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Similar to EBMワークショップ徳島2014 (20) EBMワークショップ徳島20142. 今日の流れ
• EBMとは
• 現場から、課題を そして、それを整理する
• チェックポイントとバイアスリスク
• さらに進んだポイント QUADAS
• 情報を見極める目
2014/11/15
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5. 医療行為の目的とは
• 治癒
– 病原菌の除去、腫瘍の完全な摘出など
• 再発防止
– リュウマチ熱後の抗菌薬の投与、てんかんへの抗痙攣剤の投与など
• 機能障害の対策
– リハビリ、形成手術など
• 合併症の予防
– 無症状の高血圧への降圧剤の投与、心房細動患者への抗凝固療法など
• 現在の症状の改善
– ホルモン療法、鎮痛剤の投与、抗不安薬の投与など
• 疑念や心配を晴らす
– 誤診を明らかにする、予後について話し合うなど
• 苦痛のない尊厳のある死を迎える
– 診断的処置をやめ痛みの除去に重点を変える、患者の自尊心を尊重するなど
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6. 疾患の転帰 6つのD
転帰
ポイント
Death: 死亡
早すぎる死は、通常好ましくない
Disease: 疾患・合併症
その疾患の症状、身体徴候、検査の異常値、さら
にその疾患に伴う合併症の発生など
Discomfort: 不快・苦しみ
痛み、吐き気、呼吸困難、倦怠感、かゆみ、耳鳴
り、めまいなどの症状
Disability: 機能障害
家庭生活や仕事、レクリエーションなどでの活動
制限、能力制限
Dissatisfaction: 不満
悲しみや怒りなど、疾患やそのケアに対する感情
的反応
Destitution: 貧困
疾患のケアに対する直接的出費や間接的経費、
さらに疾患による収入減などによる経済的困難・
困窮
2014/11/15
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10. Evidence
Gap
心筋梗塞の血栓溶解療法
2014/11/15
Antman
JAMA
1992
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11. Evidence
Gap
心筋梗塞の予防的リドカイン投与
2014/11/15
Antman
JAMA
1992
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14. 熱性けいれんに続く非熱性けいれんの危険率
(Ellenberg,
JHら
JAMA
1980;
247:
1337)
• 医療施設での研究では、その医療施設に搬
送された時点でバイアスが発生する。
• けいれんが長く続いたり、意識障害などの
他の障害がある、あるいは再発を繰り返す
症例などの方がより大きな施設に紹介され
やすい。
• もっと大事なこと:熱性痙攣がなく、てん
かんになった人もたくさんいる。
2014/11/15
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15. 拡張型心筋症の予後はどの程度か
(Sugrue
DDら
Ann
Intern
Med
1992;
117:
117)
population based studies�
referred patients�
予測生存曲線�
pop. based�
referred�
2014/11/15
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16. 拡張型心筋症の予後はどの程度か
(Sugrue
DDら
Ann
Intern
Med
1992;
117:
117)
• Mayo
Clinicに紹介される時点でバイアスが生じ
る。
– 治療に抵抗性であったり、他の合併症があった
り、すると紹介されやすい。
• 以前にはこのreferred
patientのデータをもとに、
ある治療を行なうとこの死亡率と比較して有意に
死亡率が低いとして治療の有効性を論じた研究が
なされていた。
– 過去の報告の予後を対照として治療の有効性を
論じる場合には、なるべくpopulation
basedの
信頼度の高い論文を対照にする。
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17. EBMの意義
• Evidence
Gapの縮小
– 情報データベースや検索方法の整備・改善
– 研究の妥当性・バイアスリスクの評価
• 研究の妥当性の改善
– 根拠としての評価手法・基準の明示化
• 患者価値観の導入
– 患者・住民のガイドライン作成への参加
• 医療判断プロセスの共有
– Informed
consentからShared
decision
makingへ
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19. EBMの手順
課題の定式化
情報検索
情報の批判的吟味
その結果の適用・行動
その結果の評価・学習
