未来を創る
リーダーシップとチームワーク
~  変化をリードする  ~
平成25年3月16日
    日本再生プログラム推進フォーラム特定非営利
活 動 法 人
    人を活かすリーダーシップ
世の中に求められる価値を提供し続けることが組織の存続・繁
栄の道。その価値を生み出す力の源こそ「人」。“リーダーシッ
プ”はその「人」を活かすことによって強い組織を創る」ための力。
21世紀の新しい未来を創る能力を持ったリーダーを養成し、活
力溢れる組織づくりに活かそう。
人は「理論」と「実践」の両輪を回すことによって学び、成長する。
実践で迷ったとき、理論に立ち返ることができれば強力な後ろ盾
となる。
効果的なリーダーシップモデル
リーダーシップとは、天から与えられた才能ではなく、学んで身に
つけるもの。体系化されたモデルを学ぶことで誰しもが効果的な
リーダーになることができる。 
1
     未来を創るリーダーシップ
今日の複雑なビジネス環境において成功を収めるためには、皆が共有する未来像、
核となる価値観、チームワーク、創造性と継続的改善への努力、これらの持つ価値
をリーダーが知る必要がある。
組織がすばらしい仕事を続けるためには、チームのメンバーはお互いにお互いの役
割と責任を理解し、どのようにすれば皆がチームに貢献できるのかを知ることが絶対
に不可欠である。リーダーは、相乗効果が発生し部門の壁を越えて仕事をしていくよ
うなよく統合されたチームを作り上げなければならない。
チームのすべてのメンバーは、その地位に関係なく、リーダーシップにつながる自分の
責務を理解し、他の人から信頼を得るようにならなければならない。
変化をもたらすことのできるリーダーによって他者、特に同僚や部下たちは、私心を
越えて、会社にとって価値のあることのために行動していくようになる。
変化をもたらすリーダーは協力と信頼の気風を作り出し、皆が強く引かれる将来のビ
ジョンを練り上げ、それを人々に伝えていくことで思いを現実化させることができる。
彼らは、高水準の業績をもたらし、どれほど高い目標でも達成できるのだということ
を人々に感化していく。
リーダーは、組織内がお互いに信頼し尊敬し合う中で、何を成すべきかにつ
いての価値観を共有した文化を作り出し、維持していく人物である。
2
   未来を創造するリーダーに必要なもの
1.世界の現実そして自分自身に対するきわめて高度な理解力と洞察力。
2.何かを学び、変えていく際に必ず生じる苦悩を乗り越えるための、きわめて高いモ
  チベーション。
3.真実を学び変化を経ることが日常的になっていく中で、自分自身の不安感情を
  制御し、他者の懸念を払拭していく心の強さ。
4.どのような状況が基になって組織文化が成り立っているか分析できること。さら
  に、うまく機能している部分と機能していない部分を見極め、企業が持つ強さと
  機能している部分に基づいて組織文化を構築し、拡大していくことができる力。
5.人を巻き込み、人の自発性を引き出す意識とその能力。今の時代、やるべき仕
  事はあまりにも複雑で、情報はあまりにも多岐にわたり、一人で問題を解決する
  のは不可能と言って良い。
6.人々の知識や能力に応じて、自分が持つ権力と権限を委譲する意識とその能力。
  それによって組織全体にリーダーシップが広がっていくのである。
この研修はリーダーのみなさんに、人をリードするとても大切な能力、企画する能力、
人に影響を与える能力を磨いてもらう機会を与えるものである。これらの能力を持つ
ことによってリーダーはすばらしい組織の成功を長い時間にわたって作り出し、維持
することができるようになる。さらにこのプログラムを勉強する過程でマネージャーの
人たちは今までのやり方と違うものを感じるだろう。しかしお互いに意見や経験を交
換することで、組織全体のリーダーシップを高めていくことができるのである。 3
 従来型のリーダーシップ(タテ型)の限界
 以前はリーダーシップと言えば、
  一方通行で  「人に影響を与えること」  だ、
 と定義されていた。
 ・かつては「自分の目標達成のために他人に影響を与えること」
    リーダーがやって欲しいこと、リーダーが分かっていることをやってもらう。
    リーダーは命令し、部下はその命令に喜んで従う。
 ・リーダーの思いを実現するための人たちの集まり。
    カリスマリーダーと追従者。リーダーの思い以上の成果は得られない。
    リーダーがチームの能力に限界を設定してしまう。
 ・管理のためのマネージメント・システムが大切。
    部下を管理するためのシステム。
 しかしこの定義では、
 現代の組織が直面する様々な課題に対して、
 十分に挑戦することはできないのである。
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  現代のリーダーシップ(ヨコ型)とは
 量的にも質的にも求められるものが大きく変化している現代では、
 リーダーシップの一番大事な仕事は  「形を変えることをリードすること」
 であると考えられている。キーワードは「タテ」から「ヨコ」へ。
 ①現代のリーダーは他の人々、特に同僚や部下に対して、
    彼らが自分自身の利益を乗り越えて、
    会社の利益のために行動できるようにしてやらなければならない。
 ②現代のリーダーは、協力と信頼の気風を作り出し、
    みんなが強く惹かれる将来のビジョンを作りだし、
    それを人々に伝えなければならない。
 ③現代のリーダーは高い業績を上げるための方法を確立し、
    高い目標を達成できるという思いを人々に与えなければならない。
 すなわち、現代のリーダーというのは、相互の信頼に基づいて、
 組織の内部で
  「共有できる共通の責任」
 というものを作り出さなければならないのである。
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  「形を変えることをリードする」とは?
 世の中は常に変化している。
 だから自ら形を変え、時代に適応していかないと、
 組織は生きる力を失い、漂流し、やがて座礁崩壊してしまう。
 
