2015年5月14日　日本大学新生児症例検討会用のスライドでした。 ご覧になった方の自己責任でダウンロードしてください。 それで起こったことについて山口は責任を負えませんけれども。。。

1. NICUにおける母乳育児支援
■生後早期の支援を中心に■
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山山口口直直人人((ややままぐぐちち・・ななおおとと))
小小児児科科医医師師
国国際際認認定定ララククテテーーシショョンン・・ココンンササルルタタンントト((IIBBCCLLCC))
心心身身障障害害児児総総合合医医療療療療育育セセンンタターー小小児児科科

2. COPYRIGHT

3. 利益相反について
•! 本日の講演で山口はシナジスでおなじみのアッヴィ社よりしっかりし
た額の講演料を受け取ります。
–! アッヴィ社は人工乳製造メーカーではありませんが、独立以前のアボット
ラボラトリーズ社は人工乳製造メーカーです。アボットラボラトリーズ社
が「母乳代用品のマーケティングに関する国際基準」を今日現在遵守して
いるかどうかはよく知りません。
•! 今日のお話しの参考資料のひとつ、
「母乳育児支援スタンダード 第2版」医学書院
のほんの一部を山口は執筆しており、
いつか印税がもらえるらしいです。
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4. なんでこんなに母乳母乳いう必要が
あるんでしょうか？
そもそものところをおさらい
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5. Breastfeeding and Maternal Infant Health
Outcomes in Developed Countries
Current evidence demonstrates breastfeeding associated with
reduction in risk of:
•! Acute otitis media
•! Non-specific gastroenteritis
•! Severe lower respiratory tract infections
•! Atopic dermatitis
•! Asthma in young children
•! Obesity
•! Type 1 and type 2 diabetes
•! Childhood leukemia
•! Sudden infant death syndrome (SIDS)
•! Necrotizing enterocolitis
Ip S, et al: Breastfeeding and Maternal and Infant Health Outcomes in
Developed Countries, April 2007. Agency for Healthcare Research and
Quality, Rockville, MD. http://www.ahrq.gov/clinic/tp/brfouttp.htm

6. Burden of Suboptimal
Breastfeeding in the US
•! Results: If 90% of US families could comply with medical
recommendations to breastfeed exclusively for 6 months,
the United States would save $13 billion per year and
prevent an excess 911 deaths, nearly all of which would be
in infants ($10.5 billion and 741 deaths at 80%
compliance).
•! Conclusions: Current US breastfeeding rates are
suboptimal and result in significant excess costs and
preventable infant deaths. Investment in strategies to
promote longer breastfeeding duration and exclusivity may
be cost-effective.
Bartick M, Reinhold A. The Burden of Suboptimal Breastfeeding in the United
States: A Pediatric Cost Analysis. Pediatrics. 2010;125:e1048.
90%の赤ちゃんが６ヶ月間母乳のみで育つ
と、130億ドル/年の医療費削減につながり、
９１１の死亡減少につながる

