ネットワーク深化に向けた情報システム適応
- IoT,CPS等を活用する組織アーキテクチャー変革に向けて-
目次
Ⅰ.ネットワーク化が深化する世界
Ⅱ.情報システムに求められる特性
Ⅲ.組織アーキテクチャ変革の課題
Ⅳ.対応策についての考察
Ⅴ.これからの取組みと課題
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Ⅰ.ネットワーク化が深化する世界
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ピエール・レビィ
フランスの
情報哲学者
network
Ross Mason http://www.slideshare.net/AllThingsOpen/ the second digital revolution is here are you ready for hyper connectivity
更に変化
2000 Hardware + Electronics + Software アップルが典型(iPod)
2005 Software + Network + Service グーグルが典型(G-Search)
方針は“良い製品から良い体験へ”
デジタル産業革命の発展段階
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Hardware + Electronics + Software + Network + Service
1995 Windows95登場(本格的デジタル革命スタート)
これまでの
デジタル産業
革命
これからのデジ
タル産業革命
(2nd Digital
Revolution)
IoT,CPS等を活用して、ネットワーク化が深化し
た新たなビジネス環境でのデジタル産業革命
Hardware + Electronics
インテグレーテッド・インダストリーの世界
GEのインダストリアル・
インターネット
ドイツのインダストリー4.0
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Ⅱ.情報システムに求められる特性
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現状認識
• 現在の情報システムがシームレスにカバーし
ている範囲は案外狭い。
– 現在の工場の生産管理システムは、通常はサプ
ライチェーンシステム、販売管理システムなどと
有機的に結合されていないかもしれない。
• また、経済の全プロセスが情報システムでカ
バーされている段階ではない。
• しかし、ネットワーク化の深化は、全要素を
ネットワークを介して包摂することを目標とす
るハズ 8
問題認識
• 全要素の接続も課題ではあるが、物理的に接
続できたとしても、それと調和する組織変革
(組織アーキテクチャ変革)が達成できなけれ
ば成功はおぼつかない!
• 大抵の場合は全体像がよく見えない。
– GEの先進事例などは、自社内に閉じ、実施内容も
特定でき利益獲得も明瞭な特定例と推定される。
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問題1)シビアに対象システム特性に合わせた効
率化、生産性などに配慮する取組みが必要
問題2)システム運用と共存/整合する組織課題へ
の取組みが必要
対象システムへの取組み姿勢が異
なる(IoTと比較した)CPSの特性
全ての物理コンポーネントにサイバー能力
多重・超巨大スケールでのネットワーク接続
多重で時間的空間的スケールでの複雑性
動的再編成/再構成あり
高度のオートメーション、制御ループが全て
のスケールで閉じていなければならない。
操作の信頼性があり、幾つかのケースで認
証が必要
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問題1に
絡んで)
インダストリー4.0の底流にあるCPS思想
インダストリー4.0で重視しているスマートファクト
リーは、個人の要求を満たすことを目標にし
ている。
例え一個の商品でも利益を確保しながら製造を
可能なようにする。
Industryインダストリー4.0ではダイナミックなビジ
ネス変化、エンジニアリング・プロセスの変化
に呼応し、最後の数分でも生産を変更できる
ことを目標にしている。
供給の中断や失敗に柔軟に対応可能なようにす
る。
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CPSとIoTの複雑性の比較
物理世界 サイバーフィジカル デジタル世界
CPS → ← IOT
“閉(Closed)” システム
制御可能またはシミュレーションで部分的予
測可能な範囲にフォーカス
“開(Open)” システム
べらぼうに多いので、制御やシステ
ム挙動予測ができない
シミュレーション
オートメーション
ユニーク識別子
セマンティックス
モノ
インターネット
サービス指向
組込みシステム製造過程
機械的振舞い
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?
多数といっ
ても10,
100, ・・から
多数のケタ
がべらぼうに
多い 10000
~
http://www.ima-zlw-ifu.rwth-aachen.de/fileadmin/user_upload/INSTITUTSCLUSTER/Publikation_Medien/Vortraege/download//VDI_Agents_7May2014.pdf
情報システムに求められる特性
適応対象に最適な採用技術の選択
目的に技術活用を最適化できる柔軟性
システム運用と整合する組織課題への適切
な対応
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IT活用効果の向上には“IT投資/情報システム”と“組
織変革”の最適組合せがより重要化
最適条件は各国、各企業の産業蓄積、IT活用度、研
究動向、ナショナルイノベーション特性などにも依存
技術選択 、組織構造の組合せ分析が必要!
