新たなビジネスモデルの創出(改)
- 「プラットフォーム革命」の立場からのアプローチ -
B-frontier研究所 高橋 浩
目次
1.Digitalizationとは何か?
2.デジタル化ステップアップへの適応
3.パイプライン思考とプラットフォーム思考
4.ビジネスモデル論からの示唆
5.「プラットフォーム」アプローチへの挑戦
6.プラットフォーム企業に移行するには
Digitalizationとは・・
• 「ビジネスモデルを変えて新たな収益と
価値創造の機会を提供するためにデジタ
ル技術を使用すること」
– Digitizationは「アナログからデジタルへと変化す
るプロセス」
• Digitizationはプロセスの効率を高めるが、・・
• 「Digitalizationは特定のニーズに的確に答
えるよう人々を関与させる技術の使用」を
意味する。
1.Digitalizationとは何か?
出典:Gartner: IT Glossary, “Digitalization.”より
出典:SAP:“Digitization vs. Digitalization – Wordplay or World View?”.より
デジタル化でDigital Enterpriseの
新たな価値発見が具体化
• 自動化されたハードウェアとソフトウェアのシー
ムレスな統合により、企業は機械やプラント、
IoTセンサー等からのデータを処理
• そのデータを使用して真の競争力を獲得し、リ
アル世界へマッピング
– 必要に応じて徐々に拡張されるため、最初に膨大
な投資は不要
– 製造業やプロセス業のさまざまなニーズに沿って
調整可能
4出典:Siemens“Digitalization”より
デジタルサプライチェーンネットワークの
メリットは?
1.より将来指向になれる。
2.データソースと接続して関連付けられる。
3.データの視覚化を通してデータ駆動型
プランを生成できる。
4.コラボレーションを改善できる。
5.デジタル製品とサービスの世界に入れる。
5
出典: Supply Chain Technology“The Rise of the Digital Supply Chain Begets 5 Huge Benefits”より
【全産業に働く3つの破壊力】
• 解決革命:「ビッグデータ」技術に基づいて物事や
出来事を正確に測定し正確に管理できるデータ
の洪水の拡大を促進する。
• 合成の不確定性:物事は従来よりも大幅かつ急
速に変化する。リーダーは、技術、文化、規制の
転換点評価と、結果として生じるリスクに対処し、
これらの破壊的変化を分析する必要がある。
• 境界のぼやけ:物理的世界とデジタル世界が融
合することで、それぞれの業界の境界と定義が
変化する。
Digitalizationは実証済み管理行動をも破壊する
Mark Ruskino
Graham Waller
Gartner executives
November 12, 2015刊
出典:” Gartner on Staying on Top of Digitization”、By Hans-Bernd Kittlausより
【リーダーは次のことをしなければならない】
1. 業界を再構築する:業界の基本的パラダイム
を再考し、その結果を分析する。
2. 会社を改装する:会社を再設計する。特にあ
らゆるレベルでデジタル人材を引き付ける。
3. あなた自身をリメイクする:デジタル化の時代
に引き続きリーダーであり続けられるように
する。
7
その結果、「何もしない」ことが、リスキーに変
化することよりもより危険なダイナミズムが働く
出典:” Gartner on Staying on Top of Digitization”、By Hans-Bernd Kittlausより
過去の事例を通してデジタル化の破壊力を検証
新たな環境の登場はシステムの複雑性
への対応を誘発する。
1. 3つの事例を比較
① デジタル放送
② モバイル端末
③ IoT(予想)
2. 同等基準による評価
3. 変化を観察
8
2.デジタル化ステップアップへの適応
• 2000-2008年の欧州、米国放送業界
• 3つの異なる技術世代(アナログTV、デジタル
TV、マルチサイデッド・デジタルプラットフォー
ム)を通過
• 漸進的イノベーションと産業境界を超えた混乱
が発生
• 研究アプローチ
– 2000-2008年の指導的業界誌から放送業界イノ
ベーションの全問題を摘出
– 欧米主要国の変革経緯を図式化
– 欧州、米国の大手企業15社の業界専門家と多数
回インタビュー実施
– インタビュー結果のまとめを再度確認してもらい合
意を確認
9
M. Pagani, “DIGITAL BUSINESS STRATEGY AND VALUE CREATION: FRAMING THE DYNAMIC CYCLE OF CONTROL POINTS”, MIS Quarterly, Vol. 37 No. 2, pp. 617-632/June 2013.