7. 血圧：少し下がる ２型DM：30%少ない
肥満：24%少ない 知能：少し高い

8. 母親の気持ち
•! ２００５年度乳幼児栄養調査(厚生労働省)
96%の女性が「母乳で育てたい」

9. まとめると・・・
•! こども：母乳が健康にとてもよい
•! 母：母乳でそだてたい！
–!実は母の健康にもよい
母乳育児を支援するのがとても重要！！
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10. どうやったら母乳育児、
うまくいくでしょう？
じゃあどうやって？
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11. 母乳育児がうまくいくことは世界が求めている
「赤ちゃんにやさしい病院運動
(BFHI)」
「母乳育児が成功するための1
0ヵ条」
「母乳代用品のマーケティン
グに関する国際基準」
↓
全ての赤ちゃんに適切な栄
養が届けられること、それ
による死亡の減少・健康の
増進が目標CCOOPPYYRRIIGGHHTT
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12. 母乳育児が成功するための10ヵ条
1.! 母乳育児の方針を全ての医療に関わっている人に、常に
知らせること
2.! 全ての医療従事者に母乳育児をするために必要な知識と
技術を教えること
3.! 全ての妊婦に母乳育児の良い点とその方法をよく知らせ
ること
4.! 母親が分娩後、３０分以内に母乳を飲ませられるように
援助すること
5.! 母親に授乳の指導を十分にし、もし、赤ちゃんから離れ
ることがあっても母乳の分泌を維持する方法を教えること
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13. 母乳育児が成功するための10ヵ条
6.! 医学的な必要がないのに母乳以外のもの水分、糖水、人
工乳を与えないこと
7.! 母子同室にすること。赤ちゃんと母親が1日中24時間、
一緒にいられるようにすること
8.! 赤ちゃんが欲しがるときは、欲しがるままの授乳をすす
めること
9.! 母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを
与えないこと
10.!母乳育児のための支援グル−プ作って援助し、退院する
母親に、このようなグル−プを紹介すること
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14. BFHIは出産施設でのケアを中心に作られている
NICUでそのままではう
まくつかえない・・・
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いい感じにアレ
ンジして！

