ゲーム教育SIG 活動報告
-古いビデオゲームのオーラルヒストリー
収集・公開の試みと
オランダにおけるシリアスゲーム教育状況-
(予稿集p17~p25)
ゲーム教育SIG 代表
岸本 好弘(東京工科大学 メディア学部)
企画セッション
日本デジタルゲーム学会2015年度年次大会@芝浦工業大学大宮キャンパス 2016年2月27日
ゲーム教育SIG (Special Interest Group)
・「ゲーム教育」を研究テーマとして自主的な調査研究活動
を担い,研究成果の発信と共有をはかる研究グループ
紹介
日本デジタルゲーム学会2015年度年次大会 2
紹介
コアメンバー:
岸本好弘(東京工科大学 メディア学部)
古市昌一(日本大学大学院 生産工学研究科)
藤原正仁(専修大学 ネットワーク情報学部)
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セッション概要
2つの試みを報告
・古いビデオゲームのオーラルヒストリー収集の試みとして
開催した『バラデューク』30周年イベントの
実施と成果 30分
・オランダにおけるシリアスゲーム教育状況の報告と,
国際シリアスゲームジャムの実現の提案 30分
紹介
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『バラデューク』30周年イベントにおける
古いアーケードゲームのオーラルヒストリー
収集・公開の試み
(予稿集p18~p21)
岸本 好弘 三上 浩司 之盛 原鴫
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背景
世界初アーケードビデオゲーム『コンピュータースペース』
(ナッチング・アソシエイツ社, 1971 )
それから45年後
• コンピュータゲームは日本・欧米で一大産業に発展
• 家庭用ゲーム,PCゲーム,スマートフォンゲームなど幅広
く普及
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背景
近年,コンピュータゲームを「文化遺産として後世に残そ
う」という議論や試み
↓↓
ゲームソフトの収集・所蔵の取り組み
アメリカ
• 遊びの博物館「Strong National Museum of Play」
• スタンフォード大学図書館 など
イギリス
• 「National Media Museum」など
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背景
日本
• 国立国会図書館(2000年~)
• 文化庁メディア芸術デジタルアーカイブ事業(2010年~)
• 立命館大学ゲーム研究センター(RCGS,2011年~)
市販された製品を保存,またはデータベース化
↓↓
製品そのものと併せて,それらを生み出した「開発過程」の
保存も重要
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背景
日本デジタルゲーム学会の取り組み
• 2009年より「古いアーケードゲームのオーラル・ヒスト
リーの収集・公開」取り組み開始
• 当時の開発関係者にインタビューし,開発過程を「証言」
として記録し公開することで,後世のゲーム研究に資する
ことを目的
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問題点
この試みは,今まで『スペースインベーダー』や『パックマ
ン』など世界規模ヒット作に限定
理由:収集の場として集客イベントが主体のため,有名タイ
トルでなければ開催が難しい
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研究目的
コンピュータゲーム=文化遺産
有名タイトルだけでなく,多くのゲームの開発者の思考過程
や開発過程をドキュメントとして残すべき
↓↓
本研究
開発関係者が自ら主体となり「オーラルヒストリーの収集」
を行う方法を提案・実施し,検証する
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研究手法
本研究
• アーケードゲーム『バラデューク』(ナムコ,1985)30
周年記念イベントを実施
• 開発者らの「オーラルヒストリー収集・公開」
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「バラデューク」の概要
『バラデューク』
• 1985年にナムコが開発したアーケードゲーム
• 多くの「かわいい」 「ナムコゲーム」とは異なる,グロテ
スクさが特徴
• SF映画やアニメ映画に影響を受けたピクセル画のモンス
ターたちの不気味な動きが画期的
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「バラデューク」の概要
動画
https://www.youtube.com/watch?v=bpXuffM5FaE
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手法
3つのステップ
(1) イベント準備のための開発者および開発関係者(以下開
発者ら)の昔の記憶の発掘・共有
(2) 開発者らが集まるイベントの開催及び動画の公開
(3) イベント終了後の文章資料の作成・公開
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手法
(1) イベント準備のための開発者らの昔の記憶の発掘・共有
(2015年7月)
• 開発者らがSNSで繋がり,昔の記憶をたどって共有(企
画・グラフィック、プログラム、サウンド、ハード担当者
など)
• 客観的な視点から,外部の人が開発者らに質問を投げかけ
る,筆者らの1人(鴫原)がその役割を担当
• 鴫原はイベントの司会,ゲームのコンプリート動画の作成,
文章も作成
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手法
(2)開発者らが集まるイベントの開催(8月)及び動画の公開
(10月)
• 開発者らが集まるイベント開催
• インターネット配信により,外部より多くの情報が得られ
る可能性が拡大
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手法
(3) イベント終了後の文章資料の作成・公開(継続中)
• 動画はインターネットのアーカイブとして公開
• イベントで行われた証言を文章にまとめて公開
↓↓
動画と文章の両方を保存することが大事
