とぽろじー入門 著作権大丈夫版 
すうさん(@k1ito)
はじめまして/お久しぶりです 
▪すうさん(@k1ito)と申します 
▪東京大学理科1類2年。春からやっと理学部数学科! 
▪数学と外国語 
▪Twitterではそんなに数学ツイートしてないですm(_ _)m
本講演について 
▪位相幾何学(トポロジー)の初歩 
▪閉曲面の分類・ホモロジー論の初歩など 
▪初学者向け・ゆるふわ 
▪幾何専門の方はどうぞお手柔らかに。。。 
▪参考文献[4] 得能正太郎『NEW GAME!』,芳文社,2014
位相幾何学とは 
位相幾何学とは 
同相な空間に共通する性質を研究する学問。 
定義(同相) 
空間푋,푌が同相である。 def ある連続な写像푓:푋→푌と푔:푌→푋が存在して、 
푔∘푓=idx,푓∘푔=idY 
またこのような逆写像も連続な写像f:X→Yを同相写像という
ここでいきなり問題 
空間X,Yが同相でない。とは? 
(答) 
全ての連続な写像 
푓:푋→푌と푔:푌→푋について 
푔∘푓≠idx,푓∘푔≠idY
えっ? 
全ての連続な写像푓:푋→푌と푔:푌→푋について!? 
ある空間X,Yが同相でないことを示すには・・・ 
空間X,푌の間の全ての連続写像について検証しないといけない
じゃあどうすればいいの 
同相な空間に共通するもの(位相不変量)を見つければいい!! 
つまり 
空間X,Yが同相⇒X,Yに対応する”あるもの”が等しい 
対偶をとって 
X,Yに対応する”あるもの”が等しくない⇒空間X,Yは同相でない 
例:X=李徴、Y=虎、あるもの=声
位相不変量をもとめて
さあはじめよう 
今回扱う空間は、閉曲面と呼ばれるものです。 
定義(閉曲面) 
2n角形の2辺づつを対にして張り合わせたもの 
例
閉曲面とは 
裏を返せば多くの曲面は、元は2n角形。シンプルな2n角形で考えま しょう。 
定義(図形の図表) 
多角形の面と辺は固有の向きを持つ 
多角形を表すときに、辺を順に列挙し、 
辺の向きが面の向きのに沿うときは指数1、 
沿わないときは指数-1で表す。 
例:a−1푏−1c−1푎푏푐 
a 
b 
c 
a 
b 
c
ここで考えたいこと 
閉曲面の展開図である多角形はたくさんある 
結局最終的に閉曲面は何種類あるのか? 
(考え方) 
同相な多角形は同じ閉曲面を定める。 
多角形を同相な写像により変形させて、 シンプルな形に落とし込みたい。
閉曲面の分類定理 
定理 
任意の閉曲面は、次のいずれかに同相となる。 
▪푆2 
▪푇(1),푇(2),푇(3),… 
▪푃(1),푃(2),푃(3)… 
さらに、これらは互いに同相でない。
定理の説明 
푆2とは、2次元球面のこと。{(푥,푦,푧)∈푅3|푥2+푦2+푧2=1} 
T(i)とはトーラス푇2をiこ連結させたもの。 
P(j)とは射影平面푃2をjこ連結させたもの。 
それぞれの図表は 
푆2=푎푎−1 
푇(푖)=푎1푏1푎1−1푏1−1푎2푏2푎2−1푏2−1…푎푖b푖푎푖 −1푏푖 −1 
푃(푗)=푎1푎1푎2…푎j푎푗 
連結は2つの図形から開円盤を切り取ってそこでつなげること。
図は早稲田大学村上順教授の幾何学B1講義ノートからお借りしました
図形の基本変換 
定義(初等変換) 
辺が1つ辺が2つ面が1つ面が2つ
多角形の変換(1) 
▪Step1 隣接する逆向きの辺の削除 
~~~푎푎−1~~~~~~푎푥푥−1푎−1~~~~~~푦푦−1~~~
多角形の変換(2) 
Step2 同値な点の削除 
Q 
P 
Q 
c 
a 