15. The Nordic and
Quebec working
group (2009-)
http://www.ilca.org/i4a/pages/
index.cfm?pageid=4214
こんな実践をしているNICUの人
たちを中心に作成されています
http://
kodomokazokumannaka.wix.com
/home#!untitled/c23c1
https://www.youtube.com/
watch?v=VVwbVJpfgAc
Neo-BFHI：BFHIのNICU拡張版
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16. Neo-BFHI・・・10ヵ条NICU拡張版
•! Guiding Principle 基本指針
1.!スタッフは個々の母親とその状況に注目
すること
2.!施設は環境に配慮された家族中心のケア
を提供すること
3.!保健医療システムは産前、出産、産後
ケア、および退院後ケアを継続して行え
るようにすること
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17. Neo-BFHI・・・10ヵ条NICU拡張版
Steps
1.! 母乳育児についての基本方針を文書にし、関係するすべての保健
医療スタッフに周知徹底しましょう。
2.! この方針を実践するのに必要な知識と技能を、すべての関係する
保健医療スタッフにトレーニングしましょう。
3.! 早産児または病的新生児を出産するかもしれない妊娠中のすべて
の女性に母乳分泌の確立・維持方法と母乳育児の利点について情
報提供しましょう
4.! 産後早期からその後長期にわたって制限なく母親と赤ちゃんの肌
と肌の接触(カンガルー・マザー・ケア)か、正当な理由のある場合
以外は制限なくできるよう勧めましょう。
5.! 母親に母乳分泌の確立と維持の方法を教え、赤ちゃんの状態が安
定していることだけを唯一の基準として早期からの直接授乳を確
立させましょう。
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18. Neo-BFHI・・・10ヵ条NICU拡張版
Steps つづき
6.! 医学的に必要でないかぎり、赤ちゃんには母乳以外の栄養や水分
を与えないようにしましょう。
7.! 母親と赤ちゃんが24 時間いっしょにいられるようにしましょう。
8.! 赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけの授乳を勧めましょう。
早産児と病的新生児には、必要に応じて準自律授乳を移行の過程
として勧めましょう。
9.! 少なくとも直接授乳が確立するまでは人工乳首以外の方法を用い
、おしゃぶりや ニップルシールドは正当な理由がある場合のみ使
用するようにしましょう。
10.!両親が母乳育児を継続できるように支援し、退院後利用できる母
乳育児を支援するサービスやグループについて紹介しましょう。
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19. インターネットでダウン
ロード可能
5/19-20
ウプサラ(スウェーデン)
でこのグループの国際カ
ンファレンスが開催され
ます。日本からも参加者
がいます。
http://
kodomokazokumannaka.wix.com/
home
今日触れない項目も気になりますよね。
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20. Step3: 早産児または病的新生児を出産するかもしれ
ない妊娠中のすへての女性に母乳分泌の確立・維持方
法と母乳育児の利点について情報提供しましょう。
出産前にできるかもしれないこと
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21. 第3条のスタンダードな支援
■ 赤ちゃんが入院するリスクのある入院中の妊娠女性と、赤ち
ゃんの状態にあわせて、授乳や母乳分泌がどのように確立するか
ということを話しあう
話しあいは家族のニーズに焦点をあてながら、以下の内容が含ま
れる →内容は次のスライドへ
個々の女性の知識、過去の母乳育児経験、母乳以外のものを児に
飲ませる必要性などを考慮に入れて情報提供
■ 赤ちゃんが入院する可能性のある入院中の妊婦に渡せるよ
うな、直接授乳、母乳育児、搾乳、肌と肌の触れあいについての
説明文書が準備されている
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22. 情報提供に必要な内容
●NICUがオープンアクセスで、両親がNICUに滞在しているという
ことが赤ちゃんの健康にとって重要であるということ
●在胎週数に関係なく、正期産のときと同様に早産の後でも母乳産
生が始まること
●児にできるだけ早く初乳を与えるため、出産後早期から搾乳を行
うことの重要性と、具体的にどうやるかの情報
●母乳だけで育てることが早産児/病児や母にもたらす特別な利点に
ついて
●生後、できるだけ早く肌と肌とのふれあいをすることの重要性
●早期から赤ちゃんが乳房に吸い付く機会をもつ重要性
●医学的状況によるが、極/超低出生体重児でも栄養的吸啜をする能
力があるという事実
●頻回搾乳の必要性 (少なくとも7回/日)
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23. ・本家BFHIでは「お母さんに優しい出産の実践」が
勧められています
・早期母子接触は可能な限り実施が勧められています
出産・・・
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24. Step5: 母親に母乳分泌の確立と維持の方法を教え、
赤ちゃんの状態か安定していることだけを唯一の基準
として早期からの直接授乳を確立させましょう。
出産後早期にはじめること
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25. 第５条のスタンダードな支援
■初回の直接授乳から、適切な体位・吸着について「ハンズオフ
テクニック」を用いて支援される
■直接乳房から飲みとれる児と母は直接授乳をするように励ま
され、支援される
■母乳のみで栄養していない母や、母乳で育てる希望のある母は生
後6時間以内に搾乳がはじめ、継続できるように支援され、実践
的な援助をうける。手と搾乳器での搾乳法・頻回授乳の重要性(
夜間も含め24時間に7回以上)について書面か口頭で情報提供
■母乳産生に困難があることが課題とされ、個別の支援を受ける
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26. 第５条のスタンダードな支援
■週数・体重・日齢などではなく、赤ちゃんの状態が安定してい
るかどうか、が直接授乳をはじめるかどうかの唯一の基準である.
■後期早産児の母も他の早産児の母と同様に支援をうける.
■母乳育児をしなかったり、母乳代用品を使用する母も安全な取
り扱いや児への挙げ方について支援を受ける
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■飲みとれる・とれないに関係なく、全身状態が
安定しているならば直接授乳をしよう！
■搾乳は生後早期から頻回にやろう！

