B-frontier研究所 高橋 浩
スマートワールドのサービス特性
-シェアリングエコノミー分析からの示唆 -
問題意識
• IoT活用が進み、スマートシティ、スマートファク
トリー、スマートインフラ、スマートグリッドなど各
種スマートワールドが話題になってきた。
• しかし、個別スマートワールドは相違が大きく、
共通性について取り上げられることは少ない。
• その結果、・・
① 全体として発生している変化の底流理解を制
約したり、
② IoT活用の影響力を矮小化あるいは限定化す
る危険性はないだろうか?
2
• このような問題意識から、・・
• 最近話題のシェアリングエコノミー分析を通し
て得られる新たな顧客サービスの側面か
ら、・・
① これから予想される変化の共通項探索を試
みる。
② 具体例としてはスマートインフラを取り挙げ
る。
3
目次
1. これからのビジネス環境の特徴
2. シェアリングエコノミーからの示唆
3. デジタル化ステップアップで登場する
新サービス
4. IoT活用で構築されるスマートワール
ドの特性:スマートインフラの例
5. 今後への示唆
4
2000 Hardware + Electronics + Software アップルが典型(iPod)
2005 Software + Network + Service グーグルが典型(G-Search)
評価尺度は“良い製品から良い体験へ”
デジタル革命は進化している
5
Hardware(モノ) + Electronics + Software + Network + Service
1995 Windows95登場(本格的デジタル革命スタート)
これまでの
デジタル革命
これからの
デジタル革命
IoT,CPS等を活用して、 「常にモノがネットワークにつ
ながっている」世界での新たなビジネス環境への対応
Hardware + Electronics
1. これからのビジネス環境の特徴
企業と顧客が「時間」という軸でつながり続けるということ
監視
制御
最適化
自律化
センサーと外部データを使って製品状態、稼働状況、外部環境を監視可能
製品機器やクラウド上の遠隔コマンド/アルゴリズムによって制御可能
監視データを製品の働きを制御する機能と組み合わせ最適化可能
監視、制御、最適化を結びつけて高レベルの自律化可能
モノのIoT化:
①物理的要素:機械部品と電気部品
②情報処理要素:センサー、マイクロプロセッサー、データ・スト
レージ、制御装置、ソフトウェア、組み込みOS、ユーザー・
インターフェースなど
③接続機能:インターネット接続するためのポート、アンテナ、
プロトコルなど
マイケル E. ポーター、ジェームズ E. ヘプルマン、“IoT時代の競争戦略”、 April 2015 Diamond Harvard Business Reviewを参考に作成.
今後のデジタル化ステップアップの共通基盤がIoTな
のは❝モノが常にネットワークにつながる世界❞を創出するから
モノを・・
+
クラウド
ビッグデータ
ネットワーク
IoT化促進 デジタル化促進共振化
デジタル化とIoT化が共振
システムの本質変化へ:モノ単体の変化から❝システムの変化❞へ
IoTは「情報化社会」をステップアップさせる
7
これまでの「情報化社会」
大半はアナログデータ
データは散在
利用はローカルネットワー
ク内
デジタル⇔アナログ連係に
は物理的制約
これからの「IoT社会」≈「超スマート社会」
全てデジタルデータ
全データが集中的に管理
利用が実世界の社会規模で
可能に
供給側ドリブンからユーザー
側ドリブンへ
IoTによる技術革新
物理要素:小型化・省電力化・低廉化
情報処理要素:クラウド大規模化/低廉化・分
散処理高度化・人工知能
接続機能:通信費用低廉化
これは企業と顧客がデータを媒介として「時間」という軸でつながり続けることを意味する
顧客の成果ベースで収益を得る新たなタイ
プのサービス業への転換が必要になる
• 競争ルールはモノやサービスの機能的価値
の優劣の対決ではなく、顧客へ新しいサービ
ス形態で提供する体験価値の優劣の対決
• このため従来の「持続的イノベーション」の積
み上げは通用しない。
• 企業はミクロ/マクロ環境分析によって多視
点から来るべき未来を洞察し、近未来の「あ
りかた」を構想して、それに基づいた新サービ
スを提供し続けなければならない。
8
9
IoT基盤上のプラットフォームを
プラットフォームエコシステム視点で考える
2. シェアリングエコノミーからの示唆
プラットフォームの機能と型が変化
10
Peter C. Evans, Annabelle Gawer,” The Rise of the Platform Enterprise A Global Survey” http://thecge.net/wp-
content/uploads/2016/01/PDF-WEB-Platform-Survey_01_12.pdf を参考にして作成
時
代
の
潮
流
マッチング
相互作用
補完性
エコシステム
トランザクション型
イノベーション型
インテグレーション型
Uber,Airbnb
など
Microsoft,
Intelなど
Google,
Appleなど
代
表
的
相
関
性
プ
ラ
ッ
ト
フ
ォ
ー
ム
の
機
能
プラットフォームの型
Peter Evans
Center for Global
Enterprise 副社長
企業タイプとプラットフォーム型の相関も多様化
資産小でも広域エコシステム構築が可能に!
