株式会社インターネットイニシアティブ
doumae@iij.ad.jp
スピードテストについて考える
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最初に
スピードテストを否定
するわけではありません
ケンカを売りたいわけじゃありません
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スピードテストの
「計測対象」について
スピードテストの
「計測値」について
について、考えたいと思います
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みんな大好きスピードテスト
 表示される「結果」
• ダウンロード速度 … ○ ○ Kbps
• アップロード速度 … ○ ○ Kbps
• 遅延 (ping値) … ○ ○ミリ秒
 大変シンプル
• わかりやすい
• 数字なので比較しやすい
 でも、ちょっと待ってください!
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スピードテストは何を測っているのか
インターネット
MVNO事業者
MNO事業者
(キャリア)
スピードテスト
サーバ
基地局
端末の対応周波数
無線機の性能
CPU速度
基地局の混雑
地上ネットワーク
の混雑
MNO~MVNO
相互接続の混雑
MVNO~
インターネット
接続の混雑
インターネット
全体の混雑
スピードテスト
サーバの混雑
スピードテストの計測結果に含まれる要素付近の電波状況
MNOの責任範囲端末の責任範囲 MVNOの責任範囲
スピードテスト
提供者のの責任範囲
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意味のある計測を行うためには
 「ボトルネック」になり得る箇所は、たくさんあります
• スピードテストでは、
それらすべての要素を総合した結果だけが表示されます
 数字の比較に必要な前提
• 比較対象以外がボトルネックになっていないか?
• 比較対象以外の条件を固定できるか?
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改めて
インターネット
MVNO事業者
MNO事業者
(キャリア)
スピードテスト
サーバ
基地局
端末の対応周波数
無線機の性能
CPU速度
基地局の混雑
地上ネットワーク
の混雑
MNO~MVNO
相互接続の混雑
MVNO~
インターネット
接続の混雑
インターネット
全体の混雑
スピードテスト
サーバの混雑
スピードテストの計測結果に含まれる要素付近の電波状況
MNOの責任範囲端末の責任範囲 MVNOの責任範囲
スピードテスト
提供者のの責任範囲
比較したいのはここ!
ほかの条件は固定可能?
(条件は時々刻々変化するので実質不可能)
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基地局の話
 同じ場所でも、異なる基地局の電波をつかんでいる可能性
があります
• 基地局によって、混雑の度合いが異なる可能性があります
• 例えば、繁華街などの混雑するエリア……
• 混雑するエリア以外でも
エリアの境界では
複数の基地局が見えることが
あります。
• 同じ端末でも時間によって
別の基地局をつかんでいることも
NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol.12 No.3
FOMAの無線ネットワーク設計概要 その2 無線ネットワーク設計とパラメータ最適化の事例
https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol12_3/051.html
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意外な要素が影響することも
 Windows Update
• モバイル回線でWindows Updateを実行する人も
いらっしゃるようです
• 転送量が結構多いです
• ほぼ同じタイミングに集中して発生します
 こういった「混雑」による速度低下も、もちろん通信サービスの
「品質」の一部です
 とはいえ、以下の二つがごちゃ混ぜに評論されていると、もやもやす
る気持ちも……
• 外的要因による一時的な速度低下
• 恒常的な設備不足による速度低下
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スピードテストの結果を見るときは……
 周辺の条件も意識してください
• 比較に耐えうる条件がそろえられる?