 要するにリーダーは変化の激しい時代に組織を潰したくなかったら、
 変化に追いまくられるように行動するのではなくて、
 自ら変化を起こしていけという意味である。
 そのためには命令ではなくて、
 みんなにその気になってもらって、
 みんなの気持ちをひとつに集めるように組織を運営しなさい、
 ということ。
 リーダーが考えていることを部下にやらせるだけの一方通行のタテ型
 リーダーシップではとても現代の激しい変化は乗り越えられない、
 という意味である。               
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     解説:漂流・座礁を防ぐ
リーダーシップの最大の役割:漂流・座礁を防いで操船すること
・リーダーシップは、変化をリードすること。
 →  リードしないと、変化(潮・風)に取り込まれて漂流、座礁する。
・リーダーシップは、操船すること。
 →  エンジンではない。お金や権力の問題ではない。
   潮や風(世の中の変化:新しい知見、新しい方向)が分かってい
   ないといけない。プラス、自分自身を知ること。
・国や都市計画は超巨大船の動きに似ている・・早めに舵を切ること。
 →  常に操船・・都市計画は動的なもの。空白は許されない。
・リーダーは、早めに変化と知ること(新聞やテレビでは遅い)。
・全て自分でやるのではないので、前もって早めに変化を皆に伝えるこ
 と(それでも最初は、多数決で皆は「ノー」)。
・皆をその気にさせることが大切。そのためには、「聴く力」が大切。
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    現代のリーダーシップとリーダー
 リーダーシップとは、定義から言えば「混沌を止める力のこと」。
 混乱した状況に秩序を与え、しかも、
 今までの縦型の一方通行の権力行使や恐怖による抑圧ではなくて、
 一人一人のやる気を呼び起こし、
 それを横につなげて形を作っていくという、
 ヨコ型のリーダーシップである。
 新しいリーダーは頭と心と腹、すなわち理性と共感する気持ちと、
 決断・実行力、そして直感が全部つながっていなければならない。
 新しいヨコ型リーダーシップの時代、
 これから抜本的に創造していこうという時代には、
 明るく温かいエネルギーを他の人たちに熱伝導できるリーダーでない
 と、人は動かない。 
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    解説:混沌を止め、横につなぐ
・混沌を止める:一つの方向性に対し、やる気を起こさせること。
   国やまちのように、一つの組織を越えてやる気を起こさせる場合は、
   踏み込んだ理念では無理がある。
   →  右も左も乗せるためには、「未来への絵図面」で!
・横につなげる:皆がその気になってから(無理にやっても駄目)。
   →  自然にアメーバ的に。
     ただし、最初に決起集会やたまり場のような場は作ること。
   →  例えば複数の仲の悪い集落で:まずは一つの集落の成功事例を作ること。
     そうすると、対抗意識で皆、動き始める(相変わらず仲は悪いが)。
・頭・心・肚:人が感じる3ヶ所。
   →  人はまず、頭で考え(理論)、理解できないと、
     心(気持ち)に訴える(楽観と悲観)、最後に、どうでもいいや、と肚をくくる。
・熱伝導:人の居場所を作ること。
   →  明るい(燈台のように周りが見える:光・善なる心)。
     温かい(サポートする気持ち:人間力)。
     (この反対は、悪は暗い、よく分かっていない)
・この何十年間で、方向性は決着がついた。ロハスだ。
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   新しい時代のリーダーシップ論:ヨコ型
 ・リーダーシップの定義(組織,チーム全体の状態,雰囲気)
   人々の才能、可能性を引き出し、
   責任を分かち合う文化を創り出すこと。
   目的意識を持たせ、
   目標に向かって皆が進めるようにすること。
 ・リーダーシップの定義(リーダーとメンバーの関係)
   チームメイトが、
   より良い仕事が出来るように支援をすること。
   より良い成果が出せるよう支援してあげることで、
   彼らに満足を与えること。
   チームメイトがより良い仕事が出来る、
   その仕組みをチームに織り込むこと。
     	
