1. 79 呉宮干戈（孫権死して、呉宮、内紛続き）
自分が誅殺されそうになると、なりふり構わず
呉帝・孫休(右)を人質にとる宰相・孫綝(左)

2. 第 79 集 呉宮干戈（孫権死して、呉宮、内紛続き） 2009.11.12 更新
―「3 時間で～」第 81、84 話(呉関係)、第 82 話(蜀 VS 魏)参照
チャプター① 解説「呉主・孫権が病没し、諸葛恪(諸葛瑾の子)は 10 才の太子・孫亮を帝位に
つけた」～
チャプター② 呉の老将・丁奉、30 隻の戦艦を率い、東興を占領している魏陣を襲う～
チャプター③ 使者、司馬師に「呉の諸葛恪が 20 万の兵で魏の新城を攻撃しています」と伝え
る～
チャプター④ 対新城戦に敗れた責任を他人に押し付け、処刑を行う諸葛恪～
チャプター⑤ 解説「孫権の死後、呉の朝廷には幾たびか変事が起きたが、老将・丁奉の活躍に
より何とか安定を保った」～
チャプター⑥ 魏の朝廷を「我が物顔」に振舞う司馬師と司馬昭～
チャプター⑦ 蜀の姜維に追い詰められ、鉄籠山に逃げ込む司馬昭ら～
～司馬昭を追撃する姜維、鉄籠山の入り口に弓手を配置するよう命じる。
本第 79 集は、呉の朝廷の内紛(１→２)と、蜀魏戦の様子(３)が描かれている：
１呉の初代皇帝・孫権が亡くなると、太傅・諸葛恪が 10 才の太子・孫亮を帝位につける。一方、
魏の司馬師は、孫権が亡くなったと知るや、直ちに呉討伐軍を差し向ける。が、呉の老将・丁
奉の活躍で魏の侵入は食い止められる。
吹雪の中、上半身裸になっ
て号令をかける 老いてな
お意気盛んな呉の丁奉
この戦勝に気をよくした諸葛恪、これに乗じて魏を攻め、中原に覇をとなえようと考えた。そ
こで自ら魏の新城を攻めたが、あと一息のところで、敵の甘言に騙され、結局敗戦の憂き目を
見る。

3. 諸葛恪は、敗戦の責任を取らされることを恐れ、責任者を別にでっち上げ、次々と処刑してい
く。また内乱を防止するため、近衛軍の長官の職を奪い、腹心の部下に与える。そこで近衛軍
の長官であった皇族の孫峻は怒り、天子・孫亮から密詔をもらい、諸葛恪一族を討ち滅ぼす。
諸葛恪討伐のため宴席を襲
撃する孫峻の従弟・孫綝
孫綝の襲撃を受け、あっけな
くやられてしまう諸葛恪
(諸葛恪は、孔明の兄・諸葛
勤の息子）
２諸葛恪が誅殺されてしばらくすると、今度は孫峻が病没。呉王朝の権力は孫峻の従弟・孫綝の
手に移る。
孫綝は孫亮を廃し、孫権の第六子・孫休を帝位につける。そして自ら宰相となり、自分の 5 人
の兄弟に近衛軍を掌握させる。ある時、孫綝は孫休に酒食を上納しようとして拒否された。怒
った孫綝は、兵を集め武器を取り出すなど不穏な動きをはじめる。それを知った皇帝・孫休は
恐ろしくなり、左将軍の張布に相談すると、張布は老将・丁奉と組めばよいと言う。
そこで丁奉と示し合わせ、宴会の席に孫綝を呼ぶ。途中、孫綝が孫休に刀を突き付け人質にす

4. るといった一幕もあったが、最後は何とか孫綝とその兄弟を捕らえる。
呉帝・孫休(右奥)を人質
として馬車に乗せ、逃亡
を図ろうとする孫綝(中)
しかし、老将・丁奉(左端
/兜をかぶった後ろ姿)に
グッと腕をつかまれ仰天
次の瞬間には、馬車から
引きずり降ろされる
そして孫休は、孫綝一族を斬首の刑に処す。
３一方、蜀の姜維は、魏から投降してきた夏侯覇と共に北征を企てる。それに対し、司馬師は徐
質を先鋒、司馬昭を大都督として迎え討たせる。姜維は、先ず木牛流馬で魏軍をおびき寄せ、
挟み撃ちで捕獲した後、魏兵の服や旗を蜀兵に着させ魏陣に送り込む。すると、魏の監視兵は
自軍が帰ってきたと思い込み、門を開いたため、魏陣は大混乱。司馬昭も慌てて馬に乗り、鉄
籠山に向って逃げ出す。
蜀軍の襲撃を
受け、鎧を着け
る暇もなく、
着(き)のみ着
(き)のままで
鉄籠山に逃げ
る司馬昭

5. 孫権後も呉を支え続けたキーパーソン・丁奉
本第 79 集における丁奉の活躍は目ざましい。呉が舞台の話ではほとんど出ずっぱりと言った感
じ。
対魏戦で雄叫びをあ
げる丁奉
呉の面々は、蜀や魏に比べてあまり個性的でなく、目立たない人が多いから、今回の丁奉の活躍
は非常に目だってしまう。
ところで丁奉って元々どんな人だったのだろう？ と、ためしに演義の真ん中の方のページをめ
くってみる。フムフム、どうやら元は周瑜の部下で、劉備が孫夫人と荊州からの脱出を図った時、
徐盛と共にそれを阻止しようとして失敗している。（｢3 時間で～｣では第 46 話 P112,113 参照）
どうも、若い頃はあまりパッとしない人物だったようだ。