c 
a 
b 
b 
b 
P 
Q
多角形の変換(3) 
Step3交叉帽の正規化 
a 
~~~a~~~a ~~~~~bb 
b
多角形の変換(4) 
~~푐~~푑−1~~푐−1~~푑~~푎~~푐−1푎−1푐푎푏푎−1푏−1~~
なんだかよくわからない。。。 
4辺 
以上 
푎푎−1か푎푎 
逆向き隣接 辺の消去 
同値でない点 
の 
消去
なんだかよくわからない。。。 
同じ向きの 辺の正規化 
逆向き の辺 
푎1푎1…푎푗푎푗 
逆向きの辺の 
正規化 
同じ向 きの辺 
푎1b1푎1−1푏1−1… 
푎푖푏푖ai−1bi−1
こうして。。。 
푆2=푎푎−1 
푇(푖)=푎1푏1푎1−1푏1−1푎2푏2푎2−1푏2−1…푎푖푏푖푎푖 −1푏푖 −1 
푃(푗)=푎1푎1푎2…푎푗푎푗 
のどれかに同相であることがわかりました。 
푆2、T(i)、P(j)がそれぞれ同相でないことを示しましょう。 
ここでやっと位相不変量を導入します
位相不変量 
オイラー数 
휒푋≔ 푖=0∞−1푖b푖b푖はベッチ数 
と定義されますが、特に多面体퐾の 
頂点数푉=푏0辺の数퐸=푏1面の数퐹=b2とし 
휒퐾=푉−퐸+퐹として定義されます。 
オイラー標数が位相不変量であることの証明は・・・Fact
位相不変量2 
向き付け可能性 
対応する辺がすべて逆向きになるように向き付け可能であるとき 
向き付可能性であるという。
それぞれのオイラー標数 
▪푆2=푎푎−1 
Χ푆2=2ー1+1=2 
▪푇(푖)=푎1푏1푎1−1푏1−1푎2푏2푎2−1푏2−1…푎푖푏푖푎푖 −1푏푖 −1 
Χ푇푖=1ー2푖+1=2(1ー푖) 
▪푃(푗)=푎1푎1푎2푎2…푎푗푎푗 
푋푃푗=1−푗+1=2−j
最終的に 
向き付け可能→T(i)ただしi=0の時は푆2 
向き付け不可能→P(j) 
という風に分類できる!!
ホモロジー群へ
ホモロジー群を計算しよう 
オイラー標数や向き付可能性より更に進んだ位相不変量、 
ホモロジー群を実際に計算してみよう。 
ホモロジー群は抽象的な公理によって計算する場合も多いが、 
今回はより具体的に計算してみる
ホモロジー群への準備 
N次元空間を三角形のようなもので覆ってしまうことを考える 
定義凸集合 
Xが凸集合である 
⇔任意のXの2点間を結ぶ直線もXの中に含まれる 
⇔∀푥,푦∈푋,∀휆∈0,1∶휆푥+1−휆푦∈푋 
定義線形独立 
m次元Euclid空間푅푚のn+1個푃0・・・푃푛の点が線形独立であるとは、 
これらn+1点があるn-1次元線形空間に属さないということ。
N単体 
N次元の三角形のようなものを定義する 
定義n単体 
n単体とは線形独立なn+1個の点を含む最小の凸集合 
面単体 
n単体に含まれているそれより低次の単体を面単体という。
単体複体 
Rm上の有限個の集まりを単体複体という。 
ただし、単体複体に含まれる2つの単体の関係は 
▪共通部分がない 
▪一方が他方の面である 
▪2つの共通部分はお互いの面である 
のうちのいずれかである。
向き付けられた単体複体 
ある頂点の順列を正の向きとしたとき、 
その順列の頂点を偶数回置換した順列は同じ正の向き、 
その順列の頂点を奇数回置換した順列は違う負の向きを持つ。 
푣0푣1푣2→푣1푣0푣2→v1푣2v0→푣2v1v0
代数的に対象を捉える 
準備は整ったので幾何的対象を代数的に捉えてみよう。 
定義自由加群 
{푥0,푥1,…,푥푛}から生成される自由加群とは、 
{푎0푥0+푎1푥1+⋯+푎푛푥푛|푎0,…푎푛∈푍}である 