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    解説:成功をサポートするために
・教育は、時間をかけて!
 →  一人ひとりが自分に自信を持つこと(やればできる)。
   小さな成功をコツコツ。これが継続的成功へ。
・言葉で教育を!
 →  良き話を本気ですると人は変わる(勉強していない人に効果あり)。
 →  上のリーダーが肉声で伝える。エネルギーは声だ。
・専門家の養成、そして、プロジェクトへの参加へ。
 →  専門家として養成し、プロジェクトを用意すること。チームを作ること。
 →  日本再生は、専門家を集めチームを作り、プロジェクトを推し進めること。
 60
          経営
 50   部長
          現場のプロマネ
 40   課長                         参加
          現場の専門職
 30   係長    一人前
 20 11
専門家の養成 プロジェクト
  新しい時代のリーダーシップのねらい
 ・リーダーはサポーターに。
   チームメイトは率先してエンパワーメントを。
 ・本心から頑張ろう,という気持ちにさせるリードを
   今の時代、上下関係で物を言っても効果がない。
    ・・・ある意味、皆、自立している。
   心から皆が本心で「そうだ!」と思い、
   本心から行動することが大切。
 ・普通の人が偉大な仕事をする物語が大切:プロジェクトX
   役に立っていることが実感できる、楽しく、嬉しく・・・。
     ×ルールで強制する組織運営
     △頑張れ!頑張れ!   
     ◎辛いことでも皆が楽しく(まずは、小さな成功を!)
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    解説:プロジェクトXの世界
        顧  客
     ↑
  商品・サービス                     
     ↑
    現  場    会社にとって現場が大切
     ↑          (顧客重視の経営)     
      調整   逆さまのピラミッド                
            (サーバント型リーダーシップ)
・本心からのやる気を:小さな成功を!
・プロジェクトX:普通の人の成功談(特別の人の成功談は、伝記)。
 →  技術Aの力と営業Bの合力。さらにA‘の力とB’の力が生まれて大きな力に。
   (破線の部分が、潜在能力が開花した部分)
 →  人は、潜在能力の開花とともに偉大な仕事をする(破線の部分)。
   (顕在能力は過去の実績。自明の能力の発揮は、過去の実績に過ぎない)
・リーダーシップは、A+Bを基点に、もっと伸ばすが、もっと縮めるか。
 →  プロマネは、スタッフを基点以上に伸ばせる人。
   プロマネになりたくない人は、専門職でも良いが、マイナスに動かぬこと。
   そのために、30歳から60歳まで教育を。	
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営業B
技術A
A‘
B‘
  チームにとって共有すべき大切なこと
 ・Mission(役割),  Value(志・価値観・行動規範),  Vision(夢)
   Mission:チームの目的,何が目的か(Why)
    なぜチームが存在する?何のために?役割,使命感,機能。
   Value:力強い理念,核心の信条,我々が誰であるか(Who)
    信念,行動原則,ポリシー,志・価値観・行動規範は?
   Vision:チームが長期に亘ってめざすビジョン(Dream)
    何を達成したい?夢は?10年後は・・・?
    ・方向性の共有は難しくはない(スポーツの例)
            Mission(役割・使命):何のために集まったチームか。
      「サッカーをやるため」  「野球ではない」
   Value(志・価値観・行動規範):どんなサッカーをやるチームか。
      「フェア・プレイ」  「ダーティなサッカーはやらない」
            Vision(夢):何を実現したいのか。
         「ワールドカップに出たい」  「健康のためではない」
    ※ミッションとバリューとビジョンで、いわゆる「理念」
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     「チームに参加する」ということの意味
何を大切にしながら、何のために、どこを目指して働いてい
るのか。それが皆で共有されたとき、支流が集まり本流とな
るように、組織としての大いなる力が生まれる。
    同じ使命感(Mission)、同じ価値観(Value)、
    同じ夢(Vision)を持った仲間としてのチーム。
      ①役割を分担し、責任を共有し、
      相乗効果を発揮するための仲間。
      ②エンパワーメント、コラボレーションで、
      予想を上回る成果を創り上げる仲間。
      ③社会とチームの利益を最大にするために、
      努力する覚悟を持った仲間。
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    解説:物理学とリーダーシップ
・物理学の観点からの「参加する」ことの意味。
  ニュートン物理学では、名簿に名前が載るか乗らないか。
  アインシュタイン(量子)物理学では、中心の周りをまわっている。
  →  まわりは変わるが、中心は不変。
    同じペースでエネルギーを出し続けること。
  台風と同じで真ん中は風が吹かない、まわりは風は吹き変わる。
  →  中心の近くと、中間と、遠く、では違う。
    (近くの人はいつもまわっている。遠くの人は見守っている程度)
  →  参加しているか、していないかの境目がない。
    来るもの拒まず、去る者追わず。
    (無理強いすると、エネルギーが抜ける)
    (一人ひとりにとって釣り合う位置に)
  →  本来の国づくり、都市計画は、こんな感じで。	
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 ニュートン物理学  アインシュタイン物理学
 
