経営分析論Ⅱ⑦
損益分岐点分析①

企業の利益計画策定に有用な手法
• 目標利益の設定→短期利益計画の策定

→売上高と生産高,コストの計画を策定する。
• 損益分岐点(CVP)分析

費用と収益が分岐する点を算定するための分析

損益分岐点を算出する過程を通じて原価(Cost),操業度・生産量
(Volume),利益(Profit)の関係を分析する。

→短期利益計画設定の技法として使われる。
• 固定費と変動費

固定費:操業度の増減に関わらず総額で変化しない原価

変動費:操業度の増減に応じて比例的に変化する原価
損益分岐点分析の経営への活用
• 貢献利益(限界利益)=売上高 − 変動費
• 損益計算書を用いて概念整理をすると,
損益分岐点分析の経営への活用
売上高
売上原価
売上総利益
販管費
営業利益
1,000,000
500,000
500,000
300,000
200,000
売上高 1,000,000
営業利益 200,000
変動費
貢献(限界)利益
固定費
600,000
400,000
200,000
• 損益分岐点図表
損益分岐点分析の経営への活用
金額
売上高(操業度)
固定費
変動費
損益分岐点
売上高線
利益
• 損益分岐点売上高

損益分岐点− 固定費 − 変動費= 0(ゼロ)
目標利益達成へのアプローチ
・固定費の削減
 例)人件費の見直し
・変動費の削減

 例)製造単価の引き下げ
・売上高の増加
 例)販売価格の見直し
損益分岐点分析の経営への活用
• 損益分岐点図表で貢献利益の意味を理解する。
金額
売上高(操業度)
固定費
変動費
営業利益
←貢献利益
売上高線
• 貢献利益は,固定費を賄い,かつどれだけの営業利益を

生み出しているのかを測定する指標である。
• 貢献利益の意味を図示して考える。
 売上高
1,000,000
変動費
600,000
貢献利益
400,000
貢献利益
400,000
固定費
200,000
営業利益
200,000
固定費
300,000
100,000
貢献利益に占める固定費の割合が大きくなると,営業利益が小さくなる。
損益分岐点分析の経営への活用
☞ 固定費を小さくすることができれば営業利益を増やすことができる。
利益計画
損益分岐点分析の経営への活用
• 自動車産業の収益構造から,損益分岐点分析の意義を
考えてみよう。
販売計画
生産計画

設備投資
人員計画
• 例題を解いてみましょう。
• 例題の解答

損益分岐点での売上数量をXとすると,損益分岐点売上高は

利益ゼロの点である。よって,

 400X = 300X + 3,000,000

  100X = 3,000,000 X = 30,000
損益分岐点分析の経営への活用
損益分岐点売上高 =
固定費
貢献利益率
=
固定費
1 −
変動費
売上高
損益分岐点売上高は

12,000,000円
• 変動費,固定費が情報として与えられている際の

損益分岐点売上高の求め方
損益分岐点分析の経営への活用
• 例題②を解いてみましょう。
• 例題②の解答

先の式にそれぞれの式を代入すると,
損益分岐点売上高 =
700,000
500,000
1,000,000
= 1,400,000
現在の計画では20万円の赤字になるが,140万円以上売り上げる

計画を立てれば損益分岐点を超える(利益が生まれる)。
1−
• 固定費,変動費の増減

固定費が高くなると経営の不安定さが増す。

 例)装置産業(鉄鋼,石油化学,映画館,遊園地)

→売上高,変動費,固定費,目標利益の関係を考える。
• 例題の続き

③ 例題②で,固定費が200,000円増えて900,000円になると

 損益分岐点売上高はいくらになるか。



④ 例題②で,変動費が200,000円減少して300,000円になったとき,

 固定費が変わらないとすると損益分岐点売上高はいくらになるか。
損益分岐点分析の展開と前提
• 解答

①固定費が増加したとき
損益分岐点分析の展開と前提
損益分岐点売上高 =
900,000
= 1,800,000
0.5
金額
売上高(操業度)
固定費
変動費
損益分岐点
売上高(操業度)
固定費
変動費
損益分岐点
1,400,000
700,000
900,000
1,800,000
損益分岐点分析の展開と前提
②変動費が減少したとき
損益分岐点売上高 =
700,000
= 1,000,000
0.7
売上高(操業度)
固定費
変動費
損益分岐点
700,000
1,000,000
損益分岐点
1,400,000 変動費
•目標利益売上高の算定

短期利益計画では目標利益を定める必要がある。

→損益分岐点分析に目標利益を付け加えれば,

 目標利益売上高を算出できる。
損益分岐点分析の展開と前提
目標利益売上高 =
固定費+目標利益
1 −
変動費
売上高
• 例題を解いてみましょう。
• 解答

目標利益は貢献利益の増加と考えればよい。したがって,下記のような

計算式になる。
損益分岐点分析の展開と前提
目標利益売上高 =
700,000+100,000
1 −
500,000
1,000,000
= 1,600,000
売上高 1,000,000
営業利益 △200,000
変動費
貢献利益
固定費
500,000
500,000
700,000
売上高 1,600,000
営業利益 100,000
変動費
貢献利益
固定費
800,000
800,000
700,000
• 一定の目標売上利益率を達成するための売上高
損益分岐点分析の展開と前提
目標売上利益率の売上高 =
固定費
− 目標売上利益率
• 例題を解いてみましょう。
• 解答
目標売上利益率の売上高 =
700,000
1 − 50%(変動費率) − 15%
= 700,000÷0.35
= 2,000,000
貢献利益率
損益分岐点分析の展開と前提
• 安全余裕率

計画売上高と損益分岐点売上高の関係から,企業の安全性を

示す指標として用いられる。
安全余裕率 =
計画売上高
計画売上高 − 損益分岐点売上高
損益分岐点比率 =
現在の売上高
損益分岐点売上高
• 損益分岐点比率

損益分岐点の売上高が現在の売上高の何%水準かを表すもので,

この比率が低いほど企業の収益構造が優れていると言える。

損益分岐点分析の展開と前提
• 例題を解いてみましょう。
=
2,000,000
1,400,000
= 70%
• 解答
安全余裕率 =
2,000,000
2,000,000−1,400,000
= 30%
損益分岐点比率
•演習問題解答

①損益分岐点の売上高(と販売量)

損益分岐点分析の展開と前提
損益分岐点売上高=
貢献利益率
固定費
で求められる。
貢献利益率=
売価 − 変動費
売価
=
@400 − @120
@400
= 0.7
よって,
損益分岐点売上高=
0.7
42,000
=60,000円
このときの,販売量は,60,000 ÷ @400円 = 150個
損益分岐点分析の展開と前提
• 解答(つづき)

②目標利益140,000円を達成するための売上高と販売量
目標利益における売上高=
貢献利益率
固定費+目標利益
で求められる。
目標利益売上高=
42,000+140,000
0.7
= 260,000
よって,
このときの,販売量は,260,000 ÷ @400円 = 650個
損益分岐点分析の展開と前提
•解答(つづき)

③目標利益率 45%を達成するための売上高と販売量

目標利益率における売上高
貢献利益率 − 目標利益率
固定費
で求められる。
目標利益率売上高=
42,000
0.7 − 0.45
=168,000
よって,
このときの,販売量は,168,000 ÷ @400円 = 420個
=
•解答(つづき)

④安全余裕率

安全余裕率
予想売上高
予想売上高 − 損益分岐点売上高
で求められる。=
損益分岐点分析の展開と前提
安全余裕率=
200,000 − 60,000
200,000
=70%
よって,

2015経営分析論ⅱ⑦