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K455   サービス工学と事例分析課題レポート
                                        s0950352 須田泰司
1   想定したサービス
 AIST 吉川モデルをベースとした仮説―検証型サイクルを用いることで持続可能な、漸進
的(incremental)な改善型サービスとして、カーナビゲーションサービス、具体的にはホ
ンダ・インターナビプレミアム(http://premium-club.jp)(以下、インターナビサービス)
を想定事例とした。カーナビゲーションは、必要データの蓄積→分析→ナビゲーション情
報の提示→ドライバーによる利用という基本的な情報フローで構成され、それが繰り返し
発生することで、データ量の増加→分析精度の向上→ナビゲーション情報の精度の向上と
いうプロセスが段階的に進んでいく、斬新的な改善型サービス事例として適切と考えたこ
とが取り上げた理由である。




           図 1 カーナビゲーションサービスの基本情報フロー

2   要求サービス機能
                                    インターナビサービスは
                                   「より安全で快適なカーライ
                                   フを実現する」ことをコンセ
                                   プトとしている。このコンセ
                                   プト実現する手段となる具体
                                   的な機能は、出発地から目的
                                   地までの最適な経路案内情報
                                   を提供することといえる。つ
                                   まりインターナビサービスに
                                   要求される機能は、 ドライバ
                                           「
                                   ーの求めに応じオンデマンド
                                   とリアルタイムに、ドライバ
                                   ーの自動車利用上の目的であ
                                   る、安全で快適なドライブを


                                                    1
図2 ホンダ・インターナビの主要収集情報

適切な情報提供により支援すること」といえる。インターナビサービスにおけるカーナビ
ゲーションへの要求機能は以下の通り、出発地から目的地までの最適経路案内を行う主機
能と、気象情報、駐車場情報、ヘルプデスクなどの補完機能とに分類できる。
 <主機能>
 ■出発地から目的地までの最適経路案内
   -渋滞予測経路案内        (間接支援)
   -最短経路案内          ガソリン車のエコドライブ支援と自動車運転の
   -車線誘導案内          円滑化による社会・環境負荷の軽減
 <補完機能>
 ■目的地までの経路内気象情報提供
 ■交通状況を加味した出発推奨時刻の提供
 ■目的地における最適な駐車場案内
 ■ルート上の観光・景観情報、イベント情報の提供
 ■災害時情報共有・安否確認
 ■QQ コール(ヘルプデスク)      (ホンダ・インターナビホームページ情報を元に作成)

          表1   インターナビサービスの提供機能の構成
 主機能となる出発地から目的地までの最適経路案内は、図2に示す情報を継続的なモニ
タリングにより収集し、エリア別、ポイント別の自動車交通データと曜日別時間別傾向を
統計処理して作成した予測モデル A と、過去の類似交通パターンからの予測モデル B を組
み合わせて、x 時点における確度の高い自動車交通量(渋滞)予測を行い、その予測データ
に基づきドライバーの目的地到着要求時間を満足させる最適な運転経路を抽出しドライバ
ーに提供することといえる。この自動車及びドライバーにとってストレスの尐ないスムー
ズな運転支援経路情報を利用することは、燃費の向上(ガソリン消費の効率化と排出ガス
の減尐)という形でエコドライブの支援につながったり、地域の各種イベント情報や景観
情報の提供による楽しいドライブ(旅)の支援につながったりという間接的な効果も創出
する。そして何より、予測が統計モデルを採用していることは、時間効果により収集・蓄
積される情報量の増加は予測精度の向上を通じて、より適切な運転経路情報の提供という
形でインターナビサービスの質の向上につながる。
                   【余談:カーナビゲーションサービスの階層構造】
                   カーナビゲーションサービスでは左図のようなサービ
                   ス階層が考えられる。現在は全国交通網の機能の効率
                   化・高度化を上位、各(カーナビ利用)ドライバーの
                   運転ニーズの充足を下位とする三層構造であるが、今
                   後はスマートグリッド化/統合の階層もサービス設計