デジタル・ビジネス戦略と価値創造(マルゲリータ・パガニ)
M.Pagani
EMLyon
ビジネススクー
ル准教授(デジ
タルマーケティング:
フランス)
デジタル化ステップアップへの適応 ①デジタル放送
タイプ1 タイプ2 タイプ3
クローズド垂直統合
モデル
ルーズリー・カップルド・
モデル
マルチサイデッド・
プラットフォーム・モデル
価値を創造し獲得する巨
大で強力な連結コンポーネ
ントを通じて価値を生成
異なるプレーヤー達は、
プールされた逐次的で相反
する主要活動の相互依存
性を通じて価値を生成
2つ以上のグループを結集し、
分配、取引、検索コストの削
減を通じて価値を生成
• TCIとマイクロソフトの提
携
• ベルテルスマンとBスカ
イBの提携
• BスカイBとBTの提携
• ベル、NYNEX 、ビデオト
ロンとマーキュリーの合
併
• MicrosoftとNBCによる
MSNBC設立
【デジタル放送システム
の登場】
• 多数テレビチャンネル配
信と高精細(HDTV)形式、
EPG、VOD、インタラク
ティブ広告
• 競合プラットフォームと
技術(衛星、ケーブル、
地上波、IP)間でデジタ
ルテレビ市場が複雑化
• コンテンツ制御、規制、消
費者とIP保護、消費者経
験、ソフトウェア配布、
ソーシャルネットワーキン
グ、ストレージ、などで複
数の混乱と衝突が発生
• 新ビジネスモデル(Google
TV, Brightcove, Hulu,
Joost)、新双方向サービス、
伝統的視聴習慣の変化
が発生
その結果、3タイプが発生しその間を遷移と断定
その後の勝ち組例米CATV最大手のテレ・コミュニケーショ
ンズ社(TCI)は、2000年から開始するデ
ジタルCATVでマイクロソフトと提携。
安さからコンテンツ勝負へ
11
オープン化/現状
破壊の圧力
優位に統合&囲
い込みの動機
集中制御型
垂直統合
オープンアーキテクチャ
型活気ある先端
活動主体の出現漸進イノ
ベーション
産業境界を跨
いだ業界混乱
巨大な要素/ソ
リューションの出現
イノベーターの
市場寡占力
既存システム
の採算性
政策の
乱闘
先端活動主体の
不満/言い逃れ
?
この遷移は“2重螺旋モデルによる適応”の一部とも説明
M. Pagani, “DIGITAL BUSINESS STRATEGY AND VALUE CREATION: FRAMING THE DYNAMIC CYCLE OF CONTROL POINTS”, MIS Quarterly, Vol. 37 No. 2, pp. 617-632/June 2013.
クローズド
垂直統合
タイプ1
ルーズリー・
カップルド
タイプ2
マルチサイデッド・
プラットフォーム
タイプ3
観察されたこと①:関係性知性の重要化
• 組織知性が新たな関係性知性に変換されていた。
クローズド垂直統合モデル:組織知性を最大化させ
るのでなく、それを集中するように設計されており、も
はや最良の組織構造ではない。
ルーズリー・カップルド・モデル:価値創造エコシステ
ム中での連携プレーが価値ある状態に対応する。
マルチサイデッド・プラットフォーム・モデル:伝統的
な境界のある世界とは非常に異なった動作をする。
即ち、現代は、特定組織構造でいれば安泰とい
う時代ではなくなった。
タイプ1 タイプ2 タイプ3
i-mode(ドコモ) BlackBerry( RIM )
Nokia+Vodafone
iPhone( Apple)
Android( Google )
クローズド垂直統合
モデル
ルーズリー・カップルド・
モデル
マルチサイデッド・
プラットフォーム・モデル
サードパーティ製アプリを
厳しく管理し初歩的“塀に
囲まれた庭”作成で価値生
成
ネットワーク・イノベーション
とアプリ/コンテンツ・イノ
ベーションをグローバル/地
域/技術毎に調整/統合して
価値生成
アプリケーション・プラット
フォーム(Appstoreなど)を確
立することで革新的“塀に囲
まれた庭”作成で価値生成
• 統合(キャリア)の管理
機能は複雑化するが、
価値創造と価値獲得を
容易化
• キャリー、端末ベンダー共
存・連携の状態
• ユーザーのアプリケー
ション選択と無線インフ
ラの希少性の重要性が
拮抗している状態
• 統合(端末ベンダー)の管
理機能は複雑化するが、
価値創造と価値獲得を爆
発的に拡大可能
• 加えて、Apple等は“塀に
囲まれた庭”内でオープ
ンイノベーション実施
3タイプ間遷移はモバイル業界でも発生していた
デジタル化ステップアップへの適応 ②モバイル端末
T.Hazlett
George Mason大学教授
Thomas Hazlett, David Teece, and Leonard Waverman,“Walled Garden Rivalry :The Creation of Mobile Network Ecosystems”, George Mason University Law and Economic Research Paper Series 11-50 (2011).
