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地域での療養生活の支え
療養生活を支える制度
島根大学医学部環境保健医学講座
名越 究
②障害者手帳の取得
この動画の目的
1. 地域での療養生活を支える各種サービスへの
手がかりとしての障害者手帳を理解する
2. 障害者手帳の取得方法を知り、患者支援に活かす
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身体障害者
知的障害者 精神障害者
高次脳機能障害
(交通事故、脳卒中等による後
遺症(記憶障害、麻痺)、意欲
減退、気分障害 等))
(広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥・他動性障害)
(身体障害者福祉法)
(知的障害者福祉法) (精神保健福祉法)
障害児の場合は
児童福祉法
発達障害者支援法
(難病患者)→難病法の指定疾患
福祉各法の領域での「障害者」の守備範囲
障害の種別 部位・状態 手帳の名称 発行者 障害程度の表記 備 考
身体障害
身体の部位(上肢、下
肢、体幹、視覚、聴覚、
内部障害など)に永続
する障害のあるもの
身体障害者手帳 都道府県知事・
指定都市・
中核市市長
1級~6級 福祉サービスの利用は手帳の交付
を受けていることが要件。 (18歳
以上の者)
知的障害
知的機能の障害が発達
期(概ね18歳まで)に
現れ、日常生活に支障
が生じているため、何
らかの援助を必要とす
る状態にあるもの
療育手帳
※自治体により名称が
異なるが、「療育手
帳」は必ず併記される。
都道府県知事・
指定都市市長
A、B
(IQ50/70)
※自治体により
表記が異なる
福祉サービスを利用するためには、
判定機関(児童相談所等)の判定
を受けていることが要件。手帳は、
福祉サービスを受けやすくするた
めに交付。
精神障害
概ね青年期(18~20
歳)以降に発症した統
合失調症、うつ病等の
精神疾患を有するもの
精神障害者保健福祉手
帳
(※手帳の様式上の名
称は「障害者手帳」)
都道府県知事・
指定都市市長
1級、2級、3級 手帳制度の対象となる者は、精神
障害者のうち一部のみ。
知的障害者は医学上精神障害に分
類されるが、精神障害者保健福祉
手帳の交付対象とならない。
(参考)
発達障害
自閉症、アスペルガー
症候群等の脳機能の障
害であって、その症状
が通常低年齢において
発現するもの
※手帳制度なし 医学上は精神障害に分類。
その他の手帳制度の交付要件に該
当する程度の障害がある場合は、
当該手帳が交付される。
各種手帳制度について (概念的な整理)
障害者手帳の取得
障害の種別 認定基準と医療機関 申請先
身体障害 指定医
(都道府県知事、指定都市市長、中核市市長が指定)
都道府県知事・指定都市・
中核市市長
知的障害
18歳未満
児童相談所
18歳以上
知的障害者更生相談所
都道府県知事・指定都市市長
精神障害
精神保健指定医又は精神科を標榜する医師
(てんかんや高次脳機能障害などでは限定しない)
都道府県知事・指定都市市長
(参考)
指定難病
小児慢性特定疾病
指定医
都道府県知事・指定都市市長
(小児慢性は都道府県知事・指
定都市市長・中核市市長・児童
相談所設置市市長)
• JR旅客鉄道株式会社の旅客運賃割引(身体、知的)
• 航空運賃割引(身体、知的、精神)
• バス・電車及び旅客船の運賃割引(島根県内)(身体、知的、精神)
• タクシーの運賃割引(身体、知的、精神)
• 有料道路の通行料金の割引(ETC割引)(身体、知的)
• 駐車禁止除外車指定(身体、知的、精神)
• NHK放送受信料の減免(身体、知的、精神)
• 郵便料金の減免(身体、知的)
• 電話番号案内料金の免除(身体、知的、精神)
• 携帯電話の割引サービス(身体、知的、精神)
※障害の種別、等級によってサービスを受けられない場合があります。
※事業者によってサービスに対応していない場合があります。
知的
障害者手帳保有者へのサービス
身体
精神
島根県の福祉医療費助成制度について
1. 65歳以上で3か月以上ねたきりの方(対象期間1年)
2. 身体障害者手帳1級または2級の方
3. 身体障害者手帳3級または4級で、知的障がいのある方
4. 療育手帳A(概ねIQ50以下)の方
5. ひとり親家庭の方(18歳未満または高校3学年修了までの児童を養育する配偶者のない者及び当
該児童)
6. 精神障害者保健福祉手帳1級の方
7. 精神障害者保健福祉手帳2級で身体障害者手帳3級または4級の方
8. 精神障害者保健福祉手帳2級で、知的障がいのある方
※対象となるには①~⑧のいずれも所得制限があります。③及び⑧の知的障がいは判定機関により判定します。
※市町村の窓口で申請し、対象者として認定されると「福祉医療費医療証(資格証)」が交付されます
自己負担割合が、医療費の1割まで軽減されます。
障害者雇用率制度
• 障害のある方が普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる
「共生社会」の実現のため、全ての事業主には、従業員の一定割合
(=法定雇用率)以上の障がい者を雇用することが義務付けられています。
注意点:障害者手帳の取得が必要です。
障害年金
• 病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、
現役世代の人も含めて受け取ることができる年金
• 障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけ
がで初めて医師または歯科医師(以下、「医師等」といいます)の診
療を受けたときに「国民年金」に加入していた場合は「障害基礎年
金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できる。
• 障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手
当金(一時金)を受け取ることができる制度もある。
(日本年金機構ホームページ)
注意点:「手帳」と「年金」は制度の趣旨が異なるため、級別の障害の重さや認定基準は整合しません。
代表的な行政相談窓口(島根県)①
行政機関 所在
市役所、町・村役場
(福祉事務所)
各市町村(計19か所)
児童相談所 県内4か所(中央、出雲、浜田、益田)
身体障害者更生相談所
心と体の相談センター(松江)
知的障害者更生相談所
精神保健福祉センター
保健所
7か所
(松江、雲南、出雲、大田、浜田、益田、隠岐)
障害者就業・生活支援センター 7か所
(松江、雲南、出雲、大田、浜田、益田、隠岐)
障害者職業センター 1か所(松江)
難病相談・支援センター ヘルスサイエンスセンター(出雲)
+7か所(各保健所)
発達障害者支援センター 2か所(出雲、浜田)
年金事務所 3か所(松江、出雲、浜田)
※市町村の年金課でも相談可
民生委員・児童委員(嘱託) 県内約2千人が活動
社会福祉協議会(民間) 各市町村(計19か所)
代表的な行政相談窓口(島根県)②
まとめ
1. 療養している患者さん、病気と共に暮らしてい
る患者さんにとって、身体・知的・精神の障害
者手帳を取得しているとメリットが多く、生活
の質の向上につながります。
2. 障害者手帳取得が可能な患者がいる場合は、
積極的に相談窓口への紹介を考慮しましょう。

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