                                              2
上考慮対象になる可能性が高まると考えられる。

図3 カーナビゲーションサービスの階層構造



3   ホンダ・インターナビサービスへの AIST モデルの適用
 このように、漸進的なサービス改善プロセスとなるカーナビゲーションサービスを AIST
モデルに落とし込んだものが図4である。Donor がインターナビ(ホンダ)
                                    、Receptor がイ
ンターナビ搭載車のドライバー、Observer はホンダの社内評価チームと社外のカーナビゲ
ーション技術の専門家個人及び団体、そしてホンダ社内の開発チームが Designer となる。
インターナビとホンダ車ドライバー間では図1の基本情報フローに従い、ナビゲーション
サービスの提供・利用が発生する。この基本情報フローには2 要求サービス機能に示した
主機能と補完機能に関する情報が含まれる。
 (1)主機能に関する情報:経路関連情報
 (2)補完機能に関する情報:配信コンテンツ関連情報
 このうち、主機能である経路情報については、インターナビの提供情報の適切性(実測
値との誤差)は、ホンダ車内のインターナビ評価チームが外部の調査会社を使用して調査
を行い、調査結果がインターナビの開発チームにフィードバックされる。開発チームはフ
ィードバック情報を分析した上で、予測値と実績値の乖離要因の検討を行い、乖離を縮小
する仮説に基づき予測モデルを修正する。従来の予測モデルを修正予測モデルに置換した
インターナビシステムが稼働し、新たな予測モデルに基づきカーナビゲーション情報を提
                                   供する。この設計→利
                                   用→評価→再設計のサ
                                   イクルが継続されるこ
                                   とにより、インターナ
                                   ビサービスが提供する
                                   情報はその精度に加え、
                                   ドライビング関連コン
                                   テンツの充実という形
                                   で漸進的に進化を続け
                                   て行く。




      図4 インターナビサービスの仮説検証サイクル



                                               3
4   サービス改善シナリオ
 以上を踏まえここからは、AIST モデルを利用したインターナビサービスにおける改善シ
ナリオについて記す。なお、インターナビサービスでは2 要求サービス機能に示した主機
能と補完機能それぞれに機能(サービス)の改善仮説が存在すると考えられることから、
機能別に改善シナリオの想定・作成を行った。
(1)主機能のサービス改善シナリオ
 カーナビゲーションサービスの主機能の目的は、最適な経路情報の提供であることから、
主機能の改善メタ目標は「経路情報の精度の一層の向上」とした。
【課題】ホンダ評価チームによるインターナビサービス利用自動車をプローブ情報として
分析したところ、インターナビ搭載車では違法駐車の減尐が確認できたが、最適経路案内
では目的地までの到達時間の短縮が実現できていない、低混雑ルートが提供できていない
割合が案内件数の32%存在することが判明した。したがってホンダ評価チームは最適経
路案内における①不適切な案内情報を解消し、②提供情報の適切性のばらつきを縮減する
ことをインターナビサービスの修正課題とした。
【仮説】課題の発生原因としては、最適経路案内で使用している予測式のパラメータの妥
当性に問題があることと、予測式そのもの妥当性に問題があること、ふたつの仮説が考え
られる。社外のカーナビゲーション専門家を含む分析プロジェクトチームが予測式の検証
を行ったところ、予測式全体のつくり直しではなく、天候情報のパラメータを修正するこ
とで課題となっている①不適切な案内情報の解消と、②提供情報の適切性のばらつきの縮
減が可能であるとの結論に達した。
【提案】分析プロジェクトチームの検証結果に従い、評価チームはインターナビ開発担当
役員・開発チームに対し、
           「天候情報に関するパラメータの修正」を提案した。あわせて将
来における更なる予測精度の向上のための情報収集活動として、利用者の同意を得た上で
データの年齢・性別・運転歴別詳細プロファイル化、ガソリン車・ディーゼル車・HV 車別
詳細化を行い、詳細化を行っていない現行予測式との予測データの比較検証を行うことも
提案された。
【検証】インターナビ開発チームにより提案内容を反映したインターナビサービスで使用
している予測式の修正が実施され、修正予測式によるインターナビサービスが提供される。
この修正予測式が提供する最適経路案内情報の適切性は、インターナビサービス利用自動
車をプローブ情報として分析が行われる。
(2)補完機能のサービス改善シナリオ
 補完機能のメタ改善目標は「配信コンテンツの内容・タイミングの充実」となる。
【課題】インターナビ搭載車の最適経路案内以外の提供コンテンツの利用率は平均15%
で、そのうち最も利用率の高い駐車場案内が 48%、最も利用率の低い災害時情報確認・安
否確認は2%であることが、インターナビ利用者情報を分析した結果判明した。したがっ