14
タイプ1
伝統的米国/日本ワイ
ヤレス産業の市場構造
タイプ3
最近のワイヤレス産
業の市場構造
タイプ2
GSMモバイル主流時代
の市場構造
無線
インフラ
端末
Apps・
コンテンツ
キ
ャ
リ
ア
ー
ユ
ー
ザ
ー
無線
インフラ
端
末
Apps・
コンテンツ
キ
ャ
リ
ア
ー
ユ
ー
ザ
ー
無線
インフラ
端
末Apps・
コンテンツ
キ
ャ
リ
ア
ー
ユ
ー
ザ
ー
クローズド
垂直統合
ルーズリー・
カップルド
マルチサイデッド・
プラットフォーム
プラットフォーム
2重螺旋モデル
“塀に囲まれた庭”競争の世界(タイプ3)への移行と言われる図式
観察されたこと②:ビジネス・エコシステム主導
• ライバルのエコシステム間競争(Apple盟主エコ
システム vs Google盟主エコシステム)から斬新な製
品やサービスが登場した。
• エコシステム内のビジネス戦略は、集合的に調
整され、水平方向の競争を改善させていた。
• ライバル間の競争は効率化をもたらす垂直統
合によっても堅牢に成っていた(特にApple陣
営)。
• 従って、効率性は、“オープン”か“クローズ”か
によるのではなく、垂直統合とプラットフォーム
の協調度合い等による。
16
デジタル化ステップアップへの適応 ③IoT
参考例:Cisco
「超スマート社会」
は更にSMART XX
をつなぐビジョン
タイプ1 タイプ2 タイプ3
GEのジェットエンジン
コマツの建機
GE:Predix(各社相当品)
日本のコンソーシアム IVI
新サービス登場の兆し
クローズド垂直統合
モデル
ルーズリー・カップルド・
モデル
マルチサイデッド・
プラットフォーム・モデル
断トツのハード商品特性を
IoTで本質転換させ、サー
ビス水準を高度化する垂
直統合モデル洗練化で価値
生成
共通プラットフォーム上に各
種イノベーション/アプリケー
ションを共存・連携させて、
これらを調整/統合して価値
生成
IoT能力を活用して機器販売
ビジネスを機器機能のサービ
ス・ビジネスに転換することで
価値生成
• 統合(メーカー)の管理
機能は複雑化するが、
価値創造と価値獲得を
容易化
• 既存ハードの高シェア
を基盤に一層の寡占化
目指す勢い
• プラットフォームをコアと
したコンソーシアム(IICな
ど)を形成し、多様な取
り組みを開始
• タイプ1型の成功モデル
を多様な分野でも成立
させるのはどのようにす
べきか挑戦中の状態
• 従量課金型サービスビジネ
スが登場(LEXMARK(プリン
ター)、ケーザー・コンプ
レッサーetc)
• 新規ではあるが、マルチ
サイデッド・プラットフォム
型では無い
• この延長線上に新サービ
スの可能性
IoT現況を3タイプにマップングしてみると・・
? ?
• 新しいサービスの傾向は登場している。
– プリントサービスで顧客の印刷環境構築から運用まで
トータルでサポートするコンサルティングサービス、マネージ
ド・プリント・サービス(MPS)などが登場している。
– スマートホーム、スマートファクトリー、ヘルスケアなど
も同様か?
