教育機関でのJetsonの
活用の可能性
長岡技術科学大学
出川智啓
発表内容(大体こんな感じ)
• 自己紹介
• 本発表の目的
• GPGPU実践教育プロジェクトの紹介
• Jetsonの活用の可能性
• まとめ
2016/03/01 NVIDIA Jetsonプラットフォーム Meet-up #02 2
自己紹介
• 名前
• 出川 智啓(デガワ トモヒロ)
• 所属
• 長岡技術科学大学電気電子情報工学専攻
• GPU教育プロジェクトの特任准教授
• 専門
• 流体力学,数値流体力学
• GPUは使えるけど専門家と名乗れるほどではありません
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本発表の目的
• 教育プロジェクトの簡単な紹介
• 教員という立場でGPU教育に携わって得られた知見
を公開,共有
• 何かが皆さんのお役に立てばうれしい
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GPGPU実践教育プロジェクトの紹介
• GPGPU実践教育によるハードウェア指向型IT
技術者育成
• 高度情報化社会を支えるIT技術者の育成と,世界的に通
用する技術者の輩出
• ソフトウェアだけでなくハードウェアも含めた知識を有した
「ハードウェア指向型」の人材育成
• 産業界が注目しているGPUを教材として,ソフトウェア,ハー
ドウェアに関する知識を教授
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GPGPU実践教育プロジェクトの紹介
平成27年度
平成26年度
平成25年度
平成24年度
平成23年度 実施検討
GPUクラスタ導入(Tesla M2050 64台)
4月 講義開始
8月 GPGPUシンポジウムin長岡技科大
3月 前任者転出
8月 集中講義(学部4年生対象講義)
10月 着任
開講科目,シラバスの確定
前任者採用
模擬授業
~
(現在に至る)
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プロジェクトで導入したGPUクラスタ
• 16台の計算サーバで構成
• NVIDIA Tesla M2050を搭載
• 各サーバに4機ずつ計64機 grouse
tesla01 - tesla04
M2050×16
tesla05 - tesla08
M2050×16
tesla09 – tesla12
M2050×16
tesla13 – tesla16
M2050×16
学内ネットワーク
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プロジェクトで開講している科目
• GPGPU実践基礎工学(学部3年)
• GPUのアーキテクチャの基礎を理解
• CPUの高速化技術をハードウェアの側面から修得
• GPGPUの基礎知識を体得
• GPGPU実践プログラミング(学部4年)
• CPUとは異なる最適化方法を修得
• 分野横断的な問題に活用できる汎用的プログラミング能力
を体得
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プロジェクトで開講している科目
• 先端GPGPUシミュレーション工学特論(大学院)
• 実践的な実装方法を修得
• 異分野にわたる高度な専門知識を涵養
• GPGPU講習会(学内の全教員・学生対象)
• 月1回の頻度で開催,ほぼ1回完結
• 今年度はCUBLAS, CUSPARSE, Thrustなどライブラリの利用方法
やPyCUDAなど開発環境を重点的に紹介
• CUDA Fortranによる格子ボルツマン法のGPU移植と最適化(留学生
の希望)
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受講生数と単位修得学生数
• 受講生数
• 単位取得学生数
科目名
受講生数
平成25年度 平成26年度 平成27年度
GPGPU実践基礎工学 34 31 100
GPGPU実践プログラミング 17 4 9
先端GPGPUシミュレーション工学特論 17 0 16
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!?
発表者担当分
科目名
単位取得学生数
平成25年度 平成26年度 平成27年度
GPGPU実践基礎工学 31 28 64
GPGPU実践プログラミング 15 3 8
先端GPGPUシミュレーション工学特論 10 0 14
26年度に講義を担当して驚いた事
• GPUに関する興味が全体的に薄い
• 知ってはいるが難しそう,取り組む時間がない
• MATLABが高速化されないなら不要とも
• GPUを物理シミュレーションの高速化に利用するのは
“少数派”
• そもそもGPUを使う教員がほとんどいない
• 講義,講習会の受講生の大半は電気系学部所属
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26年度に講義を担当して驚いた事
• 情報処理が苦手
• Linuxに触れたことがない学生が多数
• 計算機の構成が理解できない
• 手元の端末とGPUクラスタのどっちでファイルを編集している
か理解できていない
• コンソールの操作はほぼ不可能
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学生にとってよい開発環境とは?
