宮城一校・探究
アイデアの
授業
2024年6月25日
13:55~15:35
アイデアプラント 石井力重
1
本日の目標(~発想のお題)
•探究に
取り組んでみてもいいかな
という、「探究のテーマ案」
を、発想する (~発展させる)
2
アイデアを発想する力も、
実は、(ある程度) 学べます。
創造性研究は、今なお、
未踏の部分が多いですが。
暗い大きな部屋の中を
マッチの火で照らすような感じ。
「わかっていること」も少しあるけれど、
「わかっていないこと」の方がたくさん。
3
発想力があると、
•部活や〇〇祭で便利
•面接(入試・就活)で有利
•面白い道への
選択肢が、増える
4
講師自己紹介
5
石井力重
Rikie Ishii
6
堅い仕事としては
7
(デザイン論、アイデア基礎、創造学を担当)
8
東北工大
早稲田大学
名城大学
非常勤講師
ゲスト講師(継続)
(デザイン論、アイデア基礎、創造学を担当)
9
芝浦工大
専門領域としては
10
学会で創造性の
研究をしています。
11
日本創造学会
•理事
•業績
•研究発表賞(2017)
•著作賞(2021)
学会で創造性の
研究をしています。
12
単著の書籍 (他、共著2冊、執筆協力1冊)
2009 2020
学会で創造性の
研究をしています。
13
そして、本業は
14
発想ツールを
企画・製造
NHK おはよう日本(に取材された時の映像) 15
発想ツールを
企画・製造
16
本題へ
17
さて、早速ですが、
• 今日は、全員で、立って動いてアイデア出しをします。
• 「は? 無理でしょ」
• いえ、大丈夫。
• 300名位で、早稲田大学の講義でやっています。
• 今日は、ちょっと、大学の授業の味見、してみましょう。
18
アイデア出しの方法
「三人ブレスト」
3~4回
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・今いる場所から、10歩以上、歩く。
・止まった所で、近くの人と、3人組になる。
(なるべく、知らない人、クラスの違う人、3年間一度もしゃべる機会のなさそう人と組むことを、お奨めします)
10歩、歩く
21
講義室の前の
廊下をつかって
雑談みたいな感じに、各自が考えてきたアイデアを話し、
皆で、広げあってみてください。
8分間
アイデアの雑談
22
三人ブレストの様子 京都 (会社員、研究者、デザイナ、公務員、教員)、 2019
23
三人組をつくる (❶立ってる人を捕まえ)(❷組んだら、しゃがむ)
24
アイデア雑談のお題
探究のテーマとして
やってみてもいいかな
と思うこと (≒テーマ案)
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素朴に考えていること や、
それを挙げた背景 や、
心に浮かぶレベルの
「ふわっとしたこと」 も、
どうぞ。
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踏めば助かるのに
(なぜ命を捨ててまで
踏めないの?)
『踏めば助かるのにロボ』って、教育デザイン的には
研究の「素朴な着眼」を、押しつけがましくなく、提示している。
世の中の「そういうもんだ」で放置していることにも、研究題材がいっぱいある。
素朴に「なんでだろ」を出してみよう。
画像引用 『学び考える歴史』 (浜島書店)
そのテーマ案を、
「小さくしたり」
「どこかを変えてみたり」と、
あれこれ変えてみる。
~派生案を見つける感じ。
27
短期間で取組み可能なものや
近所で社会実験が可能なものへ
ずらしてみると、
具体的に考えられ、
発想は進み始めます。 28
ずらす
でも・・・、
そうは言いっても、
どう変えていいのか、
わかんないしなー
30
そう。
テーマ案を考えるって、
実は結構、大変。
大学でも「4年生の研究テーマの
策定に悩む教授」は結構多い。
大抵、テーマがデカすぎる。。。
31
なのでちょっと、例示。
(ふーん、そういう捻り方も、ありかぁ) ぐらいに見てください。
32
僕のテーマ案は
「高校近所の河原に、
シン・ベニーランドを
作る!」
• それ、構想が、デカすぎるなあ・・・
• (30年かけて、町をあげて、取り組む組織を
やるつもりなら、可能性はあるけど・・・)
この周辺を
賑やかに
したい、、、
33
• そうだなあ・・・
『町に、人がいっぱい来るようにする』が狙いなら・・・、
• あ! それ面白そう。
• ラベンダーのリラックスロード、とか、
• ミントで集中して考え事ができる道、とか。
• 勉強に効く効能だと、受験生にも喜ばれそう。
• ミントじゃないけど、猫草とかマタタビで、
猫いっぱい散歩道とかも、いいなあ。
• おもいっきり ずらしちゃうけどさ、
• 例えば、通りに「気分のすっきりするハーブ」を
たくさん植えて「ハーブ・ストリート」なんて、どう?
