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地域志向のケア
藤原 和成
総合診療専門医の7つの資質・能力
❶ 包括的統合アプローチ
❷ 一般的な健康問題に対する診療能力
❸ 患者中心の医療・ケア
❹ 連携重視のマネジメント
❺ 地域包括ケアを含む地域志向アプローチ
❻ 公益に資する職業規範
❼ 多様な診療の場に対応する能力
日本専門医機構総合診療専門研修2019年度版研修手帳より
地域志向アプローチのoutcome
•わが国の医療制度や地域の医療文化と保健・医療・介護・福祉
の現状を把握した上で、地域の保健・医療・介護・福祉事業に
対して、積極的に参画する能力を身につける
•地域の現状から見出される優先度の高い健康関連問題を把握し、
その解決に対して各種会議への参加や住民組織との協働、ある
いは地域ニーズに応じた自らの診療の継続や変容を通じて貢献
できる。
日本専門医機構総合診療専門研修2019年度版研修手帳より
内科専門医のoutcome
• 地域医療における内科領域の診療医(かかりつけ医):地域
において常に患者と接し、内科慢性疾患に対して、生活指導
まで視野に入れた良質な健康管理・予防医学と日常診療を任
務とする全人的な内科診療を実践する。
専門研修プログラム整備基準【内科領域】(2017年度版) 一般社団法人日本内科学会
有名なこの図
Fukui, Tsuguya, et al. "The ecology of medical care in Japan." JMAJ 48.4 (2005): 163-167.
生物学的要素
年齢・性別・遺伝・臓器
農業・食品
教育環境
労働環境
生活環境及び職場条件
失業
住宅環境
医療環境
Göran et al. Policies and strategies to promote social equity in health.1991.より改編
健康の決定要因
環境は個人に影響する
•職場や家族、地域の要因が個人の健康に影響を与える
•BPSモデル、近位/遠位コンテクスト、ICF、SDHなど
に共通する視点
•故に、家庭医・総合診療医は地域の健康に取り組まな
くてはならない
生活習慣病のイメージ
厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/ikk-a20.pdfを参考に改編
不適切な生活習慣
(運動不足・喫煙・過度の飲
酒・高カロリーの食事など)
が蓄積してくる
肥満症、糖尿病、高血圧症、
脂質異常症など、動脈硬化の
リスクとなる疾患がでてきて
様々な血管に関わる疾患(心
筋梗塞、脳梗塞、糖尿病によ
る失明や腎不全など)を発症
日常生活に大きく支障
を来すようになる
社会的不平等
階級
人種・民族
滞在資格
性別
性的志向
制度的不平等
会社・経済
公立学校
法令
非営利団体
生活環境
身体的環境
土地利用 交通手段 住宅環境
居住分離 毒物暴露
労働環境
雇用 収入 小売業 職場での危険
社会的環境
人種差別 性別 移民
文化-広告-メディア 暴力
サービス環境
医療 教育 社会サービス
リスクの高い行動
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低栄養
低い身体活動
暴力
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薬物中毒
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疾患や外傷
感染症
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外傷(意図的・
非意図的)
死亡
乳児死亡率
平均余命
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アドボカシー
上流 下流
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住民組織化 市民的社会参画
個人の健康教育 医療
個々のケースへの
対応
政策
さらに上流
California Association of Community Health Workersより改編
サッカーで言うと
上流・健康
下流・不健康
サッカーで言うと
上流・健康
下流・不健康
WHO(世界保健機構)
ワールドヘルスレポート2008
医療の供給体制の改革を提唱
• 地域・コミュニティ(住民の生活の場)における
プライマリ・ケアを中心とした医療供給体制へ
プライマリ・ケア・チームは
地域ネットワークの要
プライマリケ
ア・チーム
行政
SW
趣味・スポーツ
の会など
ボランティ
ア組織
地域の協
力者
自助グ
ループ
救急外来
お産
手術
研修施設
感染症専門施設
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地域の精神科専門施設
CT/MRI検査
病理検査
検診センター
女性シェルター
二次・三次医療機関
専門的ケア
診断
予防サービス
NGOs/行政
交通外傷
研修サポート
断酒会
皮膚腫瘍の提出
アルコール依存症
DV
WHO world health report 2008より改変
人を中心に据え、継続的で包括的なケア
(プライマリ・ケア)が提供されることにより
•予防医療が進み、病気の発見が早まる
•慢性疾患の悪化による入院が減る
•死亡率が下がる
•医療へのアクセスが良くなる
•救急や専門医の過剰な利用の低下
•診察への満足度の向上
など
World Health Organization. Primary Care: Putting people first. The World Health Report 2008. Primary Health
Care Now More Than Ever. 41-60, 2008.
総合診療医が
地域志向のアプローチをとる理由
•職場や家族、地域の要因が個人の健康に影響を与える
•家庭医・総合診療医は地域包括ケアシステムの中で連携の要となる
•上流へのアプローチは、プライマリ・ケアの重要な役割
•家庭医・総合診療医は地域のニーズに自分を適応させる