• 新たな複雑性を保有するシステム登場に向かうだ
ろう。
• トータルサービス化の要望の結果、特定プラット
フォーム上への集積を通じてマルチサイデッド・プ
ラットフォーム型モデルが登場する可能性が高い。
• 但し、IoT世界でもタイプ1⇒タイプ2⇒タイプ3
型遷移がメインストリームかは現時点では分からな
い。 18
観察されること③:顧客との親密な関係性の重要化
3タイプ間遷移の過程で非線形変化が発生していた
• 3タイプは変化の特性から下記2種に分類可
能
1. クローズド垂直統合モデル、ルーズリー・カップ
ルド・モデル ⇒線形システム
2. マルチサイデッド・プラットフォーム・モデル
⇒非線形性システム
この進化パターンは途中で非線形的ダイナミク
スを示している。
即ち、3タイプ間遷移には断絶が介在する。
20
エコシステムは新たなサプライチェーン
ネットワーク効果は規模拡大の新た
な駆動力
規模拡大はエコシステム内の相互作用を
活用することで達成
データは新たな通貨
2016年刊行
プラットフォーム・ビジネスモデルの台頭
3.パイプライン思考とプラットフォーム思考
「プラットフォーム革命」
過去の3事例と との対比関係
• ルーズリー・カップルド・モデルを中継モデルと考え
れば、・・
• 本質的にはクローズド垂直統合モデルからマルチサ
イデッド・プラットフォーム・モデルへと移行
• その間の3タイプ間遷移には大きな断絶が介在
• この状況を単純化して、・・
• クローズド垂直統合モデル=パイプラインBM(ビ
ジネスモデル) vsマルチサイデッド・プラットフォー
ム・モデル=プラットフォームBM(ビジネスモデル)
に対比させて考察
「プラットフォーム革命」
22
https://www.slideshare.net/eteigland/new-industrial-revolution-and-digital-business-models
★
パイプラインBMからプラットフォームBMに移行か?
SMACIT=S(Social), M(Mobile), A(Analytics), C(Cloud), I(IoT)、Technology
Prof. Robin Teigland’s slideshareより
従来からのビジネスモデルは
パイプラインBM
• 今までのビジネスで支配的なモデル
• 価値は上流で生産され下流で消費される
との認識
• 本質的には全ての消費財は、パイプライン
を通じて届けられる。
23
新たなビジネスモデルは
プラットフォームBM
• ユーザーは価値創造と消費を行うことができる。
–テクノロジー層:開発者はAPI使用でプラット
フォーム機能拡張が可能
–ビジネス層:ユーザー(生産者)は、他ユー
ザー(消費者)のために価値創造が可能
• これは、これまでに知られていたどんな変化
とも大きく異なる。
24
25
パイプライン
組織は売上金吸収に最適化される。
パイプラインのビジネスは吸収した金
額で計測される。
コミュニティーは聴衆のように管理さ
れる。
プラットフォーム
組織はデータ吸収に最適化される。
プラットフォームのビジネスはマネタイズ
可能なデータで計測される。
コミュニティーは分散された従業員
(パートナー)のように管理される。
パイプラインとプラットフォーム
vs
パイプラインとプラットフォームの経営指針はかなり異なる
プラットフォーム思考の従来と異なる特性
• パイプラインではユーザー獲得はかなり簡単で、
ユーザーを獲得したら、それらを取引に変換
• しかし、プラットフォームでは最初、しばしば数
人のユーザーしか居ない。
• その時にはプラットフォームの価値はなく、鶏と
卵問題に苦しむ。
生産者なしでは消費者にとって価値がなく、
消費者なしでは生産者にとって価値がない
26
【
【
パイプライン思考:成長させるための
変換経路を最適化しようとする。
プラットフォーム思考:変換を最適化
する前にネットワーク効果を醸成させ
ようとする。
パイプライン思考 vs プラットフォーム思考【1】
「製品設計と管理」の側面
基本認識:2ビジネスモデルの思考は極めて異なる
• パイプラインは消費者を念頭に置いて構築
• プラットフォームは生産者と消費者の両方を
念頭において構築
• YouTube、AirBnBなどを構築する際には、
– プロデューサー向けのツール(YouTubeでのビデオ
ホスティングなど)や
– 消費者向けのツール(動画の閲覧、投票など)
を構築することが必要になる。 28
「製品設計と管理」について
パイプライン思考:ユーザーは、作成し
たソフトウェアとやり取りし、製品にはそれ
自身の価値がある。
プラットフォーム思考:ユーザーが作成し
たソフトウェアを使用して相互にやり取り
し、製品は、ユーザーがそれを使用しない
限り価値がない。
パイプライン思考 vs プラットフォーム思考【2】
「収益化」の側面
• プラットフォームの経済学はそれほど単純
ではない。
• 少なくとも一方の側は、通常、プラット
フォームに参加させるために補助されるこ
とが殆ど
– Google検索エンジンではユーザーは無料に補助
されている。
• プロデューサーはインセンティブを得て参加
することも多い。
30
「収益化」について
パイプライン思考:我々が創り出し
た価値について消費者に訴える。
プラットフォーム思考:誰が価値を創
造し、誰が請求するのか把握しなけれ
ばならない。
パイプライン思考 vs プラットフォーム思考【3】
「ビジネス実施」の側面
• インターネット上の全てのビジネスには、い