• 散歩しに来る人や、観光に来る人がたくさんでるかも。
34
「川原に、
テーマパークを
作る!」
狙いは? → 町の賑わい
川原に
「ハーブ・ストリート」
(・・・猫集め広場も捨てがたい)
なら、こういうのは、どう?
テーマを
ずらすって、
こんな感じ
35
「川原に、
テーマパークを
作る!」
狙いは? → 町の賑わい
なら、こういうのは、どう?
テーマを
ずらすって、
こんな感じ
原案
派生案1
派生案2
(これが意外と
伸びたりする)
川原に
「ハーブ・ストリート」
(・・・猫集め広場も捨てがたい)
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もちろん、
「ハーブも、猫も、違う! 僕の思う「賑やか」の核は、
遊園地のあの“歓声”なんだ!
そこは、絶対に外せない!」
と思うなら、それも大事に。
いろいろ、ずらしてみると
「譲れない部分」が分かるものです。 37
もういっこ、例示。
(ふーん、)ぐらいに見てください。
38
テーマ案
「罠にかけた野生動物が逃げようとする力で
発電って、どう?」
未利用のエネルギーで
電力問題の解決を
めざすのは、いいな。
けど…、発電量の不安定さと
森に置く蓄電池から
火事のリスクがありそう…
派生案も考えみるなら、、、
39
あー、そしたらさ、
公園のシーソーとかに、発電機を内蔵して
「子供が遊ぶと、公園の夜が明るくなる遊具」
みたいのとか、は、どうかな。
こういうのって、先行事例はあるのかな、
避難所の装置とか、外国の事例とか。
技術的にはどれぐらいの電力でるんだろう。
スマホ充電も可能なら、やりたいかも。
↓
こんな風に、派生テーマ案が、浮かんだり。
40
さて、
こういう変え方って、
「九つの、アイデアの型」
に整理できます。 41
©IDEAPLANT 受講者さんの個人利用に限りご自由に。ネット上に公開はしないでください。商品データですので。
CEMRAPSカード
アイデア出し中に、
案が出なくなって
しまった時は
CEMRAPSカード
をヒントにして、
既出の凡案から、
派生案を。
42
© I D E A P L A N T
©IDEAPLANT 受講者さんの個人利用に限りご自由に。ネット上に公開はしないでください。商品データですので。
CEMRAPSカード
さっきの例だと
この辺 →
43
© I D E A P L A N T
もし、話していて、
「 ・・・。(無言)」
という状態になったら、
9つの中から、
どれかをランダムにピックアップし、
派生案を考えてみてください。 44
相手に見せて、
「なんか、この、〇〇という
切り口が、気になります」
と言って、思い浮かぶことを
そのまま話してみる。
(アイデアじゃなくてもOK。
意外とそれが示唆となって
広がったり。
アイデア出しって、結構そういう、
素朴な“ガイド”でも進むんです)
45
「三人ブレスト」の実践
では、ペンとメモ紙をもち、
立ち上がってください。
(この後、十歩 歩き、
知らない人と 3人で組んだら、
一旦しゃがんでください。
メンバーが見つからない時は、
近くに立っている人をスカウトして)
47
3~4回
再
掲
48
アイデア雑談のお題
探究のテーマとして
やってみてもいいかな
と思うこと (≒テーマ案)
再
掲
49
テーマをデザインする
・原案から派生した案が複数手に入りました。
・切り取り方で、いくつかの案になるでしょう。
・・・そこにクローズアップします
51
「YES」となるテーマがデザインできれば、
「面白く、やれそうで、かつ、社会に求められる」
テーマです。 (いわゆる、筋の良いテーマ)
この3つ を考慮し
52
❶探究のテーマとしてやってみたいか
❷調査や試行が短い時間で可能か
❸社会(≒多くの他人)に有益なテーマか
YESだと
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力が出る
終わる
喜ばれる
❶ やってみたい方向へ、ずらすと? ❷ 短時間でもやれそうな感じすると?
