群雄1
- 2. 東周列国とは?
東周列国とは、東周時代の各諸侯国という意味。では東周時代とはどの様な時代なのか、そして
どの様な諸侯国が存在したのか、これらについてはあまり知られていない。だからここでは先ず、
東周時代とは何か、その位置づけを明らかにしてみるつもりだ。
また DVD 東周列国は、
「東周列国志」という本に基づいて作られている。そこで、次に書籍である
東周列国志と DVD の東周列国の二つに分けて解説してみよう。
東周時代
中国の古代王朝を見てみると、夏→殷(商)→周とつづく。そして周の前半は鎬京を都として西周
と呼ばれ、後半は洛陽を都として東周と呼ばれる。DVD 東周列国の東周は正にこの洛陽を都とする周
の名称なのだが、ではどうして「東周」+「列国」というタイトルがついたのだろう? それには
訳がある。以下の表を見てほしい:
周 西周(約 300 年) -周王室が威信を保っていた時代
東周(約 500 年) 春秋(約 300 年) - 各国諸侯が覇権を争い、この世の春を謳歌してい
た時代
戦国(約 200 年) - 秦が強大になり、他の諸侯国をどんどん併合、最
後には全国を統一する過程
つまり、東周時代とは春秋・戦国時代のことであり、周の威信は地に堕ち、諸侯国(列国)が生き残
りを賭け、時には意気揚々と、時には血みどろになって戦う時代なのである。
東周列国志(書籍)
同書の成立には次のような変遷がある。すなわち、明代中期に余邵魚が「列国志伝」という書を
まとめ、明末の馮夢龍(注1)がそれを改編して「新列国志」という名に変え、さらに清代に入って
蔡元放がそれに修正を加えて「東周列国志」という名前にして今日に至っている。
(注 1) 馮夢龍(1574 年-1645 年)、蘇州の人。この「新列国志」以外に「三言」(そのうちの一言
「喩世明言」の「羊角哀と左伯桃」は「DVD 三国志 付録」で既に紹介)といった宋・元・
明代の短編小説集の編集でも有名
また東周列国志は三国志演義と同様、章回小説(章を分けて事件を叙した口語体の小説)で、全部
で 108 回。本のボリュームは演義より少し分厚い。
内容は、西周の滅亡を間近に控えた BC789 年から始まり、秦の始皇帝が全国を統一する BC221 年
までの東周(春秋戦国)の諸侯国の興亡の歴史を扱っている。もう少し具体的に言うと次の通り:
西周の幽王の無道な政治により、異民族が侵入し西周が滅びる。幽王の子・平王は都を洛陽に遷
都し東周が始まるが、周の威信は失墜し、周辺の諸侯国が覇を争うようになる。春秋時代の始まり
である。覇権争いの結果、最初は斉の桓公、次に宋の襄公、晋の文公、秦の穆公、楚の荘王といっ