• 完全にそろえることは不可能です → 結果も察してください
 混雑の「波」を意識してください
• 一日の中での変化
• 週の中での変化
• 世間で発生するイベント (Windows Update、アプリの大型アップデート等)
 あまり数値にはこだわらないでください
• 実は、計測結果の数値自体にも悩ましい点があります
→次のネタへ続く
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スピードテストの
「計測値」について
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 理想的な通信速度は青線(A)
 現実の通信速度は赤線(B)
 計測結果を一つの数字(○○Kbps)で現わすためには、
何らかの”加工”が必要になります
スピードテストの「計測値」
瞬間の速度
経過時間
(A)
(B)
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考えられる加工方法
 平均を取る
• ○○Kbyteの転送にかかった時間で平均を取る
• 単純に○○秒間の平均を取る
 最大速度
• 瞬間最大の速度で代表する
 ピークカット
• 不安定と思われる計測結果を除外する ※次ページで説明します
 上記複数の組み合わせ
等、様々な”加工”が考えられます。
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ピークカットとは
 速度が安定していない(と推測される)部分をカットして
平均を取る
総務省: インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会(第2回)
資料2-4 株式会社イードプレゼンテーション資料 より、引用
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/speed_measurement/02kiban04_03000123.html
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どの加工が「正しい」と言うわけではない
 「スピードテスト」アプリ毎に異なる処理
 加工の方法によって、異なる値が出る
 「○○Kbps」という表記に、絶対的な尺度であると
思いがちだが、実際には絶対的な尺度ではない
 (同一アプリならともかく)
アプリ間で数字を比べることはできない
さらに、悩ましい点が……
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「バースト」型の通信を計測する
 例:
• 通信開始から75KByte分は 3000Kbpsで通信
• それ以降は200Kbpsで通信
通信量:
150KByte
通信時間:
3.2秒
瞬間最大速度:
3000Kbps
平均速度:
375Kbps
※説明がしやすいように、きりの良い数値を使用しています
※理想的な通信速度制御が行われていると仮定します
後のスライドでも、
この条件は変更しません
375Kbps
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計測のための通信量を変更する
 速度制御方法は変更していないのに、平均速度が変わる
• 計測のための通信量を 150KByte → 300KByteに変更
• 計測結果の平均速度が 375Kbps → 260Kbps に変化
通信量:
300KByte
通信時間:
9.2秒
瞬間最大速度:
3000Kbps
平均速度:
260Kbps
260Kbps
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速度計測のサンプリング間隔を変更する
 瞬間の速度を求める方法
瞬間の速度≃ある区間の速度 =
(直前のカウンタの値 – 現在のカウンタの値)
サンプリング時間
サンプリング時間の粒度によって、
得られる値が異なる
サンプリング0.3秒
最高速度 2066Kbps
サンプリング0.5秒
最高速度 1320Kbps
サンプリング1秒
最高速度 760Kbps
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サンプリングのタイミング
 サンプリングのタイミングがズレると、計測値が変わる
 例:
• 計測サーバの応答が0.2秒遅延した場合
• 計測結果の最高速度が 2066Kbps → 1133Kbps に変化
サンプリング0.3秒
最高速度 1133Kbps
サンプリング0.3秒
最高速度 2066Kbps
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バーストする通信速度を計測するのは難しい
 平均速度では特徴を表せない
• 平均の取り方によっても値が違ってくる
 最高速度を調べることは難しい
• サンプリング時間を長くすると、ピークが丸まった数値が出る
• サンプリング時間を短くすると、ちょっとした揺らぎで数値が大きく変わ
る
 バースト型の通信においては、
シンプルな数値で「速度」を代表させることは困難
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もう少し詳しく「通信速度」を見てみる
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より詳細な調査の試み
 単純なスピードテストでは、「通信速度」を表現できません
 「通信速度」を可視化できないか、チャレンジしてみました
 以下のような構成で、通信速度を0.1秒単位でグラフ化します
Wi-Fi
• ノートPCにLTE対応USBモデムを接続 (IIJmioのSIMを装着)
• スマートフォンは、Wi-FiでノートPCに接続
• スマートフォンのアプリからの通信を、ノートPC上でグラフ化
クーポンOFF
200Kbps (バーストあり)
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デモ
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これ以降は
デモができなかった時のための予備
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Ookla Speedtest.net
 スピードテストのような連続的な通信は、
200Kbps付近に制御される
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RBB TODAY SPEED TEST
 Speedtest.netとは異なる傾向
 計測期間中に、複数回パルス的な通信を発生させている?
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Twitter
 Twitterの「更新」は瞬間的な通信
 ほぼ200Kbps制限にかかっていない
※参考: クーポンON時
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Web閲覧 (Yahoo)
 HTTPリクエストが途切れた後、再度バーストしている
 1ページ表示する間でも、複数回のバーストが発生
1ペジ目表示
バナー広告
2ページ目表示
画像表示
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Pixiv
 大きな画像の表示は「連続的な通信」になる
 200Kbps制限がかかり、あまり快適ではない
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LINE 無料通話
 通話中も200Kbpsに満たない帯域しか利用していない
 音声通話では「遅延時間」が通話品質に影響する
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LINE トーク(チャット)
 ほとんど通信が発生していない
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radiko.jp
 通話と違い、散発的な通信 (Apple HTTP Live Streaming)
 通信が一度途切れるので、バーストし放題
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Lord of Knights (オンラインゲーム)
 タブを切り替えると通信発生。バーストで速やかに終了
 未キャッシュのカード画像を大量に取得する時は遅い
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まとめ
 スピードテストが「測っている」対象を意識
• 測りたい箇所だけを測れる訳ではない
• 比較のための条件統一が困難
• 計測結果の変動要因にも意識を向けて
 スピードテストの結果は絶対的な尺度ではない
• スピードテストの「計測値」は加工されている
• 加工方法によって異なる結果になる
• バースト型の通信をスピードテストで評価するのは困難
 バーストが有効に働く通信・働かない通信
• 通信の状況を詳細に見ると、興味深いです

IIJmio meeting #3 スピードテストについて考える