時
代
の
潮
流
企
業
タ
イ
プ
資産が大きい
資産が小さい
混在(中間)
企業構造
垂直統合(VI)
+資産規模
プラットフォーム・
エコシステム
事例
企業名とプラットフォーム
GE Predix
Daimler Moovel
Apple App store
Amazon App store
Google Map, Search
Facebook SNS
Google Google Play
Uber Uber app
Airbnb Airbnb app
広域エコシステム&トランザクション型
広域エコシステム
T. R. Eisenmann, G. Parker, M. V. Alstyne,
‟ Opening Platforms:How, When and
Why?”,2008.
資産
資産
一方を優遇が常態
(意図的非対称性)
ネットワーク効果 直接相互作用効果
優遇/冷遇の関係性弱体化
(相互作用支援と
信頼性醸成強化にシフト)
専門サービ
ス提供者
消費者
A. Hagiu, J. Wright, “Multi-sided
platforms”, International Journal of
Industrial Organization 43 ,2015.
新環境適応のため
プラットフォーム理論も修正された
資産
13
定義1:2つ以上の異なるサイド間の直接的相
互作用を可能にする。
定義2:各サイドはプラットフォームに加入
(affiliate)する。
専門サービス提供者 消費者
加入 加入
改良MSP
垂直統合
代替ビジネスモデル
直接的相互作用
Andrei Hagiu
ハーバード・ビジネ
ススクール準教授
プラットフォーム理論へ直接相互作用を導入
働き方にも選択肢が登場(被雇用or独立経営者)
• 垂直統合モードは・・
–個々の専門家の意思決定を超えた企業内
スピルオーバーの利点が大きい場合に有利
vs
• MSPモードは・・
–専門家が消費者向けに観察不能な努力を
行う動機づけが有効で・・
–専門家の個人情報を消費者への適応に活
用させる利点が大きい場合に有利
14
従来(組織内の一員として)
新規(個人経営者~フリーランサーとして)
運転手はタクシー会社の従業員になるかUberの独立運転手になるかを選択できる
ネットワーク効果
Foursquare
OpenTable
etc.
信頼性醸成
APIサービス提供
カテゴリー化
専門サービス提供者
カテゴリー・プラットフォーム
サービス利用者
サービス・レベルの多様化、高度化
サービス仲介者
専
門
サ
ー
ビ
ス
提
供
層
プ
ラ
ッ
ト
フ
ォ
ー
ム
層
直接相互作用効果
カテゴリー・プラットフォームと多数構成員から成るエコシステム登場の枠組み
3. デジタル化ステップアップで登場する新サービス
注:Foursquare:位置情報に基づき店やプレイスポットの検索サービス OpenTable:オンラインレストラン予約サービス
サービス層 機能分担
カテゴリー化
A B C X
専門サービ
ス提供層
資産保有者
サービス
○ ○
アフィリエイト/
代行
○
API(サービス
返信)
○ ○
プラット
フォーム層
マッチング ○ ○ ○
決済など金銭
関連
○ ○ ○
相互作用支援 ○ ○
信頼性醸成 ○ ○ ○
API支援 ○ ○
事例 Airbnb Uber Fintech X
多数プラットフォームのカテゴリー化の例
注1:Foursquare:位置情報に基づき店やプレイスポットの検索サービス、OpenTable:オンラインレストラン予約サービス、など
注1
17
Amit, R., Zott, C., “Value creation in e-business”, Strategic Management Journal , Vol. 22, Issue 6-7, June 2001, pp.493-520.