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     チームに参加する際に(1)
・頭:合理性・認識・技術・財務・決定・問題解決・・・
     冷静に、合理的に判断できる頭脳を。
     「人を知っている」「頭のシェア・分担」「ネットワークを組む」
・心:①慈悲の心 愛・同情・共感
     相手の立場で考える、感じる。相手の考え方で感じる。
       ※愛情は、自身のリーダーシップの結果を見せる。
          愛情を持って、相手の立場で考えれば結果が見える。
         ・責任を共有しているか。動機付け出来ているか。
         ・達成感があるか、満足してるか。
       ※慈悲の心は、軟弱・決断できない、と言うことではない。
          慈悲の心で、人々がスタートできるようにすること。
   ②勇気 現状維持ではなく、切り開くこと
                   困難でも続ける勇気。ダメと分かったら認める勇気。
          諫言できる勇気。正直に素直に言える勇気。
       無の世界のエネルギー。
       何もなくても勇気はある←→全て揃っていても勇気なし
 	
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     チームに参加する際に(2)  
・腹:①よし、やろう!(一番大切)
    チーム・顧客に対し、コミットメントを感じること。
                    ※コミットメント:義理・義務・誓い。本気の約束・宣言
      仲間に対し、より多くのものに属してゆこうとすること。
        ※自分の属性にこだわらず、
        どんな立場でも共有しようとすること。
    一緒に頑張ろう、とすること。
     ※リーダーは、自分以外の他のものに義理を感じるもの。
     ※誰かが何かを始めないと、成功しないと、では駄目。
        自分を越えてゆくこと。
   ②直感 予測できること。
    証拠や事実だけからではなく、チョイス(選択)できる。
         このグループはこうしよう、このようにリードしよう、
    と言った感覚。
    インスピレーション、ひらめき、虫の知らせ、シンクロニシティ
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 参加するチームと個人:逆さまピラミッド
    【チームと個人の役割・・・個人が主役、チームはサポート】
  