くつかのプラットフォーム的性格がある。
–インターネットは参加型ネットワーク
–その上に構築された全てのビジネスはプ
ラットフォームの特性を活用することが可
能
–従って、プラットフォームの考え方は全てのイ
ンターネットビジネスに適用されると言える。
32
「ビジネス実施」について
• 新しいタイプの経済主体間の技術相互作
用を容易にしたICTの急速な進歩が重要
な偶発的(コンティンジェンシー)要因と
なった。
・・・Geoffrion and Krishnan, 2003
• 技術進歩は、企業、パートナー、顧客間
の組織的取り決め(≒ビジネスモデル)を作
成するための新たな機会をもたらした。
・・・Geoffrion and Krishnan, 2003
33
Arthur M. Geoffrion
カリフォルニア大学
4.ビジネスモデル論からの示唆
ビジネスモデル論に関わる学術的業績を紐解くと・・
ビジネスモデルは、財務モデルというよりは、
ビジネス概念モデル
• 「ビジネスモデルは、ビジネスの組織的、財務
的アーキテクチャに他ならない」
・・・H. Chesbrough and R. S. Rosenbloom,2002
(「オープン・イノベーション」で有名なチェスブローはビジネスモ
デル論でも主要な論客)
• ビジネスモデルの変化駆動要因は次々に発生
勃興してきた知識経済
インターネットや電子商取引の普及
事業活動のアウトソーシングやオフショアリング
世界的な金融サービスの再編
AI, IoT, Big Dataなどの普及・・・
34
David J. Teece,“Business Models, BusinessStrategy and Innovation”, Long Range Planning 43 (2010) 172-194
ビジネスモデル論の代表的論文著者/論客一覧
Joan Magretta
C. Zott and R. Amit
Insead
(フランス)
ペンシルベニア大
ワートンスクール
大御所
David Teece
ダイナミック・
ケーパビリティ
Henry Chesbrough
オープン・
イノベーション
Jean Tirole
ノーベル経済
学賞
プラットフォーム
の経済学
代表選手
話題になった論文/
著書の書き手
『ビジネスモデル・ジェネレーション』(2010)の著者
ビジネスモデル・キャンバス提唱者
アレックス・オスターワルダー
Jonathan D. Linton
オタワ大学教授
36
ビジネスモデル論で最も著名なAmit & Zott論文一覧
著者 タイトル 出展 回数
R. Amit, C.
Zott
Value creation in e-business Strategic Management Journal, 22,
(2001),pp. 493-520.
1226
C.Zott &
R.Amit
Business Model Design and the
Performance of Entrepreneurial Firms
A working paper in the INSEAD Working
Paper Series, 5, (2005)
C.Zott &
R.Amit
Business model design and the
performance of entrepreneurial firms
Organization Science, 18:(2007), 181-199. 184
C.Zott &
R.Amit
The fit between product market
strategy and business model:
Implications for firm performance
Strategic Management Journal, (2008), 29,
pp. 1-26.
253
C.Zott &
R.Amit
Business model design: An activity
system perspective
Long Range Planning 43 (2010) 216-226 256
C.Zott ,R.
Amit, L.
Massa
The business model: Recent
developments and future research
Journal of Management , Vol.37, Issue 4,
(2011), Pages 1019-1042
335
R. Amit, C.
Zott
Creating value through business
model
MITSloan Management Review, Vol.53,
No.3Vol.53, Issue 3, (2012), Pages 41-49
70
C. Zott &
R.Amit,
The business model: A theoretically
anchored robust construct for
strategic analysis
Strategic Organization, Vol.11, Issue 4,
(2013), Pages 403-411.
8
SCOPUSの引用次ページ以降に3部作の要点を記す。
第
1
作
第
2
作
第
3
作
37
Amit, R., Zott, C., “Value creation in e-business”, Strategic Management Journal , Vol. 22, Issue 6-7, June 2001, pp.493-520.