(1)効率性
(Efficiency)
:従来よりも取
引上のコストを
抑えられる。
(2)補完性(Complementarity):
複数の取引主体を結びつけることで、
単体では得られない効果を得る。
(3)囲い込み
(Lock-in):
顧客を同業競
合他社の製品・
サービスに流出
しにくくする。
(4) 新奇性(Novelty):取引主体との関
係性や構造に変革を起こす(「イノベー
ティブなビジネスモデル・デザイン」) 。
過去に多様な可能性が登場した時( e-business勃興時)
のビジネスモデル・デザインの条件は4つであった
C. Zott and R. Amit
Insead
(フランス)
ペンシルベニア大
ワートンスクール
デジタル化ステップ ビジネスモデル・デザイン
18
タイプ3マルチサイデッド・プラットフォーム・モデル
タイプ1クローズド垂直統合モデル
タイプ2ルーズリー・カップルド・モデル
(4) 新奇性(Novelty):取引主体との
関係性や構造に変革を起こす(「イノ
ベーティブなビジネスモデル・デザイ
ン」) 。
(3)囲い込み(Lock-in):顧客を同業
競合他社の製品・サービスに流出しに
くくする。
(2)補完性(Complementarity):複
数の取引主体を結びつけることで、単
体では得られない効果を得る。
4ビジネスモデル・デザイン条件は
3組織形態と次のように対比できる
タイプ1 タイプ2 タイプ3
クローズド垂直統合
モデル
ルーズリー・カップルド・
モデル
マルチサイデッド・
プラットフォーム・モデル
価値を創造し獲得する巨
大で強力な連結コンポーネ
ントを通じて価値を生成
異なるプレーヤー達は、
プールされた逐次的で相反
する主要活動の相互依存
性を通じて価値を生成
2つ以上のグループを結集し、
分配、取引、検索コストの削
減を通じて価値を生成
• TCIとマイクロソフトの提
携
• ベルテルスマンとBスカ
イBの提携
• BスカイBとBTの提携
• ベル、NYNEX 、ビデオト
ロンとマーキュリーの合
併
• MicrosoftとNBCによる
MSNBC設立
【デジタル放送システム
の登場】
• 多数テレビチャンネル配
信と高精細(HDTV)形式、
EPG、VOD、インタラク
ティブ広告
• 競合プラットフォームと
技術(衛星、ケーブル、
地上波、IP)間でデジタ
ルテレビ市場が複雑化
• コンテンツ制御、規制、消
費者とIP保護、消費者経
験、ソフトウェア配布、
ソーシャルネットワーキン
グ、ストレージ、などで複
数の混乱と衝突が発生
• 新ビジネスモデル(Google
TV, Brightcove, Hulu,
Joost)、新双方向サービス、
伝統的視聴習慣の変化
が発生
デジタル放送では3タイプが表のように遷移した
タイプ3の例: Netflixなど
M. Pagani, “DIGITAL BUSINESS STRATEGY AND VALUE CREATION: FRAMING THE DYNAMIC CYCLE OF CONTROL POINTS”, MIS Quarterly, Vol. 37 No. 2, pp. 617-632/June 2013.
M.Pagani
EMLyon
ビジネススクール
准教授(フランス)
過去のデジタル化ステップアップ要因であった
断絶
クローズド
垂直統合
タイプ1
ルーズリー・
カップルド
タイプ2
マルチサイデッド・
プラットフォーム
タイプ3
価値創
造要因
No.1 囲い込
み
No.2効率性
No.1補完性
No.2 新奇性
&効率性?
No.1新奇性
担い手
既存ビジネス
の覇者
資金力
多くの企業のア
イディア
連携を主導する
コーディネータ
既存業界秩序
を破壊の名分
強力な企業家
精神
アイディア 「拡散」の過程 「縮小」の過程
インパクトが
最も大きい
但し、最初か
ら考えること
はできない
新サー
ビス
新しいサービス
登場の形態
デジタル化進展による変化の図式
顧客が望ん
でいる
IoTは次のデジタル化要因であり、同様に下記ステップも想定されるが?