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実際の過程
• 8月29日 秋葉原「ナツゲーミュージアム」にて『バラ
デューク』30周年イベントを開催
• プランナー,プログラマー,サウンドクリエイターの開発
者3名が登壇
• 他に司会者1名,デザイナー1名,販売促進1名,サウンド2
名の開発関係者4名,その他関係者7名が参加
• 収録は非公開,動画の配信開始は後日
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実際の過程
• 10月1日にインターネット放映(You Tube)を実施
• 視聴者よりTwitterで寄せられる質問に開発者がリアルタ
イムで回答する試み, 100件超の書込み
• イベント動画はインターネット上でその後も公開
• 視聴回数1,326回(2016年1月27日時点)
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実際の過程
公開動画
https://www.youtube.com/watch?v=0vitz2_XlQo
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実際の過程
Twitterまとめ
http://togetter.com/li/881913
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実践しての課題点
下記の3つ
(1) 外部の協力者が必要
(2) ゲームの著作権者との交渉
(3) メンバーの中の温度差
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実践しての課題点
(1)外部の協力者が必要
• プレイ動画の撮影,イベントの動画撮影・編集・放映,文
書資料の作成など専門スキルをもった協力者が必要
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実践しての課題点
(2) ゲームの著作権者との交渉
• ゲームの映像著作物としての許諾を,ゲーム販売会社に依
頼が必要
• 古いゲームの関連資料の提供は期待できない
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実践しての課題点
(3) メンバーの中の温度差
• 開発メンバーの中に「オーラルヒストリーの収集・公開」
には温度差が存在
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まとめ
• アーケードゲーム『バラデューク』(ナムコ,1985)30
周年記念イベントを実施し,オーラルヒストリーの収集・
公開の試みを行った
• 開発関係者が自ら主体となり「オーラルヒストリーの収
集」を行う手法をまとめた
• 他のゲームにおいても,この手法により,開発者自らが主
体となって協力者の助けを借りながら,自分たちの開発し
たゲームのオーラルヒストリーの収集・公開が実践できる
はず
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今後の展開
• 多くのゲームに関し,「オーラルヒストリーの収集・公
開」が行われることを期待
• 研究目的に限定したゲーム映像のより自由度の高い活用の
実現について,ゲーム業界と交渉していく必要がある
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ご静聴ありがとうございました
『バラデューク』30周年イベントにおける
古いアーケードゲームのオーラルヒストリー
収集・公開の試み
岸本 好弘
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パネルディスカッション
今後の古いビデオゲームのオーラルヒストリー収集の試みの
有用性
岸本 好弘,鴫原 盛之(フリーライター)
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オランダにおけるシリアスゲーム教育状況
~国際化教育と2国間シリアスゲームジャム~
古市昌一
口頭発表
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国際シリアスゲームジャムの提案
藤原正仁,古市昌一,岸本 好弘
パネルディスカッション
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ゲーム教育SIG2015年度活動報告

Editor's Notes

  • #7 ノーラン・ブッシュネルが作った
  • #9 これらの公的機関や大学がこれまで行ってきたコンピュータゲーム保存活動は,出版物の保存と同様,市販された製品そのものを保存しようとするものである.しかし,製品そのものと併せて,それらを生み出した「開発過程」の保存も重要であると筆者らは考える.
  • #17 イベント開催において限られた時間で重要な内容を開発者が語るためには話す内容の選択は重要である.
  • #20 本イベントは,8月29日に秋葉原「ナツゲーミュージアム」[6]にて『バラデューク』30周年イベントとして開催した.プランナー,プログラマー,サウンドクリエイターの開発者3名が登壇し,この他,司会者1名,デザイナー1名,販売促進1名,サウンド2名の開発関係者4名,その他関係者7名が参加した.開催の様子を図2に示す.収録は非公開で行い,動画の配信開始も後日とした.これは,初めての試みであったため,自由に語れる場にすることを優先したことと,発言中に不適切な部分があった場合に公開前に削除するためである.同時に,配信負荷を減らす目的もあった.
  • #22 8月29日に秋葉原「ナツゲーミュージアム」[6]にて『バラデューク』30周年イベントとして開催した.プランナー,プログラマー,サウンドクリエイターの開発者3名が登壇し,この他,司会者1名,デザイナー1名,販売促進1名,サウンド2名の開発関係者4名,その他関係者7名が参加した.開催の様子を図2に示す.収録は非公開で行い,動画の配信開始も後日とした.これは,初めての試みであったため,自由に語れる場にすることを優先したことと,発言中に不適切な部分があった場合に公開前に削除するためである.同時に,配信負荷を減らす目的もあった.
  • #27 開発メンバーの中でも「オーラルヒストリーの収集・公開」には温度差がある.今回においては,企画やサウンドは保存に積極的であったが,ハードウェアに関しては十分な協力が得られなかった.