⇒ 問題2)の比重が大きい
Ⅲ.組織アーキテクチャ変革の課題
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http://www.grupobcc.com/speakers/speaker/shoshana_zuboff
1988年出版
Shoshana Zuboff
HBS教授
• ITは現実の輪郭を次のように本質的に
変えてしまう。
① 仕事をより抽象化する。
② 知性をプログラム化する。
③ 組織に蓄えられた記憶や組織自体の“見
える化”(一目瞭然化)を徹底化する。
• 新しいITの可能性をどう活かすかについ
て新たな熟慮が必要である。
• その際、
a. あらゆる事柄を自動化する能力
b. 一目瞭然化する能力(ability to informate)
というITの持つ二面性が有用な視点を提
供する。
組織改革に関わるIT特性再考問題2に
絡んで)
• あらゆる事を一目瞭然化するには、新しい労
働形態を支える新しい学習が必要
• 知識が一目瞭然化された組織では、有用な
学習が全社員に促進される構造へ。知識へ
のアクセスは平等が前提
• 作業が意味を創り出し、それらを伝達しあうよ
うになると、関心事は、彼らを雇っている組織
だけの関心事ではなくなる。
• 自分、仲間、組織の目的に対し各自がどう感
じるかは、彼らの参加意欲ややる気の高さに
関わってくる。
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組織改革に関わるIT特性再考(続)
技術/対象選択と情報システムの課題
• IoT/CPS活用の新たなビジネスモデルは・・・・
モバイル、クラウドソーシング、超高度自動化、実
時間物流など
• これらの実現には自動化・一目瞭然化加速の活
動が必須
• しかし、自律分散(“現場おまかせ文化”)の組織
文化では、既存抽象度での知識が暗黙知化して
おり柵となることが多い。
• そのため、トップダウンで無理強いしても暗黙知
部を一目瞭然化する活動が壁となる課題あり
日本文化特性と密接に関係しており、難度の高い
利益相反問題が発生しうる。 17
日本的取組みが産業沈滞に繋がった
過去の例 – 半導体産業
• 半導体(DRAMの例)の複
雑化が増していくにつれ、
半導体チップ製造も社会と
類似の問題を発生
• 旧来組織内/組織間のコ
ミュニケーション構造を部
分的変更で対処しようとす
る傾向
• それが、加速したテクノロ
ジー/市場スピードについて
行けなくなり競争から脱落
した主因と推定
18中馬 宏之、“サイエンス型産業における国際競争力低下要因を探る:半導体産業の事例から”、RIETI Policy Discussion Paper Series 10-P-015、2010.
組織アーキテクチャ変革の課題
加速したテクノロジー、
市場の複雑化スピード
への追随性確保
ビジネス戦略/技術戦略
上の考察の幅と深さの
拡大への対応力保有
刻々変化する振る舞い
を全体システム中で的
確に一目瞭然化できる
立ち位置の確保
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①階層構造のフラット化
②遠く離れた階層間に
も跨る太いバイパス
経路の設置
③詳細プロセスに関す
る一目瞭然化情報の
階層内・階層間共有
④階層内情報の正確な
抽象化と階層間情報
の明確・迅速な遡及
を促進する仕組みの
設置
組織変革の一般則
Ⅳ.対応策についての考察
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日本の取組み策についての考察(案)
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案1:日本が大得意な精
緻な一品作り能力を活用
する取組み重視
案2:標準化。それを基盤に
プラットフォーム化は不可避
を前提にした取組み重視
IoT,CPS等の新技術活用が眼目
組織変更は現行手直しの範囲で
従来手法の踏襲 従来手法を変更
IoT,CPS等新技術活用を機に一目瞭然化
組織は“目的指向のメタ組織”に抜本変更
自社内または特定グルー
プ内の閉じたシステム指
向・・・クローズ型
例:GEの現行システムに
類似か?
オープンシステムを基本とし、
その中で標準化主導、または
エコシステム盟主か有力パー
トナーのポジション確保を指
向・・・オープン型
例:Intel,Cisco等に類似か?
複雑性増大時に直面する日本文化の特性
• 知識・ノウハウ再統合には,既
存の知識・ノウハウの再利用性
を高める仕組みが不可欠
• その仕組みがあれば,より多く
の人々に“ 部分と全体”の関係
が一目瞭然化。当事者間の共有
知識の幅と深さが増大し、再利
用をより自律的で広範囲なもの
にできるかも
• 手段はIT活用による一目瞭然化
• 抜本改革には抽象レベルを階層
的に整理し,共通言語化(モ
ジュール化)しなければならない。
• この試みは,しばしば,知識・ノ
ウハウ再利用性向上に寄与する
人々の希少性を減少させる。
• この傾向は,豊富な知識・ノウハ
ウを体化した人々に当てはまり
がち(日本は暗黙知化(属人化)
部分がとりわけ多い)だが鋭意
実施
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新たな視点と抽象レベルで、知識・ノウハウを再統合し、それら
を再活用するための深化・蓄積が不可避のはずなのだが・・・・
上記を目標としつつも日本
型のキメ細やかさ維持も合
わせて目指す
クローズ型 オープン型 新環境に適合する組織変
革を優先させ、その上で付
加価値追加を目指す
クローズ型:先進的事例もある
- コマツのスマートコンストラクションほか -
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ドローンで建設現
場の現況把握実施
KOMTRAX
GPSを用いて車両の稼働・
保守管理などを自動化
世界初の無人ダンプト
ラック運行システム
スマートコンストラクション
ICTブルドーザー
コマツがロボットベンチャー
のZMPに出資。 建設機械
の無人化などで協業
• IoT/CPS適応分野は千差万別
– 共通性が求められる分野も、スマート・シティ、スマー
ト・ホスピタル、スマート・ファクトリーなど環境差が大
きい分野も
• 環境差が大きい分野でも、エコシステム形成に
向けた主導権確保の取組みは既に進行中
• 多くはB2B2C的世界なので、(B2C世界と異なり)
総取り傾向のシステムが席巻する分野もあるが、
かなりの分野は多様な個別システムも登場か
• 個別システムも、新時代の特定領域ニーズには
適確にフィットしなければならないが、このような
ニーズ取得やシステム展開に、日本的取組みの
特徴がヒットする場面があるかも….
