日本心理学会第84回大会 (2020年) の公募シンポジウム「心理統計の学習方略を議論する：統計とうまくつきあえるユーザーを増やしていくために」より，小杉 考司 先生 (専修大学) による指定討論スライドです。

1. 指定討論
小杉考司（専修大学）
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日本心理学会第84回大会公募シンポジウム
心理統計の学習方略を
議論する
ニワカ笑うなきた道だ 古参笑うな行く道だ
「罪と罰」から「愛とユーモア」へ

2. 人生いろいろ
• 樫原さん
• 専門家のSVを受けながらチョー努力されているスーパーマン
コース（板前さんコース）
• 徳岡さん
• 乏しい学習環境の中で自ら動いて自分なりの筋道を見つけた
苦労人コース（家庭料理のベテラン）
• 北條さん
• 専門性へのリスペクトと分業制を求めるエリートコース（調理師
専門学校）
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3. 学びの障壁
• お三方とも能動的・主体的に動く学徒のあるべき姿
• 「学ばねば」という強い意志はどこから？私はネーミングから。
• やる気になれば何でもできる。しかしやる気スイッチはどこ？
• 三つの越えるべき壁
• 数理的な理解 → より高度に，複雑に
• ソフトウェアへの習熟 → プログラミング技術の習得！
• 面白がる精神 → 叱る前に育てないと（榊教授）
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4. ＞樫原さん
• 本人の努力と嗜好性に合った，良いトレーニング法だとおもいます。
• 優れたSVがそばにいて欲しい，というのはみんなの願いではないでしょ
うか。逆にいうと，環境的な有利/不利が大きいポイント。
• 独学でも，数学的な基盤を辿ればもちろん可能ですが，専門用語を日常用
語に翻訳すると語弊が入り込む隙があちこちにできる。これが学ぶときの
怖いポイントで。
• 多読のアプローチは日常用語から進んだ例として，非常に興味深いです。
あえて指摘するなら「これは万人に勧められるメソッドでしょうか？」
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5. ＞徳岡さん
• 樫原さんへの問いに対する答えのひとつ。環境的・制度的に整っていない
ルートを歩いて自分で道を作ってこられたケース。すばらしい。
• ただ，私見では全体を通じたストーリーは業界にもないんではないか，と
思ってます。統計の道は頂上への一本道ではないんじゃないの？
• メトリシャンもオールラウンダーばかりではない。料理もフレンチ，中華料
理，トルコ料理とあるように。これからますます細分化して行く可能性も。
• 線形モデルを軸に展開していくと比較的太い道幅のストーリーはできるか
も。徳岡さん，ぜひ入門書書いてください。
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6. ＞北條さん
• 「とにかく手を動かせ」「人に聞いて回れ」「ひたすらがんばれ」。これは正解
＆王道だけど，馬を水飲み場に連れて行くことはできても，飲ませることは
できない。
• 帰無仮説検定が1bit判断になることが問題であるように，「メトリシャン」と
「心理学者」という二分法が学びにくい・聞きにくい環境をつくるそもそもの
土壌では。
• 統計はプロでも間違えることの多い学問領域。超人を期待する側，される側
に分断すると，どっちも苦しいことになるのでは。
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非常に
心理統計的
非常に
心理学的
かなり
心理統計的
かなり
心理学的
やや
心理統計的
やや
心理学的

7. メトリシャンってどういう人材？
• 【私見】メトリシャンは「このデータ（素材）ならあーしてこーして」とアイ
デアを広げていくのが楽しい人たちじゃないかなあ。で，一緒に遊んで
くれる人がいたら嬉しいな，と思っている。
• そんな人いらない？必要とされているのは統計技師？（ミスター味っ
子よりUber Eats？）
• 統計技術はより高度になってきているので，メトリシャンが研究チーム
に入るのはいいと思うが，計算機や歩く教科書として欲しがる（欲しが
られる）のではなく，クリエイティブな仲間としてつながっていきたい。
• 統計が好きな心理学者（心理→統計）と応用が好きなメトリシャン（統
計→心理）の双方の歩みよりを活性化する方法を考えたほうがよい。
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8. みなさんに考えて欲しいポイント
• Q1[学習]：ご自身のやる気スイッチの入れ方を教えてください。「気がついたらマッ
チョになってました」というのでは素人目には信じられません！
• Q2[研究]：心理統計を学ぶ王道，そもそも存在するのでしょうか。非線型モデルの世界
も視野に入れると，もはや一本道でたどり着けるルートはないようにも思えてきまし
た。最初の入り口だけでも統一できますか？
• Q3[運営]：大学や学会などの組織的なレベルで必要とされているのは，どういう授業・
人材・サービスであるべきなのでしょうか。短期・中期・長期的な提言をお願いします。
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