そのため、描画するのに非常に多くの Material切り替えが発生しました
55.
Material切り替え抑えたい… 「奥から手前」 このルール何とかしたい…
56.
Scriptable Render Pipelineなら 「奥から手前」ルールも変更 できます!!
57.
描画するときの設定で… var pass =
new ShaderPassName("BasicPass"); var settings = new DrawRendererSettings(camera, pass); settings.sorting.flags = SortFlags.CommonOpaque; var filterSettings = new FilterRenderersSettings(true){ renderQueueRange = RenderQueueRange.transparent, layerMask = 1 << LayerDefine.BG }; context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref settings, filterSettings);
58.
描画するときの設定で… var pass =
new ShaderPassName("BasicPass"); var settings = new DrawRendererSettings(camera, pass); settings.sorting.flags = SortFlags.CommonOpaque; var filterSettings = new FilterRenderersSettings(true){ renderQueueRange = RenderQueueRange.transparent, layerMask = 1 << LayerDefine.BG }; context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref settings, filterSettings); 描画する時のShaderのPass名 を指定できます
59.
描画するときの設定で… var pass =
new ShaderPassName("BasicPass"); var settings = new DrawRendererSettings(camera, pass); settings.sorting.flags = SortFlags.CommonOpaque; var filterSettings = new FilterRenderersSettings(true){ renderQueueRange = RenderQueueRange.transparent, layerMask = 1 << LayerDefine.BG }; context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref settings, filterSettings); 描画する時のソート順を指 定できます
60.
描画するときの設定で… var pass =
new ShaderPassName("BasicPass"); var settings = new DrawRendererSettings(camera, pass); settings.sorting.flags = SortFlags.CommonOpaque; var filterSettings = new FilterRenderersSettings(true){ renderQueueRange = RenderQueueRange.transparent, layerMask = 1 << LayerDefine.BG }; context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref settings, filterSettings); 描画する対象のオブジェクトの Opaque・Transparent等を指定 できます。
61.
描画するときの設定で… var pass =
new ShaderPassName("BasicPass"); var settings = new DrawRendererSettings(camera, pass); settings.sorting.flags = SortFlags.CommonOpaque; var filterSettings = new FilterRenderersSettings(true){ renderQueueRange = RenderQueueRange.transparent, layerMask = 1 << LayerDefine.BG }; context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref settings, filterSettings); Layer単位で描画するオブジェクト を切り替えられます。
62.
Z Pre-Passを仕込んでおきます
63.
SubShader{ Tags { "Queue"="Transparent"
"RenderType"="Transparent"} // Z Pre-Pass Pass{ Tags { "LightMode" = "ZPrepass"} ZWrite On ColorMask 0 //...実際の処理 } // 実際の描画用のパス Pass{ Tags { "LightMode" = "BasicPass"} ZWrite Off ZTest Equal Blend SrcAlpha OneMinusSrcAlpha //...実際の処理 } }
64.
C#側にも仕込みを・・ // ZPrepassの描画 var zprepass
= new ShaderPassName("ZPrepass"); /** ZPrepassの描画設定を行う処理... */ context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref zPreSettings, zPreFilterSettings); // 実際の描画用のパス var basicpass = new ShaderPassName("BasicPass"); /** 実際の描画設定を行う処理... */ context.DrawRenderers(cull.visibleRenderers, ref basicSettings, basicFilterSettings);
65.
SRPでどう変わったか 見ていただきましょう
66.
先に Depth値だけ書き込みます αが一定値以下の場合はdiscard して描画を行うShader Pass 「ZPrepass」で一旦キャラク ターを描画します。 ※Z
Bufferの様子です
67.
その後床を描きます その後 床を描画します
68.
その後キャラクターを描きます キャラクターを通常のShaderPassで描画します。 この時、マテリアル切り替えを最小に抑える順番になるように sorting.flagに「SortFlags.OptimizeStateChanges」を指定します
69.
その後キャラクターを描きます 最後に影を描画します
70.
Z Pre-Passを導入したので、 その後の描画時に「奥から手前」 を遵守しなくても絵が破綻しない ※αでの半透明がない前提です…
71.