変化の図式で示唆される重要な特徴がある
• タイプ2、タイプ3間に断絶があり、この克服
過程が特に重要だが・・・
1. インパクトが最も大きいタイプ3は、最初か
ら考えることができない。タイプ2の混乱を
つぶさに観察し、それを解決するところから登
場する。
2. タイプ3の覇者は多くの競争相手を蹴落と
す必要があり、その際の名分は「顧客が望
んでいる」などと、それを押し通せる辣腕(強
力な企業家精神など)が求められる。
21
タイプ1 タイプ2 タイプ3
GEのジェットエンジン
コマツの建機
GE:Predix(各社相当品)
日本のコンソーシアム IVI
新サービス登場の兆し
クローズド垂直統合
モデル
ルーズリー・カップルド・
モデル
マルチサイデッド・
プラットフォーム・モデル
断トツのハード商品特性を
IoTで本質転換させ、サー
ビス水準を高度化する垂
直統合モデル洗練化で価値
生成
共通プラットフォーム上に各
種イノベーション/アプリケー
ションを共存・連携させて、
これらを調整/統合して価値
生成
IoT能力を活用して機器販売
ビジネスを機器機能のサービ
ス・ビジネスに転換することで
価値生成
• 統合(メーカー)の管理
機能は複雑化するが、
価値創造と価値獲得を
容易化
• 既存ハードの高シェア
を基盤に一層の寡占化
目指す勢い
• プラットフォームをコアと
したコンソーシアム(IICな
ど)を形成し、多様な取
り組みを開始
• タイプ1型の成功モデル
を多様な分野でも成立
させるのはどのようにす
べきか挑戦中の状態
• 従量課金型サービスビジネ
スが登場(LEXMARK(プリン
ター)、ケーザー・コンプ
レッサーetc)
• 新規ではあるが、マルチ
サイデッド・プラットフォム
型では無い
• この延長線上に新サービ
スの可能性
IoT現況を3タイプにマップングしてみると・・
? ?
23
タイプ1 タイプ2 タイプ3
クローズド
垂直統合
ルーズリー・
カップルド
マルチサイデッド・
プラットフォーム
建機
(コマツ) ジェットエンジン
(GE)
predix
自動運転
(車)
風車
Uber
(空き車と
運転手)
Airbnb
(空き家)
Akippa
(空き駐車場)
Caas
(グーグル)
ロボット
(ファナック)
ビジネスモデル・
デザイン
No.1囲い込み
No.2効率性
No.1補完性
No.2新奇性or効率性?
No.1新奇性
[課題設定]IoTでは必ずしも公式的3タイプ順次遷移が発生
せず、モノに依存して多様化・共存化が発生するかもしれない。
? ?
24
Cambridge Centre for Smart Infrastructure and Construction
スマートインフラと建設(右図)
• スマートインフラと建設はデジタル技術と物理的インフラ資
産、建設プロセスを結合
• その結果、スマートインフラは環境の変化にインテリジェ
ントに対応することで、独自の配信、使用、保守、サポー
トに影響を与え指示する能力を保有
• この利点は、インフラが運用操作される方法におけるより
高い効率性、経済性、適応性、持続可能性だけでなく、改
善されたデザインと全寿命性能を包含
• 2017年、土木技術者協会は、新しいジャーナル、スマート
インフラと建設を発刊
• スマートインフラと建設は、インフラ資産の設計、建設、管
理に新興デジタル技術をグローバルに採用することによ
る変更を文書化する学習フォーラムを提供
• これらのラジカルな変更は、インフラが提供され運営され
る方法の効率化、経済性、適応性、持続可能性に結合
4. IoT活用で構築されるスマートワールドの特性:スマートインフラの例
“Smart infrastructure”
をG-searchで検索して
最も一致性が高かっ
たコンテンツ
25J.Gubbi, R. Buyya, S.Marusic,M. Palaniswamia, “Internet of Things (IoT): A Vision, Architectural Elements, and Future Directions”,
Journal Future Generation Computer Systems, Vol.29 Issue 7, Sep., 2013, pp.1645-1660.
Smart Infrastructureとは?
26
IoT2B領域には多様なスマートインフラ領域が存在する
27
タイプ1 タイプ2 タイプ3
クローズド
垂直統合
ルーズリー・
カップルド
マルチサイデッド・
プラットフォーム
建機
(コマツ) Predix/Lumada/Bluemix・・
Getable相当
(建設機械レンタル)
ビジネスモデル・
デザイン
No.1囲い込み
No.2効率性
No.1補完性
No.2新奇性or効率性?
No.1新奇性
IoT活用によるスマートインフラ構築のダイヤグラム(案)
①水、電気、ガスなど社会インフラ効率化
石油精製プラントなどの保安
? ?