• 自分だけの開発環境
• 計算サーバ,クラスタにログインする構成は使い難い
• 学生が使いたいのはGPUであってLinuxではない(GUIは欲しい)
• 構築が簡単
• GPUを増設できるPCを持っている学生が少ない
• タブレットやノートPCが多い
• ノートPCが壊れるとレポートを書けなくなるのでいじりたくない
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27年度にJetsonを紹介してみよう
Jetsonの紹介
• GPGPU講習会,学部3年生向け講義
• 内容
• Jetsonの構成,CUDA,OpenCV
• USBカメラから取得した画像をリアルタイム処理
• OpenCVのサンプル(顔認識など)
• グレイスケール,輪郭抽出程度
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Jetsonは学生にとってよい開発環境?
• 食いつきは非常に良かった
• OpenCVのデモでは「おぉー」という歓声があがった
• 学生は視覚的にハデな結果を好む
• 「何倍高速化された」という謳い文句には惹かれない
• 講習会・授業終了後にJetsonを見に来る学生も
• 講習会に参加した学生から購入相談があり,実際に
購入・研究に利用
• 研究で行っている信号処理を高速化したい
• Raspberry Piのような手軽な環境が欲しい
• Linuxの勉強をしたい(PCを買うのは高価)
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学生の反応が良かった取り組み
• GPU利用促進プロジェクト
• Jetson TK1を無料で貸与
• 研究や趣味に利用
• 義務は
• どういうことをやりたいのかの申し出
• 何をやってどのような結果が出たか成果を報告
• GPGPUゼミ
• 1~2週間に1回のペースで開催
• GPGPUに興味のある人が集まって個人の取組の報告を基
に議論を行うゼミを実施
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学生がJetsonを使う利点(教員視点)
• 学生の需要に沿うことができる
• GPUに対する過去の需要
• 物理シミュレーション分野がGPGPUを牽引してきた
• だけど大規模計算環境を利用できる人は限定的
• 大学では“少数派”
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学生がJetsonを使う利点(教員視点)
• GPUに対する現在の需要
• 数値計算はわずか
• CUDA Fortranに対する潜在的な需要はある
• 潜在的すぎて表に出てこない
• 信号処理,非線形現象のパラメータ調査,ロボット制御,
機械学習など
• 大半がこれまでパソコンで処理していた内容
• 個々の学生が気軽に使え,パソコンを置き換えられる環境が必要
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学生がJetsonを使う利点(教員視点)
• Jetsonの導入
• 処理する計算機の小型化,省電力化,高性能化
• 様々な発展が期待
• 生体信号処理に使っていたノートPCを置き換えてウェアラブル化
等々
• 学生が自身の使う環境に責任を持つ
• 自身の使う環境を壊してしまったら自己責任
• 変なプログラムによってサーバを落とされることがなくなる
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学生がJetsonを使う利点(教員視点)
• 大学と学生の意識のズレの解消
• 大学はシラバスと高い装置を用意して満足しがち
• 高い装置は学生にとって使い難い
• 熱心な学生はシラバスに沿って学ばない
• やりたいことを実現するために必要な知識を勝手に収集
• 気軽に使える環境を与えて放置するのも教育では?