27. ・では、搾乳はどうやりましょう
搾乳器？ 手？？？
搾乳を支援しよう
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28. 本家BFHIでも搾乳は重要なテーマ
この本から
具体的な搾乳方法を
学んでみましょう。
https://www.youtube.com/watch?
v
=YXZ4gQt9jgI&index=2&list=PL_yVGt3AN-
yrttS5vnqzYf0fQ09I4XT0o
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29. この本だとおすすめは手の搾乳
•! 手による搾乳が好まれる理由
–! 手はいつでも使え,部品紛失なし,壊れない
–! 手による搾乳は慣れると効果的,手早い
–! 搾乳器のプラスチックの感触や機械音よりも,手による肌と肌の感
触がよい
–! 特に乳頭に痛みがあるとき,搾乳器よりも手のほうが乳頭にやさしい
–! 搾乳器と違い交差感染のリスクが少ない
•! お金や水や電気が十分得られない地域では搾乳器は使えないかも
–! 日本でもお出かけ中や災害時などはあなたの搾乳器は役に立たな
いかもしれません
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30. この本だとおすすめは手の搾乳
•! 乳房が緊満し痛みを感じやすい時期より,
柔らかいときのほうが手による搾乳を覚えやすい
–! 飲めないね­。張ってきたね­。→それから搾乳では遅いかも
•! 搾乳の手順
1.!母乳を出やすくする
2.!乳管を見つける
3.!乳管の上から乳房を圧迫して搾乳
4.!乳房のあらゆる場所から繰り返ししぼる
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31. １．母乳を出やすくする
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32. どれくらいの時間搾乳する？
•! 初乳：５­１０分の搾乳でティースプーン１杯程度
–! ごく少量でも初乳は有用 →赤ちゃんへ
–! 搾乳したものをシリンジで
援助者が集める
–! １mLのシリンジだと
たくさんにみえてよい
•! 乳汁産生を増やすなら
–! 夜間の１回を含めて、１日に少なくとも６回以上
–! １回20分程度 24時間で100分程度の搾乳時間を
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↑大山牧子さん提供

33. 搾乳支援の留意点
•! 支援者は母親の乳房に触れる必要はない
–! レアだが、触れる必要があると判断したときは
母親に説明・同意を得る
•! 最初の搾乳で量が少なくても諦めないよう励ます
–! 繰り返すうちに増えてくる
•! 乳頭をつまんで搾乳しないように説明する
–! 出ないばかりか、痛みや乳頭の傷の原因になる
•! 圧迫するときに指を乳房の上ですべらせたり、こすったりしな
いように説明する
–! 乳房を痛めるおそれ 痛みがあるとオキシトシンでにくい
•! 練習すれば、両方から同時に搾乳できる
•! 痛みがないようにする 痛かったらやり方を見直す
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34. それでは、機械はだめなの？？？
■(多くはないけど)エビデンスに聞いてみ
ましょう。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD006170.pub4/
abstract;jsessionid=F2CDC1837089A5C4F513934C43A7BF92.f04t04?
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35. 時間もあれなのでざっくりまとめちゃいます
■手による搾乳・手動搾乳器・電動搾乳器
研究により差はあり、機械はそれぞれ違いますが、搾乳量には現状の
エビデンスでは大きな差がないようです。
■高機能の電動搾乳器が優れている点
・搾乳にかかる時間が他の方法より1回数分程度短かかった
■日本で利用できる病院向けの高機能の搾乳器は某社の某という１機種
しかありません。それがすぐれているという質の高い根拠はありません
。近年できた某モードもしかり。
■搾乳量が有意に増えた報告のあるもの(効果の大小問わず)
・リラクゼーション音楽 ・乳房を温める ・乳房マッサージをしなが
ら電動搾乳器を使用する ・出産後1時間以内の搾乳開始
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36. COPYRIGHT
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大山牧子さん提供資料

37. まとまってますでしょうか・・・
今日のまとめ
COPYRIGHT

38. COPYRIGHT
•!

39. 今日のまとめ
■母乳で育てるといろいろいいことがたくさんある
■実は母乳で育てたいと思っている人がたくさん
■BFHIはとてもいいプログラム、でもNICUにはあてまはまらな
いので、NICU版に拡張する取り組みが現在進行形
■出産前に母乳育児についての話しあいと情報提供が必要
■出産時はお母さんに優しい分娩実践と早期母子接触
■出産後は①直接授乳を制限しない ②搾乳を早くから頻回に
■搾乳は手でもOK。病院用の電動搾乳器使うと少しメリット
・時間は少し短い ・手は疲れにくいかも ・両側同時に搾乳＆搾乳しながら乳房圧迫できる
■明日からもみなさまがんばってまいりましょう。
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