~修了審査発表~
ICT活用型ダイエットサービスにおける、
価値共創に関する研究
2013/8/25
(発表後一部追記)
S0950352
須田 泰司
1 研究の背景
出所:女性の加齢意識と生活スタイルに
関する調査, 2012年(N=女性1,114名)
理想の体型(お腹が出ていない) 88.9%
健康や美容
のために
日々行って
いること
ウォーキング・ジョギング 33.6%
生活の中での常識的な運動 27.2%
食べ物の量や種類を制限 14.5%
出所:国民健康・栄養調査
20-60代男性
40-60代女性
20代女性(痩身)
肥満・太りすぎは減らない実態
2013/08/25 須田泰司
明快な肥満・太りすぎの
原因
高いダイエットニーズ
2 研究対象とする領域
・脂肪税の導入
・都市の動線デザイン
の変更
・ポピュレーションアプ
ローチ研究
・処方遵守研究
・内発的動機
・各種インセンティブ
(ポイント、バッジ)
・パーソナライズド
サービスの提供
・場の提供
2013/08/25 須田泰司
ダイエットにおける行動変容
筆者作成
• コモディティ(化)について
– 生産者により品質に差がない製品はコモディティ。
ex.)石油、携帯電話 (investopiaの定義)
– コモディティ化は、標準化の進展、技術の発達、市場の発
達、ライフサイクルの成熟化などの理由によって、製品や
サービスにおける本質的部分での差別化が困難となるこ
とで起る。 (マーケティングWiki JAMA)
– 利益幅が小さく、価格以外に特徴のない、簡単に入手で
きる製品、サービス。 (merrian-webster辞書)
2013/08/25 須田泰司
歩数計、体重計等のダイエット支援機器を
コモディティと位置づける
3 研究の前提
(1)ダイエット支援機器のコモディティ化
3 研究の前提
(1)ダイエット支援機器のコモディティ化
• ダイエット支援機器の普及に関するデータ
平成24年愛知県
生活習慣関連調査
「歩数計の所有率」
アイ・キューブ調査
「各種機器の所有・
利用率」
平成24年国民健康
栄養調査
「自宅での体重計測
状況(月1回以上)」
2013/08/25 須田泰司
N(1,884) 20代 30代 40代 50代 60代
男性 12.1% 16.4% 17.2% 21.5% 38.0%
女性 14.4% 15.6% 21.7% 25.9% 41.5%
N(185) 所有・使用 所有・不使用 未所有
体温計 75.7% 20.5% 3.8%
体重計 45.4% 12.4% 42.1%
体重・体組成計 48.6% 10.3% 41.1%
歩数計 14.1% 35.1% 50.8%
N(7,877) 20代 30代 40代 50代 60代
男性 71.5% 78.4% 85.4% 78.8% 81.1%
女性 88.8% 88.4% 78.8% 87.7% 90.2%
• ダイエット支援機器はICT活用によりプロダクトサービスシス
テム化=脱コモディティの動きがみられる
2013/08/25 須田泰司2013/02/10 須田泰司
プロダクト + サービス
無料
有料
歩数計、体重計
携帯電話(アプリ)
3 研究の前提
(2)ダイエット支援機器のプロダクトサービス化
4 価値共創とフィードバックループ
測定・記録
公開(共有)
フィードバック
行 動
2013/08/25 須田泰司
ダイエット支援型プロダクトサービスシステム
におけるフィードバックループ
体重計、体組成計、
歩数計、活動量計等
コミュニティポータル
専門家(サービス提供者)
コミュニティ仲間
行動変容
フィードバックループは
価値共創の
重要な構成要素
筆者作成
2013/08/25 須田泰司
本研究では、ICT型ダイエットサービスにおける価値共
創についてフィードバックループを中心に利用者側の
視点による実態把握に取り組む
5 リサーチクエッション
RQ1:利用者は、PSSのフィードバックシステムを意識し、
評価しているか(言語化され、日記に記載される
ほど強く意識しているか)?