(1)効率性
(Efficiency)
:従来よりも取
引上のコストを
抑えられる。
(2)補完性(Complementarity):
複数の取引主体を結びつけることで、
単体では得られない効果を得る。
(3)囲い込み
(Lock-in):
顧客を同業競
合他社の製品・
サービスに流出
しにくくする。
(4) 新奇性(Novelty):取引主体との関
係性や構造に変革を起こす(「イノベー
ティブなビジネスモデル・デザイン」) 。
ビジネスモデル・デザインの条件は4つ
第1作
(2001)
タイプ1クローズド垂直統合モデル
タイプ2ルーズリー・カップルド・モデル
タイプ3マルチサイデッド・プラットフォーム・モデル
企業価値を押し上げるビジネスモデルの要件
結果1:「効率性」の高いビジネスモデルを持
つ企業は、企業価値が高いこともあるがそうで
ないこともある。
結果2:「補完性」と「囲い込み」は、企業価値
と有意な関係を持たない。
結果3:「新奇性」が高いビジネスモデルの企
業は、一貫して高い企業価値を実現する。
結果4:しかし「新奇性」と「効率性」の両方が
高いと、むしろ企業価値が低下する。
38
Zott, C., Amit, R., “Business model design and the performance of entrepreneurial firms ”, Organization Science, Volume 18, Issue 2, March 2007, pp.181-199.
「新奇性」と「効率性」の二兎を追わず、メリハリ
をつけた方が良い。
第2作(2007)
ビジネスモデルと競争戦略
• 競争戦略とは業界内で企業がどのようなポジ
ショニングをとるかの行動パターン
結果1:ビジネスモデルの「新奇性」が高い企業
は、企業価値が高い。
結果2:差別化戦略は一貫して企業価値を高め、
その効果は、ビジネスモデルの「新奇性」が高
い時にさらに強まる。
結果3:コスト優位戦略は、企業価値と有意な関
係を持たない。
結果4:但し、ビジネスモデルの「新奇性」が高
いときに限り、コスト優位戦略も企業価値を押し
上げる可能性がある。
39
Zott, C., Amit, R., “The fit between product market strategy and business model: Implications for firm performance ”, Strategic Management Journal , Vol. 29, Issue 1, January 2008, pp.1-26.
「新奇性」が最も重要
第3作
(2008)
3部作論文の結論
ビジネスモデルは企業境界をまたぐ構造を捉える
新コンティンジェンシー要因と強く関係している。
組織デザイン・アプローチは「企業の伝統的境界
を越えて拡張された新アプローチ」である。
「新奇性」と製品市場戦略には正の相関がある。
ビジネスモデルと製品市場戦略は区別され、
両者は代替というよりは補完の関係にある。
ビジネスモデル論と製品市場戦略の両方から
競争優位性が出る。
経営者は、ビジネスモデルと製品市場戦略が、
独立と共同の双方で企業パフォーマンスに影響
を与えることを承知しておく必要がある。 40
41
デジタル
化事例
タイプ1 タイプ2 タイプ3
クローズド垂直統合モ
デル
ルーズリー・カップルド・モ
デル
マルチサイデッド・
プラットフォーム・モデル
①デジタ
ル放送
価値を創造し獲得す
る巨大で強力な連結
コンポーネントを通じて
価値を生成
異なるプレーヤー達は、
プールされた逐次的で相
反する主要活動の相互
依存性を通じて価値を生
成
2つ以上のグループを結
集し、分配、取引、検索
コストの削減を通じて価
値を生成
②モバイ
ル端末
サードパーティ製アプ
リを厳しく管理し初歩
的“塀に囲まれた庭”
作成で価値生成
ネットワーク・イノベーショ
ンとアプリ/コンテンツ・イ
ノベーションをグローバル
/地域/技術毎に調整/統
合して価値生成
アプリケーション・プラッ
トフォーム(Appstoreな
ど)を確立することで革
新的“塀に囲まれた庭”
作成で価値生成
③IoT
(予想)
断トツのハード商品
特性をIoTで本質転
換させ、サービス水
準を高度化する垂直
統合モデル洗練化で
価値生成
共通プラットフォーム上に
各種イノベーション/アプ
リケーションを共存・連携
させて、これらを調整/統
合して価値生成
IoT能力を活用して機器
販売ビジネスを機器機
能のサービス・ビジネスに
転換することで価値生成
ビジネスモデ
ル・デザイン
No.1 「囲い込み」
No.2 「効率性」
No.1 「補完性」
No.2 「新奇性」or「効率性」?