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21. では、step
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を
• あなたは、ある病院の医師である。あるとき、友人から相談を受けた。そ
の友人の知り合いに35才の女性がいて、最近話題になっているダウン症
のスクリーニングテストを受けようかどうしようか悩んでいるらしい。
• 少し詳しく話を聞くと、その女性は現在妊娠12週で経過は順調なのだが、
周囲からダウン症のスクリーニングテストの話を耳にし、少し調べてみる
と最近従来のテストに比べてかなり精度の高い胎児のDNAをチェックす
る手法があることを知って迷ってきたらしい。
• 「99%の精度で判定ができる、って書いてあるらしいのよ。で、産科の先
生に相談したら、希望があればその検査を行っている医療機関を紹介す
るけど、自分としてはお勧めしない、て、答えられて見捨てられたような気
分になったって落ち込んでいてね・・・ 別に、検査が陽性だったらどうしよ
うと思ってるわけじゃないらしいのよ。今回が初めての妊娠だし、ただ母
親が事前に自分の子供のことを知りたいっていう気持ちはわかるじゃな
い。」
• あなたは、その産科の先生としっかり相談することが一番大事だと伝えた
上で、35才の母親であればある程度のリスク上昇はあるけど、検査で行
動を変えないのならあまり検査を受ける意味はないな、と感じていた。
ちょっと調べてみて、もし何かわかったら連絡するよと話した。
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22. 22
課題にまとめるポイント
課題の定式化
PICO
PECO
P:
PaRent/PopulaRon
I:
IntervenRon
(E:
Exposure)
C:
Comparison/Control
O:
Outcome
それぞれ具体的にまとめる
24. Step
2、3へ
• 情報の検索と吟味
• しかし、現在では「吟味のすんだ情報源」が準
備され、それを探すことが容易になっている
• でも、今日は用意された論文を吟味してみま
しょう
• ポイント
– チェックシート
– バイアスリスク
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26. なぜチェックポイント?
• 従来の評価法
– 研究デザインが適切であればOK
• これからの評価法
– 研究デザインはふるい落とし基準の一つ
– その上で、バイアスリスク(Risk
of
bias)を評価
– さらに、一定の質を満たした研究について、アウト
カムごとに結果を統合する メタ分析
– 治療効果というプラス部分と、リスク・負担・費用・
苦痛などのマイナス部分とのバランスを意識する
27. チェックシート 治療
• ランダム割付か
• 研究対象者の全てが評価されているか
• 最初の割付通りに評価されているか
• 評価は、割付内容と目隠しされているか
• 最初の段階で差はないか
• 治療内容に差はないか
• ・・・・
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31. 今日のシナリオと論文
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• あなたは、ある病院の医師である。あるとき、友人から相談を受けた。そ
の友人の知り合いに35才の女性がいて、最近話題になっているダウン症
のスクリーニングテストを受けようかどうしようか悩んでいるらしい。
• 少し詳しく話を聞くと、その女性は現在妊娠12週で経過は順調なのだが、
周囲からダウン症のスクリーニングテストの話を耳にし、少し調べてみる
と最近従来のテストに比べてかなり精度の高い胎児のDNAをチェックす
る手法があることを知って迷ってきたらしい。
• 「99%の精度で判定ができる、って書いてあるらしいのよ。で、産科の先
生に相談したら、希望があればその検査を行っている医療機関を紹介す
るけど、自分としてはお勧めしない、て、答えられて見捨てられたような気
分になったって落ち込んでいてね・・・ 別に、検査が陽性だったらどうしよ
うと思ってるわけじゃないらしいのよ。今回が初めての妊娠だし、ただ母
親が事前に自分の子供のことを知りたいっていう気持ちはわかるじゃな
い。」
• あなたは、その産科の先生としっかり相談することが一番大事だと伝えた
上で、35才の母親であればある程度のリスク上昇はあるけど、検査で行
動を変えないのならあまり検査を受ける意味はないな、と感じていた。
ちょっと調べてみて、もし何かわかったら連絡するよと話した。
33. 今日の流れ
• EBMとは
– 根拠+経験+価値観+資源
• 現場から、課題を そして、それを整理する
– PICO 具体化 患者中心のアウトカム設定
• チェックポイントとバイアスリスク
– しっかりと見極めて、評価する
• さらに進んだポイント QUADAS
– 国際的な取り組みによる評価手法の開発
• 情報を見極める目
– シナリオがまずある その上で、選択の段階から情報の
妥当性を意識する
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