RQ2:利用者は他の利用者とのインタラクションをどの
ように位置づけ利用しているか(日記に記載され
るほど強いネットワークは存在するか)?
6 先行研究レビュー
(1)生活習慣の継続的モニタリングと行動変容に応じた
健康改善サービスの検証(宮城大学, 2009)
→サービス利用者の感情に着目。行動変容のステージ理論
を採用。フィードバックループ図はあるが明確な言及なし。
(2)健康運動の継続意欲に及ぼす心理的要因の検討
(中村恭子、古川理志, 2004)
→個人の心理的要因(外発的/内発的動機づけ等)に着
目。POMS評価を採用。健康運動という行動変容の定着には
「楽しく」「できる」運動プログラムの提供が有効。
(3)Motivation, self-determination, and long-term weight control
( Teixeira,Perdo J.,et al, 2012)
→行動変容、動機づけに関するレビュー論文。自己決定理
論(SDT)を採用。モチベーションの質に関する研究の進展に
期待。
2013/08/25 須田泰司
7 本研究の意義と新規性
2013/08/25 須田泰司
(1)ダイエット・サービスのプロセス及び価値共創を対象とし
ていること
(2)プロダクトサービスシステム型のダイエット・サービスを
対象としていること
従来と異なる視点での研究結果を提供することで、
価値共創、行動変容研究をより豊かすることに貢献
できると考える。
→「やる気、モチベーション」への着目は先行研究にも確
認できるが、プロセス及び価値共創の観点からの先行
研究は確認することができなかった。
→ダイエット・サービスを運動プログラム、医学的介入
プログラムのようにプログラム単位での把握はみられ
るものの、プロダクトサービスシステムとして把握した
先行研究を確認することができなかった。
8 分析対象
コース名 性別 年齢 記録回数 対象
カラダスキャン愛用者
(参加登録者24名)
男性 46 46 男性A
女性 52 7 女性B
女性 30代 6 女性C
万歩計ダイエット
(参加登録者48名)
男性 未登録 49 男性D
女性 未登録 31 女性E
女性 未登録 72 女性F
run&walkでダイエットに挑戦
(参加登録者13名)
男性 37 5 男性G
女性 28 17 女性H
2013/08/25 須田泰司
• gooからだログ登録コースの概要説明から、バイタルデータ及
び活動データ計測・記録型の3コースを任意に選び、各コース
の参加者の中からコースの管理者1名と無作為に数名を分
析対象者として抽出
• 元データとした、gooからだログの延べ参加者数は188,933人。
(2013年5月末)
9 分析の流れ
■統計的分析
分析対象者8人の233日分の
日記の内容を元データとして、
テキスト分析のフリーウェア、
Khcoderを使用
日記をテキスト情報に変換
→コーディング→抽出語の適切な
単位化(、。てにをはの追加、計算
記号の文字への置き換え、絵文字
の削除、数値単位の追加)→元データとして確定→共起ネットワーク、デンド
ログラムを作成し、抽出語の出現回数と抽出語間のつながり関係を分析
■定性分析
①分析対象者8名別に日記内容の読み込みプロファイル分析
②各人の分析結果から複数対象者に共通事項の抽出
2013/08/25 須田泰司
2013/08/25 須田泰司
10 統計的分析結果の概要-1
• 共起ネットワーク
2013/08/25 須田泰司
10 統計的分析結果の概要-2
抽出後 出現回数
体重 271
脂肪 169
カロリー 164
歩 160
歩数 158
歩行 153
バランス 139
昼食 135
体 133
夕食 125
• 言葉の出現状況• デンドログラム(一部)
「ダイエット」という表現は
上位に出てこない
2013/08/25 須田泰司
11 定性分析結果の概要
①行動変容の維持は困難で減量・リバウンドが繰り
返されている。<対象者A、B、D、F>
②日常生活では、ダイエット行動に使う時間や、食事への制
約が大きい=行動阻害 <対象者B、D>
③フィードバックループを通じた情報提供がダイエット行動支
援で、機能していることは、確認できなかった <全対象者>
④情報ネットワーク上のコミュニティ内の相互交流は継続ドラ
イバーであるが不活発。 <対象者F、H>
⑤ダイエットで保有・使用している知識は、経験上の知識や概
念的知識(運動する、食べない)ベース <対象者B、F、G>
※発表後追記
・第三者から提供された情報をダイエット行動に反映してい
るとの記述=フィードバックループ機能とした
・コミュニティ参加の名前に言及ある場合を相互交流として
カウントした
12 分析結果とリサーチクエッチョン
分析結果を用いたRQの検証結果は以下の通り。
RQ1:利用者は、ダイエット支援型プロダクトサービス
システム(DSPSS)のフィードバックシステムを
意識し、評価しているか?