No.1 「新奇性」
3事例3タイプにビジネスモデル論をマッピング
42
タイプ2⇒タイプ3遷移における断絶まで視
野に置いた戦略的取組みの図式化
クローズド
垂直統合
タイプ1
ルーズリー・
カップルド
タイプ2
マルチサイデッド・
プラットフォーム
タイプ3
価値創造
要因
(1) 囲い込み
(2) 効率性
(1) 補完性
(2) 新奇性or効率
性?
(1) 新奇性
担い手
既存ビジネスの
覇者
資金力
多くの企業のアイ
ディア
連携を主導する
コーディネータ
既存業界秩序
を破壊する名分
強力な企業家
精神
アイディア 「拡散」の過程 「縮小」の過程
インパクトが
最も大きい
但し、最初
から考えるこ
とはできない
新サー
ビス
断絶
顧客が望
んでいる
との対応付け パイプラインBM プラットフォームBM
「プラットフォーム革命」
ネットワーク化された世界での
ビジネスのためのプラットフォーム思考
「もの」アプローチ:問題が発生する度に必要
なだけの「もの」を作り出す。
「最適化」アプローチ:捨てるものを最小限に
抑えるため作成したものを適切に配分する。
「プラットフォーム」アプローチ:「もの」を再定義
し同じ問題を解決する新しい方法を発見する。
基本方針:ビジネスの主な目標は顧客の問題を解決すること
【企業は3つのアプローチを取りうる】
5.「プラットフォーム」アプローチへの挑戦
事例1:宿泊問題
• 「もの」アプローチ(シェラトン):もっと多くの
部屋を提供する。そのため土地を購入し、ホ
テルを建設し、部屋を増やす。
• 「最適化」アプローチ(Kayak):旅行者らが
望む選択をするための情報が必ずしも流布し
ていない。信頼できる検索エンジンを作り、正
しい判断を下すのを支援する。
• 「プラットフォーム」アプローチ(AirBnB):宿
泊施設を再定義する。空いている部屋とマット
レスを持っている人は誰でも宿泊サービスを提
供できるのではないか?
問題:都市Xに旅行していて、自分でどこかの宿泊施設を決める。
• 「もの」アプローチ(GM、トヨタ):より多くの車
を作る。製造する必要のある車は増える。
• 「最適化」アプローチ(Avis、Cab
Aggregators):多くのタクシー業者がいる
が、消費者は全ての選択肢を認識していない。
目的地までの最善ルートと交通機関を提供でき
る手段(検索エンジンなど)を提供する。
• 「プラットフォーム」アプローチ(Uber,Lyft、
ZipCar):問題を再定義する。ポイントAからポ
イントBへ移動のため選択できる新たな手段はな
いか?車の数が大幅に増えたらどうなるか?
問題:いつもポイントAからポイントBに移動するための信頼でき安
全な方法を見い出す必要がある。
事例2:移動問題
サービス目録:サービス目録を再定義する際、
サービス目録をユーザーに訴求する明確な
戦略が必要になる。
品質:まったく新しい生産者の集合が発生す
ると、品質管理が問題になる。プラットフォー
ムは、良品を悪品から分離する堅牢な品質管
理メカニズムを備える必要がある。
外的勢力:新しいモデルでは新しい規制が必
要であり、仮想世界の信頼を解決する必要が
ある。
「プラットフォーム」アプローチは新しく、
新たな課題が発生する
ネットワーク化された世界での
ビジネスのための設計フレームワーク
1.従業員に仕事をさせる。
2.作業を行うためのアルゴリズムを取得する。
3.ユーザーに作業を依頼する。
基本方針:価値を創造するには何らかの繰り返し実行が必要
【企業は繰り返し実行を行う3つのアプローチを取り得る】
どのように価値創造するかを理解し、繰り返し価値創造する一連の操作
を識別し、操作を効率的に繰り返し実行する方法を発見して実行する
必要がある。
繰り返し実行の事例
• Yahoo:編集者の集まりがその日の最高の
コンテンツを決める。
– 「もの」アプローチ:1.従業員に仕事をさせる。
• Google News:アルゴリズムが今日のトッ
プニュースを決める。
– 「最適化」アプローチ:2.作業を行うためのアルゴリ
ズムを取得する。
• Twitter:ユーザーのつぶやきとリツイートが
その日のトップニュースを決める。
– 「プラットフォーム」アプローチ:3.ユーザーに作業を
依頼する。
問題:その日に最も関連の深い情報をWebでナビゲートする。
何故、アルゴリズムではなく
エコシステムが競争優位なのか
• 完全に自動化できる問題のほとんどは今日すで
に自動化されている。