  ・チームが描く方向性「ミッション・バリュー・ビジョン」
    社会の中でのチーム、社会の中で自立し連携するチーム。
    個人の声も反映させた、個人の意思としての方向性。
  ・チームとしての方向性を共有した上での「個人の夢」
    誇りを持ちチームの一翼を担う個人、役割を果たす個人。
  ・個人の夢を実現するのは個人の責任、個人が主役
    個人が役割を果たし、夢を手に入れられるかは、個人責任。
    その役割・責任を果たすための権限と財源は個人へ委譲。
  ・個人の夢の実現をサポートするチーム
    各種支援策等で、チームは個人の成功を支援する。
  ※チームに参加出来るかどうかは、
     方向性の共有が出来るかどうかにかかっている。
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    解説:方向性の浸透とサポート
 ※組織の内外に境目はなくなっている。
 →  方向性がズレていると、仲間になれない・・人間関係の基礎。
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トップ
トップ
現場
現場
方向性はトップダウン
サポートは下から
↓
商品・サービス
↓
顧 客
顧客
↑
商品・サービス
↑
     成功する素晴らしいチームとは
 ・相乗効果(Synergy):実力以上の力を発揮
          
   良くないチームでは・・・・・・・・・・・・⇒
                                      
   普通のチームでは・・・・・・・・・・・・・⇒
                                                                                                                                    
         素晴らしいチームでは・・・・・・・・・・⇒                          Synergy
    方向性を一点に絞って相乗効果(Synergy)。
    MissionやValueで、皆の努力、エネルギーを、
    一つの方向に向けることが出来れば、              
    チーム全体としては大きな力となる、
    利益が何倍にもなる。
    ※エンパワーメント・学習する組織
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      解説:チームの形
・バラバラは、不祥事が相次ぐ。
・普通のチームは、行儀よく並ばせて抑圧し、
 エネルギーを抜く。
・相乗効果は「よってたかって」。
 メンバーもその都度。意思決定もその都度。
 →  これを実現するには、
   トップリーダーによるところが大きい
・形を変えるために:良い事例を見せる。視察に行く。
    リーダーは引き締め過ぎないように。
 →  皆で見て、考えさせること。議論させること。 
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       組織の文化
この変化の激しい時代に、
変化に弱い未来は創れない。
現状を把握し、
理想の組織づくりを目指す
第一歩を踏み出す。
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     消極的防衛スタイル
●承認文化(3時):対立をさけて、人間関係を少なくとも表面的には良好に保っておこうとい
う文化。メンバーは、自分は合意しなければならない、承認されなければならない、人から好か
れなければならないと思っている。この文化を持つ組織は確かに害がない場合もあるが、建設
的な議論が行われず、自由にアイデアや意見が出てこないので、組織の効果を制約してしまう
ことがある。
●伝統的文化(4時):保守的で、伝統的で、規則や規制によって組織が動いている。メンバー
は行儀良く振る舞い、規則や手続きに従うことが期待され、現状を維持する。ある種の組織
(たとえば会計事務所や銀行など)は、その仕事から言って伝統的なやり方が必要とされる。し
かし、不必要に伝統的な文化は、変化や変革を抑制し、組織が新しい環境に適応することを
難しくする。
●依存文化(5時):階級的に管理され、人々の参加意識はない。意思決定は中央集権的で、
人々は言われたことだけをやり、すべての意思決定について、上司の承認を仰ぐ。メンバーは
やらなければならないことをするが、必要最小限の成果しか出すまいとする。組織全体の有効
性は一人一人のイニシアチブや柔軟性がないこと、あるいはタイムリーに意思決定を行わない
ことで減少する。
●逃避文化(6時):成功に対して報いることをしない反面、失敗に対しては罰を与える。このよ
うな減点評価のためにメンバーは責任を他人に転嫁し、たとえば失敗をとがめられる可能性
があるとか、間違った決定をするとか、うまくいかない新しいアイデアを試すとかいったような、