→統計的分析、定性分析のどちらの分析結果も、
利用者がDSPSSのフィードバックシステムを
意識していないこと示した
RQ2:DSPSS利用者は他の利用者とのインタラクション
をどのように位置づけ利用しているか
→限定的ながら、定性分析により、参加コースを
通じたダイエット行動(日記の記述を含む)の
継続ドライバーとなっていることが確認できた
2013/08/25 須田泰司
13 発見事項からの含意
• 理論的含意
①ICT型ダイエット・サービスにおける、利用者側の実態把
握を通じて、価値共創メカニズムが抱える問題(フィード
バックループの機能不全)を明らかにした
②利用者が意識して記録した言葉を通じて、ダイエット意
識とダイエット行動間の結びつきが弱いこと、すなわち現
在使用されている行動変容理論が有効に機能していない
ことを明らかにした
• 実務的含意
データ共有の場の提供にとどまらず、利用者が記録した
データを基に利用者に行動変容とその維持を支援する情
報を提供するフィードバックループの設計と組み込みが重
要であることが示唆された
2013/08/25 須田泰司
14 本研究の限界と今後への期待
本研究は、ICT活用型ダイエットサービスについて、
利用者側における価値共創の実態を明らかにした。
• 限界:本研究はウェブサイト上に記録された日記情
報を分析対象としているため、記録されていない言
外の情報、その言葉を記録した背景情報について
は把握できていない。
• 期待:利用者側の深堀+事業者側の研究
→ダイエットサービスにおける優れた利用者価値
創出につながる、価値共創メカニズム研究の進展
2013/08/25 須田泰司
15 研究所感
ICT活用型ダイエットサービスの現利用者数はまだ少
ない中で本研究を実施して
1. 今回の研究データでは、設定した2つのリサーチク
エッチョンのひとつで弱いながらも支持が得られた。
よって、より多くの利用者データの収集・分析を行う
ことで、リサーチクエッチョンの妥当性を検証できる
可能性を感じた。
2. 更に、彼らをリードユーザーと位置づけ、リード
ユーザーにおける価値共創、リードユーザーによ
るイノベーション研究として実施することで、サービ
スデザインでの知見を獲得できると感じた。
2013/08/25 須田泰司
参考文献
2013/08/25 須田泰司
• Goetz, Thomas, Harnessing the power of feedback loops,
wired magazine, 2011
• Gustafsson, Anders, et al., Customer co-creation in service
innovation:a matter of communication? Journal of Service
Management, 2012
• Brwon, Tim, 千葉敏生訳, デザイン思考が世界を変える,
早川書房, 2010
• Teboul, James, 小山順子監訳, サービス・ストラテジー,
ファーストプレス, 2005
• Ferguson, Bill, The Emergence of Games for health, Games
for Health Journal,vol.1, number 1, 2012
• Deloitte University press , Breaking constraints:Can
incentives change consumer health choices? 2013 他

修士論文最終審査発表資料