むかーしに学生アルバイトの研修用に「リーダーシップとは何か」について説明したものです。

1. 今月のアルバイト
研修テーマは

2. リーダーシップと
は何か

3. です。

4. ちなみにこれは高橋
メソッドと呼ばれる
手法です。

5. 結構楽しいのでマネ
してみてください。

6. さて、本題。

7. 本研修では、
「皮膚感覚で分かる
リーダーシップ」
を伝えることを目的と
しています。

8. みなさんは
「リーダーシップ」
に抵抗感はありませ
んか？

9. 日本人は
「リーダーシップ」
がニガテです。

10. 「出る杭は打たれる」とか、
「バッシング」とか、
よくありますよね。
嫌ですよね、そういうの。

11. あと、「リーダーシップ」を
「命令をすること」とか、
「異議申し立てをすること」
だと思っている人も多いです。
それも嫌ですね。

12. でも、
本物の「リーダーシップ」
はそういうものではありません。
まずはそうした誤解を解きます。

13. 第一部
リーダーシップと
は何か

14. 言葉遊びにならないよう、
まずは定義をしましょう。

15. 仮に「リーダーシップ」を
「率先して物事を動かす」
ことだと定義します。

16. すると、
「組織やコミュニティには
利害関係や権力構造がある」
のに気づきます。

17. 「率先して物事を動かす」と、
「利害関係や権力構造」も
変化させてしまう可能性があ
ります。

18. そこで抵抗されたり、攻撃をさ
れたりすることが起こります。
これがバッシングです。
今の日本はこればっかですね。

19. でも、
「物事を動かすこと」は
必ずしも既に存在する利害関係や権
力構造に対して破壊的な影響をもた
らすものとは限りません。

20. つまり、
方法論さえうまく身に付ければ、
破壊的な影響を最小限にして、
物事を良くしていくことは可能
です。

21. 自分が乗っている船が沈みそうに
なったら逃げる？
それも一つの選択肢ですが、
逃げるところは常に存在するわけで
はありません。

22. 耐えたり逃げたりする以外に、
物事を変えてみれば、すっかり
景色が変わることもあります。
ただ、誰も動かなければ、誰も
付いていきません。

23. というより、
物事を変えていかないと今後の日
本社会は立ち行かない状況です。
「後が無い」ってやつです。

24. アメリカに守ってもらって貿易
で儲けられる時代は終わり、
人類史的にも経験の無い少子高
齢化という時代がやってきてい
ます。

25. 終身雇用制は崩壊し、労働生産
性は先進国中で最低レベルです。
資源もありません。
政治にも期待はできません。

26. つまり、この変化に個人として
どう適応できるかが今後の社会
人にとって重要なポイントに
なってきます。

27. 適応できなければ、競争力失ってコ
ミュニティごと沈下していきます。
競争力がなければ、教育も技術力も、
豊かな生活も維持できません。

28. 競争力はモノを奪い合うのにも
必要ですが、新しい可能性を作
るときにも必要です。
たとえば、iPhoneとか。

29. iPhone は、ケータイに音楽プ
レーヤーやアプリなどの付加価値
をつけることで、新しい市場を生
み出しました。

30. iPhone を取り巻く市場によって
apple は業績を回復、自社だけ
でなく関連企業にも利益をもた
らしています。

31. 「新しい可能性を作るために物
事を動かす」
これがこれからの時代で求めら
れるリーダーシップです。

32. また、コミュニティや組織に所
属している個人は、一人で生活
できているわけでありません。

33. つまり、見方を変えると、
「リーダーシップで新しい可能性
を作ること」は
「自分が所属するコミュニティ
に対する恩返し」
であるとも言えます。

34. 自分が死ぬときに、
「コミュニティに何か残せた」
と思えたら幸せじゃないですか？

35. 「人生に意味を持たせたい」と
思ったら、リーダーシップは大
切な要素です。
そして、それは誰にでも可能な