何でソート適当でも絵が破綻しないのか? Z BufferのZ値と一致した部分のピクセルでない と、Zテストを通らず、ピクセルが塗られないた め絵が破綻しません
72.
結果 Material切り替えが減り 描画負荷が激減しました
73.
LWRPをベースにカスタムした話 背景からキャラクター。 キャラクターから背景への影 はリアルタイムShadowで、他 は焼いたShadowです。
74.
LWRPをベースにカスタムした話 わかりやすくするため、 リアルタイムのShadowのみ青 くしました。
75.
つまり… ■事前に焼いたShadowを利用 背景オブジェクト → 背景オブジェクト ■リアルタイムのShadow 背景オブジェクト
→ キャラクター キャラクター → 背景オブジェクト キャラクター → キャラクター
76.
LWRPそのままだと… 焼いたShadowの上からリアル タイムのShadowも描いてしま います
77.
LWRPそのままだと… それを防ごうとすると、 キャラクターへのShadowが なくなってしまいます
78.
何故、そんな事したいの? • キャラクターの周りだけをリアルタイムShadowにして影自体の描 画負荷を少し抑えようというアイディアです • キャラクター周りのみで済むのでShadowの解像度も抑えられる •
背景の影は事前に焼いた影なので高品質を保てる
79.
カスタマイズしたパスについて① 始めにキャラクターだけの ShadowMapを生成します
80.
カスタマイズしたパスについて② キャラクターだけのShadowMapを 適応して背景を描きます
81.
カスタマイズしたパスについて③ キャラクターだけのShadowMapに 背景オブジェクトも描き足します。
82.
カスタマイズしたパスについて④ 最後にキャラクターを描画します。
83.
ざっくりの処理流れ // 描画時にコールバックされます。引数contextに対して描画命令を発行していきます void OnRender(ScriptableRenderContext
context, Camera[] cameras) { foreach (var camera in cameras){ // 「Chara」レイヤーだけ先にShadowを処理します ShadowPass( 1 << Layers.Chara); // 「Chara」レイヤー以外のオブジェクトをレンダリングします DrawObjects( ~( 1<< Layers.Chara) ); // 「Chara」レイヤー以外のShadowを処理します ShadowPass( ~( 1 << Layers.Chara) ); // 「Chara」レイヤーのオブジェクトだけをレンダリングします DrawObjects( 1<< Layers.Chara ); } }
84.
その他 応用例 通常では、SelfShadowが発 生してしまいます 今回の特殊パスを用いれば、 キャラクターのSelfShadowのみオフ に出来ます
85.
GithubからLWRP導入時にハマった事 • GithubからLWRPを導入したときに下記のように Shaderエラーが多発しました。 「ShaderIncludePath」で正しいパスが指定されていな い場合があります。
86.
[ShaderIncludePath]属性について • UnityのShaderのincludeのルートパスを複数指定でき るようになりました。 • これにより「Assetsからの絶対パスを都度書く」
or 「相対パス を気にしながら書く」必要がなくなりました • UnityのLWRP/HDRPはコチラの仕組みを利用して、Includeを省 略して記述しています。
87.
[ShaderIncludePath]属性について public class ShaderIncludePathSetting{ [ShaderIncludePath] public
static string[] GetPaths(){ return new[]{ "Assets/SRP/Core/", "Assets/SRP/LightWeightPipeline/", }; } } Shader内のincludeをコチラからの相対パスで 指定できるようになります。
88.
SRPの登場により、Shadow Pass を自由に制御出来るようになった ので、新しい表現も可能に!
89.
ScriptableRenderPipelineまとめ • 過去の資産との整合性なくなりますので、既存のプロジェクトか らの乗り換えは苦労を伴います。 • スクリプトで描画の制御が出来るようになりましたので、より豊 かな表現、アプリケーションに合わせた描画の最適化も可能にな りました •
Unityからは 「ハイエンド向けのHDRenderPipeline」、 「全デバイス向けの LightWeightRenderPipeline」の二種類テンプ レートを用意しています。
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