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10.晋の献公、驪姫に惑わされて国を乱す
- 1. 春秋篇 第 10 集
驪姫乱晋(晋の献公、驪姫に惑わされて国を乱す)
太子・申生を自殺に追い込んだ上
公女・伯姫を殺そうとする驪姫
- 2. 第 10 集 驪姫乱晋(晋の献公、驪姫に惑わされて国を乱す) -春秋篇-
―あらすじ―
時代は少し前に戻る。斉の桓公が存命していた頃、晋では献公が在位していた。献公には申生
という太子の他、重耳、夷吾など成人した公子らがいた。
ところが、献公が即位して 15 年目の年、彼は驪戎国を討ち、驪戎国は晋と講和するため驪姫と
少姫という美貌の姉妹を献公に差し出した。献公はとりわけ驪姫が気に入り、間もなく二人の間
に奚斉という公子が生まれる。すると献公は申生を廃して奚斉を太子に立てたいと思うようにな
る。
しかし、理由なく申生を廃す訳にはいかないため、献公は占い師に吉凶の判断を依頼する。が、
結果は凶ばかり。ついに無理やり大吉にしたてた献公、満足げに驪姫の元に戻り「奚斉擁立は吉
だ」と告げる。
ところが、狡猾な驪姫は、心の中では奚斉擁立を望みながら、献公の前では逆に申生をかばい、
奚斉擁立に反対の意を唱える。そしてその一方、献公をそそのかして太子・申生、公子・重耳、
夷吾らをそれぞれ曲沃、蒲城、屈城の守備に当たらせるという口実で追い出し、献公と離間させ
ようと図る。
驪姫の陰謀により、それぞれ曲沃、蒲城、屈
城に赴任するよう命じられる申生、重耳、夷
吾
ところで、献公には梁五と東関五というお気に入りの家臣がおり、二人は献公の寵愛を盾に権
勢を振るっていた。やがて驪姫はこの二人を味方につけ、我が子・奚斉の太子擁立の障害となる
太子・申生を何とか亡き者にしようと図る。
そして、梁五・東関五らの入れ知恵により、驪姫は申生に次のように告げる:
「あなたの父君(献公)は近頃、亡くなられた斉姜夫人(献公の前妻/申生の母)の夢を見られたそう
です。さっそく斉姜様のお墓にお参りなさいませ」
- 4. 毒入りの肉を食べて自殺するふ
りをする驪姫
一方こちらは申生の部屋。申生と守役の杜原款が座って話し合っているところへ、一人の家臣
が転がり込んで来る。曰く:
「大変です。申生様が献上なさった肉に毒がもられ、献公様の猟犬が
それで死にました。献公様はたいそうお怒りになり、申生様を捕らえようとされています」
驚いた申生、しかしここで逃げれば父殺しの罪を認めることになる。さんざん迷うが、守役の
杜原款に説得され、ついに裏門から逃げ出す。一方、杜原款の方は追っ手の行く末を阻んだため
切り殺されてしまう。
申生が逃げたとの報告を受けた献公、案の定、申生が自分を殺そうと企んだのだと思い込む。
するとその時、公子の重耳と夷吾が都にのぼってきているとの報告を受ける。実は、驪姫と組ん
だ梁五・東関五が、重耳と夷吾をも陥れるため、献公からの呼び出しだと偽って二人を呼び寄せ
たのだ。
そうとは知らない献公、突然二人がやって来た理由が分からず訝しがる。そこへ梁五がすかさ
ず「これはきっと申生と事前に打ち合わせ、共に謀反を図るつもりで来たのでしょう」と断言。
傍でそれを聞いていた晋の老臣・狐突は怒ってそれを否定するが、梁五は巧みにそれをかわす。
ついに献公は言った:
「分かった。それでは城門を開いて二人がやって来るかどうかを見てみよ
う。やって来ればよし、もし途中で逃げ出すようなことがあれば、やはり申生と共謀していたに
違いない」
- 5. 「(もし、重耳と夷吾が
逃げ出すようなことが
あれば)、奴らはきっと
申生と示し合わせ、良か
らぬ企みをしていたに
相違ない」と晋献公
さて、こちらは裏門から脱出した申生、馬車をひた走りに走らせていると、向こうから2台の
馬車が来る。半狂乱の申生は、てっきり自分を待ち伏せしていた者だと思い込み、剣を振り回し
て抵抗する。が、その馬車に乗っていたのは公子の重耳と夷吾だった。しかし、それも気づかず
二人に向って威嚇する申生、重耳に一喝されてハッと目が覚める。
驪姫一味におびき寄せ
られた重耳(中)と夷吾
(右)、晋宮から逃げ出し
てきた申生(左/頭)と鉢
合わせする
こうして三人はお互いの状況を話し、みな驪姫一味の仕組んだ罠にはまったことを悟る。三人
のうち、逃げ足の速い夷吾はサッサとその場を立ち去るが、思慮深い重耳は「逃げれば罪を認め
ることになるが、とどまれば逆に父君に真実を知らせることができる」と考え、とどまろうとす
- 6. る。しかし、申生の方は既に現状に絶望しており、
「あの驪姫の手にかかれば、真実を父君に伝え
る前に殺されるに違いない」と言って、重耳にも逃亡を勧める。そして自分はその場で自害して
果てる。そうこうしている内にも、申生を追う追っ手が刻一刻と近づいてくる。どうしようもな
くなった重耳、ついにその場をあとにする。
夷吾と重耳が逃亡したと聞いた献公、
「それ見ろ、やはり二人は申生とグルだったのだ」と老臣・
狐突に嫌味を言うが、狐突は梁五を横目で見ながら「いや、これはきっと誰か、悪い家臣が偽の
おふれを出してお二人を呼び寄せたのでしょう」と言い張る。それを聞いた梁五、逆に「狐突殿
のお言葉は、まるで献公様は、悪い家臣を近づける馬鹿者だと言っているようなもの。献公様に
失礼ですぞ!」と言って狐突の口を封じ、献公には「申生が自殺して果てたとは言え、仲間であ
る重耳と夷吾は、それぞれの居城に立てこもって抵抗いたしましょう。今後が危のうございます」
と言って献公に追討軍を出すよう仄めかす。
その結果、重耳の居城・蒲城に勃鞮を長とする追討軍が送られ、
根拠地・蒲城に戻った重耳(左/
白服)と優秀な部下たち
重耳はあわやと言うところで辛うじて蒲城を脱出。こうして重耳一行は放浪の旅に出る。そして
その時、重耳は既に 43 才になっていた。
一方、献公の夢枕に申生の亡霊が現れ「天帝から晋の内情を報告するようお召しがありました
ので、今から行って参ります」と献公に告げて消える。驚き恐れる献公の前に梁五が現れる。そ
こで献公、梁五に「肉に毒をもったのは一体誰だったのだ?」と問い詰めると、梁五は、驪姫が
やったとばらしてしまう。
夜、湖のほとり。驪姫に言い含められた下女が、梁五と東関五をおびき寄せ、湖に突き落とす。