                                          4
て、配信コンテンツのインターナビサービスの利用拡大との関連性を含め、そのあり方の
抜本的な見直しを評価チームはインターナビサービスの課題に設定した。
【仮説】補完機能として提供される経路案内との組み合わせ情報が駐車場案内を除くと低
利用率である原因としては、提供コンテンツそのものに魅力がないことと、提供コンテン
ツに魅力はあるものの使い勝手が悪いことのふたつが仮説として考えられた。そこでイン
ターナビサービス利用者へのグループインタビューを実施し、他事業者のカーナビゲーシ
ョンサービスとの分析結果とを総合して検討した結果、提供コンテンツの魅力の不足と使
い勝手が悪いという、ふたつの仮説が混合しているとの結論に達した。なお、ルート上の
観光・景観情報、イベント情報利用者の多くが往路での情報は事前に下調べをして計画通
りの行動意向が強いものの、復路では計画外の行動の許容度が高いことが調査(観察)に
よって新たな知見として得ることもできた。
【提案】評価チームは仮説の検証結果を踏まえ、インターナビサービスの補完機能の見直
し提案を3点行った。
(1) 携帯電話による安否確認サービスの普及・定着が起きている現状を踏まえ自動車と
    いう移動体における安否確認サービスを独自には実施せず携帯電話の安否確認サー
    ビスへの連動外部コンテンツの採用を含め抜本的に見直すこと。
(2) 事前に調べた観光・景観情報、イベント情報をインターナビに移行・再生できるよ
    う、個人ページ内の情報の車外から車内へのポータビリティを強化すること。
(3) 商業施設、商業組合、観光組合等との連携により、位置情報と連動したプッシュ型
    の情報配信・予約機能を強化すること。
【検証】インターナビ開発チームにより(2)(3)の各提案内容を反映した新たなイン
                     、
ターナビサービスが開発・提供される。この各強化機能の利用状況は、インターナビサー
ビス利用自動車をプローブ情報として分析が行われる。
5   まとめ
 以上みてきたように、インターナビサービス(カーナビゲーション)では継続的に収集
され蓄積が進むデータを利用した仮説・検証サイクルにより、主機能である経路案内情報
精度の向上や、補完機能の充実という形でサービスの質・量双方における継続的な改善が
進むことになる。そしてこの漸進型のサービス改善モデルによって、持続的可能なビジネ
スの運営基盤が提供されることになる。