脅威となるあらゆる状況を避けようとする。このような組織ではメンバーが決定を下そうとせず、
行動しようとせず、リスクを取ろうとしないので、組織としての有効性は疑問である。 25
      積極的防衛スタイル
●対立文化(7時):人のアイデアを批判することで地位と影響力を獲得することができるので、
メンバーは安全で(たとえそれが有効な考えでなくても)、対立を避ける考えしか出さなくなる。
たしかにある程度疑問を呈することは機能的であり、必要なことであるが、あまりにも対立文
化が強いと非生産的な対立が起き、グループでの問題解決が十分に行えなくなり、問題に対
して簡単に答えが出る結論に落ち着いてしまう。
●権力文化(8時):メンバーの地位に備わっている権力に基づいた厳格な管理と硬い組織を
持っている。メンバーは責任を負って、部下を管理することで報奨を得ており、同時に上司の
要求に答えることでも報奨を得ている。その結果、階級的なシステムが生まれ、情報の流れ
(特に下から上への流れ)が阻害される可能性があり、部下は協力しようという意欲を減退さ
せ、究極的には組織の有効性の阻害要因になる。
●競争文化(9時):勝利や、ほかの人よりも成績が良いことに対して報奨を与えることに価値
を置いている。メンバーは、勝ち負けのフレームワークの中で仕事をするように促され、同僚と
一緒に仕事をするよりも、同僚と戦って仕事をしている。もちろんある程度の水準の競争は仕
事への意欲を高めるが、この文化が強すぎると協力関係が失われることで組織の有効性が損
なわれ、同時にあまりにも高すぎたり低過ぎたり、非現実的な目標設定がなされることがある。
●完璧主義文化(10時):首尾一貫性、一生懸命働くこと、一員として仕事ができることを示
すことに価値が置かれる。メンバーは非常に緻密に設定された目標を達成し、すべてを注意
深く監視、決して間違いを犯さないことを期待されている。このような文化は場合によっては
有益であるかもしれないが(信頼性が非常に大事な場合など)あまりに完璧主義に重点を置く
と、メンバーは全体の目標を見失い、細かなことにとらわれ、緊張の症状がひどくなる。 26
       建設的スタイル
●達成文化(11時):メンバーが良い仕事をすることを促している。メンバーは達成することは
難しいけれども現実的な目標を持つことが期待され、こうした目標に到達するための計画を立
てることが期待されている。そして仕事に対して情熱を持って取り組む。この文化を持つ組織
は効果的な組織であり、問題は解決され、顧客はとても大事に扱われる。そしてメンバーは自
分自身と組織の両方に対して健康的で相互に有益なやり方で考え、行動する。
●自己実現文化(12時):創造性、量よりも質、仕事を達成することと同時に個人的に成長し、
満足を得ることに価値を置く。こうした組織ではメンバーは仕事を楽しみ、自己開発をはかり、
新しく、興味深い活動を行うように促されている。この文化はある部分、理解が難しく、管理し
にくいところがあるかもしれないが、メンバーは非常に創造性豊かで、高品質の製品やサービ
スを提供している。そして非常に仕事ができる人を育て、またそういう人をひきつける。
●人間性促進文化(1時):みんなが参加する、従業員重視型の管理スタイルが見られる。メン
バーは互いに支え合い、助け合うことが期待されていて、人の助言や考えに興味を持っている。
●提携文化(2時):人と人との間の建設的な関係や、メンバーの個人的な満足に高い価値を
見出している。人々は互いに友好的に楽しく付き合うことが期待されており、オープンに情報、
意見、そして感情を共有することが期待されている。
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    リーダーシップとマネジメント
・糸(ヨル):ヨッて強くする。ヨリを戻せば一本一本に戻る。
 ヨル:線→新しくやるなら、ヨル。
・編物(アム):一人何役も持って、やる。元に戻せる。
 アム:面→まちづくり。途中で直せる。
・織物(オル):直すためには、切る必要がある。
 オル:面→切って直す。
 →  リーダーシップは、何が正しいかを決めること。
   目標や行き先を決めること。
 →  マネジメント(管理)は、
   物事を正しく実行すること(目標に向かって誘導すること)。
・タテ糸(リーダーシップ)は強く(まっすぐ揺るがない)。
 ヨコ糸(マネジメント)は調整していれる(状況に応じて変える)。
 →  タテとヨコが逆転すると、ある時の状況に応じた方法が柱になって、
   理念がずらされ、ぶれる(構造構成主義の考えと同じ)。
 →  タテ(リーダーシップ)がしっかりしていれば、一人からでも未来は拓ける。
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      成功するマネージメント①
 ・役割を分ける?  責任を分ける?
    役割は分担する(Separate)     責任は分かち合う(Share)         
                            つまり、責任は共有する