顧客の将来の新たなサービス体験
共通技術
応用技術
対象領域
シミュレーション、予測、アプリケーション構築の差別化技術
BigData,AI,IoT,Robot、VR,ドローン、クラウド、・・
ユースケースa
③新たな挑戦企業
④新たなアイディア
への挑戦
ユースケースb ユースケースc
ユースケース
設定の視
点が相違
②センス情報のセキュリティフレームワーク/国際標準
単純に3タイプ順次遷移が発生しそうにないと感じるので・・・・
1. シーズ指向/ボトムアップの取組みと「顧客の
新サービス体験」間には大きなギャップが存在
する。 ・・・①政府支援の実証研究
2. データ形式やセキュリティ化の標準化活動は
基盤整備に不可欠な施策ではあるが、サービ
ス価値創造によるマネタイズとの関係が不透
明である。・・・②標準化活動
3. 先進的取組みはB2B領域でも「顧客への新
サービス体験」を提供している。しかし、例外
的。 ・・・③コマツの事例
4. このような中ではステップ3(「新奇性」)の取組
みに挑戦することも重要と思われる。
・・④「モビリティ未来創造のための」GM,Lyftの連携
は(別分野の例ではあるが)参考にすべき事例
28
IoT活用によるスマートインフラ構築のダイヤグラム(案)説明図
29
①
政府支援
30
② 標準化
コマツのスマートコンストラクション
• 本サービス導入によって、コマツは・・
「建設機器の製造販売業」から
「建設現場の自働化オペレーション業」へ
– 熟練のオペレーターのかなりの部分をカバー
– 建設機器の運用効率向上や工期短縮が可能に
https://www.youtube.com/watch?v=hKIGKlmK
Bag
• B2Bでも顧客の体験を豊かに変える形での稼
ぐビジネスモデルへの進化がIoT時代の勝利の
方程式
31注:コマツはCOMTRAXを2001年からスタートさせている。
③ 先進事例
32
Lyftの共同創業者兼CEO
ローガン・グリーン
ライバルのUberが世界各地
で規制当局やタクシー業界と
ぶつかるのに対し、リフトは規
制当局や自動車産業と協調
路線を取っている。
米国のみでサービス展開。
200以上の都市で、月間
1000万回の乗車。登録ドラ
イバーは31万5000人。
一緒に創業したジョン・ジマー
CEOは、米コーネル大学ホテ
ル経営コース出身でホスピタリ
ティ重視。
運転手に尊厳を持って対応す
ることを心がけており、運転手
には乗客とフレンドリーに接し
てほしいとお願いしている。
GM、Lyft社と「モビリティ未来の創造のために戦略的提携」を発表
Lyftの共同創業者兼CEO
ジョン・ジマー
④
中央:GMプレジデント
ダン・アマン
異業種提携
スマートワールド構築に共通と思われる特徴
• 「顧客の将来の新たなサービス体験」を提供
する価値創造に大胆にシフト
• 適切なパートナーとの連携による価値共創
• 標準化(データ形式、セキュリティなど)や基
盤整備とマネタイズに繋がる差別化間の微
妙なバランス確保に注力
• 多くの場合ビジネスモデル先行で実施
– BigData, AI, IoT, Robot, VR, ドローン、クラウドな
どのIT先進技術はあくまで上記方針実現の手段
33
5. 今後への示唆
取組み姿勢
• ボトムアップよりはトップダウン的性格が濃厚
• 「顧客の将来の新たなサービス体験」の気づき
の探索から出発
• 早期に自社得意分野に拘らないエコシステム構
築と柔軟でスピーディーなフィードバックサイクル
構築に注力
• 既存競合よりも新規参入や代替品の脅威により
注意深い目配りが必要
タイプ1,2,3の差は企業、領域に依存
IoT始めIT各種技術活用よりも「顧客へのサービ
ス価値」実現に必要な差別化能力の方が優先
34
スマートワールド構築に向けて
1. ユースケースの適切な設定
2. 適切な領域に向けたプラットフォームのカテ
ゴリー化
3. 新たな顧客体験アピールの内容と方針の明
確化
4. 新サービス訴求と定着成功に腐心
5. 既存ビジネスモデル、自身の得意領域に捕
らわれない意思決定
6. 異業種参入やM&Aも適切に判断し実行
7. 競合他社の同様な取組みへ注意深い目配
り
35

スマートワールドのサービス特性