❸ 多くの人に有益なものにすると?
⓪ 今、ふわっと考えてみたこと
⓪ 「今、考えてみたこと」を
まず書いてみる。
はっきり書けない場合は
思い浮かんでいる単語
(できるだけ具体な言葉)
を書き留めるだけでもOK
❶ 興味・関心って、大事な要素!
「やってみたい方向へ、
もっとずらすとどうなる?」
❷ 学習効果を考えて
扱い切れる「大きさ」を
見定めることも大事。
「期間内にやれそうな感じに
このテーマを直すとしたら
どんな感じかなぁ」と考える。
❸ 社会(≒多くの他人)にとって
有益だろうか、と考えてみる。
この要素が優れていると
協力者が現れたり
長く追いかけるテーマに
つながっていったりする。
なお“社会”は
「近所の人々」「ある集団」
「ある世代」「国全体」「世界」
(あるいは「野生動物たち」など
人以外もあり)と、いろんな
サイズ感に言い換えてみて、
検討すると良い。
そうして、
「社会に重要なテーマ」に
ずらしてみる。
事業の手法を通じて社会問題
を解決していくには、
この点は重要。 54
とりあえず今は、N分間、時間をとるので、
ワークシートを埋めることにトライしてみる。
(不正確でもいいので、できるだけ埋めよう。)
一人でじっくり考える 喋って考える
どっち
でもOK
55
とはいえ❶:
「好き(やってみたい、興味関心の素)」って、把握が難しい
→ 大人でも難しいこと。教養と経験値を積む。
56
とはいえ❷:
「やりやすい」って、見通しを立てるのが難しい
→経験値の多い人(先生、親)に、聞いてみる。
57
とはいえ❸:
「社会的に有益か」って、判断が難しい
→ 社会人でも難しい。学びて考えよ(ニュース、社会に出て知る)
58
今後の展開に向けて:
優れた探求テーマを設定する要因を
意識しながら、練っていく。
この「テーマをデザインする」って
結構大事な力なんです。
次回授業で、本格的にトライしてみてください。
(今日は、その「素材を醸成する」日でした)
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5.メッセージ
創造的な成長に大事なもの
60
「私の未来に明るいものがある」
と子供が思えるようにするのが、
教育である
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(と、石井は思うのです)
もちろん「知識」も大事。 「知識」は、大前提。
論語でいう「思ひて學ばざれば則ち殆(あやう)し」です。
各科目をよく学ぼう。
しかし、「暗記できるもの」は、「登山道具」だ。
これだけでは、足りない。過去の教育は
「道具はいっぱい。さて、社会に出たが、どうしよう」となっていた。
「どこに、山(価値ある課題)があるかを見つける」力、
「攻め方を組み立て、自ら実践する」力がいる。
「探求」が普遍的な言い方かはわからないけれど、呼び名はどうであれ、
「知る、描く、やり抜く」力は大事。
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「知る、描く、やり抜く」力があると、
個人レベルでは、
人生を豊かに生きれる可能性が増える。
「自分にぴったりの職業を作りだし、その職で生きていく」
ことだって、できる。
社会レベルでは、
職場や社会に貢献しやすくなる。
「組織や社会に新しい価値を創造する」 ことだって、できる。
“そういう力”で使えば、君たちがもらう「道具」(学習知識)は、無限の可能性が。
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皆さん、ありがとうございました
石井力重
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探求のテーマを作り出す「アイデア創出の授業」(高校の探求の時間の特別講義としてお話し&ワークショップをした内容です)