ことです。

36. ということで、続けて
どうやったら様々なリスクを最
小限にして物事を動かせるかに
ついてお伝えしたいと思います。

37. 第一部・完

38. 第二部
どうやったら物事を動かす際の
リスクを最小化できるのか？

39. まずはリーダーシップの
スタイルのお話。

40. 先ほどご説明した通り、
リーダーシップは誰にでも可能
です。
自分にあったスタイルでやれば
無理が少なくて済みます。

41. リーダーシップは大まかに6種類
のスタイルに分かれます。

42. 1. 進むべきビジョンを示す
「ビジョンリーダーシップ」

43. 2. メンバーを育てる
「コーチングリーダーシップ」

44. 3. 利害関係を調整する
「調整リーダーシップ」

45. 4. メンバーと同じ目線で考える
「仲良しリーダーシップ」

46. 5. 実力主義、背中で語る
「実力リーダーシップ」

47. 6. 規律と命令で動かす
「指示命令リーダーシップ」

48. 調査によると、
日本で一番多いのは
「指示命令型リーダーシップ」
一番少ないのは
「ビジョンリーダーシップ」
だそうです。

49. でも、一番人気がないのも
「指示命令型リーダーシップ」
そして、一番人気があるのは
「ビジョンリーダーシップ」
です。

50. 実に6割以上の人が
「ビジョンリーダーシップ」
を望んでいます。
やはりみんなで一緒に何かをす
るなら、成功イメージを共有し
ながらやりたいですよね。

51. みんなが納得できるビジョンを
作って新しい可能性を探れば、
今やっていることを止めたり、メン
バーを削ったりする必要も減り、
利害関係や権力構造との摩擦も少
なくて済みます。

52. 現実に物事を動かすには、
6つのリーダーシップのスタイルを
組み合わせる必要があります。
まずは自分に合ったスタイルから始
めて、他の要素を取り入れていくと
うまくいくでしょう。

53. では、
「新しい可能性を探すために、
みんなで物事を動かす」際に
必要な具体的テクニックについ
てお話します。

54. ビジョンの作り方、
コミュニケーション、
人間関係や政治に関するスキル
はたくさんあり、
正直なところ一朝一夕に身に付
くものではありません。

55. 「メンバーの幸福度は
リーダーの苦労に反比例する」
…という格言（？）もあるぐらい。
一人前になるには、どんな職業でも
「1万時間」はやらないといけないそうです。

56. でも、行為としての
リーダーシップの本質は
シンプルです。

57. まず、問題はどこにあるかを
「観察する」

58. 問題に巻き込まれないように、
一歩引いて全体を見ること。
ベランダから外の風景を見るよ
うに、人や物事がどう動いてい
るのかを理解する。

59. 次に、物事の問題について
「問いを投げかける」

60. 問題の所在について、まず確認
します。「問題があること」と
「それが何か」についてメン
バーと一緒に考えます。
もしかしたらメンバーは同じ問
題をもっと深く考えているかも
しれません。

61. さらに、その問題についての
「見解を示す」

62. 問題を共有したら、自分の見解
を示します。
ここでメンバーとの見解をすり
合わせて、共有できるビジョン
を作ります。

63. 最後に、ビジョンに基づいて
「行動を実行する」

64. 「絵に描いた餅」には価値はあ
りません。みんなで餅を食べる
ために行動するのが一番大事な
ことです。

65. ビジョンを形にするための行動
は地道なトライアル&エラーの
積み重ねで形作られます。
ここが一番難しい。

66. 「見解を示す」までは口先だけ
でも可能です。でも、口先だけ
の人は信用されません。
信用されないと、コミュニティ
や組織の行動にはつながりませ
ん。

67. また、リーダーシップを発揮し
て行動を実行したとしても、常
に成功するわけではありません。
世の中には「解が存在しない」
問いもあるし、リソースや政治
の問題などで解に辿りつけない
こともたくさんあります。