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オープン型取組み時の切り口例
半導体産業の失敗を繰り返さないために
• 半導体産業の難しさは、①不確実性が大きな
状況下で巨大投資しなければ成らない“待ち
戦略”と、②市場変化のスピードが極めて速
いため“今が旬戦略”(Time-To-Market)が命、
という矛盾性だった。
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• このような場面にはリアル・オプション戦略が有用!
 戦略を構成する各オプションを独立性の高いモ
ジュールとして設定しておく。
 そうすることで、想定内だけでなく想定外の転用も可
能にする。
 更に、多くの人が現実に起きている事象から多様な
文脈化ができるようにする。
補足情報1
中馬宏之、「半導体産業における日本勢の盛衰要因を探る:システムアーキテクチャの視点から」、一橋大学イノベーション研究センター(IIR)Working
Paper WP#14-10.ページ26.
生物学の世界に思いを致す
• Survival of the Fittest
(プラットフォームの盟主総
取り)
• IoTで新プラットフォーム、新
ビジネスモデル、組織変革
の組合せ
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• Survival of the flattest
(あるグループが一定シェ
ア確保)
• IoT/CPSで着実な技術
改革、対象分野のニー
ズ・フィット、組織変革の
組合せ
Adam S. Lauring, Judith Frydman ,Raul Andino,”The role of mutational robustness in RNA virus evolution”,Nature Reviews Microbiology 11, 327–336 (2013)
補足情報2
Ⅴ.これからの取組みと課題
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目的達成のための手法
• “目的/目標によって特徴づけられ、ネットワー
クから構成される企業または個人からなる組
織”の重要性が増す。また目的達成のための
精緻度も高度化する。
• その際、①組織を一定枠に絞り込み教育訓練
の練度向上で高度目標達成狙いと、②目標達
成の旗を掲げそのためには組織をフラットにし
て組織もオープンにする分化が発生する。
• どちらが優れていると言うのではなく、対象に
応じて共存しながら顧客ニーズ達成に対して
競争する関係になると思われる。 28
ITによって生産・流通・販売を統合化した新
たな「ものづくり」などに求められる特性例
生産システムの柔軟性を高めるため、“ 生産状
況の見える化”、“ 原価の見える化”が不可欠
2 つの“ 見える化”を活かすには,複雑なモ
ジュール間の相互依存状況をモデル(理論)化
し、不具合発生原因を素早く追尾できる生産シ
ステムが不可欠
生産システムの複雑性が増すに伴って難しくな
るモデル探索・構築に対応するには,既存の知
識・ノウハウの再利用性を向上させる新たな抽
象レベルでの知識・ノウハウの整理が不可欠
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組織変革の変革と推進課題例
① メタ組織デザイナーは如何に部門を特定す
るか、如何に仕事を分割し、仕事を割り当
てるか?
② 日本で根強い“購買交渉力権威”が、専門
知識・カリスマ性主導権威を上回って、分業
パターンをこれからも主導できるか?
③ 権威の性質が、システム統合メカニズムの
選択にどのような影響を与えるか?
Minsky のOrganization Principle
“The Organization Principle: When a
system evolves to become more complex,
this always involves a compromise: if its
parts become too separate, then the
system’s abilities will be limited — but, if
there are too many interconnections,
then each change in one part will disrupt
many others.”
・・・・・・・・・・・・・・(Minsky, 2006, p.104)
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Minsky, L. M. (2006). The Emotion Machine: Commonsense Thinking, Artificial
Intelligence, and the Future of the Human Mind. New York: Simon & Schuster.
補足情報3
マービン・ミンスキー
まとめ
1. 計画値と実現値のズレを迅速かつ正確に認
識し、直前まで生産システムの柔軟性を向上
させられる環境整備が必要である。
2. その環境はIoTの複雑性や生産管理の複雑
性に追随可能なメンテナビリティ保持が必要
がある。
3. このような適確な環境整備の上に日本流価
値を付加する挑戦を行うべきである。
4. 複雑な相互依存性が一層顕著になり、非常
にデリケートなシステムになる。関係者の労
働意欲や自己実現意欲との関係性も考慮し
た柔軟な適応性を担保する必要がある。 32

ネットワーク深化に向けた情報システム適応