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地域志向のケア

Editor's Notes

  1. 地域志向のケア、というテーマでお話します
  2. そもそもなんですが、総合診療専門医って、ここにあるような7つの資質とか能力を持っているとされているわけです。 別の言い方をすると、ここにあげられている脂質とか能力を持っていることが、総合診療専門医の条件ということですね この中に、5番、地域包括ケアを含む地域志向アプローチというのがあげられているわけです 地域志向アプローチというのは、総合診療医にとって重要な能力であるとされているんですね
  3. その地域志向アプローチの能力ってどんなものかっていう話ですが 専門医機構ではこういう形で定義されています。 ざっくり言えば、一つ目は地域で行われている健康関連の事業に参加できるってこと 二つ目は、地域の健康問題を見つけて、その解決に貢献できるってこと この2点です
  4. よく引き合いに出される内科専門医の地域医療におけるアウトカムはこんな感じですね。 何で2017年度版かっていうと、専門医機構のHPに掲載されているのがこれだからですね。 何がどう違うかっていうと、色んな解釈が当然できるわけですが、一番の特徴は 総合診療専門医は病院や診療所から外に出ることを想定しているんですが、 内科専門医は診察室から外には出ないってことです。 内科専門医は地域にいても診療をすることが任務だって言っているわけです。 別にいい悪いの問題ではありません、内科と総合診療では求められているものが違うというだけのことです。
  5. その違いを考える時に、よく出てくるのがこの図ですね。 福井つぐや先生の研究ですが、地域の人が千人いると、1か月の間に何らかの症状が出る人が862人、そのうち受診する人が307人いるっていう図です。 入院が必要なのは7人で、大学病院を受診する人は6人ということになります。 今までの話でいくと、内科の先生が対象とするのは大きく見積もって307人ですね。 それに対して、総合診療専門医が対象とするのは1000人全員と言われています。 それってどういうことやねんっていう話をこれからするわけです。
  6. その背景の一つが、健康の決定要因と呼ばれるものです。この図でしめされるものですね。疾病の要因ではなく健康の要因ですよ。 健康を決定する要因の中で個人に一番近いところ、一番ミクロのところは生物学的要因とされています。臓器とか遺伝子とかが健康に関与するってことですね。その外側に生活習慣がある、と。 そこからより大きな環境として、メゾ・マクロの領域では、職業や教育、コミュニティや家族などの要因が健康を決定する要因としてあげられています これらを健康の社会的決定要因、SDHといいます 個人の健康を決定する要因の中に社会的な要因があるということです
  7. 大切なのは、臓器とか遺伝子とか生活習慣だけでなく、職業や所得や教育といった環境因子が健康に影響するっていう点です。 総合診療医が地域志向のアプローチを行う理由の第一は、職場や家族、地域の要因が個人の健康に影響を与えるからです
  8. こっちは、生活習慣病のイメージという図ですが、健康に関与する要因というより、疾患に関与する要因について書かれています。 例えばこの最下流の滝のところで流されてきた人を助ける行為というのは、この図で言えば心筋梗塞になってしまった人や脳梗塞になってしまった人を救急車で救急外来に運んでいくイメージです。 もちろんこれも重要ですが、それよりは上流にある、原因となっている高血圧をコントロールしたり、肥満や血糖値をコントロールすることが重要であり、 さらに上流には不適切な食事や喫煙など、不健康な生活習慣があり、これらに取り組むことが重要である、という図になっています。 上流へのアプローチが大切っていうことですよね。
  9. でも、皆さんがすでに気づいてると思いますが、先ほどの図は個人レベルの生活習慣までしか見ていません。 この図では右の最下流の3つのコンポーネントがそれにあたります。 当然その上流には、仕事や経済、教育、ヘルスケアサービスなどの環境があるわけです。 今日では、リスクを持った個人へのアプローチだけでは生活習慣病などへの介入は上手くいかないことが分かってきています。 そこで、集団全体が健康的な生活習慣を送れるような働きかけが求められています。
  10. これを、筑波大学の前野哲博先生は、サッカーに例えました 味方のペナルティエリア内が医療機関です。 地域の人が病気になって医療機関を訪れて初めて、医師に出会うというのはこういうモデルですね。 医師は医療機関というペナルティーエリア内にいて、ゴールギリギリで待ちの姿勢で守っているという形です。 これは基本的に「病気を治す」という役割のモデルです。 でもこれだと、病気という敵は、ペナルティーエリアまでは攻め放題なわけです。
  11. そうではなくて、地域というフィールド全体に選手が散らばって、ペナルティーエリアに攻め込まれる前に、こちらから攻めたり。 早めにボールを取ったりして守ったりすることで「健康を守る」という活動ができるわけです。 総合診療医は、健康問題の発生源にアプローチをする、地域の人の暮らしに寄り添う、必要に応じてペナルティーエリアまで戻ることもするし、もっと上流に攻め込んだりもするわけです。
  12. WHOの2008年のワールドヘルスレポートでは、 医療の供給体制について、住民の生活の場でのプライマリケアを中心にすべきであると報告しています
  13. その中で、プライマリケアチームは、地域のネットワークのかなめとしての役割を果たします。 様々な組織をつなぐハブとしての役割は、地域の健康に取り組む絶好のポジションと言えるでしょう
  14. WHOの意図した通りにプライマリケアが提供されれば、このような恩恵が期待できるといわれています。
  15. 家庭医や総合診療医が地域の健康増進に取り組む理由はいくつかあります。 今回、私は4つ挙げてみました 一つは職場や家族、地域の要因が個人の健康に影響を与えるためです 二つ目は、家庭医・総合診療医が地域包括ケアシステムの連携の中で果たす役割の重要性です 三つめは疾患の上流へのアプローチが求められており、それを担うのはプライマリケアの重要な役割の一つである点です また最後に、家庭医・総合診療医は自分の守備範囲が先にあるのではなく、地域のニーズに自分の守備範囲を合わせる点に特徴があります