         Separate                  Share



             













 ※何故、シェアできないか:余計なことをさせてエネルギーを落としている。
 	
 29
  成功するマネージメント②(意思決定)
 ○意志は決定内容の良し悪しの前に・・・
  「決定方法(誰がどのようにして決めるか)」を決めることが大切。
    リーダーが決めるか。チームメイトも一緒に考えて決めるか。
    ※決定方法は、その質と、時間と、サポートする仲間の相関で。
    ※問題をより良く理解することは、決定に要した情報によって
       も影響される。一緒に問題について考え、意志決定に参加
       すると、決定を受け入れてくれる。
    ※結論が分かっていても、どうやって決めるかが大切。
    →  決め方で、それが実施されるかどうかに影響を与える。
 ○前提となるリーダーの数は・・・?
    いかなる場合でも、最終的な責任を負うリーダーは、公式非公
    式はともかく、「1人」。
 ○意志決定方法のバリエーション
  L1 L2      LF1   LF2   M L:Leader  リーダー(1人)

                          F:Follower 仲間

  0 1       5    8   10 M:Member 仲間全員	
 30
  成功するマネージメント②(意志決定)  
 ・L1:リーダー1人で決定する。(独裁的Auto  Cratic)
   状況を誰にも相談せず,リーダーの個人的な知識と書類に出ている情報だけで意志決定する。
 ・L2:部下から情報収集するが,リーダー1人で決定する。
   一人または数人の部下から追加的な情報があれば収集するが,どんな問題が起きているかは
   部下に言うこともあるし,言わないこともある。部下からの情報は求めるが,解決方法やどうす
   べきかについては聴かない。
   ・LF1:個人的に部下に相談するが,リーダー1人で決定する。(Consult)
   どんな問題が起きているかを複数の部下に個人的に打ち明け,彼らから追加的な情報を集め  
   ると同時に,どうすれば良いかについて提案を求める。あたかも部下をコンサルタントのように
   使うというスタイルである。そして部下の持つ印象や意見を追加的な情報として採り入れるが,
   最後の意志決定権はリーダーが確保する。
 ・LF2:部下全員に問題を相談するが,リーダー1人で決定する。
   部下を集めてその場で問題を討議し,解決策を探る。全員が取り組み方法,意見,解決策につ
   いての情報を共有する。そして彼らの持つ印象や意見を追加的な情報として採り入れるが,最
   後の意志決定権はリーダーが確保する。
 ・M:部下全員に問題を相談し,全員で何をやるかを決める。(Consensus)
   部下全員を意志決定プロセスに完全に参加させる。部下に問題を示し,情報を示し,部下と一
   緒に議論にも参加する。ただし,リーダーとしての優越的な地位は議論の中で行使しない。あた
   かも全体のコーディネータのような役割に徹する。意志決定を行うのは全員であり,リーダーは
   全員が決めた意志決定を受け入れると同時に,それに対する責任も負う。リーダーはみんなの
   支持とみんなの合意を受け入れ,それを実行する意志を持つ。そして,我々が決めたのだ,と
   言う。(決定を皆がサポート)
 ※合っているか間違っているか、正しいかどうか、だけではなく、合意があるかどうか。
 ※いずれの場合にも,一人のリーダーが最終的な意志決定の責任を負うことには変わりがない。 31
     成功するマネージメント③  
能力と動機付けに応じた対応(一人ひとりを成功に導くために)
何がやる気の上げ下げに関与するのか。リーダーとして注意すべき点は何な
のか。新入社員とベテラン社員に同じように接しても効果的な教育効果は
得られない。大切なのは、個々のおかれた状況に合わせること。
            C            D
  ↑能力高い    Encourage      Delegate       ↑能力高い
                                     