                                          5
図5   AIST モデルによるインターナビサービスの進化プロセス
                                    -以上




                                      6

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K455サービス工学と事例分析レポート

  • 1. K455 サービス工学と事例分析課題レポート s0950352 須田泰司 1 想定したサービス AIST 吉川モデルをベースとした仮説―検証型サイクルを用いることで持続可能な、漸進 的(incremental)な改善型サービスとして、カーナビゲーションサービス、具体的にはホ ンダ・インターナビプレミアム(http://premium-club.jp)(以下、インターナビサービス) を想定事例とした。カーナビゲーションは、必要データの蓄積→分析→ナビゲーション情 報の提示→ドライバーによる利用という基本的な情報フローで構成され、それが繰り返し 発生することで、データ量の増加→分析精度の向上→ナビゲーション情報の精度の向上と いうプロセスが段階的に進んでいく、斬新的な改善型サービス事例として適切と考えたこ とが取り上げた理由である。 図 1 カーナビゲーションサービスの基本情報フロー 2 要求サービス機能 インターナビサービスは 「より安全で快適なカーライ フを実現する」ことをコンセ プトとしている。このコンセ プト実現する手段となる具体 的な機能は、出発地から目的 地までの最適な経路案内情報 を提供することといえる。つ まりインターナビサービスに 要求される機能は、 ドライバ 「 ーの求めに応じオンデマンド とリアルタイムに、ドライバ ーの自動車利用上の目的であ る、安全で快適なドライブを 1
  • 2. 図2 ホンダ・インターナビの主要収集情報 適切な情報提供により支援すること」といえる。インターナビサービスにおけるカーナビ ゲーションへの要求機能は以下の通り、出発地から目的地までの最適経路案内を行う主機 能と、気象情報、駐車場情報、ヘルプデスクなどの補完機能とに分類できる。 <主機能> ■出発地から目的地までの最適経路案内 -渋滞予測経路案内 (間接支援) -最短経路案内 ガソリン車のエコドライブ支援と自動車運転の -車線誘導案内 円滑化による社会・環境負荷の軽減 <補完機能> ■目的地までの経路内気象情報提供 ■交通状況を加味した出発推奨時刻の提供 ■目的地における最適な駐車場案内 ■ルート上の観光・景観情報、イベント情報の提供 ■災害時情報共有・安否確認 ■QQ コール(ヘルプデスク) (ホンダ・インターナビホームページ情報を元に作成) 表1 インターナビサービスの提供機能の構成 主機能となる出発地から目的地までの最適経路案内は、図2に示す情報を継続的なモニ タリングにより収集し、エリア別、ポイント別の自動車交通データと曜日別時間別傾向を 統計処理して作成した予測モデル A と、過去の類似交通パターンからの予測モデル B を組 み合わせて、x 時点における確度の高い自動車交通量(渋滞)予測を行い、その予測データ に基づきドライバーの目的地到着要求時間を満足させる最適な運転経路を抽出しドライバ ーに提供することといえる。この自動車及びドライバーにとってストレスの尐ないスムー ズな運転支援経路情報を利用することは、燃費の向上(ガソリン消費の効率化と排出ガス の減尐)という形でエコドライブの支援につながったり、地域の各種イベント情報や景観 情報の提供による楽しいドライブ(旅)の支援につながったりという間接的な効果も創出 する。そして何より、予測が統計モデルを採用していることは、時間効果により収集・蓄 積される情報量の増加は予測精度の向上を通じて、より適切な運転経路情報の提供という 形でインターナビサービスの質の向上につながる。 【余談:カーナビゲーションサービスの階層構造】 カーナビゲーションサービスでは左図のようなサービ ス階層が考えられる。現在は全国交通網の機能の効率 化・高度化を上位、各(カーナビ利用)ドライバーの 運転ニーズの充足を下位とする三層構造であるが、今 後はスマートグリッド化/統合の階層もサービス設計 2
  • 3. 上考慮対象になる可能性が高まると考えられる。 図3 カーナビゲーションサービスの階層構造 3 ホンダ・インターナビサービスへの AIST モデルの適用 このように、漸進的なサービス改善プロセスとなるカーナビゲーションサービスを AIST モデルに落とし込んだものが図4である。Donor がインターナビ(ホンダ) 、Receptor がイ ンターナビ搭載車のドライバー、Observer はホンダの社内評価チームと社外のカーナビゲ ーション技術の専門家個人及び団体、そしてホンダ社内の開発チームが Designer となる。 インターナビとホンダ車ドライバー間では図1の基本情報フローに従い、ナビゲーション サービスの提供・利用が発生する。この基本情報フローには2 要求サービス機能に示した 主機能と補完機能に関する情報が含まれる。 (1)主機能に関する情報:経路関連情報 (2)補完機能に関する情報:配信コンテンツ関連情報 このうち、主機能である経路情報については、インターナビの提供情報の適切性(実測 値との誤差)は、ホンダ車内のインターナビ評価チームが外部の調査会社を使用して調査 を行い、調査結果がインターナビの開発チームにフィードバックされる。開発チームはフ ィードバック情報を分析した上で、予測値と実績値の乖離要因の検討を行い、乖離を縮小 する仮説に基づき予測モデルを修正する。従来の予測モデルを修正予測モデルに置換した インターナビシステムが稼働し、新たな予測モデルに基づきカーナビゲーション情報を提 供する。この設計→利 用→評価→再設計のサ イクルが継続されるこ とにより、インターナ ビサービスが提供する 情報はその精度に加え、 ドライビング関連コン テンツの充実という形 で漸進的に進化を続け て行く。 図4 インターナビサービスの仮説検証サイクル 3