68. また、仮に成功したとしても、
嫉妬や利害関係、権力構造の変
化による攻撃を受ける可能性も
あります。

69. それでも、座して死を待ったり、
沈むドロ舟でみんなで沈没した
り、あるいは自分だけ逃げ出す
よりも、「リーダーシップ」を
発揮することを選ぶ人がいた時、
彼・彼女はどうやったらそれに
耐えられるのだろう？

70. 第二部・完

71. 第三部
リーダーシップを実現するため
に必要なマインドセットとは？

72. まず、自分の行動に対する
「短期的な評価や報酬を求めない」
これは大事です。

73. リーダーシップは
「観察する」
「問いを投げかける」
「見解を示す」
「行動を実行する」
のサイクルのくり返しで達成さ
れるものです。

74. リーダーシップの取り組みは地
道なトライアル＆エラーの積み
重ねです。
短期的には成果が出ないため、
各ステップで評価を求める気持
ちを出してしまうと、すぐに心
が折れます。

75. 特に今の日本にはリーダーシッ
プを理解する土壌がないので、
見返りの期待はしないことです。

76. さらに、
リーダーシップにつきものの、
批判や個人攻撃に対応できるマ
インドセットも重要です。

77. 人は利害関係が絡んだり、示された
ものが理解できないと思ったり、自
分が想像したものと違うという理由、
そしてリーダーシップを発揮できる
人への嫉妬などで、「気に入らな
い」と思うと、簡単に個人攻撃をし
ます。
これへの対処は極めて重要です。

78. 自分がやったことへの批判や個
人攻撃は、
「役割に対するフィードバック
である」
と考えると、吸収できるように
なります（ 余裕さえあればw）。

79. 自分もいちプレーヤーであるこ
とを理解して、再び「全体とし
て観察する」と、相手のアク
ションが理解できるようになり
ます。

80. とはいえ、人間の心とは弱いも
のです。
個人攻撃に耐えられる人はそう
そういないですし、未知の問題
に率先して取り組むときは誰
だって心細いものです。

81. そこで、同じように
「リーダーシップを発揮してい
る人、あるいは発揮しようとし
ている人とつながりを持つ」
ことが大事です。
そういう人は探せば一定の割合
でいます。

82. 大事なのは、
リーダーシップを実行している
人、実行しようとしている人に
対するリスペクト（敬意）を持
つことです。
こういうのは言動で伝わります。

83. リーダーシップを持つ勇気への
リスペクトを持っている人同士
なら、こうした批判や個人攻撃
の痛みなどの事情を理解し合う
ことができます。
これは大変な励みになります。

84. もっといいのは、
ロールモデル（将来のお手本）
やメンター（尊敬できる指導
者）を持つこと
です。

85. ロールモデルは自分の未来像と
して、メンターは心強い助言を
与えてくれる存在として、信念
を支えてくれます。

86. 新しいことに挑戦して、短期的な評
価も得られず、無視や攻撃を受けて
いると、自分のやっていることが正
しいかどうか不安になるときがあり
ます。
こうしたとき、彼ら・彼女らは力に
なってくれます。

87. ロールモデルやメンターは人に
よって異なりますが、
鉄の下駄を履いてでも探しま
しょう。

88. …と、リーダーシップには
いろいろと面倒なことがつきも
のですが、
物事が良くなるのは楽しいこと
です。

89. できる範囲から始めればリスクが少
なく、テクニックを身に付けること
ができるので、何か身の回りにどう
にかしたいことがあったら、
他人任せでは無くリーダーシップで
解決してみるのはどうでしょう？

90. 第三部・完

91. 参考文献
『最前線のリーダーシップ』マーティ・リンスキー, ロナルド・A・ハイフェッツ, 竹中 平蔵:
本
http://www.amazon.co.jp/dp/490324170X/
『デキる人は皆やっている 一流のリーダー術』: 森田 英一
http://www.amazon.co.jp/dp/475691151X/
『チームリーダーの仕事のルール』PHPエディターズ・グループ
http://www.amazon.co.jp/dp/4569693830/