  ↓動機弱い    励ます                        任せる          ↑動機強い
             参加させる
    
              A          B
  ↓能力低い    Direct                           Coach          ↓能力低い
                                   
  ↓動機弱い    命令する      教える             ↑動機強い
  
 ※成功させるためには、褒めること、褒めてもらえると嬉しい。
 ※同じ人でも、役割・場面によって能力・動機は変わる 32
         成功するマネージメント③  
能力と動機付けに応じた対応(一人一人を成功に導くために)

 ・A:Direct(命令する,やれ):やる気もなく、言わないとやらないし、出来ないタイプ
              困難な仕事を、やらせる。何をどうすべきか伝える(時間の共有はしない)。
 ・B:Coach(コーチする,教える):やる気のある新人タイプ(やる気がポイント)
     困難な仕事を、べったり付き合う。手取り足取り教える(時間を共有する)。
 ・C:Encourage(勇気づける):出来るのに出来ない、自信がないと思っているタイプ
             (一緒にやる):その仕事の意義が分かっていないタイプ
                           なぜ重要か、なぜあなたか、が分かっていないタイプ
                     ベテランでグレているタイプ。
              出来るはずのことを、手伝う。成功を共有する(時間を共有する)。
     上手に話をしながら励ます。(一番対応が大変)
 ・D:Delegate(任せる,どうぞ):元気に頑張っている優秀タイプ
              出来ることを、自由にやらせる(時間を共有しない)。本人に悩ませる。
 
 ※相手の状況に応じて、付き合い方、リードの仕方を変えることが大切。
   「常に面倒見が良い」とか「いつも部下に任せることで成長させる」といった、
     固定的なアプローチではいけない。
 ※付き合い方、リードの仕方は、リーダーの個性ではなく,
    相手の状況に合わせて変えること。 33
       成功するマネージメント④
     (評価の考え方:D>B>C>A)
能力や結果だけではなく、右上の「D」に向けて誘導する。 
                        
                           A:結果を出さない、責任も感じない。  
 能力                
 結果                    B:頑張っている。あとは技術を磨くだけ。  
         
                        C:チームはMissionが大切、と言うが、  
                          結果を出せばよいだろう、と考えてしまう。       
                          放置すると尚更Mission,Valueからズレる。        
                           
                           D:パフォーマンスが高い。     
             ふるまい、姿勢      

                                                  	
C
	
D
	
B
	
A
	
34
       おわりに  
【チームをつくり、チームをリードし、成功するために】
  ・志,思いを共有できる仲間とチームを作ること。
  ・覚悟を持ってチームに参加すること。
  ・エンパワーメント,学習する組織を作り,コラボレーションすること。
  ・自己責任(TheyではなくてWe)で。
  ・最悪を想定し,楽観的に行動すること(長期は悲観的に見て,短期を楽観的に)。
【やる気の測定方法】
  ・そのことに対し、どれだけの時間を割いたか。
【「わかる」ということ】
  ・わかる、という言葉には「分かる」「判る」「解る」の3つレベルがある。
  ・「分かる」この飲み物にはアルコールが入っていることが分かる・・・・・知識がある
  ・「判 る」これを飲んだら酒気帯び運転になることが判る・・・・・・・・判断できる
  ・「解 る」酒気帯び運転はいけないと解っているから車を運転しない・・・行動が変わる
【チームの壊し方】
  ・リーダーが、チーム運営に対して時間をさかない(情熱を持たない)。
  ・リーダーが、チームのリードの仕方(理論)を理解しない。
  ・情熱だけでもだめ。
  ・理論ばかりでもだめ。
  ・情熱がないと、皆はついてこないし、理論がないと、チームは壊れる。
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未来を創るリーダーシップとチームワーク