{♥、♠、◆、♣}から生成される自由加群 
2♥+4♣、♥ー2◆、♥+♠ー2◆+♣などが自由加群の元。
鎖群 
定義鎖・鎖群 
単体複体のk次元単体が生成する自由加群をk鎖群퐶푘という。 
k鎖群の元をk鎖という。 
k鎖はk次元単体が重複度と向きを持って現れたものとも考えられる。
穴を代数的に捉える 
ホモロジー群とは”穴”を捉えるためのもの。穴を代数的に捉える。 
定義境界準同型 
向き付けられた푘単体퐸=(푃0푃1…푃푘)の境界とは、 
휕퐸 =(푃1…푃푘)–(푃0푃2…푃푘)+(푃0푃1푃3…푃푘)−⋯+−1푘(푃0..푃푘−1) 
= (−1)^푖(푃0푃1…푃푖−1푃푖+1푃푘) 
푘鎖푢0퐸0+⋯+푢휅퐸휅の境界は푢0휕퐸0+⋯+푢휅휕퐸휅
境界とは穴を捉えるもの 
実際に境界をとってみよう 
穴は境界をとる 
となくなる 
定理 
∂・∂ = 0 
つまり境界の境界は 何もない。
K次元の穴 
ホモロジー群は穴を代数的に捉えるもの。 
K次元の穴とは、境界のないk鎖のうちk+1鎖の境界でないもの。 
境界のないk鎖とは、 
푍푘(퐾)={푐∈퐶푘(퐾)|휕푐=0}=퐾푒푟휕_푘 
k+1鎖の境界であるとは、 
퐵푘퐾=푐∈퐶푘퐾∃푐’∶푐=휕푐’}=퐼푚휕_{푘+1} 
ホモロジー群퐻푘(퐾):=푍푘(퐾)/퐵푘(퐾)
実際に計算してみよう 
푣1 
푣2 
푒1 
푓1 
푒1 휕2푓1=푒1–푒1=0 푍2=퐾푒푟휕2=푎푓1 퐵2=0 휕1푒1=푣2–푣1 푍1=퐾푒푟휕1=0 퐵1=퐼푚휕2=0 휕0푎푣1+푏푣2=0 푍0=퐾푒푟휕0=푎푣1+푏푣2 퐵0=퐼푚휕1=푎푣2−푎푣1
푆2ホモロジー群が計算できた 
푆2のホモロジー群 
퐻0(푆2)=푍 
퐻1(푆2)=0 
퐻2(푆2)=푍
トーラスのホモロジー群 
푒1 
푒1 
푒2 
푒2 
푣1 
푣1 
푣1 
푣1 
휕푓1=0 
휕(푎푒1+푏푒2)=0 
휕(푣1)=0 
より 
푍2=퐾푒푟(휕2) 
={푎푓1} 
푍1=퐾푒푟(휕1) 
={푎푒1+푏푒2} 
푍0=퐾푒푟(휕0) 
={푎푣1} 
퐵2=0 
퐵1=퐼푚(휕2)=0 
퐵0=퐼푚(휕1)=0
トーラスのホモロジー群 
퐻0(T2)=푍 
퐻1(푇2)=푍+푍 
퐻2(푇2)=푍 
ホモロジー群は位相不変量であるので、 
トーラスと球面が同相でないことが証明できた。
いろいろなホモロジー群 
퐻0Ti=푍퐻0Pj=푍 
퐻1Ti=푍2i퐻1Pj=Z2+Zj−1 
퐻2Ti=푍퐻2Pj=0 
ホモロジー群は、 
(F)共変関手性(H)ホモトピー公理(P)対の完全系列 
(E)切除公理(D)次元公理をみたすアーベル群と準同型がなす圏 
としても定義される。
もっと学びたくなった人へ 
H.ザイフェルトW.トレルファル 
位相幾何学講義 
・古典 
・日本語訳より英語訳のほうが読みやすい説がある 
・抽象的な議論が少ない 
・重い
もっと学びたくなった人へ 
小林克弘「位相幾何学入門」 
・画像なし 
・閉曲面の位相幾何学に限った入門書 
・わかりやすい。 
小松醇郎,中岡稔,菅原正博「位相幾何学」 
・本格派 
・参考程度に読んだだけなので・・・ 
・すごく内容が多いけど、部分的には分かりやすそうだった
アブストラクトに書かなかったけど 
阿原一志 
「計算で身につくトポロジー」 
・具体例が多い 
・予備知識0でOK 
その他、位相幾何学の良書はた くさんありそうですね。。。
ご清聴ありがとうございました

とぽろじー入門(画像なし版)