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創造性教育での利用
• 自律型のロボットを使ったロボットコンテスト
• 機械,電気,制御系学科の課題発見・解決型授業では定番
• 規模,内容,テーマは色々
• 実情は自律の名前を借りたシーケンス制御であることも
• ロボットにあこがれる学生は多いが,学生の期待に色々な
ものが追いついていない
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創造性教育での利用
• 沼津高専電子制御工学科(前職)の例
• MIRS(Micro Intelligent Robot System)
• 自律移動型ロボットを題材として,システム開発における
一連のプロセスを経験
• 企画・提案,設計,製造,テスト,運用
• 年度の終わりに競技会を開催
• 競技会の大枠は毎年共通
• 細かいルールは学生が決定
• 決定したルールに対応できるロボットを開発
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創造性教育での利用
• 沼津高専電子制御工学科(前職)の例
• 競技会のテーマは警備
• 展示されている財宝を狙って侵入した怪盗を発見,確保
• 現場に到達するまでの時間,怪盗を発見したか,怪盗を確保したか
• 学生から出たアイデアの一部
• 怪盗役の機体を複数用意,写真に撮って照合し,どの怪盗かを特定
• 複数のチームで連携して怪盗を確保
• 処理時間の都合上,妥協せざるを得ない
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怪盗役
実際の競技
の様子
MIRS 2015年度授業資料より引用 http://www2.denshi.numazu-ct.ac.jp/mirsdoc2/
創造性教育での利用
• もっと賢いロボットを作るには・・・?
• 前職でもJetsonを勧めていた
• TK1は安いし,ついでに画像処理が高速化できたらいいな程度
• NVIDIA Jetsonプラットフォーム Meet-up #01での吉川
大地さんの発表は,学校が創造性教育でやりたいことその
もの
• 「機械学習で効率よく学習させたチームの勝ち」になるのは
避けたい
• 学生の発想を尊重しつつ,教育効果も重視
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創造性教育での利用
• 創造性教育専門の教員はいない
• 教員が時間を使って技術の進歩,授業内容の刷新に対応
• 最新の情報を追いかけ続けるのは厳しい
• 産学連携ができるとうれしい
• お互いの課題を解決できるような連携,社会実装など
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企業
企業
企業
大学
大学
高専こんなこと一緒に
やりませんか?
何が課題になっ
ていますか?
技術交流しませ
んか?
学校のリソース使
いませんか?
こんな技術を持っ
た学生が欲しい
NVIDIA
情報発信
情報発信
こんなこと一緒に
やりませんか?
あったらいいな
• 安価なJetson
• Raspberry Piと比べるとJetsonは少々高価
• 安価なJetsonは作れませんか?
• Jetson付きの書籍
• 「これだけ買えばいい」というのは非常に魅力的
• 本なら教科書に指定できる
• ものづくり+Jetsonの事例
• GPUの使用用途の広がりに追いついていけない
• Interface誌での紹介記事は非常にうれしい
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あったらいいな
• CUDA Debug Drill(仮称)
• 学生はドリルでデバッグの技術を修得
• 教員はデバッグ対応に時間を割かなくてすむ
• 学生はとにかくデバッグができない
• 授業中にデバッグ方法の説明をする時間がない
• 応用問題になるほど原因の特定が困難
• 言語,アルゴリズム,並列化,ハードウェア等々
• 計算の安定性や収束性はGPUとは別問題
• 自力でバグを特定・修正できるようになってもらいたい
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雑感
• GPUの知名度は年々上昇
• 先生からやっておいた方がいいと言われた
• インターンシップ先で使っているのを見た
• 機械学習に興味がある
等々
• プログラムを全く知らない人にも浸透
• C言語すら知らない学生も講義を受講
• 独学はまだまだハードルが高い
• 気軽に使える勉強・開発環境に対する需要はある
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雑感
• 教育機関の時間の流れはゆっくり
• 先端の技術が授業で扱われるには時間がかかる
• 学生が思い描くことに,教育機関の色々なものが追いつい
ていない
• 産学連携
• Jetsonの普及は産業界が主導
• 教育機関がやりたいと思っていることが産業界では実現さ
れつつある
• 教育機関は教育の高度化という言葉に敏感
• 大規模計算分野以外でも多くの大学が産学連携を望んでいると予想
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まとめ
• GPU教育プロジェクトに参画して,Jetsonが学生に
とっていい勉強・開発環境になると思った
• 実際に紹介すると非常に学生の受けが良かった
• 授業や研究など,教育機関でJetsonを活用できる
場面は多々ある
• 産学連携がうまくいくと,教育機関にもJetsonが急
速に普及すると期待
2016/03/01 NVIDIA Jetsonプラットフォーム Meet-up #02 30

教育機関でのJetsonの活用の可能性