• 純粋にアルゴリズムの強みで競争できる企業は
ごくわずか( Google は例外的事例)。
• Facebook、Twitter、YouTubeなどは、エコ
システムの強みで競争している。
• アルゴリズムは簡単に複製可能だが、エコシス
テムはそうではない。
• 従って、エコシステムで価値創造活動をスケー
ルするビジネス構築は、テクノロジーのみの企業
とは全く異なる。
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プラットフォーム企業への移行には
3つの対応が必要
① 経営資源を管理か
ら編成へ
パイプライン:価値ある希少資産が
競争優位の源泉
プラットフォーム:作り手と買い手の
ネットワークが競争優位の資産
② 内部の最適化から
外部とのインタラク
ションへ
パイプライン:一連の活動の全体最
適化が価値
プラットフォーム:インタラクションを
促すことが価値創造の源泉
③ 顧客価値の重視か
らエコシステム価値
の重視へ
パイプライン:一連のプロセス終端
の人々の価値最大化を追求
プラットフォーム:エコシステム全体
の価値最大化を追求
6.プラットフォーム企業に移行するには
プラットフォーム企業への移行には・・
• 従来の「もの」アプローチから「プラットフォーム」
アプローチに変えて、
• ユーザーとのエコシステムを構築し、
• 巧みな取組みでスケーリングを実現できれば、
・・・・移行に成功するかもしれない。
• 先行事例:
Amazon 1994年にインターネット書店開始。プラットフォーム化は6年後
Google 1990年代半ばに検索エンジン。プラットフォーム化(検索連
動型広告)は2000年から
Apple 2001年にiPod。プラットフォーム化(iTunes)は2003年から
タイトル 落とし穴の内容
①
拙速な成長の危
険性
先行者利益の重要性は誇大宣伝され
ている。売り手と買い手の互恵的取引
方法を発見することに注力要
②
信用と安全性の
構築の重要性
ユーザーが不安を感じずに取引できる仕
組みを整えなければならない。
③
仲介飛ばしの予
防
仲介飛ばしの脅威を過大評価し誤った
予防アプローチを取ってはいけない。ム
チよりアメが有効
④
規制リスクに対す
る対処
プラットフォームは従来の規制の枠組
みの限界に挑戦することが多い。
前もって全て解決よりも是々非々で
但し、プラットフォーム化の落とし穴が
ある。要注意!
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A. Hagiu, S. Rothman, “Network effects aren’t enough”, HBR, April 2015.
Andrei Hagiu
HBS助教授
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移行の成否を左右する4ステップ
を適切に踏破すること
F. Zhu, N. Furr, “Products to Platforms: Making the Leap”, HBR, April 2016.
Feng Zhu
HBS助教授
ステップ 中味
1st. ステップ 防御可能な製品とクリティカルマスに
達したユーザーから出発する
2nd.ステップ 新たな価値の創造と共有を重視する
ハイブリッドビジネスモデル*1の適応
3rd.ステップ 新プラットフォームに迅速に転換する
4th.ステップ 競合他社による模倣を防ぐべくチャン
スを見極めて活用する
*1:ハイブリッドビジネスモデル:パイプライン、プラットフォーム両形態を兼備するビジネスモデル。アップルのiPhoneなどが典型例
まとめ
• プラットフォームBMは従来の管理手法とかなり
異なるため新しいリーダーシップが求められる。
• 社内経営資源を手堅く管理することよりも外部と
のエコシステムを育むことが重要になる。
• このような飛躍はかなり難しく、上手く遂行できな
いことでプラットフォームBMで躓く危険が大きい。
• しかし、パイプラインBMの先行きはかなり厳しい
ので、種々の課題はあるものの、先進技術への
注力に加えて、・・
• プラットフォームBMへの適切な移行に積極的に取
組むことが現在極めて重要と考えられる。
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新たなビジネスモデルの創出(改)