買収監査
表明保証と補償責任
@2020/11/30
k1ito@
読んだ本
表明保証(Rep. and Warranty)とは
契約を締結する際に,
一方当事者が 一定の時点における契約当事者自身に関する
事実,契約の目的物の内容等に関する事実について,
当該事実が真実かつ正確である旨を明示的に宣言・ 表明 し
,相手方に保証するものである。
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補償条項(Indem.)とは
表明保証した事実が真実かつ正確ではなかった場合,
相手方当事者は,損害賠償等の請求が可能であるとする
条項
表明保証条項とともに規定されることが一般的
表明保証の例
補償条項の例
表明保証の法的性質
日本の法律に当てはめると
● 債務不履行責任
○ 債務をちゃんと履行していなかったよという考え方
○ 民415
● 瑕疵担保責任
○ 改正前 民570
○ 欠陥を補うという考え方
○ (難しい概念らしい)
● 損害担保契約に基づく責任
○ 契約という枠組みに落とし込んだ
○ →最近はこれらしい(?)
復習(債務不履行) 民法415


意義
要件
効果
履
行
遅
滞

履行が可能である
のに履行期を徒
過した場合

① 債務が履行期に履行可能 

② 履行期を徒過した 

③ 履行の遅滞が債務者の責めに帰す
べき事由に基づくこと 

④ 履行しないことが違法であること 

① 遅延賠償の請求 

② 本来の給付の請求 

③ 履行の強制(414条) 

④ 違約金の効力発生、担保権の実行 

⑤ 契約から生じた債権の場合、相当な期間を定めて追完を請求
し、債務者がこれに応じないときは、解除・損害賠償請求ができる
(541条)

履
行
不
能

債権成立後に履
行ができなくなっ
た場合

① 履行の不能なこと 

② 履行の不能が債務者の責めに帰す
べき事由に基づくこと 

③ 履行しないことが違法であること 

① 損害賠償(填補賠償)の請求 

② 契約から生じた債権 

→ 解除権の発生(催告不要、543条) 

不
完
全
履
行

債務の履行として
された給付が、債
務の本旨に従って
いない場合

① 不完全な履行があること 

② 不完全な履行が債務者の責めに帰
すべき事由に基づくこと 

③ 不完全な履行が違法であること 

① 追完が不能の場合 

→ 履行不能の効果に準じる 

② 追完が可能な場合 

→ 履行遅滞の効果に準じる 

瑕疵担保責任(改正前)
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定
を準用する
● 目的物に欠陥があり,通常の用途契約で定めた用途に適
合しないこと
損害担保契約
当事者の一方が他方に対して、一定の事項または事業などか
ら受けるかもしれない損害を塡補することを約する契約。
※この場合
表明保証を行う当事者は補償責任の発生に、
故意または過失を要件としない無過失責任となる
表明保証の趣旨
買主の保護
● 価格調整機能
○ 企業価値評価の前提事項に変化が生じたときに
○ 補償を通じて支払い済みの対価を取り戻す
● 情報開示促進機能
○ 会社に関する問題点を把握することができる
表明保証とDD
売「十分なDDをしたから表明保証は不要ではないか?」
→DDからクロージングにかけて事実が変わる可能性有り
売「表明保証したからDDは不要ではないか?」
→金銭以外ではクロージング後に対処できない問題も
請求が求められないパターン
● 買い主に重大な過失があった場合
○ アルコ事件
○ “センセーショナルな判例”
● 売り主が正確に表明保証をしていた場合
○ =債務不履行がない
判例(1) アルコ事件
アルコ(売り手)
「貸し倒れ引当金を計上をしていない決算書を提出」
X(買い手)
「DDし、決算書に基づいて買収」
X→アルコ : 損害賠償
裁判所:
「悪意または重過失がある場合、請求は認められない。」「重
過失はないので、請求を認める」
判例(1)の意義
その当時先例が少なかったM&A取引における表明保証違反
に基づく補償請求についての判断を示すものであった
加えて
買主の悪意・重過失がかかる補償請求の抗弁となりうることに
言及したため,
特に後者の言及部分はセンセーショナルなものとして実務界
や学界に受け止められた。
買い主の態様:買主が悪意
悪意
→買収価格等に反映できるので補償請求不可能
(∵瑕疵担保責任の類推適用・権利濫用・信義則など)
悪意だが反映できなかった場合
→補償請求可能にするべき?
一般的な表明保証でカバー
買い主の態様:買主が重過失
● 基本的には悪意と同様
● 補償請求可能かどうか、慎重になるべき
○ 重過失で価格に反映できた場合に限られるべきである
判例(3) 売主が適切に情報開示
売主「税務当局との紛争にかかる事実につき、法務専門家に
説明及び資料開示」
買収実行後
買主「買主は、対象会社が税務当局から法人税の申告漏れが
あるとの指摘を受け、修正申告を余儀なくされて法人税等を追
加納付するに至った」
買い主→売り主:「納付法人税額等に相当する補償金」
裁判所「補償責任は追わない」
まとめ
● 表明保証をすることによって、買主は適切に保護され、円
滑に企業買収を行うことができる
● 売主が補償責任を免れる場合として、買主に重過失があっ
た場合や売主が適切に情報開示した場合がある
要件
債務不履行(要件)
● 債務不履行・損害・因果関係・帰責事由 
不法行為 
● 故意・過失・因果関係・損害の発生
判例(1)
● 債務不履行・損害・因果関係・帰責事由 
を満たしているので、OKなのでは。。
表明保証=悪いことをした人の制裁
→ 契約を開放されるための責任

表明保証と補償責任