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13.艱難(かんなん)、重耳(ちょうじ)を玉にする
- 1. 春秋篇 第 13 集
かんなん ちょうじ
重耳礪志(艱難、重耳を玉にする)
「将来、どうやって曹国と衛国を討とうかと考えているところだ」
やっと晋の君主らしい発言をするようになった重耳(中央)
- 2. かんなん ちょうじ
第 13 集 重耳礪志(艱難、重耳を玉にする) -春秋篇-
―あらすじ―
晋侯の地位を守るため、恵公は、兄である重耳を刺殺するよう宦官・勃鞮に命じる。
一方、重耳は狄に住むこと既に 12 年で、妻・季隗との間には二人の子供も生まれていた。この
平和な暮らしが突如、晋の狐突大臣からの手紙によって破られる。三日の内に勃鞮によって襲撃
されると知った重耳、荷造りもままならぬ中、腹心の趙衰・狐偃・狐毛・介子推らと共に流浪の
旅に出る。
途中、飢えと渇きに苛まれる一行。やっとの思いで衛国の首都・楚丘にたどり着く。衛の君主
と晋の君主の姓は共に“姫”である。だから重耳にとって衛は親戚の国に当たる。当然歓迎して
もらえるものと思いきや、すげなく門前払いを食らわされてしまう。
衛の都・楚丘の城門
の前
結局、城内に入れて
もらえず、門前払い
を食わされる
重耳一行
そこで重耳一行は、覇者・桓公が治める斉の国へ行こうとする。
途中、五鹿という場所にさしかかと、二人の老人が畑を耕していた。相変わらずひもじい思い
をしていた一行はその老人達に「自分達のことを息子だと思って食物を分けて欲しい」と頼むが、
老人たちの一笑に付されてしまう。聞けば、老人達の息子らは兵士として徴用され、全員戦死し
たという。そして重耳たちには「大の男が耕すこともせず乞食をするなんて何事か!」と逆に叱
- 6. 晋侯になる
ことを天に
誓 う 重 耳
(右)
左は腹心の
一人・狐偃
(→「第 14 集 重耳返晋」につづく)
―感想―
本第 13 集は各所に見どころがあって、とても見応えがあった。中でも特に興味深かったのが、
最後の見どころ:斉姜が夫である重耳に酒を勧めながら出国をほのめかす場面である。
「あらすじ」の中ではかなり省略したので、以下詳細を描写してみると….
斉姜:こんなにお酒を召し上がりになるのも久しぶりですわね。どうぞ沢山召し上がって。たま
には酔うのも良いではありませんか。
重耳:この酒は狄の酒よりウンと美味いなあ。
斉姜:狄に 12 年も過ごしておられたのだから、あの季隗様のこと、お懐かしいでしょう。
重耳:う~ん (この時、斉姜、物陰に隠れている狐偃を見つける)
斉姜:(床に崩れそうになる重耳を見て)あら、お休みになります?
重耳:いや…
斉姜:それならもう少しお飲みなさいませ。…このお酒の味、晋のものと比べて如何です?
重耳:晋の酒の味は…もう忘れてしまった…(と言うなり、ガクッと崩れ、完全に寝てしまう)
- 7. 重耳にお酒を
勧めて酔いつ
ぶそうとする
斉姜(左)
ところでこの場面、かなり有名なエピソードらしく「史記・晋世家」をはじめ「国語・晋語四」
「春秋左氏伝・僖公」などの史書にもその記載が見られる。が、これら史書に共通するのは全て
斉姜が重耳の前で堂々と出国を勧めているのである。この三冊の史書の中で、斉姜のセリフが最
も長く、強烈な「国語・晋語四」の中身を抜書きしてみよう:(以下、全て斉姜のセリフ)
「あなた(重耳)は晋から難を避けて、こちらにおいでになりました。あなたが出てしまわれてか
ら、晋の国は平和な年がなく、晋の民は定まった君主をもっておりません。それでもなお、天は
晋の国を滅ぼさずにいます。そして公子はもうあなただけです。晋の国を有する者は、あなたを
おいて誰がおりましょう。しっかりして下さい」
「晋の国はもう久しく無道の状態です。それでもあなたの家来は忠義にもいろいろと計画をたて
ています。だから、あなたが帰国される時節は間近に迫っています」
「政治の乱れた斉にいてはいけません。時を逃してはいけません。忠義を見捨ててはいけません。
欲望に流されてはいけません。あなたは、すぐに行くべきです」
その後、斉姜のセリフはまだまだ続くのだが、もうこれで十分だろう。
いやはや、これだけ言われては、さぞかし重耳もタジタジだっただろう。これでは、相手が絶