  • 4. サービス改善シナリオ 以上を踏まえここからは、AIST モデルを利用したインターナビサービスにおける改善シ ナリオについて記す。なお、インターナビサービスでは2 要求サービス機能に示した主機 能と補完機能それぞれに機能(サービス)の改善仮説が存在すると考えられることから、 機能別に改善シナリオの想定・作成を行った。 (1)主機能のサービス改善シナリオ カーナビゲーションサービスの主機能の目的は、最適な経路情報の提供であることから、 主機能の改善メタ目標は「経路情報の精度の一層の向上」とした。 【課題】ホンダ評価チームによるインターナビサービス利用自動車をプローブ情報として 分析したところ、インターナビ搭載車では違法駐車の減尐が確認できたが、最適経路案内 では目的地までの到達時間の短縮が実現できていない、低混雑ルートが提供できていない 割合が案内件数の32%存在することが判明した。したがってホンダ評価チームは最適経 路案内における①不適切な案内情報を解消し、②提供情報の適切性のばらつきを縮減する ことをインターナビサービスの修正課題とした。 【仮説】課題の発生原因としては、最適経路案内で使用している予測式のパラメータの妥 当性に問題があることと、予測式そのもの妥当性に問題があること、ふたつの仮説が考え られる。社外のカーナビゲーション専門家を含む分析プロジェクトチームが予測式の検証 を行ったところ、予測式全体のつくり直しではなく、天候情報のパラメータを修正するこ とで課題となっている①不適切な案内情報の解消と、②提供情報の適切性のばらつきの縮 減が可能であるとの結論に達した。 【提案】分析プロジェクトチームの検証結果に従い、評価チームはインターナビ開発担当 役員・開発チームに対し、 「天候情報に関するパラメータの修正」を提案した。あわせて将 来における更なる予測精度の向上のための情報収集活動として、利用者の同意を得た上で データの年齢・性別・運転歴別詳細プロファイル化、ガソリン車・ディーゼル車・HV 車別 詳細化を行い、詳細化を行っていない現行予測式との予測データの比較検証を行うことも 提案された。 【検証】インターナビ開発チームにより提案内容を反映したインターナビサービスで使用 している予測式の修正が実施され、修正予測式によるインターナビサービスが提供される。 この修正予測式が提供する最適経路案内情報の適切性は、インターナビサービス利用自動 車をプローブ情報として分析が行われる。 (2)補完機能のサービス改善シナリオ 補完機能のメタ改善目標は「配信コンテンツの内容・タイミングの充実」となる。 【課題】インターナビ搭載車の最適経路案内以外の提供コンテンツの利用率は平均15% で、そのうち最も利用率の高い駐車場案内が 48%、最も利用率の低い災害時情報確認・安 否確認は2%であることが、インターナビ利用者情報を分析した結果判明した。したがっ 4
  • 5. て、配信コンテンツのインターナビサービスの利用拡大との関連性を含め、そのあり方の 抜本的な見直しを評価チームはインターナビサービスの課題に設定した。 【仮説】補完機能として提供される経路案内との組み合わせ情報が駐車場案内を除くと低 利用率である原因としては、提供コンテンツそのものに魅力がないことと、提供コンテン ツに魅力はあるものの使い勝手が悪いことのふたつが仮説として考えられた。そこでイン ターナビサービス利用者へのグループインタビューを実施し、他事業者のカーナビゲーシ ョンサービスとの分析結果とを総合して検討した結果、提供コンテンツの魅力の不足と使 い勝手が悪いという、ふたつの仮説が混合しているとの結論に達した。なお、ルート上の 観光・景観情報、イベント情報利用者の多くが往路での情報は事前に下調べをして計画通 りの行動意向が強いものの、復路では計画外の行動の許容度が高いことが調査(観察)に よって新たな知見として得ることもできた。 【提案】評価チームは仮説の検証結果を踏まえ、インターナビサービスの補完機能の見直 し提案を3点行った。 (1) 携帯電話による安否確認サービスの普及・定着が起きている現状を踏まえ自動車と いう移動体における安否確認サービスを独自には実施せず携帯電話の安否確認サー ビスへの連動外部コンテンツの採用を含め抜本的に見直すこと。 (2) 事前に調べた観光・景観情報、イベント情報をインターナビに移行・再生できるよ う、個人ページ内の情報の車外から車内へのポータビリティを強化すること。 (3) 商業施設、商業組合、観光組合等との連携により、位置情報と連動したプッシュ型 の情報配信・予約機能を強化すること。 【検証】インターナビ開発チームにより(2)(3)の各提案内容を反映した新たなイン 、 ターナビサービスが開発・提供される。この各強化機能の利用状況は、インターナビサー ビス利用自動車をプローブ情報として分析が行われる。 5 まとめ 以上みてきたように、インターナビサービス(カーナビゲーション)では継続的に収集 され蓄積が進むデータを利用した仮説・検証サイクルにより、主機能である経路案内情報 精度の向上や、補完機能の充実という形でサービスの質・量双方における継続的な改善が 進むことになる。そしてこの漸進型のサービス改善モデルによって、持続的可能なビジネ スの運営基盤が提供されることになる。 5
  • 6. 図5 AIST モデルによるインターナビサービスの進化プロセス -以上 6